“地域にいるデザイナーって、どんな活動をしているの?”
そんな素朴な疑問を紐解くことができる、
興味深い1冊の本が出版されました。
2022年3月に学芸出版社から発行された、
『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる -地域×デザインの実践』。
日本各地で活躍する21名のデザイナーの活動に焦点を当て、
彼らがデザイナーになったきっかけや
地域と関わるようになった理由など、
それぞれ異なる視点からデザイナー自身の言葉で書かれています。
そんな地域とデザイナーの“今”が見える、「おもデザ本」。
少しだけ中身を覗きながら、ご紹介します!

原研哉さんもコメントを寄せられたように「地域の時代が始まったわけではなく、昔から変わらない価値がそこにある」。
「おもデザ本」は、
新山直広さんと坂本大祐さんが編著者を務めます。
新山さんは2009年に福井県鯖江市に移住し、
鯖江市を拠点に活動するデザインスタジオ〈TSUGI〉を設立。
地域特化型のインタウンデザイナーとして、
地域や地場産業のブランディングを行います。
坂本さんは2006年に奈良県東吉野村に移住後、
〈合同会社オフィスキャンプ〉、
〈一般社団法人ローカルコワークアソシエーション〉を設立、
全国のコワーキング施設の開業サポートなどを行なっています。

左から著者の吉野敏充さん、堀内康広さん、編集者の中井希衣子さん、編著者の新山さん、坂本さん、著者の土屋誠さん。出版記念イベントにて。
それぞれの地域で活躍するおふたり。
「未来を考えるインタウンデザイナーのものづくり」など
地域とデザインをテーマに発信しています。
新山さんは、
「『デザイン』という言葉から、広告やパッケージをはじめとした
魅力的なグラフィックの領域をイメージするかもしれないが、
ここでいうデザイナーは、従来のデザインの枠を超え、
人、歴史、産品、土地、自然といった地域の資源を
複合させて新たな価値を生み出す人々である」と本書に綴っています。
まさに、働き方も多様化し東京一極の流れから
地方へ分散してきているご時世。
その土地の魅力的な資源をフルに活用した
地域の新しい価値創造が、着実に動き出しています。

本書では豊富な写真とデザイナー自身のメッセージ、活動遍歴などが紹介されている。「あの時、屋号が決まった」ミニコラムも活動立ち上げの背景を垣間見れておもしろい。

北海道から九州まで各地域の実践例と活動内容がぎっしり。
本書の一文を紹介しましょう。
「移住して数年後、
河和田でお世話になった職人たちに『デザイナーになる』と
伝えた時のことは今でも忘れられない。
彼らは『デザイナーは詐欺師だ』と言ったのだ。
(中略)地域の課題を見つけ、
どのような手段で解決していくのか。
そのプロセスを考え実現するところまで求められるのが、
地域のデザイナーだと痛感し、
『売るところまで責任をもつデザイナーになる』と心に決めた」
(新山直広さんまえがきより)
なぜその地域でデザイナーになることを決心したのか。
なぜ多くのデザイナーが分野外の範疇まで
取り組みながらも地域の課題に挑戦するのか。
そんなリアルで実践的なエピソードが綴られているのが
「おもデザ本」の魅力です。