減築して中庭をつくる。 京都特有の暮らしの風景をつなぐ、 長屋のリノベーション
多田正治アトリエ vol.9
こんにちは。多田正治アトリエの多田正治と申します。
2019年に連載をしておりまして、このたび5年ぶりに
再開させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
私は設計事務所を京都に構えており、京都を中心に関西で建築設計をするかたわら、
紀伊半島の熊野エリアでも10年にわたり地域に関わる活動をしています。
前回はその様子を京都・熊野の2部構成でお送りしました
(ご興味ある方は、ぜひバックナンバーも併せてご覧ください)。
現在も変わらず、関西と熊野で活動をしていますので、
引き続きそれぞれのプロジェクトについて紹介していこうと思います。
再開1回目の物件は、京都市中心地の細路地の奥にある長屋〈仏光寺の家〉。
京都特有の風景を守りながら現代の住宅にリノベーションしていくプロセスをお届けします。
暮らす人の息づかいを感じる長屋
京都市の中心地、四条駅の近くに〈佛光寺(ぶっこうじ)〉というお寺があります。
南北を走る烏丸通りと東西を走る四条通り。
京都市でもっとも賑わうこのふたつの通りに挟まれた繁華街にありながら、
大きな境内に足を踏み入れると周辺の喧騒が嘘のような空間が広がるお寺です。
ぼくの印象では神聖で静寂な空間というよりは、
誰に対しても開かれた公園のような場所、という感じです。

佛光寺の境内の様子。(撮影:阿部彩音)
今回紹介するのはそんな佛光寺の近くにある住宅です。
このエリアでは、繁華街から一本通りを中に入ると、住宅街になります。
昔ながらの町家もあれば、新しく住宅、マンション、
最近ではオフィスビルに建て替わっていたりもしている職住近接のまちです。

〈仏光寺の家〉の近隣のまち並み。(撮影:阿部彩音)
そのエリアの一角にある長屋を住宅として改修しました。
立地は、「トンネル路地」と呼ばれる路地の先。
幅の狭い、しかも頭上にはほかの家の2階がまたがっているような、
まさにトンネルのような路地です。

トンネル路地を見る。奥の正面に見える建物が今回の物件。
この路地は、奥にある数戸の住宅のための生活道路です。
路地を抜けた先には井戸(もう使えないですが)やお地蔵さまもあり、
この路地自体が数戸の住人たちの共用の生活の場となっていることがうかがえます。
このようなトンネル路地や長屋がひしめき合う住宅地の風景から、
古くから続く京都の暮らしの営みをいまでも感じることができます。

既存図面。トンネル路地の先にある長屋。枠内が該当部分。
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