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三重県四日市のまち工場が挑んだ
「萬古焼」を応用した
時短ロースター

コロカルニュース

posted:2025.1.16   from:三重県四日市市  genre:ものづくり

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Riho Nakamori

中森りほ

なかもり・りほ●東京生まれ東京在住のフリーライター/編集者。仕事やプライベートで月に1回以上、地方や海外へ。各地のおいしい食べ物やお酒、素敵なホテルや旅館を発掘するのが趣味。好きな番組は『ブラタモリ』『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』。

後継者不足、原材料不足に直面している三重県の「萬古焼」

三重県の四日市市や菰野町を中心に、花器や器、工業製品などさまざまな焼き物
として親しまれている萬古焼(ばんこやき)。
現在、四日市市と菰野町に100社を超える窯元と問屋があると言われていますが、
年々後継者不足に悩まされています。
これに伴い、萬古焼の認知度の低迷も課題となってきました。

また、萬古焼の原材料となる鉱物の「ペタライト」が、EV自動車の普及や
ジンバブエの鉱山を中国系企業が買収したことで、
資源が手に入らない事態に直面するなど、
さまざまな問題が浮上しています。

航空宇宙部品加工も行う町工場が「萬古焼」の復興に挑戦

三重県四日市市〈中村製作所〉

これらの問題を解決しようと立ち上がったのが、三重県四日市市で
工作機械部品の加工を請け負う〈中村製作所〉です。
先代の想いは「削りを通じて社会を創る」。
そのために“空気以外なんでも削る” をモットーにさまざまな商品開発を進めています。

加工作業をするスタッフ

そうした、切削加工技術のみにとらわれない、挑戦する姿勢から別事業として
〈モラトゥーラ〉ブランドがスタート。
これまでにチタン製印鑑〈サムライン〉、蓄熱調理土鍋〈ベストポット〉が誕生しました。

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火を止めても加熱が続く、〈ベストロースター〉でローストすると……?

時短調理器具「ベストロースター」

そんなモラトゥーラが新たに挑戦したのが萬古焼ならではの優れた蓄熱性で
火を止めても加熱が続く時短調理器具の〈ベストロースター〉です。
ロースターに油を引いて、肉や魚、野菜などの食材を置き、
強火のコンロで5分加熱したら、あとは火を消して20分ほど放っておくだけ。
出来上がったロースト料理は、プロ顔負けのふっくらジューシーな仕上がりになります。

調理中の"時短調理器具「ベストロースター」"

ベストロースターは、陶器ならではの遠赤外線によってゆっくりと
火入れできるだけでなく、萬古焼の高い蓄熱性によって火を止めてからも火入れが続きます。
そのため、ロースト料理をふっくらジューシーに仕上げるのに理想的な
「じっくりムラなく火を入れる」ことができるのです。

食卓に置かれた時短調理器具「ベストロースター」

またベストロースターは、陶器製なのでお手入れも簡単。
お手入れはスポンジなどで洗って汚れを落とすだけです。

フタを閉じた"時短調理器具「ベストロースター」"

モラトゥーラでは「これまで培ってきた技術を生かし、高い蓄熱性・耐熱性を持つ
萬古焼を低価格で手にしてもらい、人々の豊かな食生活のサポートがしたい」
と今回の開発に至ったそうです。

現在ベストロースターはクラウドファンディングサイトで先行販売中です。
伝統の技術を生かした便利アイテムで、日常をより豊かにしてみては?

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