全国の商店街には、その土地を物語る魅力がいっぱい!
酒ライターの岩瀬大二さんが、タカラ「焼酎ハイボール」〈ドライ〉に合う
最高のアテを探すべく、全国の商店街を巡ります。
今回は、高知県高知市のひろめ市場です。

商店街を歩く。
焼酎ハイボールのアテを求めて。
美味だけではない出会いがそこにはある。
酒飲みなら一度は体感したい場所が高知には存在する。
「まずはここ」、「もう1回ここ」、「やっぱりここ」となってしまう場所。
それが高知市の〈ひろめ市場〉だ。

高知市の中心街、帯屋町アーケードから高知城のほうに抜けたところにあるひろめ市場。活気ある楽しい場所という雰囲気が伝わってくる。

赤ちょうちん感とフードコート感。居心地のよさと開放感の両立。購入したものを飲食できる広々スペースが2か所あり、それを路地裏のような狭いスペースがつなぐ。
高知の酒とアテのショーケースでもあり、
ガイドブックにも特集されているぐらい観光的でもあるのだけれど、
ネクタイをゆるめる人、明るい笑い声の女性グループと、地元感も溢れる。
酒とは関係なく、修学旅行の中学生たちがカツオのタタキを頬張り、
高知名物であるビスケットのお土産を買う姿も微笑ましい。
テーマパークとフードコートと赤提灯がぐっと身近に感じられる。
混沌というかあけっぴろげというか、
屋内施設ではあるけれど、誰に対しても飾らないし、放っておいてくれるし、
でも、いつでもいらっしゃいという温かさがある。
観光客、地元、常連、どれも関係ない。
そうだ、商店街の良さってこれじゃないか。
長く続く道ではなく、ひとつ屋根の下にあるけれど、
ここも間違いなく、商店街なのだ。
今回も目的はもちろん焼酎ハイボールとともに楽しむアテ探し。
高知らしさは当然の条件。まずはカツオのタタキ。当然の選択だ。
もちろんひろめ市場の中でもいろいろな店がその味を競っている。
〈やいろ亭〉もそのひとつ。
生まれ育ちが昭和の関東で、親も、その親も関東の僕は、
タタキといえばしょうゆかポン酢、添えるのはショウガというイメージで育ったので、
本場の高知に来ていろいろ驚いた。
高知の王道は、塩。
添えるのはたっぷりのスライスしたニンニク。しかも厚切り。
カツオもボリュームたっぷりの厚切り。
自分が食べていたのはなんだったんだろうと、
驚きとともに答えの出ない疑問を浮かべる。
最近は高知でもいろいろなバリエーションもあるようだし、
全国で高知スタイルのカツオのタタキが食べられるようにもなった。
だからこそ、あらためて高知で王道を味わいたい。
やいろ亭は、生のカツオにこだわる。
「カツオを10キロ仕入れて気に入らないものを5キロ返品することもあります」
というのは女将の島崎恭子さん。

板長がこだわって仕入れた魚を、板長自ら火を入れる。素材の良さとこの技術が揃ってこそ高知のタタキ。

カツオのタタキとニンニクはワンセット。食べてみればこの意味がよくわかる。「塩タタキ」1300円。
「もとのカツオがよくなければ、塩では食べられませんから」
ひろめ市場がオープンした時から出店したが、もともとは地元の著名ホテルの和食の店。
「ホテルの店もひろめの店も、こだわりは何も変えません」
女将と板長はその覚悟でひろめ市場にやってきた。
「観光だけのところで働きたかったわよ。それなら料理はそれなりでいいし、
気楽じゃないですか」と笑う島崎さん。すぐにキリっとした表情で続ける。
「でも、ひろめ市場は違うんです」
どういうことか?
「もともと帯屋町、地元の活性化のために生まれた場所なんです。
だから地元の良いモノをもっと“ひろめ”よう。それが目的ですから」
はりまや橋のあたりからひろめ市場までを結ぶ帯屋町のアーケード。
高知の中心街ではあるが、どのまちにもあるように、
昔のような賑わいではなく、次第にどのまちにもある店が増えていく。
便利さはもちろん大切なことだけれど、
そのまちらしさ、その商店街らしさを失わずに両立し、
時代に合った楽しさ、喜びがある商店街であってほしい。
思いは利用者側だけではなく、商店街で生きていく人たちも同じなのだろう。
思いを「ひろめる」。
生のカツオにこだわり、仕事にもこだわる。
訪れる人に味を通して喜んでいただくことと同時に
自分たちがその「ひろめる」という目的を果たすためにも。
ボリュームたっぷりのカツオのタタキに思いが詰まる。
もちろんテイクアウト決定。後ほどゆっくり噛みしめよう。

やいろ亭の名物はタタキだけにあらず。「お客さんに喜んでいただきたい」という気持ちが生んだ豊富なアテもうれしい。

やいろ亭の女将、島崎恭子さん。ざっくばらんな雰囲気ときっちりした料理の両方を提供したいと言う。