連載
posted:2019.1.28 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
アメリカ西海岸の旅から戻り、すっかりいつもの日常を過ごしています。
いつもの畑、いつものごはん、いつもの仲間。
あー、日常ってなんて愛おしいんだろうと
あらためて小豆島暮らしの良さを感じる日々です。
この日常の愛おしさ、日常の魅力ってなんで忘れてしまうんでしょう。
たった半月、小豆島から離れただけで、
小豆島ってほんとにいいところだなぁとあらためて感じています。
小豆島暮らし7年目にもなると、最初は新鮮だったことが
どんどん普通になっていきます。
波のない穏やかな瀬戸内海。その海に沈む夕陽。
すぐそばにある山々。島でつくられてる醤油やそうめん、
オリーブオイルなどの食材。畑仕事をする島の人々。
それから、この島には温泉もある(最近行ってないなぁ)。
これって、普通じゃない! 当たり前じゃない!
世界から見たらこんな場所、なかなかないんじゃないかと思います。
日本の中で探しても同じような場所はそんなにたくさんない気がします。
この日常の魅力をいつも忘れないようにするためには、
“外の人視点”を常に持っていたらいいと思うんです。
私たちは長い時間(といってもたった半月!)島から離れて、
違う文化の中で過ごしていたので、外の人視点が少し復活しました。
だから久しぶりに島に帰ってくるとき、船に乗って瀬戸内海を渡ったのですが、
穏やかな海、その海のところどころに浮かぶ島々を見て、
なんて美しい風景なんだろうと思いました。
あ、気持ちの半分くらいは懐かしさだったのですが。
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あれからまだ1か月も経ってないのに、
その復活した外の人視点はもう薄れつつあります。
あー、消えないで(笑)。
外の人フィルターがあれば、日常を楽しめる。これはお得!
だってなんでもない普通の毎日が楽しくなるんだから。
リアルに外の人として旅してきたアメリカは、それはそれは刺激的でした。
たくさんのことが新鮮だったから。
そしてたくさんのことをいいなと思えたから。
スーパーに山盛りに並ぶビニールに入ってない野菜。
広大な大地、そこで放牧される牛や馬。
開放的なカフェの外席。
古いものを楽しく売るリサイクルショップ。
自分たちの思いがあふれてるコーヒー屋。
夕暮れの海岸を散歩する人たち。
まさにこういう視点でいつもの暮らしを楽しめたらいいんですよね。
そういえば、NYタイムズが「2019年に行くべき52か所」を紹介する中で、
「瀬戸内の島々」が7位に選ばれたそうです。
外の人たちは瀬戸内の魅力にしっかり気づいているんですよね。
2019年は、4回目となる〈瀬戸内国際芸術祭〉が開催されます。
きっと世界中からたくさんの人が島を訪れると思います。
島で暮らす私たちは、外から来てくれる人たちをやさしく出迎え、
自分たちが暮らす場所のすばらしさ、魅力をたくさん伝えられたらいいなと思います。
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