連載
posted:2019.6.10 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
credit
撮影:小豆島カメラ
私は写真を撮ることが好きで、5年ほど前から島で暮らす友人たちと一緒に
〈小豆島カメラ〉という活動をしています。
日々の暮らしのなかで出会う景色や人の写真を撮って、
WebサイトやSNSなどで発信しています。
その小豆島カメラの活動のひとつとして、2014年の秋から続けているのが
「生産者と暮らしに出会う旅」シリーズ。
その名の通り、オリーブやそうめん、醤油などの島の生産者さんや
島で暮らす人々に会いに行くツアーで、年に1、2回開催してます。
その8回目が、今年の6月2日に開催されました。
毎回半年くらい前から、次の旅は何しようか?
誰に会いに行こうか? と小豆島カメラメンバーで話し合います。
基本的には自分たちが行きたいところ、会いたい人のところへ。
「今度ここ行ってみたいよね」
「こんな体験できたらいいよね」
と候補をあげていき、生産者さんに相談します。
行きたい場所も、会いたい人もほんとに尽きない。
今回は、三都半島の神浦(こうのうら)という集落へ。
そこで暮らす〈テマトカ〉の高野真也さん、夕希子さんご夫婦の
アトリエ兼住居を訪ねました。
高野さんたちは、2年ほど前に小豆島に引っ越してきて、
オリーブを栽培し、オリーブオイルやオリーブ茶などをつくっています。
奥さんのゆっこさんは、オリーブの木で雑貨やアクセサリーを
つくったりもしています(テマトカさんについては
「〈テマトカ〉小豆島に移住して、オリーブを育てる夫婦」もぜひ読んでみてください)。
古い家を改修したアトリエは本当にすてきな空間で、
この場所に来られただけでうれしくなってしまいます。
テンション上がりつつ、準備を進めて、参加者の皆さんの到着を待ちました。
「生産者と暮らしに出会う旅」では、毎回参加者の皆さんに
ミラーレス一眼カメラを貸し出しています。
小豆島カメラメンバーも使っているオリンパスさんのカメラです。
ただ歩くだけだと見落としてしまうことも、カメラを持ちながら
何かないかなぁと思って歩くと、発見や出会いがたくさんあって、
気づけば1時間くらいあっという間に過ぎてしまいます。
お話し好きで笑顔がすてきすぎるおばあちゃんに出会えたり、
商店で手づくりのところてんをいただいたり、浜辺を歩いて流木を拾ったり。
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表面しか見なければ何もないなと通り過ぎてしまうような場所でも、
ちょっとしたきっかけを用意することで、見えるもの、会える人、
体験できることがだいぶ変わるんじゃないかな。
いつもより少しだけ深く小豆島を知ってもらう。
観光地としての島じゃなくて、暮らす場所としての島。
そのつなぎ役を私たち小豆島カメラができればいいなと思っています。
神浦散策からアトリエに戻ると、テマトカさんが
小豆島の恵みあふれるお昼ごはんをふるまってくれました。
テマトカのオリーブ、島の野菜、豚、お塩、瀬戸内の魚。
地元の素材あふれるごはんに、心もお腹も満たされました。
ごはんを食べ終わったら、次は浜辺で拾ってきた流木や石に
ペインティングワークショップ。ゆっこさんが先生です。
すてきなアトリエで、もくもくと絵を描いたり、色を塗ったりする時間。
窓からは海が見える。
いやー、神浦での暮らしっていいなぁって純粋に思いました。
それを感じさせてくれる人、暮らしの場所に出会えるってやっぱりいい。
さて、最後に写真発表会。その日の1枚を選んで発表します。
なんでその写真を選んだのか、どんな思いで撮ったのか。
いろんな視点から今日1日を振り返ります。
それにしても盛りだくさんな1日でした。
あちこち島中の観光スポットをまわらなくても、小豆島の中のひとつの小さな集落で
こんなにも楽しめるんだなぁとあらためて思いました。
ぱっと見るだけではきっと何も見えない、誰にも会えない。
少し止まって、そこで過ごしてみると、じわりじわりと
そこでの暮らしや景色が見えてくる。
「生産者と暮らしに出会う旅」は、そのきっかけを
生み出し続けれたらいいなと思っています。
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