連載
posted:2019.3.11 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
昨年の秋、小豆島にある高校から電話がかかってきました。
「〈HOMEMAKERS〉さんで野菜の収穫をしたり
調理をするワークショップをしたいんです」と。
小豆島にはつい数年前までふたつの高校がありました。
現在では合併してひとつになり、3学年で合計約600人くらいの子たちが通っています。
その高校の授業の一環で、高校生自身がワークショップを企画、
参加者を募集し、実施するというプログラムがあるそうです。
A4の用紙1枚にまとめられたコンセプトはとてもわかりやすくて、
なるほど! それはいいねというものでした。
毎年高校卒業とともにそのほとんどの子たちが進学・就職で島を出ていきます。
200人のうちの8割くらいが島外に行くそう。
島には大学がないので、進学しようとするとほぼ確実に島を出ることになります。
彼ら彼女らにとってずっと暮らしてきた小豆島の風景や文化は当たり前のもので、
その魅力を認識して語ることは難しい。
そりゃ、島になくて、外にあるものに憧れるのは普通です。
高校卒業とともに島の外に出ること自体はいいと思うんです。
むしろもっと早く出てもいいのかも。
でも、もし若い子たちが自分たちの故郷の魅力を知っていて、
そのうえで外に出ていったとしたら。
進学先や就職先などで小豆島の魅力を伝えられる人になるかもしれないし、
島に帰ってくるかもしれない。
だから、小豆島の魅力に気づいてもらえるような、
再発見できるような、島のことをより好きになってもらえるような
ワークショップをしたいというのが今回の企画。
すばらしい!
というわけで、なかなか高校生と一緒に活動できることもないし、
私たちにとってもいい機会だなと。
やりましょう! と快諾し、先日ワークショップが開催されました。
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企画したのは高校3年生のふたり。
参加者は2年生の女子8人。
まー、それはそれは終始きゃっきゃしてました(笑)。
玉ねぎ掘っても楽しくて、収穫したレタスをその場でちぎって食べても楽しくて、
サンドをつくるためにパンを切っても楽しくて。
なんでも楽しめるってほんとにすてきだなと思いました。
畑で野菜を収穫して、それをカフェに持ち帰ってサンドづくり。
こんなにも畑と食が近い場所は都会にはあまりないはず。
島だからこそできることで、島ではこんな暮らしができるんだよ
というのを感じてもらえたらいいなと思います。
ま、そんなに難しく考えず、楽しく暮らせるよ! というのが伝われば。
自分たちでつくったサンドをペロリと食べて、最後は座談会。
主催者の三浦さんが用意してくれた質問に答えながら話をしました。
自分が何者になりたいのか、何をしたいのか、みんな考えてました。
うまく伝えられたかわからないけど、夢ってそんな大それたものじゃなくてよくて、
小さいやりたいことをやっていけばいいんだよ、
それがつながっていくんだよ、みたいな話をしました。
高校生に伝えたいことって実は結構たくさんあるんですよね。
10代、20代だからこそできることって確実にあります。
同じ地域で暮らすその世代の子たちと何か一緒にできたら楽しいだろうなと
あらためて思いました。
そして教えてあげられることが少しくらいはあるなとも思いました。
逆に私たちが教えてもらうことも。
きっと1回きりじゃ変わらないから、
またあの子たちと一緒に何かできたらいいなと思います。
高校生、いいね!
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