長寿の秘密は“食”にあり?
〈信州感動健康料理アカデミー〉とは
「信州感動健康料理」って?
たっぷり盛られた、オーガニック野菜の彩りサラダ。
甘みの強い、信州特産のナカセンナリ大豆を使ったトマト煮込み。
シャリシャリ食感の焼き大根と、ジビエ味噌のマッチング。
余計な調味はされていないのに、ほっこりと味わい深い、古代米のリゾット。
さらには、ニオイコブシの枝を煮出した、“山の香り”のコンソメスープ!
「いったいどんな味!?」と興味をそそられませんか?
この料理は、新しい視点で長野県ならではの料理をつくり出そうという
プロジェクトのなかで開発された「信州感動健康料理」のメニューなんです。
この信州感動健康料理のポイントは、いたってシンプル。
全国でも一、二を競う長寿の長野県ならではの食材や調理法を用い、
「おいしいこと」
「心地よい時間を過ごしてもらうこと」
「驚きがあること」
この3つの要素を意識した一汁三菜を基本とする料理。
長野県に行ってこの料理が食べたい!
たくさんの方にこう思ってもらうことを最終目標としています。

2019年2月8日(金)に開催された「信州感動感動料理 提案発表会」の風景。
このプロジェクトの核となっているのが、
県内の料理人や生産者などを対象としたアカデミー。
第1期は17名が受講し、メニュー開発を行っています。
今回は、2019年2月8日(金)にアンジェロコート東京で開催された
「提案発表会」で、講師陣や受講生が開発し提案した
信州感動健康料理をいくつかご紹介します。
まずこのアカデミー、とにかく講師陣が豪華!
食文化研究家で「料理マスターズ」のシルバー賞受賞者の北沢正和さん、
郷土料理研究家の横山タカ子さん、
料理人として黄綬褒章を受章している湯本忠仁さんという、長野が誇る料理家たち。
彼らが発する言葉のひとつひとつが哲学的で、そのお話は驚きと発見の連続です。
手がける料理やジャンルは違えど、同じ長野県で生まれ育った背景もあってか、
長野の食や文化への思いには、3人に共通するものがありました。
食のすべての根源は「土」から
講師のひとり、食文化研究家の北沢正和さんは、
長野県佐久市の古民家で、そば店〈職人館〉を営む料理人。

北沢正和さんが営む〈職人館〉では、そばだけでなく、フレンチやイタリアンのような洗練された料理がいただけます。著名人もお忍びで訪れるという人気店。(写真提供:まちなみカントリープレス)
北沢さん曰く、すべての生き物の生命や健康をつかさどるのは、「土」。
「食べるものは、なるべく採れたばかりで、
土から離れた時間や距離が短いほどいいと俺は思う。
例えば、縄文時代にこそ料理の原点があって、
土を練ってつくった土器で、土が育んだ植物を煮炊きして食べていたわけだ。
煮炊きをする薪も土が育んだもの。
ものを食べることは、土を間接的に食らうこと。
これらの循環のなかで、人間もひとつの生命としてあるわけだ」


ジャンルを超え、さまざまな人と交流がある北沢さん。縄文料理や塩など、食材や食文化の研究家でもあり、著書も多数。
東京をはじめ、ビルが建ち並ぶ地域では、土はコンクリートやアスファルトで覆われ
“触れたくないもの”というイメージが少なからずあるかもしれません。
それでも長野県は、土に直結した暮らしや食べ方をしている人が多い地域だと言います。
そして、山岳の多い信州だからこそ、
山との関わりをもう一度見直さないといけないと話す北沢さん。

北沢さんが手がけた一汁三菜。古代米と無農薬五分づき米のリゾット、深山のニオイコブシの香りコンソメスープ、鹿肉味噌と大根のシャリシャリ焼き、彩り山盛りサラダ、ナカセンナリ豆と根菜・鶏肉のトマト煮込み。
その思いを体現すべく手がけたのが「深山のニオイコブシの香りコンソメスープ」。
信州の山で育まれたニオイコブシは、スープの中で青々とした香りを放ち、
啜るたびに美しい山をイメージさせてくれます。
こんなスープがいただけるのは、もちろん豊かな山と自然があってこそ。

深山のニオイコブシの香りコンソメスープ。「土に近づいて見れば、いろんなものが見えてくる。そんなことをアカデミーでも伝えていきたい」と北沢さん。
「山も川も海も、すべては循環のなかにある。
森林や木材の価値だけでなく、食との関わりで、
もうちょっと山を見直すことが大事だな」
北沢さんが手がけた料理は、複雑ながらも調和があり、
信州の野・山・水といった自然の匂いを発するような、滋味深い料理なのでした。
おいしくて、やさしくて、感動の連続!
これぞ“感動健康料理”
料理番組への出演や、多数の著書もある
郷土料理研究家の横山タカ子さんも講師のひとり。
地域の人があまり表には出したがらない、
長野の“日常”で食べられる郷土料理こそ健康食であり、
一番のおもてなし料理であると横山さんは言います。

横山さんが普段家で食べているという一汁三菜。金ゴマと銀杏の炊き込みご飯、具だくさん味噌汁、豚の塩ハム、信州黄金シャモの蒸しハム、サバ缶と筍の煮物。海のない長野では、サバ缶は常備食であり、よく食卓にあがるのだとか。
地元の友人が育てたという金ゴマと銀杏を、塩も醤油も一切加えず、
シンプルに炊いただけというご飯。
銀杏のムチッとした食感と、ゴマの香ばしさが際立ち、素朴ながらもおいしい!
また、豚肉に塩を擦りこみ、ひと晩おいて焼いただけという豚の塩ハムの芳醇な旨み。
「いい素材なら、良質の調味料の力をちょっと借りるだけでいいんです」と横山さん。

長野県に暮らし、身近な食材や郷土食による食と健康を提唱する横山タカ子さん。主婦の知恵を生かした料理にファン多し。
ほかにも、自家製のぬか漬けや奈良漬けなどがたっぷりと用意され、
コースで供されたとしても、遜色ないメニューばかり。

豚肉本来の旨みを塩だけで引き出した豚ハムは絶品でした。
もうひとりの講師は、和食や精進料理の世界で研鑽を積み、
現在は長野市で日本料理店〈ゆ庵〉を営みながら
長野県調理師会会長も務める湯本忠仁さん。
信州の昔ながらの調味料である味噌、醤油、塩の3つだけを用い、
その使用量も最小限に抑え、素材の味をどう引き出すかに注力した
メニューを用意してくれました。

ぼたんこしょう味噌添えの白飯と漬物、れんこんのみぞれ椀、信州牛と伝統野菜の味噌仕立て、凍み豆腐と干し豆腐の煮物、信州サーモン紙塩笹包み。和食の巨匠の料理は、切り口がキリッと美しい。
「お客さまに楽しんでもらい、そのおいしいの向こう側には健康が潜んでいる。
それが一番いいと思うんです」
そんな言葉を添える湯本さんの、食する人への気遣いと謙虚さが、
この一汁三菜に宿っています。

湯本忠仁さん。2009年に現代の名工、2013年に黄綬褒章受章。長野の食材を生かした料理は評価が高く、〈ゆ庵〉ではこれぞ信州感動健康料理といえる料理を提供しています。
信州牛の薄切りにリンゴを巻き、菜種油で軽く焼いた一品。
牛脂の旨さと、リンゴのジューシーな甘さが相まって、
その美味なる境地にうっとり……。
比叡山の僧侶が、冬の寒い朝に食べて体を温めるという、
皮ごとすり下ろしたれんこんのみぞれ椀も、健康を願うやさしい味わい。
凍み豆腐と、輪切りの干し大根の煮物も、白飯の最高のおかず。
長野に伝わる保存食のおいしさに開眼する一品です。

シャクシャクの食感が楽しい干し大根や、トロンとした不思議な舌触りの凍み豆腐は、長野の郷土食。寒暖差の激しい気候を利用した、古くからの保存の知恵。
さらに、アカデミーの受講生も、これまでの講義をもとに信州感動健康料理を開発中。
長野の伝統食材をたっぷり用いた、彩りよい一汁三菜が用意されました。

信州牛・野沢菜・キノコの手まり寿司、薬膳をベースにしたしょうがとねぎのスープ、揚げ出し凍み豆腐と〈うえだみどり大根〉のすりおろし、信州サーモンと野菜の蒸し物。
全員が料理人というわけではないにもかかわらず、
地域食材をふんだんに使った、どれもクオリティ高い料理ばかり!
講師の横山さんも「すてき!」と太鼓判。

今回の料理を手がけた受講生のみなさん。
残念ながら、これらの料理はまだ開発途上で、
現時点で“感動健康料理”という名で提供しているお店はありません。
でも、このアカデミーから誕生したメニューが、
長野県のさまざまな飲食店や旅館、ホテルなどで味わえるようになればすてきだな、
そんな期待が自然と高まります。
数年後、今回試食したような、おいしくて、ほかの地域では食べられなくて、
健康でいられる料理が気軽に食べられたとしたら……。
食いしん坊の人なら、長野県に頻繁に通ってしまうかもしれません。
長野県の食の未来に期待が高まります!

試食会には長野県のお酒やワインも揃い、参加者は料理とのマッチングも楽しんでいました。
アカデミー講師が手がける料理が銀座でも!
今回の講師、北沢正和さんと横山タカ子さんが手がける料理が、
長野県の新感覚のアンテナショップ〈銀座NAGANO〉でも味わえます。
銀座NAGANOでは「北沢正和さんの暮らしを彩る山里健康ランチ」
「横山タカ子さんの信州の長寿ごはん」という食イベントを毎月開催中。
ともに、これぞ信州感動健康料理というメニューが味わえるので、参加してみては。
information

信州感動健康料理アカデミー
問い合わせ:026-235-7249 (長野県信州ブランド推進室)
Web:Facebook
