多田正治アトリエ vol.10
京都を中心に関西で建築設計をしながら、紀伊半島の熊野エリアでも
地域に関わる活動をする多田正治(ただ まさはる)さんの連載です。
今回は築120年以上の歴史がある京町家の住宅リノベーションについてお届けします。
町家を引き継ぐ
京都市の主要な東西の通りのひとつ、丸太町通りから少し北に上がったところにある町家。
この建物をリノベーションしたのが、今回ご紹介する〈丸太町の町家〉です。
建築主はぼくの古くからの友人。
彼のお祖父さんの住まいだったこの町家を引き継ぎ、
夫婦と小さなお子さんの3人で住むにあたり、
現代的な住まいを提案してほしいという依頼が2014年にありました。

工事前の様子。ファサードの青い瓦が特徴。
築120年以上の歴史をもつ町家。
道路に面して母屋があり奥に庭があるという一般的な京町家の構成です。
間口約6メートルに対して奥行が35メートルほどあり、
極端に奥深く敷地の半分以上は庭でした。
この町家の履歴を調べるために、彼のお父さんにヒアリングをしました。
お父さんが子どもの頃に住んでいた家でもあるからです。
明治時代から建っていたこと、昔は奥に長屋があって複数の家族が住んでいたこと、
隣との間に昔は路地があってその長屋へとアクセスできていたことなど、
町家とその周りの環境の変遷がわかってきました。
また、お祖父さんは食品関係の仕事で道路に面した部分をビジネスに使っていたこと、
2階に使用人が住んでいたこと、またお祖母さんが庭の奥に茶室を建てたり、
庭や座敷に名物を並べたりと、趣向を凝らした道楽をされていたこともわかりました。

敷地の奥にある庭(工事前)。お祖母さんの趣味の気配が残りながら、木々や草花が野生化していた。
それから時を経て、昭和50年代に1階の道路に面した部分を大きく改装しました。
一部減築をして駐車スペースを設け、外装をタイル張りにし、
室内には応接間をつくりました。
そんな一家の歴史と町家の歴史を知ったうえで、設計プランを提案していきました。
次第に彼ら自身もどのような家に住んでいくのかイメージが固まっていったようです。

























































































