秋田市におくるラブレターを募集! 〈拝啓、秋田市〉 ワークショップも開催

「秋田市のへの愛の言葉」募集中!

秋田市で、まちへの愛の詩とラブレターを募集する企画
〈拝啓、秋田市〉が始まっています。
「秋田におくる愛の詩」を専用用紙に記入し、
まちなかに設置した専用ポストに入れてもらう取り組み。
企画したのは美術家・イラストレーターの椎木彩子さんです。

椎木さんは、イラストレーターとして本の挿画などを手がけながら、
人の言葉を採取する作品づくりも行っています。

椎木彩子さんによる絵本の展示。展覧会『未来に伝えるせたがや今ばなし』(世田谷区/2020年)のワークショップをもとに制作されました。

椎木彩子さんによる絵本の展示。展覧会〈未来に伝えるせたがや今ばなし〉(世田谷区/2020年)のワークショップをもとに制作されました。

今回椎木さんは、〈秋田市文化創造館〉が企画した
〈SPACE LABO 2021〉に参加。
〈SPACE LABO〉は、クリエイティブな視点で
まちなかを活用するプランを公募する事業で、椎木さんのプランが採用されました。

椎木さんは2月21日(月)から秋田市での滞在制作をスタート。
民話の調査やまち歩き、〈拝啓、秋田市〉などを通して、
秋田の人とまちについて考えます。

熊谷〈原口商店★エイエイオー〉後編
まちをDIYせよ!
住民が妄想し実践するワークショップ

ハクワークス vol.5

埼玉県熊谷市にて、空き家を使った設計、事業の立ち上げや場の運営も行うなど、
“空き家建築士”として活動する、〈ハクワークス〉の白田和裕さんの連載です。

前回から続き、〈原口商店★エイエイオー〉を舞台に、
シェアカフェのオープン後に立ち上がったコロナ禍の飲食店救済企画と、
まちづくりワークショップについてお届けします。

コロナ禍で苦悩する飲食店を応援したい

今回は原口商店という場所をつくったからこそ、できることが広がったよ! 
というスピンオフ的な回になります。よろしくどうぞ。

シェアカフェのレセプションパーティー。この頃は数か月後に起こる事態を誰も予想していなかった。

シェアカフェのレセプションパーティー。この頃は数か月後に起こる事態を誰も予想していなかった。

2020年1月に〈シェアカフェ☆エイエイオー〉がオープンします。
オープニングパーティーを開催して大きくお披露目をしましたが、
その先にはコロナが待ち受けていました。
ウイルスの影響が出始め、入居が決まっていた3組のうち、2組が辞退。
本業の建築の仕事にも影響が出て、打ち合わせがストップし何も進まない状況に。
空いた時間のなかで、できることを探していました。

一方、草加の〈キッチンスタジオ アオイエ〉の共同経営者である
デザイナーのリッケンは、コロナ禍で困窮する草加市の飲食店を応援したいと、
テイクアウトの情報を集約したサイトを立ち上げていました。
本当に心から尊敬するデザイナーです。

「熊谷でもやりたい」と伝えると、情報とサイトのフォーマットを提供してくれました。
さっそく飲食店の知り合いの店のテイクアウト情報をアップし、
その後は「笑っていいとも」方式で知り合いの店舗を紹介してもらい、
掲載数を増やしていきました。

同時にメッセンジャーグループをつくり、
飲食店コミュニティや人脈の広いローカルヒーローたちを巻き込み、
コロナ禍でどんなことができるか情報交換をする場もつくりました。
オンラインにて、知らない方々ともつながり始めます。

そのなかで気づいたのは、多くの店舗が
一定の金額以上を購入した場合にのみデリバリーをしていたこと。
少額の商品のためにデリバリーをするとお店に負担がかかるのは当然であり、
危機的な状況の飲食店が個々で負っているリスクを
みんなで協力することで分散できればと思い立ちます。

その日の夜にデリバリーの仕組みをつくり、オンライングループにアップしました。
その名も「クーマーイーツ」。テイクアウトサイトのアップから2日後の話です。

物議を醸した!?「クーマーイーツ」のロゴ。

物議を醸した!?「クーマーイーツ」のロゴ。

【ファーメンステーション・酒井里奈
×スノーピーク・山井梨沙】
未利用資源で
サステナブルな社会を実現する

『FIELDWORKS』は、新潟県を拠点にキャンプを中心とした
ローカルなライフスタイルを提案する
〈スノーピーク〉代表取締役社長の山井梨沙さんが、
ローカルでありプラネット的なモノ・コト・ヒトに出会いながら、
コロナ後の暮らしのスタンダードを探し求める「フィールドワーク」の記録。

3回目となる今回は、岩手と東京の二拠点で
「発酵」をキーワードに未利用資源を再生・循環させる社会づくりを牽引する
〈株式会社ファーメンステーション〉代表取締役の酒井里奈さんにお話を聞いた。

社会を発酵させていく

山井梨沙(以下「山井」): 酒井さんと初めてお会いしたのは、
衣食住のなかで衣の地産地消を目指す「Local Wear」というプロジェクトの
立ち上げ準備で岩手にフィールドワークに出ていたときなので、もう5年前になります。
現在の場所に移転する前のラボにお邪魔しました。
当時は有機栽培のお米からつくったエタノールを原料にしたアウトドアスプレーや、
エタノールの製造過程で出た資源を利用した
石鹸などを中心に展開されていたと思うんですけど、
今ではお米以外の原料からもエタノールや
それを利用したプロダクトをつくられているんですね。

酒井里奈(以下「酒井」): そうなんです。
技術開発が進みお米以外から原料化できるようになって、
企業の食品・飲料工場などから出るフードウエイストも利用しています。
例えば〈JR東日本〉さんのシードル工場から出たリンゴの搾りかすだったり、
〈ANA〉グループが輸入しているバナナの規格外品を原料にしたエタノールで
フレグランス商品や除菌用のウエットティッシュをつくっています。
さらに、その抽出の過程で出た発酵粕を肥育牛用の飼料として利用したりするような、
循環型社会を目指す企業との事業共創事業も始めました。
もちろん創業からの中核事業である、
オーガニックライス・エタノールやオリジナルのスキンケア商品の開発も続けています。
これはラボのある岩手県奥州市の有機米を使って、
地域コミュニティと一緒にゴミを出さないサステナブルな循環でつくるもの。
OEM事業もやっと軌道に乗ってきて、
「FERMENTING a Renewable Society 発酵で楽しい社会を!」という
私たちファーメンステーションの企業理念を、
やっと事業で具体的に表現できるようになってきたかも。
スノーピークさんと比べたら、まだまだひよっこですけど(笑)!

ファーメンステーションが取り組む循環型社会。(画像提供:ファーメンステーション)

ファーメンステーションが取り組む循環型社会。(画像提供:ファーメンステーション)

ゴミから事業をつくる

山井: そもそも、どうして発酵に興味を持ったのですか?

酒井: ちょっと昔話になるんですけど、私は大学時代にやりたいことを見つけられなくて。
そこでいろいろな会社と出会うことができる銀行に就職したんです。
3年目に、国際交流基金を希望して出向しました。
阪神淡路大震災の直後でNPO法案なんかもできた年で、
NPO先進国のアメリカに学ぶ仕事を2年間させてもらいました。
そのとき、社会課題にビジネスとして取り組む人たちとたくさん出会って、
とても刺激を受けたんです。NPOの人たちと交流したり、
社会課題にチャレンジしつつおいしいアイスクリームを提供する
〈Ben&Jerry’s〉が大ヒットしているのを見て、
「こういうビジネスがしたい!」って思うようになっていきました。
それで銀行に戻ってすぐ、社会貢献投資をすべきだって提案書を書いたんですけど
採用されませんでした。次にヨーロッパの自然エネルギー系の提案をしたら、
日本にはそういう案件はないと断られて。
だったらそういう仕事ができる会社で働こうと、銀行を辞めました。
それにしてもまずはしっかりとビジネスの仕組みを叩き込まなきゃということで、
ベンチャーや外資の金融で10年間ガシガシ働きました。
そろそろ本格的に社会課題を解決するようなビジネスをしたいと思い始めていたとき、
たまたま東京農大の生ゴミをバイオ燃料に変える技術をテレビで見て
「これは一攫千金のチャンスだ!」ってなって(笑)。
だから発酵ありきではなく、ゴミから事業をつくることにすごく興味を持ったんです。
自分にとって事業性と社会性を両立させる手段が発酵でした。
まず自分で理解して、さらに一緒に実現できる仲間を見つけようと思い、
東京農業大学応用生物科学部醸造科学科というところに入学しました。

山井: その学部って、
日本中の酒蔵とか醤油屋さんなんかの跡取りが入学するところですよね?

酒井: そうそう、まだお酒も飲めない18歳くらいの跡取りたちが、
お酒のつくり方とか学ぶところです(笑)!

岩手県奥州市の休耕田跡で栽培しているオーガニックライス・エタノールの原料となる有機米。(写真提供:ファーメンステーション)

岩手県奥州市の休耕田跡で栽培しているオーガニックライス・エタノールの原料となる有機米。(写真提供:ファーメンステーション)

文化があるから、発酵はおもしろい

山井: 今日、あらためてラボを見学して、発酵ってとても人間的だなと感じました。
この連載の初回で、文化人類学者の石倉敏明先生から
「人間を人間たらしめたのは火だ」というようなお話をうかがったんですけど、
有機物の原材料と微生物が出会い、
さらに蒸留などを経て意図的にエタノールを精製するプロセスって、
自然の摂理に知恵を加えること。それは人間にしかできないことですよね。
お酒だったり保存食だったり、日本は発酵文化が高度に発達した国だと思うんですけど、
さらにそれをエネルギーに変えるというのは、とても日本的な試みだと思います。

酒井: エネルギーとして実用化できたら本当にすてきなんですけど、
まだまだコストの問題で難しいんですよね。
東京農大在学時に、奥州市の休耕田にお米を植えて
エタノールというエネルギーに変えるというプロジェクトの実証試験に参加して、
その経験からコストが高くても通用する商品として、
スキンケア用品をつくることにつながっていきました。
発酵は、微生物の働きで有機物を別の物質に変化させること。
そこに人が介在して人間に有益なものをつくってもらう行為が文化なんだと思います。
サイエンスだけれど、文化が入るところがとてもおもしろい。
ファーメンステーションという社名は、
「ファーメンテーション=発酵」と「ステーション=駅」を合わせた造語なんですけど、
発酵を介していろいろな資源を人や地域、社会に役立つもの変えて、
新しい価値観を生み出していけるような駅(=場)をつくっていきたいと思っています。

エタノールの精製過程。(写真提供:ファーメンステーション)

エタノールの精製過程。(写真提供:ファーメンステーション)

菌から学ぶ「発酵経営論」

山井: 自分でも何度か発酵食をつくろうとして失敗したことがあるんですけど、
うまく発酵させるにはほかの菌が入らないように気をつけたり、
温度や湿度などの環境を整えて、
しかるべき菌が活躍する場を整えてあげないといけないじゃないですか。
そういうプロセスって、なんだか会社の経営に似ているような気もします。

酒井: この間、『フォーブズ ジャパン』Web編集部の編集長にも
「あなたのやっていることは人材育成につながる」って言われて、
最初はポカーンって感じだったんですけど、よく聞いたらなるほどと思いました。
菌って本当に個性が豊かなんですよ。同じ麹でも甘酒用、味噌用があるし、
酵母も果物から取ったものは果物ベースで活躍するとか。
ぶどうから採取した酵母はワインには向くけれど、米系のお酒には向かない、
でもかけ合わせるとおもしろい変化が起こったり。
それから生まれ育ったところで活躍しやすく、それぞれベストな温度と湿度の環境がある。
菌は群雄割拠なので、ステージによって活躍する種類が変わるんですよね。
まずは雑菌に負けないような環境をガーっとつくる菌がいて、
でもそれがふわーっと元気がなくなり、
一番がんばらなければならない酵母がやっと登場してきて。
菌たちがリレーをして最後にベストなものを出していくのは、まさにチームビルディング。
梨沙さんがおっしゃるように、確かに経営にも通じるところがあるかもしれませんね。

トレーサビリティのあるオーガニックライス・エタノールは、世界的にも珍しい。(写真提供:ファーメンステーション)

トレーサビリティのあるオーガニックライス・エタノールは、世界的にも珍しい。(写真提供:ファーメンステーション)

サーキュラーエコノミーへの架け橋

山井: ファーメンステーションさんのオーガニックライス・エタノールって、
「USDA」とか「エコサートCOSMOS」などのオーガニック認証も取得しているんですね。
海外メゾンブランドのコスメの原材料としても採用される可能性ありそう。

酒井: ぜひとも使ってもらいたくて、
グローバルブランドにコンタクトを取ったりしています。
どなたかお知り合いがいたらぜひ紹介してほしい(笑)。

山井: スノーピークでもバイオエタノールを使った燃料の商品があるんですけど、
どちらかというと無機質なんです。
酒井さんがつくっているのはなんだか少しお米の香りや
独特なしっとり感があったりするような感じがする。

酒井: お米からエタノールをつくるとき、
発酵の条件とか、蒸留をするときの装置に工夫などがあって
いい香りが残るようにしているんです

山井: 循環って本当に興味深い世界ですね。
化学的なものになりがちなエタノールでも、環境やお肌にいいものをつくっているし、
背景に文化を感じられる。
いわゆるサーキュラーエコノミーを定着させていく
架け橋になるような事業をされていますよね。
スキンケア用品の原料という点でいうと、
オーガニックエタノールとそうではないものって、何か決定的な違いがあるんですか?

酒井: アルコールをつくる意味においては、変わらないと思います。
オーガニック野菜だから栄養価が高くおいしいということではないのと一緒で、
オーガニック化粧品だから肌にいいというものでもないと思います。
それより生物多様性とか環境負荷のような観点を重要視したい。
実際に契約農家さんたちも無農薬をやってみたら、
以前はいなかったタニシが出てきたとか、カエルが増えたとか。
そういうダイレクトな反応をもらってうれしかったですね。
例えばCOSMOS認証制度は、
環境に配慮した製造を毎年改善し続けなければ取得できない。
現状に満足せずに日々向き合い、続けていくことになるので、
そういった意味でも取得してよかったと思います。
こういう認証は、欧米でビジネスを展開するうえではもう必須になっていますよね。
一方、日本はまだまだな状況。異常気象やコロナ禍を経験して
少しは意識が変わりつつありますが、本当は一気に変えていきたいんです!

私たちは「地球人コミュニティ」

山井: アメリカのアウトドア用品の小売り業者さんとかも、
ここ2年くらいで急激に変わってきました。
製造や物流工程などが、サステナブルなものになっているかの
チェックがどんどん厳しくなってきている感じがしますね。
ユーザーさんにしても、コロナ禍で否応なく家にいる時間が増えたり、
キャンプ需要が増えて自然とふれ合う時間が多くなるなかで、
環境や循環などに興味を持つ人が増えてきているなという実感はあります。
ただ企業は、SDGsとか脱炭素何パーセント達成とか脱プラとか、
項目や数値をクリアするだけの社会人的スタンスになりがちだと思うんですよね。
それを「地球人」という意識を持って取り組んでいくことが、
本質的な実現につながっていくんじゃないかと思います。
私たちはみんな自然とともに暮らしているんだということを、
実感してもらえるようにしていきたい。

酒井: 地球人っていいですね! 一緒に増やしていきたいです。

山井: 生ものだから難しいかもしれないけれど、
スキンケア用品もダイレクトに消費者のフードロスを回収して原材料にできたら、
もっと実感がわきやすくなるかもしれないですよね。

酒井: そもそも天然処方を貫いてきて、
機能性もほかの商品と比べてまったく遜色ないものがつくれるので、
本当は「ゴミからできたスキンケア商品です」とだけ声高に言いたいんです。
でも、より多くの人に発酵を通じてサーキュラーエコノミーに参加してもらうためには、
スキンケア用品としてのわかりやすさも必要。その効果的な伝え方を模索中なんです。
その点で、スノーピークさんの活動はとても参考にさせていただいています。
会長さんや梨沙さんの本を読んだり、HPやSNSとかも見まくったり、
イベントにも参加したいなとずっと思っています。
やっぱりスノーピークさんのように、
しっかりとしたコミュニティができるようにしていきたいですね。
もちろん、簡単にできることではないのは重々承知しているんですけど。

山井: うちは広告宣伝費はゼロ。
その代わりにユーザーさんと直接つながるイベントを定期的に開催して
コミュニティを大切にしています。
会社としてもフィードバックをダイレクトにもらえてそれを生かせるし、
価値観を共有しながらユーザーさんと一緒に成長していくことができる。
それがブランド力につながってきたんだと思うんです。
コロナ禍でキャンプに興味を持って、
スノーピークに触れてくれた新しいユーザーさんたちも多いので、
しっかりとコミュニケーションをとっていきたいですね。

「ぷくぷく」と「フィールドワーク」の共通点

酒井: もっと移動やイベントごとが自由にできるようになってきたら、
すぐにでもそんなコミュニティづくりに取り組んでいきたいと思っています。
以前も何度かここ奥州市で体験型のツアーを開いたことがあるんですけど、
スノーピークさんがこの間やられていたLIFE EXPOのようなものにも、
いつか挑戦してみたいです。

山井: 酒井さんたちはもちろん、
原材料をつくる農家さんや飼料を食べる動物たちにも触れる人がもっと増えていったら、
一気にステージが変わっていきそうですよね。
何かご一緒していけることが多そうなので、楽しみにしています。
ところで、同じことをするにしても、
東京でずっと働いているのとこういう自然に近い環境で仕事をするのとでは、
やっぱり全然違いますよね。
酒井さんはもう10年以上東京と岩手の二拠点での活動を続けてこられて、いかがですか?

酒井: スタートアップってめちゃめちゃ激務なんですけど、
月2回くらい強制的にいい景色を見て、おいしい空気を吸って、
しかもラボで発酵中のぷくぷくを観察したりしていると
「みんな生きてるね!」って元気が出てきます。

山井: 私の場合、新潟と東京の二拠点プラスαで、
東京はインプット、新潟はアウトプット、そのほかがフィールドワークという感じ。
酒井さんの「ぷくぷく」が私にとってのフィールドワークで、
そういうバランスにかなり助けられていると思います。

酒井: そうそう、自分にフィットするバランスを見つけることって重要ですよね。
今、東京と岩手にそれぞれスタッフがいるんですけど、
これからもっと行き来が自由になったら、場所にこだわらずに働ける人は
もっと活発に行き来できるようにしていきたいと思っています。

ファーメンステーションで展開中の自社コスメ商品。いずれも、オーガニックライス・エタノールを精製する過程で出る資源を活用して製造されている。(写真提供:ファーメンステーション)

ファーメンステーションで展開中の自社コスメ商品。オーガニックライス・エタノールと、オーガニックライス・エタノールを精製する過程で出る資源を活用して製造されている。(写真提供:ファーメンステーション)

profile

LINA SAKAI 
酒井里奈

ファーメンステーション代表取締役。東京都出身。国際基督教大学(ICU)卒業。富士銀行(現みずほ銀行)、ドイツ証券などに勤務。発酵技術に興味を持ち、東京農業大学応用生物科学部醸造科学科に入学、09年3月卒業。同年、株式会社ファーメンステーション設立。好きな微生物は、麹菌。好きな発酵飲料は、ビール。

Web:ファーメンステーション

Web:ファーメンステーション オンラインショップ

profile

LISA YAMAI 
山井梨沙

1987年、新潟県三条市生まれ。大自然に広がるキャンプフィールドに本社を構え、独創的なプロダクトを生み続けている〈スノーピーク〉の創業家に生まれ、幼い頃からキャンプや釣りなどのアウトドアに触れて育つ。2014年にスノーピークに入社し、2020年3月より代表取締役社長を務める。これまでスノーピークが培ってきた“ないものはつくるDNA”を受け継ぎ、プロダクトのみならず、プロダクトを通した新たな体験価値を提供している。現在は、人生を構成する5つのテーマ「衣食住働遊」に沿って、現代社会が抱える課題に対して、さまざまな事業に取り組んでいる。

“ゲリラ炊飯バス”で 日本各地を行脚したい! 滋賀の米農家チームの新たな挑戦。 クラウドファンディング開催中

できたておにぎりに長蛇の列!

突如お店やイベント会場などに出没し、薪をくべ、
昔ながらの羽釜でお米を炊く。
そして、その場に居合わせたお客さんにできたてのおにぎりを振る舞う。
その名も「ゲリラ炊飯」。

無料で振る舞われるおいしいおにぎりを求めて、
あっという間に長蛇の列になる楽しい企画です。

イベント時のゲリラ炊飯の様子。

イベント時のゲリラ炊飯の様子。

その仕かけ人は、滋賀県の米農家チーム〈ONESLASH(ワンスラッシュ)〉。
ゲリラ炊飯などの企画をはじめ、こども食堂や学童保育、
宅食支援などにお米を届けるなどのさまざまな活動を通して、
地域の課題解決や社会課題に取り組んでいます。

この度ワンスラッシュは、ゲリラ炊飯で日本各地を行脚し、
お米の美味しさを伝えたいという思いから、現在クラウドファンディングに挑戦中。

今回のクラウドファンディングは、2022年の1月3日に公開し、
たった15日で目標金額の300万円を達成。現在支援者数も230人を超えています。

来る春には「ゲリラ炊飯」行脚をスタートするために、
次の目標を500万円に定めて、さらなる支援を呼びかけています。

ゲリラ炊飯の屋台。

ゲリラ炊飯の屋台。

滋賀県西浅井町の米農家チーム 〈ワンスラッシュ〉とは?

西浅井町の美しい景色。

西浅井町の美しい景色。

滋賀県北部にある、人口4000人の小さなまちの米農家チーム・ワンスラッシュ。
“RICE IS COMEDY(米づくりは喜劇だ)”というコンセプトを掲げて、
こだわりを持ってお米づくりをしています。
地元の20〜30代の若手が集まっているチームです。

ワンスラッシュのメンバー。

ワンスラッシュのメンバー。

チーム発足のきっかけは、自分たちが子どもの頃に参加していた村祭り。
すっかり簡素化され屋台も出ていない近年の様子を目にし、
「地元に元気がなくなってきている」と危機感を感じたそう。

そこで、最初は自分たちで屋台を出したり、
マジシャンを呼んで境内で披露してもらったりたところ
「こんなに境内に人が集まったのは何年振りだろう」と嬉しい反応をもらったのが、
すべての活動の原点だといいます。

それから、まちでマルシェのイベントを行ったり、
雪の積もる真冬にジビエ料理のイベントを行うなど、多様なイベントを次々に企画していき、
人口4000人のまちに年間3000人もの人を集められるようになるまでに。

こうした活動を通して、
地域のネガティブをポジティブに変えていきたいという思いが強まっていったのだとか。
地域の武器になる、魅力あるものは何か? と考えたとき、
目にとまったのが“農業”でした。

しかし実際には地元の農業には課題が山積み。
そこに自分たちの活動で、一石を投じられないか? と、自らお米づくりを始めたそうです。

お米をつくりながら、田植えや稲刈り期には体験イベントを開催したり、
収穫までの様子を発信したりと、積極的に活動中。

自分たちがつくったお米を、たくさんの人に食べてもらいたい、
そのおいしさを知ってもらいたいとスタートしたのが「ゲリラ炊飯」の活動でした。

Creepy Nuts・DJ松永さんが 「新潟のつかいかた キャンペーン」 アンバサダーに就任! ハッピーターン1年分が当たる プレゼントキャンペーンも実施中

「新潟が心の底から大好きです」
Creepy Nuts・DJ松永さんの新潟愛

若い世代を中心に人気の Creepy Nutsのメンバー・DJ松永さんが、
「新潟のつかいかた キャンペーン」アンバサダーに就任!
「colocal」が企画運営する新潟の魅力発信ポータルサイト「新潟のつかいかた」を通して
新潟への関心を高めるとともに、新潟を実感してもらえるよう、
「新潟のつかいかた」ツイッターで、
新潟の食、モノ、旅行をプレゼントするキャンペーンを展開しています。

新潟県長岡市出身のDJ松永さん。今回のアンバサダー就任について、
「新潟が心の底から大好きです。住みながら感じたことはもちろん、
一度離れたからこそ気づけたことがたくさんあります。
新潟の魅力は本当にさまざまです。
皆さんにそれを少しでもお伝え出来るよう、誠心誠意努めて参ります。
しばしの間ですが、皆様どうぞよろしくお願いいたします」
とコメントを寄せました。

今後、「新潟のつかいかた」ではDJ松永さんのインタビューを掲載します。
また、都内でイベントも開催予定です。
こちらの詳細はまた追ってお知らせします。

〈Nazuna 飫肥 城下町温泉 小鹿倉邸〉
日南市の築140年の屋敷を、
城下町を旅する古民家宿へ

PAAK DESIGN vol.6

宮崎県日南市で建築デザイン、宿泊や物販など、幅広い手法で地域に関わる、
〈PAAK DESIGN株式会社〉鬼束準三さんの連載です。

今回は、日南市の観光地、飫肥(おび)城下町にある
〈Nazuna 飫肥 城下町温泉 小鹿倉邸(こがくらてい)〉の
リノベーションがテーマです。まちを周遊するための施策とともに、
古民家宿がどのようにできあがったのか、振り返っていきます。

プロジェクトの始まり

2017年4月頃。
まだ、〈PAAK DESIGN〉の会社設立の準備をしている頃の話です。
日南市の「まちなみ再生コーディネーター」(当時)を務める
徳永煌季(こうき)さんから、
「旧小鹿倉邸」という大きな武家屋敷を活用するために、
一度建物を見てほしいと相談を受けました。

ちなみに、まちなみ再生コーディネーターとは、
日南市が飫肥城下町の歴史的風景を保存しながら、魅力を向上させ活力を高めるために、
タウンマネージャー(コーディネーター)となる人材を全国公募して、
コーディネーターが移住し、まちの中に住みながらまちづくりを推進する事業です。

空き家の状態だった小鹿倉邸の玄関付近。

空き家の状態だった小鹿倉邸の玄関付近。

2015年に市に寄贈されたときの様子。家財道具がそのまま残り、当時の生活感がうかがえる。雨漏りもなく、保存状態も極めて良好だった。

2015年に市に寄贈されたときの様子。家財道具がそのまま残り、当時の生活感がうかがえる。雨漏りもなく、保存状態も極めて良好だった。

飫肥城下町について

2015年にまちなみ再生コーディネーター事業が始まって以降、
飫肥城下町では新しい取り組みが続いています。
2017年4月に徳永さんらが中心となり、
一棟貸しの古民家宿〈季楽 飫肥 勝目邸(かつめてい)〉
〈季楽 飫肥 合屋邸(おうやてい)〉の2棟をオープンさせました。

続いて、2018年4月には、以前ご紹介したお食事処の〈武家屋敷伊東邸〉が開店し、
2020年3月に今回の物件である〈Nazuna 飫肥 城下町温泉 小鹿倉邸〉が
オープンすることになり、段階的に新しいまちづくりが行われています。

本場の味により近づいた! ユザーンも体験、 福島・郡山の鯉と ベンガル料理の相性

郡山は養殖鯉の生産量日本一!

水も凍る寒さ厳しい1月22日、23日。
鯉の新たな魅力に出会うイベント〈ベンガル料理にコイして。〉が
福島県郡山市で開催されました。

郡山市において、令和2年度の養殖鯉生産量は812トン。
市町村別の生産量では日本一なのです。
海から遠い郡山では、鯉は貴重なタンパク源として
甘露煮やあらいにして慶事や弔事で食べられてきました。
しかし、現在は流通の発達と食生活の変化に伴い消費が落ち込んでいます。

今回のイベントは、シタール奏者でベンガル料理に造詣の深い石濱匡雄さんと、
タブラ奏者ユザーンさんをゲストに招き、
安全で良質な鯉の普及を目指して開催されたものです。

10代の頃からインドと日本を行ったり来たりする石濱さんは料理の腕前も達人級。
その味に惚れ込んだユザーンさんが監修した『ベンガル料理はおいしい』
というレシピ本が2019年に出版されています。

イベント1日目は、『ベンガル料理はおいしい』の著者である石濱さんを講師に
「極上のベンガル鯉カレー教室」と題した料理教室を
郡山市内にある日本調理技術専門学校で開催しました。

石濱さん私物の鍋を使い、15名の参加者とともにベンガル料理をつくった。

石濱さん私物の鍋を使い、15名の参加者とともにベンガル料理をつくリました。

石濱さんが住んでいたインド・西ベンガル州からバングラデシュにかけて広がる
ベンガル地方では、「たとえ毎日鯉を食卓に出したとしても、
誰も文句を言わないぐらい日常的に食べる食材」だそう。

教室では「鯉のジョル」(さらっとしたスパイシーな汁物)、
「鯉のカリア」(カシューナッツペーストを加えた濃厚なカレー)、
「鯉の頭と豆のスープ」の3品を参加者とともにつくりました。

ターメリックと塩を揉み込んだ鯉の頭。この後オイルで揚げ焼きに。

ターメリックと塩を揉み込んだ鯉の頭。この後オイルで揚げ焼きに。

ベンガルの魚料理は油でフライしてから使うのが特徴のひとつ。
「スパイスを揉み込んだ鯉を油で揚げると独特のいい香りが出てきます」と石濱さん。
油で揚げるのは、余分な魚の臭いを取るのと、身を崩れにくくする目的があるのだそう。
クセのない鯉の味がうまく引き出された料理はどれも、
スパイシーでありながら素材の味をしっかり味わえるのが特徴で、
むしろ口の中で味が変化する重層的な味わいです。

郡山ではなかなか食べる機会のないベンガル料理を
初めてつくるという参加者も少なくないようでしたが、
スパイスの香りと、参加者の和気あいあいとした熱気が
郡山の冷たい夜に溶けていくようでした。

ハレの日もケの日も
願い事をこめて
「わたしのまちの開運祈願」

今月のテーマ 「わたしのまちの開運祈願」

初詣や特別な日、普段の日に訪れて
神仏へ願掛けを行う人も多いはず。
全国にはさまざまなお寺や神社があり、
多種多様な参拝、祈願方法が行われています。

今回は全国にお住まいのみなさんに
近所にあるお寺・神社の祈願方法について教えてもらいました。

そのまちに住む人や参拝者を見守っているわたしたちの身近なスポット。
その数は、全国のコンビニよりも多く、
お寺は約7万、神社は約8万社もあるのだそうです。
地域のお寺や神社へ今年の開運を願いに訪れてみてはいかがでしょうか。

【岩手県奥州市】
海外からも見物人が訪れる日本3大裸祭が行われる〈妙見山黒石寺〉

〈妙見山黒石寺〉は岩手県奥州市の山間に位置し、
静寂で厳かな雰囲気に包まれた天台宗の寺院です。
ご本尊である薬師如来坐像は日本最古の在銘木彫仏として
国の重要文化財に指定され、厄除けパワースポットとも言われています。

初夏の黒石寺本堂。

初夏の黒石寺本堂。

このお寺では毎年旧正月7日夜から翌日早朝にかけて、
五穀豊穣と厄払いを祈願する「黒石寺蘇民祭」というお祭りが開催されています。

当日の行事内容。

当日の行事内容。

この「黒石寺蘇民祭」は1000年以上の歴史を誇っているお祭りで
東北中心に全国各地にある「蘇民祭」のなかでも
日本3大裸祭りのひとつに数えられる有名なもの。

「裸の男と炎の祭り」という異名の通り、雪が降りしきる極寒のなか、
ふんどし姿の男性陣が氷点下の川の水を浴びて体を清め、
交互に組まれた木の上で立ち込める火と煙のなかでお祓いをしてから行われます。
勝ち取った人に福をもたらす「蘇民袋争奪戦」など、
なんともワイルドでエネルギッシュな行事が
夜通し繰り広げられるんです。

見ているだけでも凍えてしまいそう……!

見ているだけでも凍えてしまいそう……!

参加者はそれぞれの願いを書いた角灯を手に。「ジャッソー!ジャッソー!」「ジョヤサ!ジョヤサ!」という呪文のような掛け声が飛び交います。

参加者はそれぞれの願いを書いた角灯を手に。「ジャッソー!ジャッソー!」「ジョヤサ!ジョヤサ!」という呪文のような掛け声が飛び交います。

黒石寺蘇民祭

その奇祭っぷりに地元の人に混じって都心や海外から
わざわざ参加しにくるお祭りマニアも少なくないそうです。

この夜限定の〈蘇民食堂〉という藁づくりの休憩所を兼ねた食堂の雰囲気もたまりません。

この夜限定の〈蘇民食堂〉という藁づくりの休憩所を兼ねた食堂の雰囲気もたまりません。

蘇民食堂の中

蘇民食堂の中。おでんや地元のどぶろく「とらまづ」など体を温めてくれるメニューが楽しめます。

蘇民食堂の中。おでんや地元のどぶろく「とらまづ」など体を温めてくれるメニューが楽しめます。

昨年に引き続き今年も感染防止のため、中止が決定。
来年こそは世界中の災厄消除が叶って
無事開催できることを心より願っています。

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天台宗 妙見山黒石寺

住所:岩手県奥州市水沢黒石町字山内17

Web:妙見山黒石

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小川ちひろ おがわ・ちひろ

遊軍スタイルフリーコーディネーター。東京出身。オーストラリアや台湾での海外生活も経験する放浪人間。異なる文化や感覚を持つ「人」に興味を抱く。 転職を機に〈地域おこし協力隊〉の制度を活用して岩手へ移住。現在は遊軍スタイルのフリーコーディネーターとして、旅するように東北の暮らしを堪能中。フットワークの軽さとコミュニティの広さをいかして、人をつなげてケミカルな反応が起こる「場」や「間」を創り出すことを楽しんでいる。

〈東京都離島区大島プロジェクト〉
波浮を舞台に巻き起こる
さまざまなイノベーション

東京都離島区大島プロジェクト vol.02

大島、ひいては東京諸島全体を盛り上げるために東京都のバックアップのもと、
“あなたらしい大島の物語”をつくっていくことを目指し、
さまざまな活動を行っていく「東京都離島区大島プロジェクト」。
この企画では3回に分けて、プロジェクトの6人のキーパーソンを紹介していく。
2回目となる今回登場してもらうのは
〈島京梵天(とうきょうぼんてん)〉の河村智之さんと〈青とサイダー〉の吉本浩二さん。
ふたりが拠点にしているのは、昭和感漂う波浮(はぶ)というエリア。
元町に比べると、観光客が訪れることも少なく、空き家も目立ち始めていたこのエリアが、
数年前から一大イノベーションを起こし、各方面で注目され始めている。

東京の島を生んだ「恵比寿様」が梵天たい焼き誕生のきっかけ

島京梵天の河村智之さんはエネルギー&フレンドリーの塊のような人だ。
この取材でも着くなり「たい焼き食べるでしょ! いっぱい種類あるよ、なにがいい?」と
明るく声をかけてくれた。
彼が都心から大島へやってきたのはいまから16年前。
しかも、移住したのは賑わっている元町ではなく、波浮。

波浮港を高台の展望台から望む。港の上に見えるのが波浮の集落。

波浮港を高台の展望台から望む。港の上に見えるのが波浮の集落。

かつて波浮港は遠洋漁業の中継港として、数多くの船が立ち寄る場所だった。
最盛期には旅館や飲み屋さんが軒を連ね、
映画館と公衆浴場がそれぞれ2軒ずつあったという。
現在では、当時の面影を残す閑静な場所として人気が高まりつつある。
そんななか、ここ数年で新規に事業を起こす人が増え始め、
いま再び波浮に活気が戻ってきている。
河村さんは間違いなくその起爆剤となった人物だ。

最初に大島を訪れたのは2003年。ふらっと行ってみたら「ドハマリした」という。
それから週末になるごとに島に何度も通った。

「ここにもうひとつの東京があると思ったんです。なんというかワープ感がありますよね。
都会感のある竹芝から、一気に離島の風景へ。そのギャップがとても新鮮でした」

2006年に移住してすぐに波浮で、カフェと古民家を改装したゲストハウスを始めた。

「最初に始めたカフェは玄米菜食のランチとかをやっていました。
でも当時は玄米菜食なんて知っている人も少なかったし、ぜんぜんダメ。
まだまだ波浮にくる観光客も少なかったのでゲストハウスもなかなか厳しい。
そんなときに、たまたまイベントに屋台を出店する機会があって、
それがすごく楽しかったんですよね」

屋台のような形態でなにか売れないかなと考えたときに、思いついたのがたい焼きだった。

「実はこれにもちょっとしたエピソードがあって。
この古民家をリノベーションしているときに、
裏手から恵比寿さんの像がくっついた溶岩が出てきた。
それでいろいろ調べてみたら、東京の島々を生んだ神様だということがわかって。
じゃあ、恵比寿さんが背負っている鯛を焼こうじゃないかと」

築130年の古民家をリノベーションした一棟貸しの宿。もともとは波浮港の網元が暮らした場所。

築130年の古民家をリノベーションした一棟貸しの宿。もともとは波浮港の網元が暮らした場所。

最初はオークションサイトで買った焼き板を使って試行錯誤。
そもそもたい焼きなんて焼いたことすらなかった。
そうやって見切り発車でスタートしたこのたい焼きが当たった。

「島には気軽にテイクアウトできるようなものがあまりなかったのも、
大きかったと思います」

物珍しさも手伝って、2010年のオープンから間もなく、
メディアの取材が次々に舞い込んできた。
その影響もあり、島京梵天を目指してわざわざ波浮を訪れる観光客も増えた。
テレビ出演をきっかけに島の人からも広く認知されるようになり、
放送翌日には合計300匹焼き続けたという。

「1日でそれだけ焼いたのはいまだに最多記録かもしれません。
かれこれ11年で30万匹は焼いていますね」

島京梵天の名物であるたい焼きは、羽根つきが特徴。5〜10月はかき氷も提供。

島京梵天の名物であるたい焼きは、羽根つきが特徴。5〜10月はかき氷も提供。

たい焼きのバリエーションも豊富だ。王道のつぶあんはもちろん、
食事にもなる「ハムチーズマヨ」、さらに冷したい焼きもあって、
大島名産の明日葉を使ったものが人気。

「周囲にお店も少なかったので、甘い物だけじゃなく、
いろんなバリエーションをここでカバーできればいいなという気持ちもありました」

こぢんまりとした波浮の集落。遠くに見える竜王埼灯台は、日の出、日の入りを同じ場所から見ることができる場所。

こぢんまりとした波浮の集落。遠くに見える竜王埼灯台は、日の出、日の入りを同じ場所から見ることができる場所。

〈ならやま凮土譚〉 西会津・楢山集落で 2泊3日のアートツーリズム! 異郷の地で唯一無二の体験を

季節ごとに開かれる、桃源郷の旅へ

2022年1月21日〜23日に、
福島県西会津の奥地にてアートツーリズム
〈ならやま凮土譚(ふうどたん)〉が開催されます。

「譚(たん)」とは、物語を語ること。

物語の舞台となるのは、
西会津町奥川郷で360年以上続く、
地元でも秘境といわれている楢山集落です。

雪深く、眼下に雲海を望むこともあるという楢山集落。

雪深く、眼下に雲海を望むこともあるという楢山集落。

楢山集落は1660年の開拓以降、稲作を中心に炭焼きや養蚕、
林業など百姓の暮らしが棲み継がれてきたといいます。

そして2019年より立ち上げられたのが、
〈楢山プラネタリーヴィレッジプロジェクト〉。

〈NIPPONIA 楢山集落〉という
“集落に暮らすように泊まれる”古民家ホテルを運営しながら、
持続可能な集落づくりが進められています。

NIPPONIA楢山集落。

NIPPONIA楢山集落。

今回のならやま凮土譚とは、参加者自身が
民話や伝承に登場するような異郷へ迷い込む「旅人」になり、
ともに物語を共創するという、
2泊3日の新たな宿泊体感型アートツーリズム。

土着の文化(年中行事や民俗文化)が、
さまざまな媒体を使ったアートパフォーマンスとして表現され、
見る者に新たな価値を気づかせてくれることでしょう。

好きなことを軸に、
暮らす・働くを変えていく。
自転車の聖地・伊豆大島を舞台にした
スポーツ×ワーケーション

スポーツに特化したワーケーションサービス「WithWork」とは

11月のある日、伊豆大島は澄み切った空が広がる快晴だったが、
かなり強い風が吹いていた。
その風を受けながら、右手に海、左手には約2万年もの大地の記憶が刻まれた
〈地層大切断面〉が続く景色を、複数の自転車が駆け抜けていく。

〈地層大切断面〉の前を通過する参加者。

〈地層大切断面〉の前を通過する参加者。

スポーツ庁が行う「スポーツによるグローバルコンテンツ創出事業」として
新たに立ち上げられた「WithWork」。
そのサービス内容のひとつであるサイクリングの参加者たちは、
すでに20日間近くこの島に滞在していて、みんなで走るのは今日が2回目。
同じ趣味を持つ人同士、仲良くなるのは早いようで、
休憩ポイントでも和気あいあいとした雰囲気が漂っていた。

この日は休日とあって、同サイクリングには多くの人が参加。

この日は休日とあって、同サイクリングには多くの人が参加。

サイクリングイベントの途中で、島の南にある、ノスタルジックな風情の波浮(はぶ)港のまちを訪れた参加者たち。

サイクリングイベントの途中で、島の南にある、ノスタルジックな風情の波浮(はぶ)港のまちを訪れた参加者たち。

新しい暮らし方、新しい働き方が社会に定着しつつあるなか、
頻繁に聞くようになった言葉が、ワーケーション。
“Work”と“Vacation”の造語で、観光地やリゾート地など
非日常的な環境でリモートワークを行いながら、余暇も満喫する過ごし方だ。

ワーケーションにおける余暇の部分の楽しみ方は、もちろん人それぞれだが、
WithWorkは多様化する趣味のなかでも、不動の人気を持つスポーツに特化。
好きなスポーツを存分に楽しめる地域に長期的な滞在をしながら、仕事を行い、
地域ともつながることができる会員制のサービスだ。

WithWorkの特筆すべきメリットは、
ワーケーションを実践するユーザーと受け入れ側となる地域の双方にとって、
プラスの効果が期待できる点だ。
たとえば受け入れ側は、主に観光地やリゾート地が想定されるが、
オフシーズンや平日はどうしても来訪者が少なくなってしまう。

一方、ユーザーのメインは都市部のテレワーカーが想定されるが、
観光のオフシーズンを有効に活用する。
つまり、従来型のワーケーションがレジャー、
観光の途中に働くものであるケースが多いのに比べて、
WithWorkは観光の一環ではなく、より日常的な利用を促進することができる。
そしてユーザーとしては趣味のスポーツを
贅沢な環境で毎日楽しめることが最大のメリットだ。

そのモニターツアーの舞台として選ばれたのが、伊豆大島。
伊豆諸島のなかで最も北に位置し、竹芝客船ターミナルから高速ジェット船だと、
約1時間45分でアクセスできる東京の離島だ。

世界遺産と同様に、ユネスコが推し進めているジオパークに認定されていて、
ダイナミックな地形や自然環境は、サイクリストの間でも聖地とみなされている。
事実、2016年には「アジア選手権ロードレース」と
「全日本選手権ロードレース」が開催され、
2017年からは「全日本マスターズ選手権」の舞台にもなっているのだ。

〈東京都離島区大島プロジェクト〉
大島の未来を見据える島の今を
伝えるメディア『東京都離島区』

東京都離島区大島プロジェクト vol.01

大島、ひいては東京諸島全体を盛り上げるために東京都のバックアップのもと、
“あなたらしい大島の物語”をつくっていくことを目指し、
さまざまな活動を行っていく「東京都離島区大島プロジェクト」。
この企画では3回に分けて、プロジェクトの6人のキーパーソンを紹介していく。
第1回となる今回は、『東京都離島区』という東京諸島特化型のウェブメディアを、
いままさに立ち上げようとしている〈アットアイランド〉の伊藤奨さんと
〈トウオンデザイン〉の千葉努さん。
ふたりがメディアを通じて伝えたいこと、そしてそこにつながる未来のビジョン。
大島を中心に、東京諸島の動きが活性化してきている。

〈裏砂漠〉など、大島には雄大な自然が残る。

〈裏砂漠〉など、大島には雄大な自然が残る。

若者たちが島に戻って来たくなる土壌づくり

幼稚園は伊豆大島、小学校は小笠原の父島、小学校6年生から高校卒業までが八丈島。
東京諸島でさまざまな活動をしている一般社団法人アットアイランド代表の伊藤奨さんは、
まさに東京諸島の申し子とでもいうような人物だ。

高校卒業後は教師になることを目的に本土の大学に通っていたが、
やはり自分を育ててくれた東京諸島へ、なにか恩返しがしたいと常々思っていたという。
きっかけは高校3年生のとき。八丈島の高校の生徒会長をやっていたときに、
大島の高校から伊豆諸島をつなぐ高校生のイベントをやろうと誘われたこと。

アットアイランド代表の伊藤奨さん。島のさまざまなプロジェクトに関わりつつ、島で新規開業する人へのサポートも積極的に行っている。

アットアイランド代表の伊藤奨さん。島のさまざまなプロジェクトに関わりつつ、島で新規開業する人へのサポートも積極的に行っている。

「高校生たちが主体になって、資金も集めて、
大島にさまざまな島の高校生が集まるドリームプロジェクトというイベントを
開催しました。それがあって、僕らの世代の伊豆諸島の高校生たちに、
これまでなかった建設的な会話ができるつながりができたんです」

それまでは各島の高校生同士は部活の試合くらいしか交流がなかった。
だからどちらかというとライバルという意識で育つ。それがこのイベントを機に変わった。

「都心に出てきた大学生時代にも、島ごちゃまぜで集まっていました。
意外にもその関係が心の支えとなっていました。
それが大学卒業とともになくなってしまうんじゃないか、
ということにもったいなさを感じて、
このつながりを残したいという思いから有志でアットアイランドを立ち上げました」

目的は、島同士を連携させて、より豊かな東京諸島の在り方を目指すというもの。

「それから1年間、社会人の傍ら、さまざまな島を巡って、
一体なにが課題なのかをヒアリングしてきたんですが、
外部にいたらぼんやりとしか見えてこないんです。
それもそうで、島に住んでいた頃は呑気な高校生でしたし、
島を出てからもう6年も経っていたんです。だったら当事者に戻ろうということで、
あえて自分がこれまで住んだことのなかった三宅島へ移住して起業しました。
三宅島を選んだ理由は語れば長くなるのでまた別の機会に」

伊藤さんと神田さんが大島にオープンしたシェアハウス〈大島クエストハウス〉の共有スペース。

伊藤さんと神田さんが大島にオープンしたシェアハウス〈大島クエストハウス〉の共有スペース。

まず最初に取り組んだのは教育関連。
島の子どもたちを集めてキャンプイベントを主催するなど、
自分で興味をもったことにチャレンジしてみるきっかけをつくるような活動が中心だった。
でも「やりたいこと」と「現実的な収益性」にはかなりギャップがある。
そんななか、ご縁からいい空き家との出合いがあり、
三宅島では初となるゲストハウスを始めた。コンセプトは「五感を拓く、暮らし旅」。

「三宅島はダイビング、イルカ、火山、野鳥というようなコンテンツ自体は強いんですが、
そこだけを目指してくる人がやはり多くて、
ふらっとまちを歩いてくれるような人はあまりいませんでした。
そこで、暮らしというものを体感できるような滞在ができる場所として機能するような
ゲストハウスをつくりたかったんです。例えば、魚に興味があるゲストさんが来たら、
島の漁師さんに来てもらって一緒に鍋をしてみる。
そのお客さんの興味に合わせていろんなつながりも提供できる宿です」

熊谷〈原口商店★エイエイオー〉中編
シェアカフェから生まれる
新たなコミュニティ

ハクワークス vol.4

埼玉県熊谷市にて、空き家を使った設計、事業の立ち上げや場の運営も行うなど、
“空き家建築士”として活動する、〈ハクワークス〉の白田和裕さんの連載です。

前回に続いて、熊谷市の中心市街地、星川エリアの再生を目指して
生まれたシェアスペース〈原口商店★エイエイオー〉がテーマです。

オープン以降、この場所にシェアカフェの機能が追加され、
さらにコミュニティが広がっていきました。そのプロセスを振り返ります。

熊谷妄想会議

〈原口商店〉という元酒屋の空きビルを
レンタルスペースにリノベーションした〈原口商店★エイエイオー〉。
まちの余白のようなスペースとして、地域の人が気軽に集まれたり、
新たなチャレンジの受け皿になる場所を目指してオープンしました。

運営者である僕ら建築士4人組のユニット〈A.A.O〉も、
この場所でアウトプットを始めるようになりました。
その名も「熊谷妄想会議」。

初イベント「熊谷妄想会議vol.01」。

初イベント「熊谷妄想会議vol.01」。

僕らメンバーの3人が移住組であり、熊谷の外から来た者として、
熊谷の正直なイメージをお伝えするイベント。
人口動態から考える熊谷の未来、僕らが目指す未来、
子どもたちに継ぎたい未来を妄想して発表しました。
いま振り返ると少し挑戦的な内容だったような……。

身内で集まり“やった感”を出さないよう、今回は知り合いには声をかけず、
新規の方を集客しようとSNSで募集を開始。その結果、3人が集まりました。
無名のイベントとしては上出来でしょうか(笑)。

参加者は、またまた建築士! 
建築士の八木重朝さん、奈都子さん夫妻と
原口商店のオープン時に子ども向けの演奏会を開いてくれた方でした。
少ないメンバーだからこそ、みなさんとじっくりお話ができました。
そして、この出会いが、また新たな出会いを紡いでいくことになります。

同じエリアのリノベ案件〈108 ocha stand〉の八木重朝さん、奈都子さん夫妻。

同じエリアのリノベ案件〈108 ocha stand〉の八木重朝さん、奈都子さん夫妻。

ちなみに建築士の八木さん夫妻は、一時は川崎市で事業をしていました。
僕も参加した「リノベーションスクール@川崎」に参加しており、
同じように空き家、空き店舗を使ってまちに開くアクションを計画していました。

その後、Uターンで熊谷へ戻り、設計事務所を開設して、
僕らと同じエリアで空き店舗を自力で開拓し、
〈108 ocha stand〉というお茶スタンドをオープンさせました。
ふらっと立ち寄りたくなる場所として地域に愛されているお店です。
力強い同志ができたことがうれしく、この関係はいまでもずっと続いています。

YouTubeチャンネルも開設! 青森からクラフトビールの 魅力を発信する 〈Aomori Brew Pub〉& 〈Be Easy Brewing〉

挑戦できる「遊び場」のような醸造所

青森駅から徒歩約5分、
青森市安方に、市内初のクラフトビール醸造所〈Aomori Brew Pub〉がオープンしています。
ギャレス・バーンズさんが代表を務める弘前で人気のクラフトビール醸造所
〈Be Easy Brewing〉&タップルーム〈ギャレスのアジト〉の姉妹店です。

自社製品のほか、国内外のクラフトビールを販売。毎週訪れても新商品に出会えるほど、品揃えは日々変わっています。

自社製品のほか、国内外のクラフトビールを販売。毎週訪れても新商品に出会えるほど、品揃えは日々変わっています。

弘前の人気店が、青森にも店を構えるきっかけとなったのは、
2019年青森市で開催された〈ドイツビアフェスト in アスパム〉。
〈Be Easy Brewing〉も出店し、
訪れた人から「やっと飲めた」という声を多く聞いたことでした。

「ずっと飲みたいと思っていたけど、
青森から弘前に飲みに行く機会がなかなかなくてというお客さんが多かったんです」
と話してくれたのは、代表のギャレスさん。

2016年に〈Be Easy Brewing〉&〈ギャレスのアジト〉をオープン。平川市在住で、〈Be Easy Brewing〉で提供する野菜を育てる〈Be Easy Brewing Farms〉も運営。年に1度、自家栽培ホップを収穫したその日のうちに醸造する〈青森フレッシュホップエール〉も販売しています。

2016年に〈Be Easy Brewing〉&〈ギャレスのアジト〉をオープン。平川市在住で、〈Be Easy Brewing〉で提供する野菜を育てる〈Be Easy Brewing Farms〉も運営。年に1度、自家栽培ホップを収穫したその日のうちに醸造する〈青森フレッシュホップエール〉も販売しています。

「青森県内は、車で移動する人が多いこともあって、
たしかに、自分も五所川原や青森に気になるお店があっても、
なかなか行けずに数年経ってしまうことはあるなとその時気がつきました。
待っているお客さんがいるのなら、青森市内にも店をもちたいと思ったんです」

物件との縁もあって着々と話は進み、
2020年夏に〈Aomori Brew Pub〉はオープンしましたが、世はコロナ禍。
当初は食事も提供する予定でいましたが、計画を変更し、
醸造所とボトルショップという現在のスタイルとなります。

〈Aomori Brew Pub〉では弘前の〈Be Easy Brewing〉で醸造する缶ビールと国内外100種類以上のクラフトビールを販売。

店内では、弘前の〈Be Easy Brewing〉で醸造する缶ビールと、
国内外100種類以上のクラフトビールを販売。
〈Aomori Brew Pub〉で醸造するビールを購入できるのはここだけです。

(左から)〈Aomori Brew Pub〉で醸造した〈後潟(うしろがた)蕎麦エール〉、〈横内(よこうち)ブルーベリーセゾン〉、〈喫茶 マロン〉(青森市)の自家焙煎コーヒー豆を使用した〈マロンコーヒーポーター〉。〈マロンコーヒーポーター〉は需要が高く再販しましたが、基本定番商品はないので気になったものは早めに購入することをおすすめします。

(左から)〈Aomori Brew Pub〉で醸造した〈後潟(うしろがた)蕎麦エール〉、〈横内(よこうち)ブルーベリーセゾン〉、〈喫茶 マロン〉(青森市)の自家焙煎コーヒー豆を使用した〈マロンコーヒーポーター〉。〈マロンコーヒーポーター〉は需要が高く再販しましたが、基本定番商品はないので気になったものは早めに購入することをおすすめします。

商品名に付く、「後潟」や「横内」は青森市の地名。
第1号商品は〈安方(やすかた)ペールエール〉で、
〈Aomori Brew Pub〉がある地名がつけられました。

「この場所から、徐々にクラフトビール文化が広がっていくイメージで名前をつけています。
いきなり浅虫温泉のような、ここから距離のある有名観光地に飛ぶのではなくて、
青森のことをもっと知ってもらったり、再発見してもらえるように、
古川(ふるかわ)とか長島(ながしま)といった
お店の近くの地名から名前をつけています。
いずれ青森の地名のビールを全部つくれたらいいなと思っているんです」

おつまみとして自家製のスモークナッツも販売します。現在ビールは瓶・缶製品の販売のみ(店内の席で飲むことは可能)ですが、コロナウィルスの流行が落ち着いたときには、生ビールも提供したいと考えています。

おつまみとして自家製のスモークナッツも販売します。現在ビールは瓶・缶製品の販売のみ(店内の席で飲むことは可能)ですが、コロナウィルスの流行が落ち着いたときには、生ビールも提供したいと考えています。

〈Aomori Brew Pub〉では、100リットルのタンクで醸造を行っているため、
ひとつのタンクでできるビールは約250本。
いろんな素材を使ったビールづくりに挑戦できることが魅力だと
ギャレスさんは話します。

「“遊び場”や“研究所”のようなイメージです。
〈Be Easy Brewing〉では1000リットルのタンクで醸造しているので、
たくさん売れる商品でないと醸造することが難しいですが、
〈Aomori Brew Pub〉では、
スタッフがつくってみたいというビールや、変わったビールもつくることができます。
パクチーのビールとか、ホップを使わないハーブのビールとか、
青森県産のブナを使用した木工品〈ブナコ〉で風味づけをするビールとか……。
うまくいくかわからないけど挑戦できる。
青森県産のハチミツを使ったミードもつくってみたいですね」

空き施設に壊さず、
新たな付加価値をつけて
「Re活用」!

今月のテーマ 「Re活用」

空き家や廃校などを「Re活用(利活用)」し、
新たな施設へと生まれ変わらせる活動は近年増えています。

今回は全国にお住まいのみなさんに
「Re活用」され、生まれ変わった施設・スポットを教えてもらいました。

学校、お寺、元スナックだった場所......
以前とは異なるかたちとなった今でも
まちの人々の拠点として愛され続けています。

【北海道斜里郡清里町】
100年近い歴史を持つお寺が、アウトドアやカルチャーの情報拠点に!

知床半島の付け根辺り。
日本百名山・斜里岳の麓のまち・清里町に、
お寺を再利用した宿〈マンディル〉がオープンしました。

〈マンディル〉の目の前に、標高1547メートルの斜里岳がそびえる。オーナー・嶋田武志さんは、登山やトレイルランニングの愛好者。

〈マンディル〉の目の前に、標高1547メートルの斜里岳がそびえる。オーナー・嶋田武志さんは、登山やトレイルランニングの愛好者。

オーナーの嶋田武志さんは
「景色も環境もすばらしいこの場所に、滞在できる施設をつくろう」
と探していたところ、
築41年、総面積436平方メートルの物件に出会ったそうです。

本堂、休憩室、炊事場、廊下続きの庫裡(くり)※を改装し、
宿だけでなく、アウトドア用品のショップや
イベントスペースとしても活用しています。
※住職の住む場所のこと。

オープンして間もない頃、本堂でワーケーションの実証実験が行われました。〈マンディル〉は、温泉を併設した道の駅〈パパスランドさっつる〉から徒歩約5分。

オープンして間もない頃、本堂でワーケーションの実証実験が行われました。〈マンディル〉は、温泉を併設した道の駅〈パパスランドさっつる〉から徒歩約5分。

本堂だった広い和室の中央には、
インパクトのある金色の仏具が吊り下がったまま。
「賽銭箱、扉、建具など、歴史を感じる希少なものばかり。
究極のジャパニーズスタイルは、海外のゲストにも好評です」

本堂では、北見市のインストラクターによるヨガ教室が定期的に開催されています。静寂な空間、畳の心地よさ、お寺とヨガは相性もよし。2022年1月8日(土)には〈新春初ヨガ〉も開催予定です。

本堂では、北見市のインストラクターによるヨガ教室が定期的に開催されています。静寂な空間、畳の心地よさ、お寺とヨガは相性もよし。2022年1月8日(土)には〈新春初ヨガ〉も開催予定です。

「元・お寺」が話題にもなって、
ヨガ教室やクラフト作家のワークショップを開催したり、
近隣の町村からクリエイターや飲食店が集まってイベントを行ったり。
半年間で、さまざまなジャンルの人が行き交う拠点へと成長しました。

ウェアやシューズから、行動食やコーヒーまで。独自のセレクトが楽しいショップには、クライミングウォールも設置されています。

ウェアやシューズから、行動食やコーヒーまで。独自のセレクトが楽しいショップには、クライミングウォールも設置されています。

「道東の最果て。
この界隈でユニークな活動をする人たちをつなげて、エリアの認知度を高めていきたいですね」
と、嶋田さんは語ります。

2022年1月15日には、音楽と飲食のイベント
「ご自由にどうぞ」の開催が予定されています。
詳細はfacebook(@S.SHOUKAI.MANDIR)、
Instagram(@s.shoukai.mandir)、Twitter(@tsnumber1919_s)を
チェックしてみてください。

information

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マンディル

住所:北海道斜里郡清里町札弦14

TEL:090-8425-0936

営業時間:宿 チェックイン16:00〜21:00

     ショップ 金曜13:00〜19:00 土・日・祝日11:00〜19:00 

Web:マンディル

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井出千種 いで・ちぐさ

横浜市出身。大雪山登山で雄大な自然に感動、北海道のファンになる。2018年、帯広市に移住。2021年5月、弟子屈町地域おこし協力隊着任。摩周湖観光協会に籍を置きながら、弟子屈町、道東、北海道の魅力を発信するべく努力中。

【経験者募集】 コロカル地域ライターを募集中。 お住まいの地域の魅力を コロカルで発信しませんか?

コロカルは日本のローカルをテーマに、各地の先進的な取り組みや、
その土地ならではのライフスタイルなど、さまざまな話題を発信するウェブマガジンです。
2012年より株式会社マガジンハウスが運営しています。

このたび、日本の地域のヒト、モノ、コトについて執筆していただける
全国各地にお住まいのコロカル地域ライター(経験者)を募集します。
お住まいの地域のことをご自身の視点で切り取り、コロカルで発信するだけでなく、
コロカルや関係媒体において、編集部が指定するテーマの記事を制作していただく、
私たちのパートナーを探しています。

応募していただける方は、
以下の内容を、info@colocal.jp宛に、
件名を【コロカル地域ライター募集】としてお送りください。

(1)コロカルで書きたいテーマをお書きください。
(2)プロフィール、職務経歴(ポートフォリオ、掲載誌などもあれば)
※地域の制限はありません。
※添付ファイルの容量が大きい場合は、外部のストレージサービス等をご利用していただいて構いません。

採用された方には、コロカル地域ライターコーナーへの寄稿、
ニュースコーナーへの寄稿のほか、
コロカルの原稿制作のお仕事をご相談させていただく予定です。
採用の際には、弊誌規定の原稿料をお支払いいたします。

締め切りは2022年1月17日(月)となります。

都市とローカルで活動する人々の拠点 〈SOIL NIHONBASHI〉12月に開業!

SOILシリーズの第2弾

「ローカルのルーツは土壌(SOIL)から見つかる」をコンセプトに、
先日広島県の瀬戸田にオープンした注目施設〈SOIL SETODA〉

そんなSOILシリーズの2号目となる〈SOIL NIHONBASHI〉が
2021年12月に東京・日本橋にオープンしました。

築38年のオフィスビルをリノベ

日本橋小舟町にあった築38年のオフィスビルをリノベした〈SOIL NIHONBASHI〉。

同施設は、日本橋小舟町の堀留児童公園に隣接した
築38年のオフィスビルを一棟リノベーションし、
都市とローカル(地域)で活動する人の拠点として機能します。

再開発で都市化が進む東京はローカルとかけ離れたイメージですが、
日本橋エリアは町人文化の中心地としての伝統が深く残り、
五街道の発着点だったという特性からも、
日本中の「ローカル」を感じることができる地と、〈SOIL NIHONBASHI〉は定義。

「入居者=共同運営者」

〈SOIL NIHONBASHI〉の2階以上は公園ビューのコーポラティブオフィスとなっている。

1階は、地域の子どもたちが駆け回る緑豊かな児童公園に隣接した
カフェベーカリー〈Parklet Bakery(パークレット ベーカリー)〉を併設。
2階以上は公園ビューのコーポラティブオフィスとなっています。

このコーポラティブオフィスは、一ヶ月から利用可能で、
2階はフリーアドレス、固定席などのプランを用意したラウンジ、
3階以上は50平米~の個室区画。

「入居者=お客様」というフルサービスのシェアオフィスではなく、
「入居者=共同運営者」であり入居者同士が自治(コーポラティブ/CO-OPERATIVE)
しながら繋がる「コーポラティブオフィス」と定義し、
入居者の得意分野や専門分野を生かしたイベントの自主企画・発足を促し、
多様かつ強固な顔の見えるスモールコミュニティ醸成を目指していくそう。

〈SOIL NIHONBASHI〉のコーポラティブオフィスに入居予定の企業や団体。

現在、尾道市瀬戸田、福島、軽井沢、富山、北杜や白樺湖など、
全国各地の魅力的なローカルと深い繋がりのある企業や団体が入居予定。
なんだかわくわくするオフィスですね。

イベントやマルシェも定期開催

また、「公園を拡張する役割を担いたい」という想いから、
施設から公園へ自由に出入りできるのも魅力的!

施設内のギャラリーやイベントスペースを公園とつなげ、
入居企業が繋がる各ローカルから農家やクラフトマンが出店するマルシェ、
地域の子どもたちや家族に向けたワークショップやカルチャーイベントを開催し、
まちに学びと発見の場を生み出していくそうです。

〈マドカイ〉 空き店舗を EC連動のショーウインドウに。 まちの活気創出にも貢献! 

空き店舗を活用する新たなサービスデザイン

地方の人口減少や過疎化に伴い、日本各地で増加の一途を辿る空き家。
日本の一社会問題ともなるこの問題に、今さまざまな企業や団体が
新たなアイデアで解決を試みています。

熊本県のデザイン会社「白青社」が空き家を有効活用しようと無人店舗〈マドカイ〉というユニークなサービスを編み出した。

今日ご紹介する、熊本のデザイン会社〈白青社〉が編み出した
無人店舗〈マドカイ〉というユニークなサービスデザインもそのひとつ。
このマドカイは、空き店舗のショーウィンドウとECサイトを連動させ、
オンライン販売を行うと同時に、まちの発展にも貢献するというもの。

〈マドカイ〉を導入したショーウインドウ。熊本の長崎次郎書店がセンスよく活用しています。<a href=

〈マドカイ〉を導入したショーウインドウ。熊本の長崎次郎書店がセンスよく活用しています。

歴史的建物や奥に人が住んでいる建物なども、無人でありながら、
まちのにぎわいを創出する店舗として蘇ります。

実店舗の建設より何倍も安価

わずか2坪程度の面積があれば、おおよそのショーウインドウの改装が可能。
建築許可といった大掛かりな申請も入りません。
施工はお好みの設計事務所や工務店などに依頼するかたちです。

商品の横にはQRコードを設置し、商品詳細へと飛ばします。
そのページにはもちろん動画や写真を挿入でき、購入のあった商品は後日発送。

これぞまさしくウインドウショッピングです。
ショーウインドウを通してネットでものを買う、というのは
今までも実現可能な世界観でしたが、
こうしてシステムがパッケージングされると
社会全体の空き家活用の視点がさらに広がりそうですよね。

まちづくりやしくみづくりを生業とする白青社は
このマドカイを地方に必要な仕組みと考え、すべてのシステムをオープンソース化。
実質、費用は施工費、店舗デザイン費、ウェブ制作費のみで、
全国どこからでも〈マドカイ〉のサービスデザインを利用することができます。
施工費も一般店舗に比べると安価なので、
実店舗の改装を何倍もカジュアルに取り組めるシステムといえるでしょう。

日南市〈JR日南駅〉
「待つ駅」から「行く駅」へ、
新しいまちの居場所が誕生

PAAK DESIGN vol.5

宮崎県日南市で建築デザイン、宿泊や物販など、幅広い手法で地域に関わる、
〈PAAK DESIGN株式会社〉鬼束準三さんの連載です。

今回は、日南市の中心地にある〈JR日南駅〉のリノベーションがテーマです。
多様な世代が集う新たなまちの居場所となった日南駅が
どのようにしてできあがったのか、振り返っていきます。

日南駅の存在

日南駅は、日南市の中心市街地にある駅です。
隣には城下町として栄えた飫肥(おび)駅と、
マグロ漁で栄えた油津(あぶらつ)駅があり、
市の名前がついている駅にしては少し影の薄い駅でした。
また、近年のJR利用者数は年々減り、
10年前と比べて約半分という状況でもありました。

日南駅は、日南市役所や県の出張所、高校などの最寄りの駅で
一定の利用者があるので、当面は廃線になることはないまでも、
このまま利用が減っていけば将来どうなるかはわかりません。

2015年以降は、日南市がJRから駅業務を受託して運営する簡易委託駅となり、
建物所有権もつい最近JRから日南市へ譲渡されたばかり。
市の施設としてあらためて駅舎の活用を検討しなければならない状況になりました。
建物自体は築60年ほどで、いままで外壁の塗装や看板のつけ加えがあった程度。
今回が初めての大規模なリニューアルとなります。

正面玄関のビフォー。サッシと看板が古く、くたびれた印象のファサード。

正面玄関のビフォー。サッシと看板が古く、くたびれた印象のファサード。

切符売り場と待合スペースのビフォー。駅舎全体の約半分以上は活用されておらず、この壁の向こう側には使用されていないスペースが存在した。

切符売り場と待合スペースのビフォー。駅舎全体の約半分以上は活用されておらず、この壁の向こう側には使用されていないスペースが存在した。

学生を交えたワークショップの開催

駅舎のリニューアルにあたって始めたのは、駅の利用者や近隣の学生、
子育て世帯を対象とした駅の空間づくりのためのワークショップでした。

このプロジェクトは、日南市が事業主体として行い、
企画プロデュース、ワークショップデザインやデザイン監修について、
〈無印良品〉でおなじみの〈良品計画〉さん、
全国でさまざまな集客施設・商業施設を手がける〈乃村工藝社〉さんのサポートがあり、
日南市と協働で〈PAAK DESIGN〉も地元企業として設計に携わることになりました。

ワークショップは3回ほど行い、
「どんな駅なら利用してみたいか」
「駅に何を求めるか」など、学生とその親世代、
近くで働くビジネスマンにも参加してもらい、
それぞれの立場から意見を発表してもらいました。

小中高生からは「子どもだけでも気軽に行ける場所になってほしい」、
ビジネスマンからは「列車を待つ間に読書がしたい、
仕事が快適にできるようwi-fiのある場所が欲しい」、
そして親世代からは「子どもを送迎する際にちょっと立ち寄れる
ミニスーパーのような場所があると便利!」など、いろいろな意見が出てきました。

また、既存の駅舎はただ待つだけの場所になっており、
「JRを利用する以外で行きたいと思ったことはない」
「暗くて寒くてきれいじゃないから、長時間は待ちたくない」
「市の名前がついた駅なのに自慢できない」など、
あまりいいイメージを持っていないこともわかりました。

ワークショップの様子。既存の駅舎の使用していないスペースを借りて行った。

ワークショップの様子。既存の駅舎の使用していないスペースを借りて行った。

駅の近くにある子育て支援施設〈ことこと〉でのワークショップの様子。想定利用者であるママ層の意見に耳を傾ける。

駅の近くにある子育て支援施設〈ことこと〉でのワークショップの様子。想定利用者であるママ層の意見に耳を傾ける。

熊谷〈原口商店★エイエイオー〉前編
空き家だった酒屋を
地域のレンタルスペースへ

ハクワークス vol.3

埼玉県熊谷市にて、空き家を使った設計、事業の立ち上げや場の運営も行うなど、
“空き家建築士”として活動する、〈ハクワークス〉の白田和裕さんの連載です。

今回のテーマは、熊谷市の中心市街地、星川エリアの再生を目指して生まれた拠点
〈原口商店★エイエイオー〉。
まちの人がチャレンジできる場を目指し、
シャッターが閉じられていた酒屋を地域のレンタルスペースへ。
今回はその誕生のプロセスからオープンまでを振り返っていきます。

熊谷20年妄想。空き家を開き家に

いまから書く話は20年後にもつながり、
将来的にいまの子どもたちに「熊谷っていいね!」と
読み返してもらえることを期待しています。
20年後、子どもたちが大学を卒業する頃に、
地元・熊谷も住むまち、働くまちの選択肢のひとつとなりますように。

熊谷の中心市街地を流れ、熊谷のシンボルでもある星川。川の両サイドには歩道と車道、飲食店や商店などもあります。「星川」というシンプルな名前も好きです。

熊谷の中心市街地を流れ、熊谷のシンボルでもある星川。川の両サイドには歩道と車道、飲食店や商店などもあります。「星川」というシンプルな名前も好きです。

前回書いたように、10年前に出産を機に妻の地元である熊谷に越してきました。
当時、整然とした見事な風景にもかかわらず人がいない状況を見て驚き、
どうにかできないかと思っていた矢先に、
地元・草加市のリノベーションまちづくりイベントを知り、
草加市にてキッチンスタジオ〈アオイエ〉を設立。

そこを運営しながら同時に熊谷でも空き家を利用して、
地域がちょっと元気になるようなアクションができればと考えていました。

熊谷駅。新幹線も停まります。

熊谷駅。新幹線も停まります。

ミッション1:チームをつくれ

とはいえ、仲間がいませんでした。
まずは、興味のありそうな人に猛烈にアタックを開始。
リアクションがよかったのは、僕も所属している
建築士事務所協会熊谷支部にいる同年代の3人でした。

3人とも熊谷に個人の設計事務所を開設していて、
やはり建築と近しいまちづくりには興味があったようです。
さらに驚いたのは、3人中、ふたりが僕と同様に、
嫁が熊谷出身で子育てのために移住した建築士でした。
千葉、長野から来て、「星川の哀愁をどうにかできないか」という
感想を持っていたのです。

この3人に「胸が熱いぞ!熊谷」という題名の
プレゼン資料80枚でアタックし、話が進みます。

ただ、定説では、まちづくりのチームには多様なキャラクターが求めらます。
さまざまなスキルを持ち寄って活動できるからだと思うのですが、
ここにいるのは僕を含めて同じ職種の4人。
果たしてプロジェクト「熊谷20年妄想。空き家を開き家に」はどうなるのか。
不安も含め、20年の旅路のスタートを切ります。

子どもも大人もシシになる!
鹿踊(ししおどり)の体験を通して
継承の想いを未来につなぐ

伝統ある岩手の「鹿踊」に訪れた危機とは?

世界遺産で知られる平泉町にほど近い、岩手県一関市厳美町の本寺地区。
美しい田園風景が広がるこの地域は、その昔「骨寺村(ほねでらむら)」と呼ばれ、
中尊寺の所領としてお米を納めた荘園だった。
中世の景観がほぼそのままのかたちで維持されていることから、
地域の貴重な遺産として大切に守られている。
こうした歴史を伝える骨寺村荘園交流館で、2021年10月31日、
鹿踊(ししおどり)団体の踊りの披露と体験ワークショップが開催された。

天に向かってすっくと立ち上がるササラが印象的な鹿踊。鹿頭から垂れ下がる喉紋(のどもん)には、伊達家お墨付きの家紋「九曜(くよう)」を染め抜いている団体が多い。地域ごとに衣装や踊りも微妙に異なるという。

天に向かってすっくと立ち上がるササラが印象的な鹿踊。鹿頭から垂れ下がる喉紋(のどもん)には、伊達家お墨付きの家紋「九曜」を染め抜いている団体が多い。地域ごとに衣装や踊りも微妙に異なるという。

鹿踊とは、岩手県と宮城県に広く伝えられている郷土芸能で
岩手県は日本一多くの鹿踊団体が活動する聖地。
その由来や歴史は地域によってさまざまだが、山への感謝と命の供養、
五穀豊穣を祈る芸能として、お盆や祭りの時期に各地で踊り継がれているものだ。
様式は地域によって「幕踊り系」と「太鼓踊り系」に大別され、
一関地域の鹿踊は「太鼓踊り系」。
腹に太鼓を下げ、踊り手自らが歌を歌い、太鼓を打ち鳴らしながら踊るのが特徴で、
ササラと呼ばれる竹を一対つけ、頭上高く掲げているのが印象的である。
装束も独特で、鹿を模した鹿頭(ししがしら)に本物の角を立て、
馬の黒い毛をザイ(髪)とし、さまざまな文様を鮮やかに染め抜いた衣装をまとう。

鹿踊の由来については、狩猟で犠牲になった鹿の命を供養する説、春日大社に起因する説など、地域によってさまざま。説は違えど、自然に対する感謝と畏敬の念が込められているという。

鹿踊の由来については、狩猟で犠牲になった鹿の命を供養する説、春日大社に起因する説など、地域によってさまざま。説は違えど、自然に対する感謝と畏敬の念が込められているという。

「太鼓踊り系」の鹿踊は、ひとり3役。太鼓を叩き、自ら歌い、舞い踊るため、かなり体力を使うハードな踊りである。ダイナミックな跳躍は行山流鹿踊の特徴だ。

「太鼓踊り系」の鹿踊は、ひとり3役。太鼓を叩き、自ら歌い、舞い踊るため、かなり体力を使うハードな踊りである。ダイナミックな跳躍は行山流鹿踊の特徴だ。

ササラを振り、太鼓を叩きながら大地を踏み鳴らし、時にダイナミックに、
時にユーモラスに踊る様子は、鹿たちが戯れ、遊んでいるかのよう。
戦争で一時中断した団体も多かったが、それぞれの地域の努力によって
後継者を育てながら、連綿と受け継がれてきた。
最近は、参加する若者も少しずつ増えるなど、好転しつつあった現況を
大きく変えたのが新型コロナウイルス感染症の感染拡大だった。
各地の祭りや催事の多くが中止・延期になり、鹿踊を披露する機会が激減。
ほとんどの団体が、約2年にわたって活動の自粛に追い込まれたのだ。

日南市〈ADDress Kado〉
商店街の空き店舗を、
定額制・住み放題サービスの拠点へ

PAAK DESIGN vol.4

宮崎県日南市で建築デザイン、宿泊や物販など、幅広い手法で地域に関わる、
〈PAAK DESIGN株式会社〉鬼束準三さんの連載です。

今回は、日南市・油津商店街にある空き店舗をリノベーションした
〈ADDress Kado〉がテーマです。

〈ADDress(アドレス)〉とは、全国どこでも定額制・住み放題のサービスで、
定住でも所有でもない新しいライフスタイルを提案するもの。
以前、コロカルの記事でもご紹介しました。
ここでは、どのようにして日南にアドレスの拠点ができあがったのか、
振り返っていきます。

アドレス代表・佐別当隆志さんとの出会い

アドレス代表の佐別当(さべっとう)隆志さんとの出会いは突然でした。
2019年1月、引き渡し間際の物件で仕上げ作業に没頭している最中、
「こんにちは」と挨拶され、ふと顔をあげると男の人が立っていました。
僕のクライアントでもあり、いつもいろんな人とつなげてくれる
田鹿基倫さんも立っていて、「佐別当さんです」と紹介され、
設計の相談をしていただいたのです。

佐別当さんからアドレスの事業について説明を聞き、
淡々とした会話のトーンとは裏腹に、
ものすごく魅力的な未来が描かれていて心が打たれました。

これを4月から全国に展開していく予定で、海や自然が近いこと、
サテライトオフィス誘致の取り組みで話題となっていたこと、
手頃ないい物件が商店街内にあることなど、
さまざまな理由から我が日南にも拠点をおきたいということで、
ワクワクと胸を踊らせたのを覚えています。

〈ADDress〉代表の佐別当隆志さん。オープニングセレモニーでの挨拶の様子。

〈ADDress〉代表の佐別当隆志さん。オープニングセレモニーでの挨拶の様子。

地熱を自熱に。 秋田県湯沢市の魅力を伝える 『あちちの地 展』開催中!

秘められた「地熱」

秋田県の最南に位置する湯沢市。
その名の通り多くの湯(温泉)が湧き出る、「地熱」エネルギー豊かなこの地には、
アツく、力強く、たくましく生きる「自熱」を持った人々がいる――。
以前、コロカルでは、湯沢市の「じねつのチカラ」を
4回にわけて紹介しました(記事はコチラ)。

SDGsでも推奨される「地熱」で注目される湯沢市では、
昨年度、「地熱のまち・湯沢」に暮らす人々に秘められた「自熱」を見つめ、
「みんなで元気になろう!」というプロジェクト〈あちちの地〉がスタート。
コンセプトBOOKも発行されました。

数量限定で配布された、湯沢の「自熱」の魅力を伝えるコンセプトBOOK『あちちの地』。

数量限定で配布された、湯沢の「自熱」の魅力を伝えるコンセプトBOOK『あちちの地』。

秋田市の〈ココラボラトリー〉で現在開催中の『あちちの地 展』は、
このコンセプトBOOKでとりあげた、「木地(熱)山こけし」、
「地元熱血編集部 ゆざわざわざわゆざわざわ」、
「職人の爺熱に学ぶ」など、湯沢で、アツく、たくましく暮らすヒト・モノ・コトを、
あらためて紹介する企画展です。

ココラボラトリーでの展示の様子。会場でもコンセプトBOOKを入手できるかも(先着順・1名1冊限り)。

ココラボラトリーでの展示の様子。会場でもコンセプトBOOKを入手できるかも(先着順・1名1冊限り)。

草加市〈キッチンスタジオ アオイエ〉
人と人、人とまちがつながる
ダイニングキッチン

ハクワークス vol.2

埼玉県熊谷市にて、空き家を使った設計、事業の立ち上げや場の運営も行うなど、
“空き家建築士”として活動する、〈ハクワークス〉の白田和裕さんの連載です。

そもそもなぜ白田さんは、建築家でありながら、
空き家を使った場の運営までも行っているのでしょうか。
今回はエピソードゼロ。きっかけは、白田さんの地元・埼玉県草加市で実施された、
まちづくりのイベントにありました。

こんにちは、熊谷

10年前、出産をきっかけに、奥さんの実家である熊谷へ引っ越してきました。
そのときの印象は
「まち並みはきれいに整っている。なのに、人がいない」ということでした。

熊谷市の中心市街地を流れる星川と遊歩道。

熊谷市の中心市街地を流れる星川と遊歩道。

熊谷の中心市街地にある星川通りは、終戦の前日に空襲を受けました。
終戦後、まちが再編されて、川と通りが直線的に抜ける、
緑豊かな、いまで言う“インスタ映え”抜群なロケーションに。
ただ、その後の社会の変化で、星川付近の商店街は元気を失っていきました。

ふわっと建築に携わる者として、大学でもなじみのあったまちづくり。
「この星川を元気にしたい」となんとなく思ったのですが、すぐ壁にぶつかります。

「まちづくりって、どうやるねん」

モヤモヤを抱えながら、時間は経っていきます。

リノベーションまちづくり@そうか

そんなある日、日本全国のまちづくり事例を調べていくなかで、驚きの発見が。

「え! 地元の草加でまちづくりやってんじゃん! 
しかも、テーマがリノベーション!!」

草加市主催で、「リノベーションまちづくり@そうか」という
イベントが行われていたのです。

実際の空き家を利用して、地域課題解決も含めた事業をつくり上げる
民間応援型のイベント。前段の説明会では、佐賀でまちづくりを行う方の講演が行われ、
「こんな方法があるのか!」と心打たれて、すぐに参加の申し込みをしました。

残念ながら、子どもの運動会の日程と被っていましたが、
どうにか奥さんの了承を得て、いざ参加へ。

リノベーションスクール@そうかの告知ポスター。

リノベーションスクール@そうかの告知ポスター。