連載
posted:2019.4.22 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
今年もまた春がやってきました。
日に日に畑や山の新緑パワーが増してます。
あー、まぶしい黄緑!
私たち家族は2012年秋に小豆島に引っ越してきて、
2013年の春から本格的に農業を始めました。
気づけば、7年目! びっくりです。
なんとなく5年というのがひとつの節目でした。
5年経っても、ちゃんと野菜を育てることができていなかったら、
生計を立てられていなかったらやばいのかなぁと。
その5年というのは、私たちが新規就農したときから受けていた
青年就農給付金(今は農業次世代人材投資資金に名前が変わっています)が終わり、
助成金なしで自分たちの収入だけで生きていかなければならなくなるタイミング。
とりあえずその節目を過ぎて、変わらずいまも農業しています。
ということで、なんとか生計としては成り立つようになりました。
4月は私たちにとって1年で一番大変な時期です。
メインで育てている生姜の植えつけ作業はあるし、そのほかの夏野菜の準備もあるし。
とにかく冬野菜の片づけと新たな植えつけ作業が続きます。
畑作業だけじゃなくて、毎年5月3日に開催される地元の伝統行事
「肥土山(ひとやま)農村歌舞伎」の稽古も毎晩のようにあり、
畑仕事が終わって、急いで夜ごはん食べて、歌舞伎の稽古。ふぅ。
そんなやること満載の畑のことを知っていたかのように、
先週はいろんな地域から友人や知り合いが手伝いに来てくれました。
普段は3〜4人で畑作業をしていますが、このときは10人くらいで作業。
冬野菜を片づけたり、生姜を植えたり、収穫・出荷を手伝ってもらったり、
常にバタバタしていて大変でしたが、賑やかな1週間でした。
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そうそう、私たち〈HOMEMAKERS〉の畑を手伝ってくれてるメンバーには
いろんな人がいます。
週3〜4日来てくれてるメンバーには、お給料(お金)をお支払いしています。
リフレッシュをかねて週1回とか月1回畑作業をしに来てくれてる友人には、
お礼に野菜を持って帰ってもらっています。
それから、自分たちも農業をしたいといって研修に来てくれる方もいます。
来てもらえることは本当にありがたいことだと思っています。
ちなみにうちはいわゆる「WWOOF(ウーフ)」
(働いてもらうかわりに食事と宿泊場所を提供するというやりとり)はしていません。
来てくれた方が快適に過ごせているか気になってしまって、気疲れしてしまうので……。
いま手伝いに来てくれている人たちは、友人だったり、
知り合いが紹介してくれた人だったり、何かしらつながりのある人たちです。
近い将来、農家民宿というかたちで泊まってもらって、畑作業を少し体験してもらう、
グリーンツーリズムみたいなことはできたらいいなと思っています。
いまのHOMEMAKERSの畑は、本当にみんなの手によって維持されています。
7年前と比べたら、私が畑に出る時間は減りました。
私の仕事は「野菜を育てる」割合が減って、
「みんなが楽しく働ける場と仕組みをつくる」割合が増えました。
環境を整えるということもそうなのですが、
そもそも仕事をつくりだすということを考えるようになりました。
こんなふうにみんなで働くようになるとは想像してなかったんだけど、
みんなで働くって楽しいんですよね。
たくちゃん(夫)と私のふたりではやりきれなかったことが実現できていく。
7年目でもまだまだうまくいかないことが多くて、
農業に関しては勉強したいことがたくさんあります。
昨年末から高知の生姜農家さんのところへ研修に行かせてもらっているのですが、
新たに学ぶことばかりです。野菜を“育てる”ことだけじゃなくて、
“売る”ことももっともっと工夫していかないとな、と日々試行錯誤です。
さて、今日もひとつずつ。
植えないといけないさつまいもの苗たちが待っています。
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