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渋谷、恵比寿、代官山の中間点で開催
『アートゴールデン街
by NoxGallery x Superchief x Brillia』

コロカルニュース

posted:2025.1.17   from:東京都渋谷区  genre:アート・デザイン・建築

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Saori Nozaki

野崎さおり

のざき・さおり●富山県生まれ、転勤族育ち。非正規雇用の会社員などを経てライターになり、人見知りを克服。とにかくよく食べる。趣味の現代アート鑑賞のため各地を旅するうちに、郷土料理好きに。

アートイベントが取り壊し予定の「ビルの終活」

1950年代から70年代の⾼度経済成⻑期に建てられた
たくさんのビルが建て替えの時期を迎えつつあります。
渋谷、恵比寿、代官山の中間点にある〈セゾン代官山〉も
2025年2月に解体されるのを待っています。
解体作業が始まるまでの約20日間、ビル全体を会場にしたアートイベントが開かれています。

セゾン代官山

セゾン代官山は1986年築。跡地はよりよい活用が計画されています。

セゾン代官山は10階建てで、
1階は店舗、2階はオフィスなど、3階から10階が賃貸マンションとして使われてきました。
移り変わりの早い都心で、よりよい活用に向けて取り壊されることになっています。

大きな建物は建て替えの方針が定まってから、
実際に解体作業が始まるまでに、さまざまな理由で時間が必要です。

その間、建物周辺のにぎわいを絶やさず、
所有者にとってもメリットがあるような活用方法とはどんなものがあるか。
その時期の活用について「ビルの終活」と位置付けたことが
アートイベント『アートゴールデン街 by NoxGallery x Superchief x Brillia』に
つながりました。約50組のアーティストが、各部屋に作品を展示しています。

10階の一室にあるPol Kuruczの作品。

10階の一室にあるPol Kuruczの作品。

ほとんどの部屋はユニットバスやミニキッチンを備えた1ルームや1K。
美術館やギャラリーでの展示と違って、ほとんどの部屋はドアを閉めることができます。
そのため鑑賞者は外部と遮断された作品の世界に没入できるというメリットがあります。

Yu MaedaとHamadaraka、2組の日本人アーティストが展示を行う部屋

Yu MaedaとHamadaraka、2組の日本人アーティストが展示を行う部屋はキッチンスペースにも作品を展示。

さらにイベント終了後に解体されることを利点として、
部屋全体を使った作品も少なくありません。

CLOWN VAMPの作品。

CLOWN VAMPの、右のボタンを押すとAIが都度作成する画像がプリントされる作品。

ロサンゼルスの写真家、PARKER DAYの作品。

特殊メイクをしたポートレートを制作するロサンゼルスの写真家、PARKER DAYの作品。

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日本のサブカルチャーへのオマージュをハリウッドのアーティストがディレクション

サイバーパンクがコンセプトの9階の共用部

9階の共用部はサイバーパンクがコンセプト。代官山でカフェを営むアーティスト、ワカさんが参加。

エントランスや廊下などの共有部分は、各階ごとのコンセプトに沿って空間がつくられています。
デコトラ、ジャパニーズビレッジ、サイバーパンクなど
日本の多様なサブカルチャーへのオマージュがテーマとなっています。

JAPANESE VILLAGEがコンセプトの8階。

8階はJAPANESE VILLAGEがコンセプト。長野の建築職人や広尾が拠点のフラワーアーティストが参加。

共有部分のアートディレクションを手掛けたのは、
『JOKER』や『WEST SIDE STORY』など、
数多くのハリウッド映画で背景美術を担当した
シーニックアーティスト(背景美術家)、アマンダ・ハギー。
渋谷区内で活躍するフラワーアーティストやメタル加工を行うアーティスト、
長野在住の建築職人らが共有部分のアートに参加しています。

『アートゴールデン街 by NoxGallery x Superchief x Brillia』は
セゾン代官山を所有する不動産デベロッパーの〈東京建物〉、
日本初のフィジカルNFTギャラリーである〈NOX Gallery〉、
世界初のNFTギャラリーでニューヨークが本拠地である〈SUPERCHIEF Gallery〉の
3社が主催しています。

東京建物はこれまで多くアートによる社会貢献を行ってきており、
NOX GalleryとSUPERCHIEF Galleryは、
デジタルアートであるNFTとリアルイベントの融合にも取り組んできました。

その3社のコラボで行われるアートイベントが
世界的に注目される日本のポップカルチャーの中心地、渋谷で行われるとあって
web3、ブロックチェーンを扱う企業が協力し
アーティストたちの自由な創作活動をサポート。
10階建ての建物を周遊し、周遊途中にもアートを楽しめる大規模なイベントとなっています。
また、期間中には参加アーティストがDJパフォーマンスを行うパーティーも開催され、
住民がいなくなったビルに多くの人が集まります。

元オフィスだった2階

元オフィスだった2階には、渦を描くアーティスト、神谷佳美が部屋いっぱいに渦を描き、束芋や森村泰昌の映像作品も上映されています。

東京に限らず、国内では1955~73年ごろの高度成長期に、
鉄筋コンクリートの建物がいくつも建設されました。
その多くが当初の目的だったオフィスや住居という役割を終えて、ビルの終活を迎えます。
建物がなくなると、以前は何があったかわからなくなってしまうものですが、
まちの特徴を生かしたビルの終活がにぎわうほど
建物があった風景が長く記憶に残ることにもなりそうです。

information

map

アートゴールデン街 by NoxGallery x Superchief x Brillia

会場:東京都渋⾕区恵⽐寿⻄ 2 丁⽬ 5-1 セゾン代官山

期間:2025年1月28日(火)まで

開館時間:14:00~22:00

チケット:1日パスポート 大人2000円、大学生・専門学校生1500円、中高生750円

全期間パスポート 大人5000円、大学生・専門学校生3000円、中高生1500円

※チケットはすべてウェブで販売

※小学生以下は入場無料

Web:『アートゴールデン街 by NoxGallery x Superchief x Brillias』公式サイト

*価格はすべて税込です。

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