突然ですが、「中丹(ちゅうたん)」と呼ばれるエリアをご存じですか?
京都府の北西部に位置する福知山市(ふくちやまし)、
舞鶴市(まいづるし)、綾部市(あやべし)の3市からなる地域で、
丹後と丹波の真ん中(丹後地方南部と丹波地方北部)にあるから中丹。
JR京都駅から特急で1時間〜1時間半ほどで行けるほか、
府内を南北に走る京都縦貫自動車道と、
福井県敦賀市・兵庫県三木市を結ぶ舞鶴若狭自動車道がクロスする地帯のため、
車でのアクセスにも優れている。

舞鶴港へと続く人工の水路、吉原入江では昔ながらの漁港の風景が残る。
海と山の豊かな自然に恵まれた中丹エリアはまさに食材の宝庫。
とくに、寒さが厳しくなるこの時期はジビエや真牡蠣(まがき)など、
冬の味覚がおいしさのピークを迎える。
京都の中心地からほんの少し足を延ばしただけなのに、
この地だからこそ出合える、
とびきりの山海の幸を巡るプチトリップへナビゲート!
2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』の
主人公・明智光秀の丹波平定以来、城下町として栄えた福知山。
福知山盆地を中心にぐるりと山に囲まれた地形で、
冬場は濃い朝霧に包まれることがしばしばある。

猟師歴21年の中島健太郎さん。有名レストランのシェフなどプロの料理人からも信頼が厚い。左は、昨年に狩猟免許を取得した息子の紳之介さん。
福知山市夜久野町(やくのちょう)で〈夜久野ジビエ〉の看板を掲げ、
自ら狩猟をして鹿を仕留め、食肉加工、販売までを手がけているのが、
猟師であり料理人の中島健太郎さん。

オレンジのベストと帽子はハンターの印。健太郎さんは、ジビエや農産物加工品の販売を行う有限会社〈田舎暮らし〉の代表も務める。
今から21年前の2001年、飲食店勤務などを経て
父の農業を手伝うべく就農研修を受けていた際、
畑の作物を食べ荒らす鹿や猪を駆除するために狩猟免許を取ったのが
猟師になるきっかけだった。

猟銃のほかに罠を仕掛けて猟を行う。猟の合間のメンテナンスも怠らない紳之介さん。
「当初は害獣を駆除することが目的でしたが、
環境を守り、食べるための狩猟へとシフトしました。
命を無駄にするのではなく、
きちんとさばいておいしくいただくべきとの思いで、
2013年に食肉処理場であり、加工場である
〈夜久野ジビエ〉をつくったんです」

仕留めた鹿はすぐに血抜きをして食肉処理場に運ばれてくる。内臓処理と解体を担当するのは、中島さんの妹のともこさん。40分ほどで1頭を解体していく。*解体前の汚染防止のため、直腸結紮により衛生管理を徹底。この後、解体処理は吊り下げて行われます。
中島さんが扱うジビエは、京都や東京のフレンチ、和食店などに卸すほか、
ECサイト、ふるさと納税を利用して購入することができる。
一度食べてリピートする人も多く、
「クセがなくて食べやすく、おいしい」「臭みがなくて驚いた」という声が多い。

血抜きがきちんと施された鹿肉は、この通りの美しさ。精肉や加工品の購入は、有限会社〈田舎暮らし〉のサイトから問い合わせできる。
少しでもよい状態のものをおいしく味わってもらうために、
中島さんが大切にしているのが処理スピード。
罠や猟銃で仕留めたら全身に血が回らないようにすぐに血抜きをして、
1時間以内に内臓を取り除くことで鮮度をキープしているのだという。
「何よりも、寒暖の差が激しく肥沃なこの土地自体の力が大きい。
丹波の栗や黒豆に代表されるように、畑で育てる作物だけではなく
野山の芝栗なども栄養価が高いはず。
それを餌にしている鹿がおいしくないわけがないですよね」

鹿肉のロースト、燻製、ハム、低温調理肉などが入った〈健太郎の京都ジビエ〉(6480円)。福知山市のふるさと納税やぐるなびの「接待の手土産」などで購入できる。
実際に狩猟に同行して見学する体験ツアーも随時実施している。
狩猟見学と市内のフレンチ〈ビストロq〉の鹿肉ディナーコースがセットに。
中島さんの取り組みや思いに興味がある人はぜひ!
information
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田舎暮らし
住所:京都府福知山市夜久野町直見915-2
TEL:0773-38-0553
アクセス:JR上夜久野駅から車で約5分
料金:ジビエハンターと行く/リアル狩猟体験&絶品! ジビエフレンチ堪能ツアー1人27000円(13歳以上)。※ツアー詳細は、福知山でさまざまな体験プログラムを扱う〈北色〉で確認を。
Web:田舎暮らし
Web:北色