小豆島の重要有形民俗文化財
『肥土山の舞台』が新しい茅葺きに。
5月3日、農村歌舞伎を開催

小豆島に伝わる農村歌舞伎って?

5月3日、新緑が美しいこの日に毎年開催されてきた
小豆島の伝統行事『肥土山(ひとやま)農村歌舞伎』。
その歴史は300年以上、江戸時代から続いています。

2018年の肥土山農村歌舞伎。舞台前の桟敷にはたくさんのお客さんが歌舞伎を楽しみながらお弁当を食べたりビールを飲んだり。

2018年の肥土山農村歌舞伎。舞台前の桟敷にはたくさんのお客さんが歌舞伎を楽しみながらお弁当を食べたりビールを飲んだり。

そもそも農村歌舞伎ってなんでしょう?
江戸時代中期、小豆島の人たちの楽しみのひとつが歌舞伎を観ることでした。
今の私たちが映画やドラマ、音楽を楽しむのと同じですね。
 
当時、島の人たちは一生に一度、お伊勢参りをするのが夢で、
その道中、上方(今の大阪あたり)に立ち寄って、
歌舞伎などの芸能を観るのが楽しみだったそうです。
 
島に帰っても、その楽しかった歌舞伎のことが忘れられず、
上方の歌舞伎役者を島に呼んで歌舞伎を楽しんでいたそう。
現代でいうと、ミュージシャンを島に呼んで
ライブしてもらっているみたいですね(笑)。
 
そのうち観るだけじゃなくて、自分たちでも歌舞伎を演ずるようになりました。
毎回、遠方から歌舞伎役者を招くのは大変だったでしょうからね。
江戸時代の農村で暮らす人たちが演じた歌舞伎、
それが『農村歌舞伎』の始まりです。

歌舞伎を演ずるのは地元の人たち。化粧や衣装、舞台の準備などもすべて地元の人たちの手でつくりあげます。

歌舞伎を演ずるのは地元の人たち。化粧や衣装、舞台の準備などもすべて地元の人たちの手でつくりあげます。

その当時、肥土山集落では、農業用の水不足を解消するために、
集落から3キロメートル離れた山の上に大きなため池の工事を行っていました。
それはそれは大変な工事だったと思います。
 
工事開始から3年、1686年に「蛙子池(かえるごいけ)」として完成し、
その水が〈肥土山離宮八幡神社〉の横に流れてきたのを喜び、
境内に仮小屋を建てて盛大に歌舞伎を開催したそう。
その後、毎年開催されるようになったのが、現在も続く『肥土山農村歌舞伎』です。

〈肥土山離宮八幡神社〉の境内に歌舞伎舞台があります。

〈肥土山離宮八幡神社〉の境内に歌舞伎舞台があります。

歌舞伎舞台の周囲は美しい田園。蛙子池の水を使っています。

歌舞伎舞台の周囲は美しい田園。蛙子池の水を使っています。

ちなみに最盛期の明治・大正時代には、小豆島全体で歌舞伎舞台が30以上、
役者が約600人もいたといわれています。
現在は、肥土山農村歌舞伎舞台と中山農村歌舞伎舞台のふたつが残るのみ。
そのふたつの舞台では、今も農村歌舞伎が毎年開催されています。
 
私たちは、その残っている舞台のひとつ、
肥土山農村歌舞伎舞台がある肥土山という集落で暮らしていて、農業をしています。
300年前とスタイルは大きく違えど、今も蛙子池から流れてきている水を使って
農業をしていて、私たちも農村歌舞伎の役者として参加したり、
裏方仕事を手伝ったりしています。
歴史は続いているんだなぁ。

2019年、いろは(娘)が小学6年生の時、子ども歌舞伎の役者として(写真左)。

2019年、いろは(娘)が小学6年生の時、子ども歌舞伎の役者として(写真左)。

餅やアート作品を贈る!?
「お祝いごと」から見えてくる
まちの文化

今月のテーマ 「お祝いごと」

ひとことにお祝いごとといってもその内容は各地で異なります。
出産や長寿のお祝い、引っ越しや結婚など
みなさんはハレの日やちょっとしたお祝いのとき、
何かしていることはありますか?

今回は「お祝いごと」からまちの文化を探るべく
全国のみなさんに何をしているか聞いてみました。

普段何気なく行っているお祝いも、
実は伝統的なまちの風景だったようです。

【秋田県にかほ市】
お祝いごとに欠かせないアート作品

秋田県にかほ市では、
お祝いごとがあると絵を贈り合うという文化があります。
誰かが引っ越ししたり、結婚したり、
退職したりするときに絵をプレゼントするんだそうです。

こちらの絵は、池田修三さんというにかほ市出身の木版画家さんのもの。
多色刷りという技法で描かれた色彩豊かな絵は、
子どもや、動物、花などのモチーフが描かれたものが多く、
印象的なものばかり。

市内のお店に飾られた『赤いりんご』。

市内のお店に飾られた『赤いりんご』。

市内のお店やお宅にお邪魔すると、
池田修三さんの絵が飾られているところが多く、
「子どもが生まれたときにもらったものだよ」
「夫が退職したときにいただいてね」などと、
絵にまつわる当時のエピソードを話してくださるんです。

私も、にかほ市に引っ越してしばらくした頃に
池田修三さんの絵をいただきました。

この絵を贈るという文化が
池田修三さんの木版画に彩られた、まちの風景をつくり出しています。

photo & text

國重咲季 くにしげ・さき

京都府出身。秋田県の大学に進学したことを機に、東北各地の1次産業の現場を訪ねるようになる。卒業後は企業に勤めて東京で暮らした後、にかほ市で閉校になった小学校の利活用事業「にかほのほかに」に携わるべく秋田にAターン。地域で受け継がれてきた暮らしを学び、自給力を高めることが日々の目標。夢は食べものとエネルギーの自給自足。

何が届くかわくわく! 広島の“ひみつ野菜”が楽しめる 定期便スタート

豊かな土壌で育つおいしい野菜たち

〈株式会社ケン・リース〉は、2022年4月6日に
広島産の新鮮野菜や果物を手軽に購入できるECサイト
〈FROM EATSオンラインストア〉をオープンしました。

なかでも注目したいのが、〈広島ひみつ野菜〉の定期便です。
その時期に旬の農産物が5〜6種詰め合わせになったセットで、
月1回コース、または隔週コースから選べます。

広島ひみつ野菜セット 1980円

広島ひみつ野菜セット 1980円

広島県といえば柑橘類のイメージが強いですが、
実はさまざまな野菜の栽培が盛んに行われている地域です。

温暖な気候である瀬戸内島しょ部や、積雪量の多い県北部など、
それぞれの自然環境を生かして多種多様な野菜が育まれています。

例えば、春に有名なのはやわらかく旨みの強いアスパラやエンドウ。
朝晩の気温がぐっと下がる秋には甘みを蓄えた根菜類やキャベツなど
1年を通しておいしい野菜がたくさん採れるところなんです。

「広島ひみつ野菜」では、しまなみリーフや紅芯大根、スイスチャードなどレアな農産物を詰め合わせている。

何より広島ひみつ野菜の特徴は
“新鮮でちょっと珍しい農産物”をコンセプトにしている点。
「しまなみリーフ」や「紅芯大根(こうしんだいこん)」、「スイスチャード」など、
スーパーでは見かける頻度の少ない、レアな農産物を詰め合わせています。

特に今は、瀬戸内海にある倉橋島で採れるフルーツトマトがおいしい季節です。
水を極力与えない栽培方法により、トマトの甘みがぎゅっと凝縮され、
なんと糖度は約10度にも及ぶそう!
一度食べるとやみつきになると話題なんです。

定期便には生産者や地元の飲食店シェフが考えたレシピもついてくるので、
はじめてお目にかかる野菜でもおいしく食べられますよ。

〈うなぎの寝床〉がはじめる、 「地域文化って何だろう?研究会」 とは? 〈ららぽーと福岡店〉で 企画展がスタート!

地域文化について​​一緒に考え学ぶ場を

福岡県八女市に拠点を置く、〈地域文化商社 うなぎの寝床〉。

久留米絣の〈MONPE〉など、福岡や九州を中心とした商品を扱ううなぎの寝床が、
創業10年の節目に新たな企画を立ち上げました。

それは「地域文化って何だろう?研究会」。

4月25日にオープンした
〈うなぎの寝床 ららぽーと福岡店〉と、
〈うなぎの寝床 旧寺崎邸〉でこれから1年を通して
「地域文化って何だろう?研究会」が始まります。

第1回目は、「九州ってどんなところ?」と題したプロローグを。以降「木」「土」「石」「竹」「ゴム」「わた」「染」「織」「紙」「鋳」「茶」「食」をテーマに展開する。

第1回目は、「九州ってどんなところ?」と題したプロローグを。以降「木」「土」「石」「竹」「ゴム」「わた」「染」「織」「紙」「鋳」「茶」「食」をテーマに展開する。

私たちが「地域文化」と聞いて思い浮かべるもの。

それは、歴史ある街並みであったり
自然豊かな風景、郷土料理、地域の季節のお祭り、
伝統工芸や地域独自のコミュニケーション、方言など、
思い浮かぶものは百人百様ではないでしょうか。

これまで地域の伝統産業と深く関わり、
つくりてやものを通してその文化や魅力を発信し続けてきた、うなぎの寝床。

大きな研究テーマを「地域文化って何だろう?」として、
毎月考える視点や切り口を変えて、12回の催しが行われます。

今回立ち上がった研究会と、
ららぽーと福岡にオープンした新店舗について、
うなぎの寝床の代表・白水高広さんにお話しを伺いました。

白水高広さん。八女市にある〈うなぎの寝床 旧寺崎邸〉の前で。

白水高広さん。八女市にある〈うなぎの寝床 旧寺崎邸〉の前で。

地域文化をあらためて考え学んでいく企画展、
「地域文化って何だろう?研究会」を始めるきっかけとは?

「うなぎの寝床は2012年に八女で創業して、
これまで筑後のものづくりの先に、地域資源やつくりての背景、
地域文化をどう伝えるか? を仕事と思い、
『地域文化商社』という名称でやってきました。

昨年から今年にかけて、新しいスタッフが例年よりも多く加わったので
より社内で勉強していかないといけません。

200社近くの取り扱い商品があり、素材、種類、つくり手もいろいろ。

工業製品もあれば手仕事のものもあり製造工程もさまざまです。

地域文化という曖昧性のあるものを、
まず、自分たちがちゃんと学んでいくことを含めて、
地域文化を考える『研究会』という名前がいいんじゃないかと決めました」

地域文化というものを、
明確に「これだ!」と定義することは難しいもの。

その土地に住んでいながらも、身の回りの地域や文化について
「実はよく知らない」という人は少なくないのではないでしょうか?

あらためて「地域文化って何だろう?」と、興味が湧いてきますね。

東京の森と暮らしをつなげていく。
〈東京チェンソーズ〉が目指す
小さくて強い林業が切り拓く未来

「林業」と聞くと、木を切って市場に流通させるハードワークなイメージがある。
逆に言えば、それ以上のことは何も知らないというのが一般的な感覚ではないだろうか?
〈東京チェンソーズ〉が生業としているのは、
東京の森に木を植え、育てて伐採したものを生かし、まちに届けること。
異業種から林業に飛び込んだ、4人の熱き“林業マン”たちから始まった
〈東京チェンソーズ〉は次世代に林業の可能性を届けること、
そして、林業をあらゆるかたちに事業展開し、
“小さくて強い、顔の見える林業”の実現で、
東京の森と暮らしの共生を目指している。

〈東京チェンソーズ〉の創業は2006年。4人からスタートし現在は若手を中心に30数名の社員・スタッフがいる。

〈東京チェンソーズ〉の創業は2006年。4人からスタートし現在は若手を中心に30数名の社員・スタッフがいる。

何も知らないまま林業の世界に飛び込んだ

〈東京チェンソーズ〉のある檜原村(ひのはらむら)は、都心からクルマで西へ約90分。
東京都の島しょ地域以外で唯一の「村」でありながら、
3番目に広い面積を有している。村内の約9割が山林であり、
約6割が秩父多摩甲斐国立公園の指定地域という自然豊かなエリアだ。

葉つきの枝から根っこまでを部位ごとに販売する「1本まるごと販売」。
子どもたちに木の心地良さを伝えるためのワークショップ「森デリバリー」。
「ウッドデザイン賞」を受賞した、
木製の雑貨やおもちゃをカプセルに封じた「山男のガチャ」など、
〈東京チェンソーズ〉は林業界でイノベーティブな活動を次々と展開している。

しかし、同社の主軸となる「林業」となると、
木を伐って市場で売ること以外はわからない、想像がつかない世界でもある。
そこで今回は、創業メンバーのひとりである
コミュニケーション事業部の木田正人さんに、各種取り組みについてお話を聞いた。

「私も林業のことはまったく知らなかったんです。
近年は担い手が少なく、山が荒れたことで
土砂災害が増えているというニュースを耳にしていたくらい。
自分がやるとは思ってもいませんでした。
そもそも転職してなるような職業だと思っていませんでしたから(笑)」

木田さんは田舎町をあてもなくドライブすることが趣味だったという。
その際、過疎の村や放置された自然の風景も目にしていた。
林業に興味を持ったきっかけは、山の仕事が特集された雑誌を読んだこと。
現代の木こりには転職組もいることを知り、さらに調べるようになった。

木田さんは〈東京チェンソーズ〉創業メンバーであり最年長。半分以上が20、30代の若手メンバーだ。

木田さんは〈東京チェンソーズ〉創業メンバーであり最年長。半分以上が20、30代の若手メンバーだ。

「林業には、木を切ったりする作業面と、自然の状態を整える環境面のふたつがあるんです。
私は環境面に興味を持ったタイプですね。
旅するなかで見た美しい景色を守るため、
自分も何か役に立つかもしれないと思ったわけです」

そこで見つけたのが東京都森林組合の募集だった。
森林組合は、山の所有者が組合員となって共同で山を管理・整備する組織。
組合員(所有者)のほかに作業を担当する者がいる。
当時の森林組合の仕事は、木がまだ大きく育ってないこともあり、
間伐や枝打ちなど育林と呼ばれる作業がほとんどだった。

「実際にやってみると、林業ってすごく楽しい仕事なんです。
間伐するとこれまで手つかずだった山がパッと明るくなって、
風が通ってすごく気持ちいい環境になるんです」

そのまま長く続けたいと思っていたが、
森林組合の稼ぎは決していいといえるものではなかった。

「結婚して子どもができるとなると、なかなか厳しいものがあるのが実情です。
そのことは森林組合の方々もわかっているわけですが、
年金を受給しながら働いている方なども多いなか、
若手の給料だけを上げるわけにもいかない。
そんななか、今後は作業の外注化も増やしていくことを聞き、
日本の森に対する考え方が近いメンバー4人で独立しようとなったんです」

独立して8年。初めて持った自分たちの山でまず行なったのが作業道づくり。

独立して8年。初めて持った自分たちの山でまず行なったのが作業道づくり。

日南市〈PAAK HOTEL 犀〉前編
築100年の素朴な古民家を宿泊施設に

PAAK DESIGN vol.8

宮崎県日南市で建築デザイン、宿泊や物販など、幅広い手法で地域に関わる、
〈PAAK DESIGN株式会社〉鬼束準三さんの連載です。
 
築100年の日本中どこにでもあるような、
しかし徐々になくなりつつある古民家をリノベーションし、
宿として自社運営するお話です。
 
このプロジェクトでは、ハード部分として古民家の改修をするとともに、
自社で運営するにあたってソフト部分の設計・構築も行いました。
前編では、ハード部分の設計から
古民家のリノベーションが完成するまでをお届けします。

物件との出合い

この古民家との出合いは、意図せず訪れました。
2017年、新卒入社したスタッフが他県から日南市に移住するにあたって、
住まいを探していたときでした。
最初はウェブで賃貸アパートを探していたのですが、
「せっかく田舎にきたんだから一軒家を借りて過ごすのもいいな」と、
日南市が運営する空き家バンクを見ていたところ、
売買物件であるこの古民家を見つけたところから始まります。
 
スタッフが「この物件、なにか活用できたりしますか?」と見せてきたとき、
敷地や建物規模も大きすぎず、
「建物の状態によっては、なにか活用できるのでは……」と思いました。
すぐ市に連絡して所有者にアポをとってもらい、物件を見に行ってみることに。

道路側から見た既存の外観。敷地面積:181.81㎡(55坪)/床面積:109.74㎡(33坪)

道路側から見た既存の外観。敷地面積:181.81㎡(55坪)/床面積:109.74㎡(33坪)

実際に見てみると、外壁はもともと木張りだったものが老朽化し、
上から木目調のトタンが張られ、屋根は昭和後期にのせ替えられたであろう
質の良くないコンクリート瓦が葺かれていました。
風呂、台所、トイレなどの水回りも、昭和後期に
母屋にとってつけたかのように増築され、ベニアなどで質素に仕上げられた様子。

既存の内観。

既存の内観。

しかし、約20年近く空き家で放置されていたにもかかわらず、
雨漏りしていなかったこともあり、室内は空き家独特の湿った感じも少なく、
カラッとした空気感がありました。
私には、長い間誰にも見つけてもらえなかった宝物のような、
眠れる獅子が起こされるのを今か今かと待っているような、そんな感覚を覚えました。

既存内部(床の間)。床の間と縁側は状態が良く損傷も少なかった。床はところどころ床下地が老朽化して、今にも床が落ちそうな状態だった。

既存内部(床の間)。床の間と縁側は状態が良く損傷も少なかった。床はところどころ床下地が老朽化して、今にも床が落ちそうな状態だった。

当時の所有者からは「飫肥城下町にある古い建物であり、
自身や先祖の思い出が詰まっているので、建物の持ち味をなるべく生かしてほしい」
との要望がありました。
日本中どこにでもある、だけどどんどん失われていく古き良き文化が詰まった建物と
このまちの風景を自分の手で残してみたいと思い、
2017年6月中旬、ちょうどパークデザインを創業した時期に
この築100年の古民家を購入することにしました。

参加者大募集中! 東京諸島の未来を創る ワークショップ型イベントが開催

第1回目のテーマは「島の食」

大島、ひいては東京諸島全体を盛り上げるために東京都のバックアップのもと、
“あなたらしい大島の物語”をつくっていくことを目指し、
さまざまな活動を行っていく「東京都離島区大島プロジェクト」

こちらの記事でプロジェクトのキーパーソンとして紹介した、
ウェブメディア『東京都離島区』を運営する
〈株式会社TIAM〉の伊藤奨さんと千葉努さんが、
4月22日(金)に東京〈OTEMACHI KORTO〉で
イベント〈Be Think 都市と離島のNew Being〉を開催します。

会場となるOTEMACHI KORTO。ここは、「働く人と働く場所の未来をつくる」をブランドパーパスに掲げ、多様化する働き方に順応した新たなワークスタイルや環境の創造に取り組む株式会社フロンティアコンサルティングの本社オフィスでもあります。

会場となるOTEMACHI KORTO。ここは、「働く人と働く場所の未来をつくる」をブランドパーパスに掲げ、多様化する働き方に順応した新たなワークスタイルや環境の創造に取り組む株式会社フロンティアコンサルティングの本社オフィスでもあります。

同イベントは、都市と東京諸島の関係性やそれぞれのリソースを見つめながら、
テーマに基づき参加者が対話を重ねアウトプットすることで、
イノベーションと共創を生み出していく、ワークショップ型イベントです。

キンメダイの煮付け

キンメダイの煮付け。

記念すべき第1回目のテーマは「島の食」。
東京諸島の多様な風土や文化が育んできた「食」をテーマに
参加者と新たな可能性を探ります。

このイベントに参加することで、離島について学べたり、
新しい出会いや人脈が広がり、自分の知識やアイデアを生かし、
プロジェクトの企画・運営に関わることも可能なのだそう。

函館市〈常盤坂の家〉
痕跡をたどるリノベーション。
和洋折衷の古民家を建築家の自宅へ

富樫雅行建築設計事務所 vol.1

北海道の函館市で設計事務所を営む富樫雅行です。
事務所を立ち上げ、施工や不動産賃貸、店舗など小さく広く挑戦して10年。
この連載では、函館市西部地区を中心とする活動についてお届けしていきます。
 
まずは独立するにあたって、最初に基礎を築いた自邸、
〈常盤坂の家〉についてご紹介します。

ここにしかない景観

私は愛媛生まれの千葉育ちで、大学から北海道の旭川に渡りました。
学生時代にはインターンで東京の事務所に通ったのですが、
多忙すぎる仕事と都市生活に「ここでは暮らせない」と、北海道に残る決意をしました。
 
北海道では誰が何をやっているか顔が見える規模で
人口20~30万くらいの都市に絞ろうと、古いまち並みの残る函館で就職。
ところが紆余曲折あり一度函館を離れ、その後また戻って
建築家・小澤武氏の元で修業し、32歳で独立することができました。
(独立までの長い道のりについてご興味のある方は、
ウェブメディア『IN&OUT』のインタビューをご覧ください)

いわゆる“THE 観光地”の金森赤レンガ倉庫群前の七財橋から函館山方向を見る。右が函館港。

いわゆる“THE 観光地”の金森赤レンガ倉庫群前の七財橋から函館山方向を見る。右が函館港。

独立するなら、函館のなかでも旧市街地の西部地区に居を構えようと決めていました。
函館も西部地区を離れて郊外に行けば、日本のほかのまちと変わらない風景が続きます。
ところが西部地区は函館山の麓に広がるエリアで、津軽海峡と函館港の海に囲まれ、
その向こうには駒ヶ岳が望めます。
 
まちには路面電車やロープウェーが走り、
開港都市として西洋文化の香るレトロな建物群もあり、
多様な要素によってつくりあげられた、“ここにしかない景観”が広がるまちなのです。

西部地区の課題:人口減とまち並みの変化

長い坂道が続く常盤坂の上から函館港を見下ろす。“THE 観光地”から少し外れた素朴な日常の暮らしの風景がまちの魅力に厚みを増す。左の古民家はのちにリノベした〈ごはんおやつシプル〉。

長い坂道が続く常盤坂の上から函館港を見下ろす。“THE 観光地”から少し外れた素朴な日常の暮らしの風景がまちの魅力に厚みを増す。左の古民家はのちにリノベした〈ごはんおやつシプル〉。

僕にとっては魅力溢れるまちですが、
地元の人にとっては雪国で坂道というダブルパンチで、
郊外への移転は増加傾向にあります。
所狭しと建てられた建物の越境問題や隣家に屋根の雪が落ちる問題もあり、
多くの建物は上手く継承されずに解体されていくのが現状です。
 
そもそも函館はペリーが来航し、横浜・長崎とともに
日本で最初に開港したまちとして有名です。
それ以前には北前船の寄港地として栄え、明治以降は北洋漁業の基地として栄え、
当時は函館が東京以北最大の都市であり、その中心が西部地区でした。
 
いまも多くの貴重な建物が残っていますが、
それらは観光地化された見世物としてではなく日常の暮らしと共存していて、
そんな素朴な雰囲気が気に入っています。
 
とはいえ、高度成長期後に建てられたのはマンションと建て売りの住宅ばかりで、
函館の個性を生かした建物は少なくなってきています。
古き良き時代の建物が残っていても、空き家が目立ち活用されるのはわずかで、
誰も見向きもしない。
 
「なぜ誰もやらないんだ」という思いから、
「それならば、独立をきっかけに自分がやろう。
西部地区で建築をやるからこそ意味がある」
と、そんな思いも西部地区に根を張るきっかけとなりました。

廃校活用の新しい形!
フェス会場から醤油蔵まで
第二の人生を送る地域の資産

撮影:佐々木育弥

全国各地のローカルでは、廃校となった学校が数奇な運命を経て
あるゆる業態に姿を変えて、第二の人生を送っている。

公的施設や、地域の人のための体験交流の場なら想像に易いが、
音楽フェスの会場や、お花見会場、はたまた醤油蔵まで
「学校」を舞台にした、華麗なる変貌ぶりには
校舎の無限の可能性が感じられる。

2002年度から2020年度までに全国で廃校となった7398校のうち、
新たな人生を送っている校舎は74.1%の5481校。
これまでコロカルが取材してきたユニークな廃校利活用の事例を見ていこう。

廃校活用プロジェクト:01 
森の学校/みる・とーぶ

北海道岩見沢市に移住した來嶋路子さんは、
息子が通っていた岩見沢市立美流渡(みると)小・中学校の廃校を目の当たりにした。

見て見ぬ振りをしていてはいけないという思いと
荒んでいく学校を息子に見せたくないという
悶々とした気持ちを抱えていたときに、地元の北海道教育大学岩見沢校から、
來嶋さんが代表を務めている地域PRプロジェクト〈みる・とーぶ〉に、
廃校活用に協力してほしいという依頼を受けた。

そこで來嶋さんは、炭鉱街として栄えた美流渡の小中学校を、
北海道教育大学の学生の手によって復活させるというプログラムを提案。
そこで誕生したのが、学生たちが炭鉱街としてにぎわった歴史を探り、
イベントや施設利用の企画を生み出し、発信していく
ラボスペース〈森の学校 ミルト〉だ。

展示会会場や、宿泊施設、保育園、アーティストインレジデンスなど
学生たちとともに、さまざまなアイデアを出し合うと、
まもなくして、閉校になった小学校に通っていた子どもたちを集めて
教育大生によるイベントが開催された。

撮影:tacaё

美流渡小・中学校は、その後決められた利活用方法が定まっていないが、
現在も〈みる・とーぶ〉が中心となって、地域の人と話し合いながら
時間をかけてさまざまな取り組みを進めている。

【美流渡小・中学校の廃校後の軌跡】
#01:全校生徒は7名。岩見沢の山あいの小学校が閉校
#02:小中学校を活用して〈森の学校 ミルト〉をつくりたい!
#03:美流渡の廃校、想いをかたちにするための方法を考える
#04:〈良品計画〉が取り組む廃校舎活用から考えるまちづくり
#05:旧美流渡中学校の校舎再生プロジェクト
#06:美流渡らしい旧校舎の活用が始まる
#07:旧美流渡小・中学校にアートの力で賑わいを
#08:閉校した校舎で移住者による展覧会
#09:多くの来場者が訪れた予想外のにぎわい

“おもしろい地域には、 おもしろいデザイナーがいる?” 「おもデザ本」で読み解く、 地域×デザインの実践!

地域デザイナー21名の、リアルで実践的なエピソード満載!

“地域にいるデザイナーって、どんな活動をしているの?”
そんな素朴な疑問を紐解くことができる、
興味深い1冊の本が出版されました。

2022年3月に学芸出版社から発行された、
『おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる -地域×デザインの実践』。

日本各地で活躍する21名のデザイナーの活動に焦点を当て、
彼らがデザイナーになったきっかけや
地域と関わるようになった理由など、
それぞれ異なる視点からデザイナー自身の言葉で書かれています。

そんな地域とデザイナーの“今”が見える、「おもデザ本」。
少しだけ中身を覗きながら、ご紹介します!

原研哉さんもコメントを寄せられたように「地域の時代が始まったわけではなく、昔から変わらない価値がそこにある」。

原研哉さんもコメントを寄せられたように「地域の時代が始まったわけではなく、昔から変わらない価値がそこにある」。

「おもデザ本」は、
新山直広さんと坂本大祐さんが編著者を務めます。

新山さんは2009年に福井県鯖江市に移住し、
鯖江市を拠点に活動するデザインスタジオ〈TSUGI〉を設立。
地域特化型のインタウンデザイナーとして、
地域や地場産業のブランディングを行います。

坂本さんは2006年に奈良県東吉野村に移住後、
〈合同会社オフィスキャンプ〉、
〈一般社団法人ローカルコワークアソシエーション〉を設立、
全国のコワーキング施設の開業サポートなどを行なっています。

左から著者の吉野敏充さん、堀内康広さん、編集者の中井希衣子さん、編著者の新山さん、坂本さん、著者の土屋誠さん。出版記念イベントにて。

左から著者の吉野敏充さん、堀内康広さん、編集者の中井希衣子さん、編著者の新山さん、坂本さん、著者の土屋誠さん。出版記念イベントにて。

それぞれの地域で活躍するおふたり。
「未来を考えるインタウンデザイナーのものづくり」など
地域とデザインをテーマに発信しています。

新山さんは、
「『デザイン』という言葉から、広告やパッケージをはじめとした
魅力的なグラフィックの領域をイメージするかもしれないが、
ここでいうデザイナーは、従来のデザインの枠を超え、
人、歴史、産品、土地、自然といった地域の資源を
複合させて新たな価値を生み出す人々である」と本書に綴っています。

まさに、働き方も多様化し東京一極の流れから
地方へ分散してきているご時世。

その土地の魅力的な資源をフルに活用した
地域の新しい価値創造が、着実に動き出しています。

本書では豊富な写真とデザイナー自身のメッセージ、活動遍歴などが紹介されている。「あの時、屋号が決まった」ミニコラムも活動立ち上げの背景を垣間見れて面白い。

本書では豊富な写真とデザイナー自身のメッセージ、活動遍歴などが紹介されている。「あの時、屋号が決まった」ミニコラムも活動立ち上げの背景を垣間見れておもしろい。

北海道から九州まで各地域の実践例と活動内容がぎっしり。

北海道から九州まで各地域の実践例と活動内容がぎっしり。

本書の一文を紹介しましょう。
「移住して数年後、
河和田でお世話になった職人たちに『デザイナーになる』と
伝えた時のことは今でも忘れられない。
彼らは『デザイナーは詐欺師だ』と言ったのだ。

(中略)地域の課題を見つけ、
どのような手段で解決していくのか。
そのプロセスを考え実現するところまで求められるのが、
地域のデザイナーだと痛感し、
『売るところまで責任をもつデザイナーになる』と心に決めた」
(新山直広さんまえがきより)

なぜその地域でデザイナーになることを決心したのか。
なぜ多くのデザイナーが分野外の範疇まで
取り組みながらも地域の課題に挑戦するのか。

そんなリアルで実践的なエピソードが綴られているのが
「おもデザ本」の魅力です。

都会で生活しながら地方で農業!? シェア畑の新しいかたち 〈畑あそぼ村 FARMY in 信州〉

農家と二人三脚で農業を楽しむ新サービス

コロナ禍で健康や自然への関心が高まっている現在、
農家と畑をシェアする「シェア畑」をよりアップデートした“シェア農家“サービス
〈畑あそぼ村 FARMY in 信州(以下FARMY)〉が今春始動しました。

サービスの内容は、信州にある農家・田畑のオーナーになり、
農家と一緒に農作業を楽しみながら、
無化学肥料・無農薬の野菜を定期的に購入できるというもの。
月に1回、5〜8種類の野菜の配送があり、
秋口になると1世帯当たり30キロのお米(11月以降予定)の配送があります。

一般的なシェア畑は、畑の一部の区画を個人利用者に解放・シェアし、
利用者自身が栽培・管理するシステムですが、
管理が難しく、効率さを求めて化学肥料を使用したり、
隣の区画からの作物や雑草・散水の侵入、農薬・肥料など害虫対策・農法の違いなど、
他の利用者とのトラブル発生といったさまざまな課題があるといいます。
一方でFARMYは、利用者複数人でひとつの農家を間接的に所有し、
日々の畑の管理をプロの農家に委託することでそういった問題が回避できるのだそう。

畑あそぼ村 FARMY in 信州

このシステムは「地域支援型農業/CSA(Community Supported Agriculture)」
と呼ばれ、消費者が農家に一定額を先に支払うことで、
農家から農作物を直接定期購入でき、
生産者は安定的な収入を得て、収穫量と収入減少の防止をはじめ、
少量多品目の生産、フードロス抑制などのメリットが生まれるというもの。

余白があるからチャレンジできる。
「デザインとクリエイターの力」で
盛り上げる静岡県焼津の
まちづくりとは?

静岡市から電車で約10分。
東京にも1時間20分ほどで出られる焼津市。
江戸時代からカツオやマグロなどの水産業が盛んで、
静岡県で愛されている黒はんぺんは、このまちの名産品となっている。

水産業が盛んな焼津。ツナ缶などはふるさと納税の返礼品でも人気だ。

水産業が盛んな焼津。ツナ缶などはふるさと納税の返礼品でも人気だ。

現在まちの人口は約13.7万人。
郊外に住宅地が広がる一方で、駅前の商店街の人通りはまばら。

「昔は隣を歩く人と肩が触れるくらい
駅前の商店街も賑わっていたそうです。
シャッター街とまではいわないですが以前よりは少し寂しくなっていますね」

人通りはまばらだが、港まちらしく温かく人情味のある焼津駅前商店街。

人通りはまばらだが、港まちらしく温かく人情味のある焼津駅前商店街。

そう語るのは、焼津駅前商店街でコワーキングスペース
〈Homebase YAIZU〉を運営する〈株式会社ナイン〉の代表・渋谷太郎さん。
焼津には若者が少ないというが、
ここHomebase YAIZUにはクリエイターの卵となる若者が集まっている。

4月応募開始。 森の価値をさまざまな切り口から 知る学び舎 〈伊那谷フォレストカレッジ〉

「ソーシャル・フォレストリー都市」宣言の伊那市で
「森に関わる100の仕事をつくる」

長野県伊那市の〈伊那谷フォレストカレッジ〉は2020年に開講した森の学び舎です。
キーワードは「森に関わる100の仕事をつくる」。
森の仕事というと林業ばかりに目が向きがちですが、
業界を超えて森の価値を再発見、再編集して、
豊かな森林をつくることを目指しています。
合宿形式を含む2022年度のカリキュラムは、4月に申し込み開始予定です。

「伊那谷フォレストカレッジ」が開講した長野県伊那市。

長野県南部に位置する伊那市は、
南アルプスと中央アルプス、ふたつのアルプスに抱かれた山間にあります。
その面積の82%が森林という自然環境に恵まれた土地で、
中央に天竜川が流れる伊那盆地一体は伊那谷とも呼ばれます。

伊那市は南アルプスと中央アルプスに抱かれた山間にあり、その面積の82%が森林という自然に恵まれた土地。

伊那谷地域では、森林資源の有効活用の事例が他エリアに比べて豊富ですが
林業など森や樹木に関わる仕事の担い手不足は
他の地域と同じく地元の課題となってきました。

伊那谷地域では森林資源の有効活用の事例が他に比べ豊富なものの、林業などの担い手不足が課題でした。

伊那市は「山(森林)が富と雇用を支える50年後の伊那市」 を基本理念とした「伊那市50年の森林(もり)ビジョン」を策定。

そして平成28年2月、伊那市は
「山(森林)が富と雇用を支える50年後の伊那市」 を基本理念とした
「伊那市50年の森林(もり)ビジョン」を策定。
森林の機能を見直し、伊那市から森の循環をつくり出して、
次の世代に引き継いでいこうというものです。

「伊那谷フォレストカレッジ」が目指すのは裾野広く、業界や地域を超えて、森に関わる仕事を再発見すること。

「伊那谷フォレストカレッジ」のキーワードは「森に関わる100の仕事をつくる」。

このビジョンを実現するため、
伊那市は「ソーシャル・フォレストリー都市」 を宣言。
ソーシャル・フォレストリー都市として
市民が主役となって自立的な経済の循環を構築し、
社会が森林を育て、森林が社会を豊かにするまちづくりを行なっています。

ソーシャル・フォレストリー都市として実践される施策の中でも
キーワードを「森に関わる100の仕事をつくる」とした
伊那谷フォレストカレッジが目指すのは、
裾野広く、業界や地域を超えて、森に関わる仕事を再発見すること。
そして、森と暮らしをつなぐ担い手を増やすことです。

伊那谷フォレストカレッジでは伊那谷の歴史や文化を起点に、
さまざまな背景を持つ人たちが集い、混ざり合うことで
林業や木材事業に限らない、新しいサービスや仕事をつくり出し、
森を担う人たちを増やしていくことを目指しています。

そのためには、さまざまな業種はもちろん、
都市を含めた伊那市内外の人とあらゆる角度から一緒に取り組み、
学び合っていこうというのが伊那谷フォレストカレッジという学びの場です。
受講対象となるのは伊那谷の森に関わりながら
暮らしをつなぐ事業や活動を行いたいという気持ちのある人なら誰でも。

伊那谷フォレストカレッジは、初年度の2020年と昨年2021年は
コロナ禍の影響でオンラインでの開催となりました。
2021年は計6回のカリキュラムで授業を実施。
各回、さまざまな業界で活躍されている方々2名を講師に迎え、
伊那市で活躍する地域プレーヤーと、
合わせて3名がクロストークを展開する形で講座が開かれました。

〈DAILY SUPPLY SSS〉 東京・池上に〈L PACK.〉の コーヒースタンド+日用品店+ ギャラリーがオープン!

池上に誕生した、アートと日常の交差点

2022年3月19日、東京都大田区池上に、
アーティストユニットL PACK.のショップ/ギャラリー
〈DAILY SUPPLY SSS(デイリーサプライエスエスエス)〉が移転オープンします。

池上では、3年間にわたってまちづくり拠点〈SANDO BY WEMON PROJECTS〉を
運営してきたL PACK.。
同拠点は2022年1月にクローズしましたが、同じ池上の地に
横浜にあったDAILY SUPPLY SSSを移し、新たな試みを展開していくようです。

L PACK.のことを初めて知ったという方のために、少しご紹介を。
彼らは小田桐奨さんと中嶋哲矢さんによるユニット。

アーティストユニットL PACK. 左から中嶋哲矢さん、小田桐奨さん。Photo : Koichi Tanoue

アーティストユニットL PACK. 左から中嶋哲矢さん、小田桐奨さん。Photo : Koichi Tanoue

静岡文化芸術大学の空間造形学科で出会い、建築を学んだ二人は、
人が集う場を「建築」として提案したいと考えるように。
2007年よりアーティストユニットとして活動を始め、
最小限の道具と現地の素材を組み合わせた「コーヒーのある風景」をつくり、
まちの要素の一部となることを目指してきました。
主な活動に、廃旅館をまちのシンボルにコンバージョンする「竜宮美術旅館」(横浜 2010〜2012)や、
室内の公共空間を公園に変えるプロジェクト「L AND PARK」(東京 2011〜2012)、
旧寿司店を再生し、まちの社交場に変換させた
〈アッセンブリッジ・ナゴヤ〉での「UCO」(名古屋 2016〜)などがあります。

Photo : Koichi Tanoue

Photo : Koichi Tanoue

2017年には、建築家の敷浪一哉さんとともに
横浜市神奈川区にあった空き店舗を再活用し、
日用品店DAILY SUPPLY SSSをオープン。
さらに2019年には〈池上エリアリノベーションプロジェクト〉のまちづくり拠点、
SANDO BY WEMON PROJECTSを立ち上げ、プロジェクトメンバーとともに運営を行ってきました。

建築をバックグラウンドに持ち、「場」をつくることを軸に活動してきたふたりですが、
特徴的なのは、建物の再生からカフェのメニューづくり、
調理、接客まで、すべてを自分たちで行っていること。
その土地で出会った人たちと共同しながら設計を練り、
自らの手を動かしてリノベーションを行い、
オープン後も店に立ち、まちの人たちに接しながら
アップデートを繰り返していくという、新しいかたちの活動を続けているのです。
そんな彼らが開いたDAILY SUPPLY SSSがこれからどんなお店になっていくのか、楽しみですね。

じつはこちら、2月からプレオープンしているのですが、外観はこんな感じ。

Photo : Koichi Tanoue

Photo : Koichi Tanoue

ここはかつて、〈Flower Shop wnico(フラワーショップ ニコ)〉が入っていた建物。
その後は3年ほど空き家になっていたのですが、
昨年の秋にL PACK.が借り受け、リノベーションを開始。
当時はSANDO BY WEMON PROJECTSも運営していたため、
小田桐さんがSANDOを切り盛りし、中嶋さんが新店の改装デザインから工事までを行ったといいます。
何とも離れ業のコンビネーション!

DAILY SUPPLY SSSのリノベーションと工事を手がけた中嶋哲矢さん。Photo : Koichi Tanoue

DAILY SUPPLY SSSのリノベーションと工事を手がけた中嶋哲矢さん。Photo : Koichi Tanoue

立地は池上駅から徒歩2分の、交差点の角。
通りに面してコーヒースタンドがあり、
散歩中のおじいさんや子ども連れの家族が立ち寄ったり、
ママさんが自転車に乗ったままコーヒーをオーダーしたり。
とても風通しのいい、まちに開かれた空間になっています。

Photo : Koichi Tanoue

Photo : Koichi Tanoue

オープンしたばかりのスタンドでコーヒーを淹れる小田桐奨さん。Photo : Koichi Tanoue

オープンしたばかりのスタンドでコーヒーを淹れる小田桐奨さん。Photo : Koichi Tanoue

「先日幕を閉じたSANDO BY WEMON PROJECTSでは、
カフェを拠点にさまざまなイベントを行い、たくさんの出会いがありました。
今後は、池上で出会ったたくさんの人たちと一緒に、
お店とお客さんという関係を超えて、
おもしろいことをしていきたいなと思っています」(小田桐さん)

コーヒー豆はL PACK.が自ら焙煎しており、中南米やアフリカ、
東南アジアの豆を厳選し、常時5〜6種類用意。
浅煎りから深煎りのものまであり、最近はデカフェも人気です。

Photo : Koichi Tanoue

Photo : Koichi Tanoue

コーヒースタンドではドリップコーヒーやカフェ・ラテなどがオーダーできるほか、
エスプレッソをトニックで割った、ちょっと珍しいドリンクも。
そのほかに、ジュースやハーブティもあります。
フードは自家製ドーナツに、地元のソーセージと特注のパンを使ったホットドック。
ドーナツは、早くも人気になっているようです。

日用品は、諸国のプロダクトや洗剤、食器、掃除用具、食品などを販売。
今後は、はかり売りの商品も登場するようです。

Photo : Koichi Tanoue

Photo : Koichi Tanoue

福島の食とモノが集結! オンラインで 〈ふくしまみらい販福祭〉開催中

福島由来のユニークな商品が誕生

福島県の食品や工芸品をオンラインで販売する〈ふくしまみらい販福祭〉。
県内の事業者により開発された新商品が、
応援購入プラットフォーム〈Makuake〉でお披露目されています。

日本酒をベースにしたリキュールを開発したのは、
浪江町の〈鈴木酒造店〉。東日本大震災で酒蔵が倒壊しましたが、
山形県長井市で廃業となる〈東洋酒造株式会社〉を買い受け、
事業を再開した蔵元です。
2021年3月には浪江町に戻り、新しい醸造所での酒造りを始めています。

鈴木酒造店による〈フィトテラピーリキュール01〉。応援購入は3本セットの3,040円~。

鈴木酒造店による〈フィトテラピーリキュール01〉。応援購入は3本セットの3,040円~。

フィトテラピー(植物療法)の考えに基づき、
ハーブをブレンドした〈フィトテラピーリキュール〉は3種類あり、
鈴木酒造店の代表銘柄〈磐城壽(いわきことぶき)〉の
貴醸泡酒をベースにつくられました。

合わせているハーブは、
南相馬市のフルーツ専門店〈やまさん〉が手がけた、
ハーブを煮詰めたシロップ「ハーブコーディアル」です。
地場食材の生産の再開はまだ難航していると言われていますが、
いずれは波江町や南相馬市産のハーブをつくり、
新商品を開発していきたいとも考えているのだそう。

やまさんの〈フィトテラピーコーディアル〉(写真奥)は、今回、湯川村のお菓子工房〈domille(ドゥミール)〉ともコラボ。会津地方産の農産物を使用した〈12か月のジェラート〉の人気店で、〈フィトテラピーアイス〉(写真手前)を開発しました。応援購入は3個セット2,900円~。

やまさんの〈フィトテラピーコーディアル〉(写真奥)は、今回、湯川村のお菓子工房〈domille(ドゥミール)〉ともコラボ。会津地方産の農産物を使用した〈12か月のジェラート〉の人気店で、〈フィトテラピーアイス〉(写真手前)を開発しました。応援購入は3個セット2900円~。

埼玉のお土産の決定版! 〈埼玉県新商品AWARD 2021〉の 受賞商品は?

埼玉県の魅力ある商品を発掘し、国内外へ発信することを目的とした、
〈埼玉県新商品AWARD〉。
第1回では贈り物としてはもちろん、
おこもり時間を有意義に過ごせるようなすぐれた県産品が受賞しました。

この〈埼玉県新商品AWARD〉の第2回が開催され、
大賞、金賞、入賞、そしてグローバル賞が発表。
今回も『colocal』より、編集長の松原亨が審査に参加しました。
埼玉を代表するにふさわしい、すてきな商品が勢揃いです。

和梨のビールが新しい! 大賞は〈コエド 夏果2021〉

〈埼玉県新商品AWARD〉第2回大賞は和梨のクラフトビール〈コエド 夏果2021〉。

県内外からもファンが多いクラフトビール〈コエド〉。
2021年夏の限定商品が大賞を受賞しました。
〈夏果2021〉と名付けられたビールには、和梨が原材料に含まれています。

醸造所のある東松山市は、約60年前より和梨の栽培が始まり
観光のひとつとして定着してきましたが、広く知られてはおらず、
より多くの方に東松山の和梨と埼玉県の魅力、また新しいビール文化を
知ってもらうためにと和梨を使ったのだそうです。

和梨でビール? とその味わいや工程に関心も大きいと思います。
上品な甘みとみずみずしさが特徴の埼玉県品種〈彩玉〉の梨を贅沢に使用。
甘みと水分量が豊富で非常に食べやすい果物ですが、
すっきりした味わいで果肉の香りも落ち着いているため、
どのように風味を引き出すかが課題だったのだとか。
そこで細かくピューレ状に加工してからビールに漬けたことで、
和梨の風味をビールへ溶け込ませることができたのだそうです。

クラフトビール〈コエド 夏果2021〉は上品な甘みとみずみずしさが特徴の埼玉県品種〈彩玉〉の梨を贅沢に使用。

こうしてできたビールは、
和梨のほのかな甘みとオーツ麦由来の滑らかな口当たりを感じられる仕上がりとなりました。
残念ながら現在は完売ということで、またの登場に期待したいところですね。

県民ライターが地元情報を発信 「コメジルシプロジェクト」の 記事執筆講座で 新潟県民ライターが活躍中

新潟の今を伝えたい! 県民が独自の視点で伝える新潟の情報

2021年秋に実施した、
新潟県と『colocal』編集部共催の「新潟コメジルシプロジェクト」内企画
「地元をおもしろくする10人の発信力」オンラインセミナー
このオプションプロジェクトとして、
一般視聴者のなかから有志の県民10名が参加する「記事執筆講座」が行われ、
さっそくその成果をこちらのページで披露しています。

ライターの方々のバックグラウンドはさまざまで、
学生、地元企業のオウンドメディア担当、ミニコミ誌や地元出版社の編集者も。
企画を通して、県民が自発的に新潟の魅力を
それぞれのSNSやブログなど活用して活発に情報発信できるよう
『colocal』の編集長・編集スタッフが企画の立て方から取材アポイントの入れ方などの
“記事制作のいろは”から、実際の執筆におけるテクニックまで、
その編集スキルを手とり足とり惜しむことなく伝授しています。

県民ライター長谷川円香さんによる、屏風や組子細工などを製造販売する〈大湊文吉商店〉の取材記事。

県民ライター長谷川円香さんによる、屏風や組子細工などを製造販売する〈大湊文吉商店〉の取材記事。

こうして出来上がった記事の例としては、商店街の朝市についてレポートや、
県内の文化施設の紹介、農家に聞く農家の働き方改革についてなど。
ローカルなアクションや、小さくてもホットなトピックほか、
身近にある新潟の魅力が、独自の視点で切り取られているところが
この記事のおもしろいところです。ぜひご覧ください!

information

新潟コメジルシプロジェクト

探検、ものづくり、お祭りが魅力! 山口県美祢市、防府市、 島根県津和野町をつなぐ[後編]

〈山口ゆめ回廊博覧会〉で感じた7市町の魅力

2021年7〜12月にわたって開催された〈山口ゆめ回廊博覧会〉は、
山口市、宇部市、萩市、防府市、美祢市、山陽小野田市、島根県津和野町と、
それぞれの地域の特性を生かした催しとなりました。
この博覧会でそれぞれのまちに魅力があることを知りましたが、
まだまだ訪れてみたいスポットやお店がたくさん存在します。
そこで、山口ゆめ回廊博覧会のテーマとなっていた
「7つの市町でつなぐ、7色の回廊」に合わせて、
芸術、祈り、時、産業、大地、知、食というテーマで注目スポットを紹介します。
前編に続いて、
後編は防府市の時、美祢市の大地、島根県津和野町の祈りの魅力を紹介します!

美祢市〈秋吉台アドベンチャーツアーズ〉
「大地」を体感する冒険の旅へ

山口県中央部に位置する美祢市には、
自然豊かで壮大な秋吉台が広がります。

日本最大級のカルスト台地である秋吉台は、
地表には草原が広がり、その地下には
総延長約11キロメートルの日本最大規模の鍾乳洞〈秋芳洞〉が広がっています。
見るものを圧倒する、地下の世界はとても美しい。

そんな秋吉台の洞窟を、
専門家のガイド付きで探検できるツアーをご紹介します。

秋芳洞の入り口。

秋芳洞の入り口。

〈秋吉台アドベンチャーツアーズ〉は、
2021年春に設立された新しい洞窟探検ツアー専門の事業者です。

洞窟探検の専門家として活動する村瀬健志さんが主宰し、
これまで多くの参加者に洞窟の魅力を伝えてきました。

小学生から高齢の方まで幅広く参加しているというツアーのコースは3つ。

地底湖と洞窟探検がセットになった入門コース、
入門コースに鍾乳石見学が加わった探検コース、
日本最大の地底湖「青の泉」を目指すコースが用意されています。

地底湖にボートを浮かべたり、泥の滑り台を滑り降りたりとアクティブな体験ができるかも。

地底湖にボートを浮かべたり、泥の滑り台を滑り降りたりとアクティブな体験ができるかも。

知識豊富な村瀬さんのガイドは、
鍾乳洞の成り立ちや歴史の説明もさることながら
安全に楽しくガイドしてくれると参加者から好評だそう。
参加者のご要望に合わせたコース設定も可能です。

またつなぎ服、長靴やヘルメットなど必要な道具を
貸し出してくれるので手ぶらで参加OK! 
ただし、泥だらけになる覚悟は必要です。

ケイビングと呼ばれる洞窟探検は、
アウトドアスポーツとしても近年人気のアクティビティ。

秋吉台アドベンチャーツアーズのツアーなら、
本格的なケイビングに挑戦できること間違いなし!
小さなお子さんも安全第一でサポートしてくれるので安心ですよ。

3億5000万年前の大地が生み出す神秘的な光景を、
あなたもアドベンチャーズになって体験してみませんか?

information

map

秋吉台アドベンチャーツアーズ

住所:山口県美祢市秋吉台山1237-216

Tel:080-4555-4264

Mail:akiyoshidaicaving@gmail.com

Web:秋吉台アドベンチャーツアーズ

徳島県上勝町発 杉の間伐材からできた天然繊維 〈KEETO〉

KEETO。左から20番手、10番手、5番手、3.3番手。

森林環境の向上にも貢献

徳島県徳島市から車を50分ほど走らせたところにある上勝町。
近年は〈上勝町ゼロ・ウェイストセンター〉をはじめ、
まち全体で持続可能な取り組みが盛んに行われています。

その上勝町から、この冬誕生したのが木糸ブランド〈KEETO(キート)〉
立ち上げたのは、〈合同会社すぎとやま〉です。

緑豊かな上勝町の山間。

緑豊かな上勝町の山間。

上勝町は面積の90%が山林のまち。そのほとんどが杉の人工林です。
この人工林ですが、戦後日本各地で大量に杉や檜の造林が行われて生まれたもの。
定期的な手入れをしないと森の生態系のバランスが崩れ、
洪水や土砂崩れを引き起こす原因になると言われており、
今、社会問題にもなっています。

KEETOは杉の間伐材から生まれた、自然循環への貢献性が非常に高い木の糸。

KEETOは、そんな杉の間伐材から生まれた、自然循環への貢献性が非常に高い木の糸。
特徴は、杉本来の高い抗菌力に加え、糸にすることで軽量・速乾・吸水性が際立ち、
土に還るのも早いのだそう。

左から20g 1320円、200g 3520円、500g 7700円、1000g 500g〜はグラム単位で価格を計算。

左から20g 1320円、200g 3520円、500g 7700円、1000g 500g〜はグラム単位で価格を計算。

太さの種類は、20番手、16番手、10番手、3.3番手の4種類。
1巻が20g、200g、500g、1000gほど種類があります。
用途によってさまざまな使い方ができそうですね。

『福島ソングスケイプ』
アーティスト・アサダワタルが
復興公営住宅の住民とつくる作品

歌と物語の「ドキュメント音楽」

東日本大震災からちょうど11年となる2022年3月11日、
「アサダワタルと下神白(しもかじろ)団地のみなさん」によるCDアルバム
『福島ソングスケイプ』がリリースされる。

「下神白団地」とは、東京電力福島第一原子力発電所事故により、
富岡町、大熊町、浪江町、双葉町から避難してきた人々が住む、
いわき市小名浜にある福島県営復興公営住宅だ。

左側が下神白団地。

左側が下神白団地。

ディレクターを務めるミュージシャンで文化活動家のアサダワタルさんは、
この団地で暮らす人々を「住民さん」と呼ぶ。
『福島ソングスケイプ』では、住民さんがまちや人生の思い出を語り、
当時の懐かしい曲を歌い、ミュージシャンたちで結成した、
伴走型ならぬ“伴奏型”支援バンドがバック演奏を行っている。

例えば、嫁いでから苦労を重ねてきたと話す女性は、
いまでは「歌ねかったら死んでるの」「ごはんより歌」というほど歌を愛し、
高齢とは思えないパンチの効いた歌声で『宗右衛門町ブルース』を歌い上げる。
所どころリズムがズレても不思議と辻褄が合う味わい深いボーカルだ。

クリスマス会での“歌声喫茶”では『宗右衛門町ブルース』をみんなで歌った。

クリスマス会での“歌声喫茶”では『宗右衛門町ブルース』をみんなで歌った。

『青い山脈』など、ほかの住民さんが歌う歌も、懐かしく聴く人はもちろん、
あるいは曲を知らなくても心に響くはず。

歌が生きる物語を引き出すこのアルバムを
「ドキュメント音楽」とアサダさんは名づけた。
ドキュメント音楽とは何なのか、どのように生まれたのかを聞いた。

熊谷〈みかんビル〉
女性の起業をサポートするシェアサロン

ハクワークス vol.6

埼玉県熊谷市にて、空き家を使った設計、事業の立ち上げや場の運営も行うなど、
“空き家建築士”として活動する、〈ハクワークス〉の白田和裕さんの連載です。

今回のテーマは、熊谷市中心市街地の目抜き通りにある築40年のビル。
外壁工事の依頼からビルの運営にまで発展し、
女性が集うシェアサロンとなった経緯を振り返っていきます。

熊谷のシャンゼリゼ通りにあるレトロビル

とある日、1本の連絡がきました。
「市役所通りにあるビルで、タイルの改修の見積もりが欲しいんですけど」

そこでお会いしたのがオーナーの荒井広美さん。
相続したビルのタイルが劣化し、剥落する可能性があるので改修したいとのこと。
熊谷の目抜き通りである市役所通り(僕は“シャンゼリゼ通り”と呼んでいる)にある、
築40年の3階建てのレトロビル。タイルの具合も見ながら、
ビル内も見学させてもらいました。ワクワク!

緑のタイルがクラシックな雰囲気のレトロビル。

緑のタイルがクラシックな雰囲気のレトロビル。

既存の部屋(和室)。

既存の部屋(和室)。

木目と柄のクロス。クセが強い。

木目と柄のクロス。クセが強い。

レトロなクロス、アンティークな家具に時代を感じさせる照明。
窓の向こうからは、市役所通りのケヤキの新緑が飛び込んできます。
このビルの魅力をビシビシと感じました。

先代は1階で薬局を経営し、2階は住居、
3階は倉庫と趣味のカラオケ教室だったそうです。
それが現在では1階にフレンチのお店が入居するのみで、
2~3階は当時のまま空き家となっていました。

窓を開けると街路樹の緑が広がる。

窓を開けると街路樹の緑が広がる。

困ったなー! 相続空き家問題

タイルの改修の見積もりは200万円となりました。
オーナーさんは別の場所に居住し、子育てをしています。
このビルを所有しているだけで固定資産税がかかり、
今回は改修費用も重なるしんどい事態。
またこの先どのタイミングで解体するのか、
どう引き継いでいくのかといった不安も出てくるはず。

僕自身、空き家建築士の名にかけて、この萌ゆるビルの行末に伴走したいと、
2~3階を借りて運営させてもらえないかと願い出ることにしました。

タイルはちゃんと改修しました。

タイルはちゃんと改修しました。

ユネスコ食文化創造都市
臼杵市が取り組む有機農業とは?

世界が認めた臼杵の有機農業

2021年11月、ユネスコ創造都市ネットワーク「食文化」分野での
加盟が認められ、一躍話題になった大分県臼杵市。
国内では、山形県鶴岡市に続く2都市目となる。

大分県の南東部に位置するこのまちには、
400年以上続く発酵・醸造文化や、
江戸時代に質素倹約の精神から生まれた郷土料理など、
独自の食文化が色濃く残る。

今回の認定にあたり評価されたのは、その臼杵市に根づく食文化と、
市を挙げて取り組んでいる有機農業の存在が大きい。

化学肥料や化学合成農薬を使用しないことで、
環境に負荷をかけずに栽培を行う有機農業は、
国連が掲げるSDGsなどの観点から、あらためて見直されている。

臼杵市における有機農業のパイオニア、〈藤嶋農園〉園主の藤嶋祐美さん

〈藤嶋農園〉園主の藤嶋祐美さんは、臼杵市における有機農業の先駆けだ。

国も拡大に向けて着手するなか、
臼杵市では自治体が先導し、2005年頃から有機農業を推進している。
その活動をサポートしてきたのが藤嶋祐美さん。
市の南西部に位置する野津町(のつまち)で、
20年以上前から有機農業に取り組むパイオニアだ。

年間50〜60種ほどの野菜を少量多品目で栽培する〈藤嶋農園〉

〈藤嶋農園〉では、年間50〜60種ほどの野菜を少量多品目で栽培している。

臼杵市が実施する施策のなかでも、とくにユニークなのは
草木を主原料とした完熟堆肥〈うすき夢堆肥〉の生産と、
それら完熟堆肥で土づくりを行い、
化学肥料や化学合成農薬を使わずに栽培された圃場(畑)を
〈ほんまもん農産物〉として市独自に認証する制度の2つ。
そこでつくられた野菜などは、
〈ほんまもん農産物〉という名で市場に出回る。

土づくりから始まる有機農業にとって、堆肥は重要な役割を持つ。
「よい土というのは、微生物がつくってくれるんです。
堆肥を使うのも、微生物が暮らしやすい環境をつくるため」と藤嶋さんは言う。

藤嶋さんの畑には、隣家の飼い猫もよく訪れる

藤嶋さんの畑で寛ぐ隣家の飼い猫。よい土は、猫にとっても居心地がいいらしい。

〈りんごチッププロジェクト〉
手描きラベルに込められた
アツい思いとは…?

撮影:オジモンカメラ

秋田県の最南に位置する湯沢市は、その名のとおり多くの湯(温泉)が湧き出る、
「地熱」エネルギー豊かな土地。温泉の産業利用に加え、
複数の地熱発電所が稼働する地熱モデル地区にもなっています。
「地熱」豊かなこの地には、アツく、力強く、たくましく生きる
「自熱(じねつ)」を持った人々がいる――。
コロカルでは、湯沢市の「じねつのチカラ」を4回に分けてご紹介してきました。

湯沢市では、その後もモクモクと「じねつ」が湧き上がり、
さまざまな取り組みが行われています。

次世代へ受け継ぐ「じねつ」〈りんごチッププロジェクト〉

湯沢市の皆瀬地区には、長年、食堂〈ダムの茶屋〉を営みながら、
〈りんごチップ〉を手づくりする石山研二さん夫妻が暮らしていました。
温泉熱を利用してリンゴを乾燥させたりんごチップは、
石山さん夫妻が自身の手で皮をむき、カットすることはもちろん、
パッケージのラベル一枚一枚を研二さんが手描きするという、
まさに「じねつ」あふれる商品。

ところが2020年冬、湯沢の地を大雪が襲い、ダムの茶屋の屋根が破損。
建物の老朽化もあり、石山さん夫妻は店を閉め、
息子夫妻が暮らす県外へ転居することになりました。

「温泉熱(=地熱)」と、石山さん夫妻の「じねつ」でつくり続けられてきた
りんごチップが、このままでは湯沢からなくなってしまう。
この「じねつ」を、次世代へ引継ぎたい――。
そんなアツい思いで始まったのが、〈りんごチッププロジェクト〉です。

長年〈りんごチップ〉をつくってきた石山研二さんと、プロジェクトに参加した湯沢翔北高校商業クラブの生徒、〈皆瀬地熱利用農産加工所〉を管理する佐藤くみ子さん。(撮影:オジモンカメラ)

長年〈りんごチップ〉をつくってきた石山研二さんと、プロジェクトに参加した湯沢翔北高校商業クラブの生徒、〈皆瀬地熱利用農産加工所〉を管理する佐藤くみ子さん。(撮影:オジモンカメラ)

プロジェクトには、湯沢市産のサクランボを地熱で乾燥させてつくった商品
〈ミッチェリー〉を開発した、湯沢翔北高校商業クラブの生徒が参加。
りんごチップがどのようにつくられているかを見学し、
石山さんご夫妻と〈皆瀬地熱利用農産加工所〉を管理する佐藤くみ子さんに、
リンゴのカット方法や乾燥の仕方など、こだわりを教えてもらいました。

2021年9月23日、石山さん夫妻と佐藤さんからりんごチップづくりを教えてもらう〈りんごチッププロジェクト〉を実施。リンゴは約8時間かけて乾燥させます。(撮影:オジモンカメラ)

2021年9月23日、石山さん夫妻と佐藤さんからりんごチップづくりを教えてもらう〈りんごチッププロジェクト〉を実施。リンゴは約8時間かけて乾燥させます。(撮影:オジモンカメラ)

りんごチップのこだわりのひとつは、包丁で手切りすること。
最初はスライサーでリンゴをカットしていましたが、
ある日、手切りしたリンゴとスライサーでカットしたリンゴを乾燥機にかけ、
比べてみたところ、違いが出たのだといいます。

「うちのばぁちゃんに、食べ比べさせたのよ。
そうしたら、断然こっちさ(手切りしたほうがおいしい)。
厚くて、かじっているうちに、リンゴの味がするって」と研二さん。

撮影:オジモンカメラ

撮影:オジモンカメラ

実際、道の駅で“手切りした”りんごチップの販売を始めると、
真似をする人が出るほど評判になったといいます。

規格外のリンゴを使用し、来客が少ないため食堂を休業する
冬期に販売を行ってきたりんごチップ。
空気が冷え湿度も低い11月末は乾燥にも適しているそうで、
加工所に泊まり込みでつくったこともあるのだそう。

撮影:オジモンカメラ

撮影:オジモンカメラ

廃棄物を地域の資源へ。
古物事業〈PAAK STOCK〉と
オンラインショップ〈PAAK Supply〉

PAAK DESIGN vol.7

宮崎県日南市で建築デザイン、宿泊や物販など、幅広い手法で地域に関わる、
〈PAAK DESIGN株式会社〉鬼束準三さんの連載です。

今回は、産業廃棄物として処理されてきた古材を引き取りストックする、
古物事業〈PAAK STOCK〉の取り組みと、
そこから派生したオンラインショップ〈PAAK Supply〉がテーマです。

古材集めのきっかけ

東京にいた頃、当初は新築の仕事が多かったのですが、
次第に空間ストックを生かした案件が増えていました。
そして地元にUターンすると、地方都市のほうが
空き家、空き店舗が加速度的に増えていて、
リノベーション案件に対面することが多くなりました。

解体され、廃棄されていく空間や多くのモノたち。
まだまだ使えるし、見方によっては価値があるのに……と思いながら、
使い道がないことやストックする場所がないという理由で、
産業廃棄物として処理するしかありませんでした。

解体現場から出てきた古材。

解体現場から出てきた古材。

いよいよ、これはなんとかしなければ、と思ったことがありました。
以前にご紹介した〈武家屋敷伊東邸〉の復元工事に携わったときです。

旧藩主であった伊東家の分家が代々住み継いだ築120年超えの建物。
主要部分の劣化がひどく、解体して新しい材料で復元する計画だったので、
いつもどおり既存の材料は処分される予定でした。

ところが、現場に何度も通うなかで、
まだ使えそうな材料もどんどん捨てられていくのを目の当たりにし、
そのままではいられませんでした。

100年以上前の当時の大工さんが技術を尽くして切り出し、
住み継ぐなかで丁寧にメンテナンスされてきた材料や家具。
現代の先端技術をもってしても、この100年の歴史や情緒を
身にまとうものをつくることはできません。
これはどうしても捨てることができない! と、
自分が運べる分だけでも引き取ることにしたのが最初のアクションでした。

これから解体される古民家。寂しそうに残る古道具と古材。

これから解体される古民家。寂しそうに残る古道具と古材。