連載
posted:2019.3.7 from:長野県 genre:食・グルメ / 活性化と創生
PR 銀座NAGANO
〈 この連載・企画は… 〉
雄大な自然と、その自然の恵みによる豊かな食など、魅力にあふれた信州・長野県。
現地で味わいたい料理や素材、体験できるレジャー、東京でもその魅力に触れられるイベントなど、
さまざまな信州の話題をお届けします。
writer profile
Kiyoko Hayashi
林貴代子
はやし・きよこ●宮崎県出身。旅・食・酒の分野を得意とするライター・イラストレーター。旅行会社でwebディレクターを担当後、フリーランスに転身。お酒好きが高じて、唎酒師の資格を取得。最近は野草・薬草にも興味あり。
credit
撮影:黒川ひろみ
たっぷり盛られた、オーガニック野菜の彩りサラダ。
甘みの強い、信州特産のナカセンナリ大豆を使ったトマト煮込み。
シャリシャリ食感の焼き大根と、ジビエ味噌のマッチング。
余計な調味はされていないのに、ほっこりと味わい深い、古代米のリゾット。
さらには、ニオイコブシの枝を煮出した、“山の香り”のコンソメスープ!
「いったいどんな味!?」と興味をそそられませんか?
この料理は、新しい視点で長野県ならではの料理をつくり出そうという
プロジェクトのなかで開発された「信州感動健康料理」のメニューなんです。
この信州感動健康料理のポイントは、いたってシンプル。
全国でも一、二を競う長寿の長野県ならではの食材や調理法を用い、
「おいしいこと」
「心地よい時間を過ごしてもらうこと」
「驚きがあること」
この3つの要素を意識した一汁三菜を基本とする料理。
長野県に行ってこの料理が食べたい!
たくさんの方にこう思ってもらうことを最終目標としています。
このプロジェクトの核となっているのが、
県内の料理人や生産者などを対象としたアカデミー。
第1期は17名が受講し、メニュー開発を行っています。
今回は、2019年2月8日(金)にアンジェロコート東京で開催された
「提案発表会」で、講師陣や受講生が開発し提案した
信州感動健康料理をいくつかご紹介します。
まずこのアカデミー、とにかく講師陣が豪華!
食文化研究家で「料理マスターズ」のシルバー賞受賞者の北沢正和さん、
郷土料理研究家の横山タカ子さん、
料理人として黄綬褒章を受章している湯本忠仁さんという、長野が誇る料理家たち。
彼らが発する言葉のひとつひとつが哲学的で、そのお話は驚きと発見の連続です。
手がける料理やジャンルは違えど、同じ長野県で生まれ育った背景もあってか、
長野の食や文化への思いには、3人に共通するものがありました。
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講師のひとり、食文化研究家の北沢正和さんは、
長野県佐久市の古民家で、そば店〈職人館〉を営む料理人。
北沢さん曰く、すべての生き物の生命や健康をつかさどるのは、「土」。
「食べるものは、なるべく採れたばかりで、
土から離れた時間や距離が短いほどいいと俺は思う。
例えば、縄文時代にこそ料理の原点があって、
土を練ってつくった土器で、土が育んだ植物を煮炊きして食べていたわけだ。
煮炊きをする薪も土が育んだもの。
ものを食べることは、土を間接的に食らうこと。
これらの循環のなかで、人間もひとつの生命としてあるわけだ」
東京をはじめ、ビルが建ち並ぶ地域では、土はコンクリートやアスファルトで覆われ
“触れたくないもの”というイメージが少なからずあるかもしれません。
それでも長野県は、土に直結した暮らしや食べ方をしている人が多い地域だと言います。
そして、山岳の多い信州だからこそ、
山との関わりをもう一度見直さないといけないと話す北沢さん。
その思いを体現すべく手がけたのが「深山のニオイコブシの香りコンソメスープ」。
信州の山で育まれたニオイコブシは、スープの中で青々とした香りを放ち、
啜るたびに美しい山をイメージさせてくれます。
こんなスープがいただけるのは、もちろん豊かな山と自然があってこそ。
「山も川も海も、すべては循環のなかにある。
森林や木材の価値だけでなく、食との関わりで、
もうちょっと山を見直すことが大事だな」
北沢さんが手がけた料理は、複雑ながらも調和があり、
信州の野・山・水といった自然の匂いを発するような、滋味深い料理なのでした。
料理番組への出演や、多数の著書もある
郷土料理研究家の横山タカ子さんも講師のひとり。
地域の人があまり表には出したがらない、
長野の“日常”で食べられる郷土料理こそ健康食であり、
一番のおもてなし料理であると横山さんは言います。
地元の友人が育てたという金ゴマと銀杏を、塩も醤油も一切加えず、
シンプルに炊いただけというご飯。
銀杏のムチッとした食感と、ゴマの香ばしさが際立ち、素朴ながらもおいしい!
また、豚肉に塩を擦りこみ、ひと晩おいて焼いただけという豚の塩ハムの芳醇な旨み。
「いい素材なら、良質の調味料の力をちょっと借りるだけでいいんです」と横山さん。
ほかにも、自家製のぬか漬けや奈良漬けなどがたっぷりと用意され、
コースで供されたとしても、遜色ないメニューばかり。
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もうひとりの講師は、和食や精進料理の世界で研鑽を積み、
現在は長野市で日本料理店〈ゆ庵〉を営みながら
長野県調理師会会長も務める湯本忠仁さん。
信州の昔ながらの調味料である味噌、醤油、塩の3つだけを用い、
その使用量も最小限に抑え、素材の味をどう引き出すかに注力した
メニューを用意してくれました。
「お客さまに楽しんでもらい、そのおいしいの向こう側には健康が潜んでいる。
それが一番いいと思うんです」
そんな言葉を添える湯本さんの、食する人への気遣いと謙虚さが、
この一汁三菜に宿っています。
信州牛の薄切りにリンゴを巻き、菜種油で軽く焼いた一品。
牛脂の旨さと、リンゴのジューシーな甘さが相まって、
その美味なる境地にうっとり……。
比叡山の僧侶が、冬の寒い朝に食べて体を温めるという、
皮ごとすり下ろしたれんこんのみぞれ椀も、健康を願うやさしい味わい。
凍み豆腐と、輪切りの干し大根の煮物も、白飯の最高のおかず。
長野に伝わる保存食のおいしさに開眼する一品です。
さらに、アカデミーの受講生も、これまでの講義をもとに信州感動健康料理を開発中。
長野の伝統食材をたっぷり用いた、彩りよい一汁三菜が用意されました。
全員が料理人というわけではないにもかかわらず、
地域食材をふんだんに使った、どれもクオリティ高い料理ばかり!
講師の横山さんも「すてき!」と太鼓判。
残念ながら、これらの料理はまだ開発途上で、
現時点で“感動健康料理”という名で提供しているお店はありません。
でも、このアカデミーから誕生したメニューが、
長野県のさまざまな飲食店や旅館、ホテルなどで味わえるようになればすてきだな、
そんな期待が自然と高まります。
数年後、今回試食したような、おいしくて、ほかの地域では食べられなくて、
健康でいられる料理が気軽に食べられたとしたら……。
食いしん坊の人なら、長野県に頻繁に通ってしまうかもしれません。
長野県の食の未来に期待が高まります!
今回の講師、北沢正和さんと横山タカ子さんが手がける料理が、
長野県の新感覚のアンテナショップ〈銀座NAGANO〉でも味わえます。
銀座NAGANOでは「北沢正和さんの暮らしを彩る山里健康ランチ」
「横山タカ子さんの信州の長寿ごはん」という食イベントを毎月開催中。
ともに、これぞ信州感動健康料理というメニューが味わえるので、参加してみては。
information
信州感動健康料理アカデミー
問い合わせ:026-235-7249 (長野県信州ブランド推進室)
Web:Facebook
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