まちの寿司屋から新潟の名店へ
龍寿しの創業は1967年。佐藤さんの父・幸雄さんが、
現在のお店がある場所から600メートルほど離れた
龍谷寺の正面にオープンしたのがはじまりです。
店名の「龍」は、龍谷寺と、幸雄さんが辰年生まれだったことが由来なのだそう。
11年間営業した後、1978年に現在の場所へ。

店内の様子。カウンター、小上がり、個室も完備。宴会も開ける広さだが、佐藤さんひとりで握るため、20名ほどで入店にストップをかけるとのこと。
高校卒業後、佐藤さんは幸雄さんが修業を積んだ東京の寿司店に入社します。
しかし、慣れない都会の生活にホームシック気味になり、10か月で帰郷。
長岡市で3年間の修業を経て、22歳で龍寿しに立ち始めます。
その6年後、佐藤さんが28歳のときに幸雄さんが他界したため、
2代目大将としての日々がスタートしました。
経営者としてお店が継続するやり方を模索しながら、
挑戦を繰り返していたこの頃は、不安でいっぱいだったそうです。

細やかに包丁が入った塩釜の本マグロのトロ。
冒頭でも触れたとおり、当時の龍寿しは、
宴会と出前が売り上げの大半を占める、昔ながらの寿司店でした。
しかし時代は変わり始めていました。
お店を続けるためにはまず出前がなくなっても対応できるスタイルを
確立することが、佐藤さんのミッションでした。
宴会と出前に頼れないのなら、お店に足を運んだお客さんに満足してもらい、
売り上げをたてる必要があります。
「寿司職人としていい食材を使いたいという思い、
そして、山の中の魚沼に暮らす地元の人たちに
1年に1回でもいいから最高の寿司を食べてもらいたい」

まずはネタ。
佐藤さんはそれまで当たり前のように地元の市場のみで仕入れていたネタを、
別の場所から仕入れることで質を高めることができないだろうかと考え始めます。
たとえばタイとアナゴは、インターネットに出店していた
地方の鮮魚店に突然電話をかけたのが縁となり、卸値価格で譲ってもらえることに。
宮内庁御用達で知られるアナゴに関しては特別に分けてもらうなど、
独自のルートを開拓していったのです。
以前は全国に目を向けていたことで、
地元新潟の魚を仕入れることには消極的だったそうですが、
現在は新潟市、佐渡、能生の3か所からもさまざまな魚を仕入れています。
何よりも「いいものを使う」という基準はブレず、
今後も産地を限定することはないそうです。

佐渡産のイクラ。
ネタだけではなくシャリも大胆に変えました。
先代の口癖は「一人前の寿司は、それだけで腹がいっぱいにならないとダメだ」。
シャリは大きく、ぎゅっと握られた食べ応えのあるものでしたが、
それでは佐藤さんが追い求める寿司には近づけないと判断。
シャリの大きさを徐々に小さくしていき、
地元南魚沼産の減農薬減化学肥料栽培の粘りの強い〈コシヒカリ〉と、
早稲米の〈こしいぶき〉をブレンドし、パラパラとした食感に落ち着いたそう。
わさびは八海山の伏流水で育てた魚沼わさびを都度すりおろして使い、
ガリは佐藤さん自らが漬ける自家製です。

北海道〈平川水産〉の「バフンウニ」のスペシャル箱を使用。味、色、形、すべてにおいて厳選して箱詰めされたもの。新潟でこのウニを食べられるのは龍寿しのみ。
佐藤さんの握る寿司と、その背景にある想いに共感する声は
人づてに広がり、増え続けています。
龍寿しは、今日も遠くに暮らすファンの心を掴んで離しません。

お座敷の握り一人前盛り合わせ「桜」はお味噌汁付きで3500円(税別)。
information
龍寿し
住所:新潟県南魚沼市大崎1838-1
TEL:025-779-2169
営業時間:12:00~13:30、18:00~22:30(22:00 L.O.)、日曜・祝日18:00~21:30(21:00 L.O.)*シャリがなくなり次第終了。不定休のため電話にて要確認。
定休日:水曜(予約の状況で変更の場合あり)
