連載
posted:2019.3.25 from:香川県高松市 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
私たちが暮らす小豆島は香川県に属しています。
実は香川県は全国の都道府県の中で一番面積が小さいんです。
そんな小さな香川県ですが、有人島(人が暮らしている島)の数は
全国トップ5に入るほど多く、24島あります。
〈瀬戸内国際芸術祭〉によってアートの島として有名になった
直島や豊島(てしま)も香川県の島です。
24島のうちほとんどが人口1000人未満の小さな島です。
小豆島は例外的に大きく、人口約27000人!
ホームセンターやスーパーなどもあって、ほかの島と比べたらとても大きな島なんです。
小豆島で暮らしていると、島の中でいろんなものがそろうので、
暮らしが島で完結します。
日々必要な食料品や消耗品はスーパーで買えるし、
農作業の道具や家を直すための材料もホームセンターで調達できます。
病院もあるので、よほど大きな病気でないかぎり、島を出ません。
もちろん足りないものもあるのですが、そういうときはネットで注文したり。
小豆島のお隣にある豊島で暮らす友人は、
買い出しや病院の通院などで小豆島にちょくちょく来たりしています。
男木島で暮らす友人は、高松に買い出しに出たりするそうです。
それはもちろん手間のかかることだと思うのですが、
ひとつの島で暮らしが完結してしまうよりも、
島から島へ、島から四国本土へと人が行き来したり、
もののやり取りがある暮らしもおもしろいかもなと、ふと思いました。
そう感じたのは、先日初めて男木島を訪れたとき。
男木島には会いに行きたい友人たちがいて、ずっと行きたいと思いつつ、
2年くらいタイミングを逃していました(いま思えば、
「行く」を実行に移さなかっただけだなとちょっと反省)。
小豆島から男木島へは船を乗り継いで行きます。
小豆島から〈オリーブライン〉で高松へ、
それから高松で〈めおん号〉に乗り換えて男木島へ。
片道約2時間かかります。遠い〜(汗)。
もし直接行ければきっと30分くらいで行けると思うんですけどね。船が欲しい。
奥に見えるのが小豆島と高松をつなぐ〈オリーブライン〉、手前が高松と男木島、女木島をつなぐ〈めおん号〉。
高松港で偶然遭遇した男木島の〈象と太陽社〉の山口ファミリー。
高松での乗り換えのときに、買い出しに来ていた
〈象と太陽社〉の山口ファミリーと偶然遭遇。
さっそく会いたい人に会えた。
山口くんたちは男木島でハーブを使ったサロン〈海とひなたの美容室〉と、
サロンや製品に使うハーブを育てる〈海のハーブ園〉を営んでます。
一緒に男木島へ向かいました。
男木島の港。4月26日から開催される〈瀬戸内国際芸術祭2019〉の絶賛準備中。
急な斜面にある男木島の集落。狭い道と高い石垣。
めおん号に乗って40分、男木島の港が見えてきました。
斜面にへばりつくように建てられた家々。
道は狭く、急な坂道。こりゃワクワクせずにはいられない。
畑から海が見られるなんて最高だなぁ。
石垣に囲まれた狭い道を登っていくと、山口くんの畑、海のハーブ園を発見。
小さな畑の向こうには海が見える。
サロンからも海と港に停泊中のめおん号が見える。海と坂のある集落。
島上陸後、数分で一気に男木島の魅力に引き込まれてしまいました。
歩いてまわれる男木島の集落。
サロンに飾られたドライハーブが美しい。
Page 2
男木島の集落は思ったよりもずっと狭く、いろんなところに歩いて行けました。
というか道が細くて車は走れない。
古民家を改修した私設図書館。本を自由に読めます。
もう何年も前から気になっていた〈男木島図書館〉へも行けました。
本が好きな私たちにとってなんとも落ち着く場所、
それぞれに好きな本を見つけて読みました。
あー、いい空間だなぁ。居心地良くて、つい長居してしまった。
気づけば船の時間まで残り40分(汗)。
お気に入りの本を見つけてしばし読書。
次々と島の人たちがやってきて、ちょっとした男木島の団らんの中に混ぜてもらっているよう。
今回男木島へ来たのは、〈ダモンテ商会〉のダモンテくんに会うためだったのに、
すてきな人がたくさんいて話していたらあっという間に時間が過ぎてしまいました。
ダモンテ商会は男木島の港から坂道を登って5分くらいのところにあります。
お店を訪れると、そこには賑やかなんだけど穏やかな空気があって、
おいしいパンや料理、お菓子、コーヒーを楽しめます。
すてきなお店には必ずすてきな人がいる。
たくさんお話ししたかったけど、船の時間まで30分しかなくてごめんなさい。
また出直します。
古民家を改修した〈ダモンテ商会〉のお店。
パンとコーヒーとケーキとビールとお野菜!
男木島にはおもしろい人たちがたくさんいました。
普段からやりとりできたらもっと楽しくなるだろうなぁと思いました。
例えば、私たちが育てた野菜を送ってお店で使ってもらったり、
逆に男木島でつくられたものを私たちの店で販売したり。
それからたまにはお互いの島を訪れ、一緒に小さなイベントを開いたり。
島と島のつながり。
そのつながりがなくてもお互いに生きていくことはできるんだろうけど、
つながりができたらなんか楽しそうだなと、いまよりもっと楽しく暮らせそうだなと。
お客さんがいっぱいで賑やかだけど、どこかやさしくて穏やかな空気感。
シナモンロールがとてもおいしかった。帰りの船の中でぺろり。
そんなふうに考えていたら、その数日後に豊島から
〈usaginingen(ウサギニンゲン)〉の平井伸一くんが遊びに来てくれました。
平井くんたちは夫婦で豊島で劇場を営み、
そこでオリジナルのパフォーマンスをしています。
その劇場のまわりの広場を「劇場広場」と名づけ、
そこをみんなで育てていきたいとパワー全開で話してくれました
(詳しくはusaginingenのインスタグラムを見てみてください)。
彼らとも一緒に何かできる日がすぐにやってきそう。
という感じで、小豆島だけじゃなくてまわりの島々の友人たちも一緒に
何か新しいことをできそうでワクワクしている春です。
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