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posted:2024.11.5 from:静岡県静岡市 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Riho Nakamori
中森りほ
なかもり・りほ●東京生まれ東京在住のフリーライター/編集者。仕事やプライベートで月に1回以上、地方や海外へ。各地のおいしい食べ物やお酒、素敵なホテルや旅館を発掘するのが趣味。好きな番組は『ブラタモリ』『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』。
みなさんは館長がお坊さんであり、ロビーから墓地(&富士山)が見える
映画館があることをご存じでしょうか?
それは、静岡市唯一のミニシアター〈サールナートホール/静岡シネ・ギャラリー〉です。
〈サールナートホール〉の創業は1995年。
同館向かいにある、臨済宗妙心寺派 宝泰寺が
静岡市民が文化活動をできる施設を建てようと
住職の藤原靖爾さんと檀家青年部らが数年の勉強会を経て設立しました。
「サールナート」とは、インドに実際にある遺跡の名前で、
釈迦が初めて説法を説いた場所と言われています。
釈迦がそこから仏教を広めていったように、同館も東京からの文化を受け取るだけでなく
ここから文化を発信していこうという考えのもと、この名がつけられたそうです。
1990年代頃まで、2000人を収容する市民文化会館を除き、静岡市内には市民による
文化活動ができるような200席前後のホールがありませんでした。
それまでは東京をはじめとする都市部の文化を輸入・受動する機会しかなく
この静岡市から発信する・はぐくむ機会が少なかったため、
〈サールナートホール〉がそういった拠点になれたらという想いも込め建てられています。
建物は〈静岡県立美術館〉を設計した設計士・高木滋生氏による設計です。
インドのサールナートを実際に訪れた、館長と設計士の経験が反映されていて
インドの遺跡をモチーフにした、趣のあるデザインになっています。
1995年には、しずおか市民景観大賞「奨励賞」も受賞しています。
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2003年12月には館内の一部を改装し、静岡市唯一のミニシアター
〈静岡シネ・ギャラリー〉がオープン。
劇場として意識していることは、「東京に行かなければ見ることができなかった作品」
「県内でここでしか観られない作品」「静岡市民に紹介したい作品・見てもらいたい作品」
を中心に上映作品を編成していること。
作品の公開規模や動員数だけにとらわれず、良いと思った映画、届けたいと思った映画を
年間180本以上独自に編成、上映しています。
監督や俳優を招いた舞台挨拶、作品内容の理解が深まるセミナーやトークショー、
地元の団体・店舗・学校などとタイアップした関連イベントなど、
「映画鑑賞+α」の体験ができる企画も定期的に行っています。
こうした活動により、年間会員制度「シネ・ギャラリー会員」には
毎年3500~4000名が入会しています。
他にはない特徴としては、館長の藤原靖爾さんがお坊さんであり、
映画館ロビーから墓地と富士山が見えること。
藤原館長は今後も「ここでの文化活動を通して、
(他人だけでなく自分の生命も)生命が輝く場、生命を感じる場でありたい」
と考えています。
そんな〈静岡シネ・ギャラリー〉では今後も世界中の素晴らしい映画の数々を上映すべく、
新しいデジタル映写設備を導入するためのクラウドファンディングを
2025年1月9日まで行っています。
映画館が映画館であるために必要なもの、それは何と言っても映写機です。
かつてのフィルム映写機は、映写技師が一台ごとにある個性や癖を把握し、
機嫌を取りながら調整修理を重ねて何十年も使い続けていくものでした。
しかし現代のデジタル映写機はどれだけ機械と仲良くなって長く使おうとしても、
保障期限や修理部品の在庫の問題で活躍できる年数に限りがあります。
〈静岡シネ・ギャラリー〉では2013年に3スクリーンに3台のデジタル映写機を
導入しましたが、10年が経過して保障期限が切れてしまいました。
トラブルの発生頻度や深刻度も高くなっており、
「次にトラブルがあったらもう直らないかもしれない」という状況です。
今後も安定して映画を上映するためには
映写機を新しいモデルに更新していく必要があります。
2023年末には「ギャラリー1」の映写機を新モデルに更新し、
映像も鮮やかになりましたが、非常に高価なため更新はその1台が限界でした。
今回のプロジェクトでは同館の最大スクリーンである「1Fホール」に
新しい映写機を導入することを目指しています。
information
静岡シネ・ギャラリー
住所:静岡県静岡市葵区御幸町11-14
Tel:054-250-0283(〈サールナートホール〉は054-273-7450)
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