北海道だからこそできる絵本を、手刷りでつくりたい
岩見沢の山あいの人口わずか400人ほどの美流渡(みると)地区で、
小さな出版活動を始めてから1年が過ぎた。
制作したのは2冊の本とポストカード。
新刊がなかなか増えない状態が続いていたが、
ある出会いによって新しい道が開けるようなできごとがあった。
〈milvus(ミルバス)〉という染めとプリントの工房を開き、
〈Aobato(アオバト)〉というブランドを展開している
小菅和成さん、岩本奈々さんとの出会いが、それだ。

3年前に札幌から小樽に移住し、染めと印刷の工房を開いた小菅和成さん、岩本奈々さん。〈milvus〉という名前はトンビの学名からとったもの。「トンビの染物屋」という日本の昔話が由来となった。ブランド名〈Aobato〉は小樽の「市の鳥」がアオバトであることからつけられた。(写真提供:Aobato)
2年ほど前から、わたしはイタドリという植物をモチーフにした
絵本の制作を行っていた。黒い紙をちぎって形を表現したもので、
内容はほぼ完成していたのだが、印刷をどうするかでずっと思い悩んでいた。
これまで北海道という土地ならではの本をつくりたいと試行錯誤をしてきたのだが、
印刷については道外の価格が安いネット印刷を頼っており、
それが心のどこかで引っ掛かっていたのだ。
印刷も北海道でできないだろうか。
一般的なオフセット印刷ではなく、もっと手仕事を生かす方法はないのだろうか。


プリンタで簡易出力して製本したイタドリのダミー絵本。上へ上へと伸びる茎と、大きく広がる葉を、切り絵で表現した。文章はバイリンガルで表記。近所に住む農家の友人で、以前に英会話のワークショップをともに企画したトシくんが翻訳をしてくれた。
そんなことを考えるようになったとき、岩本さんから、
わたしがつくった『山を買う』という本を買いたいという連絡をもらった。
送付の手続きをして、ふと彼女のFacebookを開いてみたところ、
色とりどりの美しい手ぬぐい作品を発見したのだった。
このとき岩本さんのお仕事はまったく知らなかったのだが、わたしは思わず……
「手刷りで絵本制作をしたいと思っているのですが、相談に乗ってもらえませんか?」
とメッセージした。岩本さんは快諾してくれて、昨年から少しずつ
イタドリの絵本についてのアイデア交換をするようになっていった。

シルクスクリーンとは、スクリーンにインクが通過する部分としない部分をつくって柄を刷る版画技法。Aobatoの展示会では、この技法を体験するワークショップが開催されることもある。(写真提供:Aobato)






























































































































