左から真鶴出版の川口瞬さんと來住(きし)友美さん、トミトアーキテクチャの冨永美保さん、伊藤孝仁さん。2年前の記念撮影と同じ場所で。
トミトアーキテクチャ vol.4
約2年前、〈トミトアーキテクチャ〉と〈真鶴出版〉が出会い、
ともに歩んできたゲストハウス〈真鶴出版2号店〉のプロジェクト。
オープンして半年ほどが経ったいま、あらためてプロジェクトを振り返るべく、
4人が集まり対談を行いました。
設計や施工中のこと、完成後に思うこと、そんな2号店の話題を起点に、
真鶴のカルチャーや働き方にまで話は及びました。
いくつもの要素が共存する建築
伊藤: オープンから半年が経ちましたね。
今日は真鶴出版のおふたりから見た2号店プロジェクトの振り返りや、
完成後の日常についてもお話をうかがいたいと思います。
來住: 伊藤さんの声が懐かしすぎて、なんか泣きそうなんですけど……。
最初からやばい……。
全員: (笑)
冨永: 初めてここを見学したとき、背戸道に入ったところからの風景の展開が
すごくおもしろいなと思いました。
独特な地形に沿って曲がった細い道に、この変わった形の敷地があって、
建物にも増築された形跡があり、くびれをいっぱい持っていて。

トミトアーキテクチャの伊藤孝仁さん。
伊藤: 僕も特徴的な物件ですごくポテンシャルを感じました。
おふたりはプロジェクトに着手した頃、なにか印象に残ることはありますか?
川口: 早い段階で何パターンか設計プランを出してくれたことに驚きました。
來住: 模型がすごかったよね。
冨永: 普通は100分の1など、もっと小さいサイズから始まり、
どんどん大きくしていくんですけど、最初から30分の1のサイズでつくりました。
今回は改修なので構造から考える必要がなかったし、
最初から大きくつくって空間イメージをお互い共有しながら進めたいと思ったからです。
伊藤: 2号店で一番検討した箇所として、玄関の横に設置した窓がありますが、
実際にいまここで時間を過ごしてみてどうですか?
來住: すごくおもしろいですよ。背戸道が完全に借景になっています。
室内から犬の散歩が見えたり、雨の日だと傘をさす人が行き交っていたり、
真鶴の日常風景がここで一枚の絵になっているみたいです。
川口: 目線が少し下がる位置になっているし、
気候がいい日はちょっと腰掛けられるし、またげる高さになっているのがいいですね。

來住: 最初は入り口付近に番台を置きたいとリクエストしたのですが、
そうしなくてよかった。私たちがいることで
通る人にとっては圧迫感になっていたんじゃないかなと思います。
冨永: 番台があると、サービスする側とされる側が明確に分かれてしまう。
あの人に話かければいいと安心はできるけど、
でも絶対この人が“主”と判別される強制力もあると議論していましたね。
來住: いま私たちがオフィス部分としている作業テーブルには
自然とお客さんが座っていたりするんですよ。
伊藤: へぇ。それはおもしろい。
川口: もし入り口に番台を置いていたら、
空間の使い方が限られていたかもしれませんね。
いまのかたちだとシンプルで余白があるので、
使い方をいろいろ考えやすいし、レイアウトを変えることができます。
冨永: なるほど。確かにオープンハウスのとき、
複数の人の集まりがいろんな場所にあって、入ってくる人がいても
出ていく人がいても、そんなに気になりませんでした。
もし入り口に番台があったら、あんな集まり方にはならなかったかもしれませんね。
來住: 余白があるおかげで、来てくれた人が、朝ごはんの会ができるねと
話を持ってきてくれたりして、やりたいことがすごく増えました。

春目前の2月のある日、真鶴で行われた本対談。梅の花がほころぶ。
伊藤: いままでの建築ってもう少し余裕があって、いろんな要素を混ぜなくても、
部屋の単位で用途を分けやすかったと思うんです。
だけど今回のような改修では、真鶴出版のやりたいことを全部詰め込んだら
オーバーしてしまうから、どうしたら実現できるかと工夫が必要になるし、
いろいろと共存させることがより建築のテーマになっていく。
それがいままでの建築の考えと大きく違う部分で、そこに僕らも可能性を感じています。
冨永: もともとの相談内容もキオスクと宿と出版社という
3つの違う要素を合わせた、複合建築みたいなものをつくりたいという話でした。
でも建物は小さいわけで、最初からいろいろ重なった状態でスタートしていましたよね。
伊藤: オフィスの机にお客さんが座っちゃうっていうのは象徴的な話ですよね。












































































































