中島宏典 vol.5
前回に続き、八女の林業活性化をテーマにお送りします。
市民のみなさんにも、まちづくり団体や建築業界にも、
八女で良質な木材製品が生産・加工・利用できていることを知ってもらいたい。
とはいえ、「八女の杉が良いので、ご利用ください!」と口頭で説明しても、
実体験する場がなければ、その良さは誰にも伝わりません。
そこで前回ご紹介した〈里山ながや・星野川〉のほか、
市庁舎、オフィス、賃貸住宅、ホームセンター、
まち並みの修理やイベントなどさまざまなシーンで八女杉を活用し、
八女杉の魅力に触れていただく機会を増やしています。
これらの取り組みは、林業の川上~川中~川下まで、
つまり森のつくり手から製材所や工務店、そして使い手までを含めた
関係者で構成するチーム〈福岡の森八女の木プロジェクト〉が主体となっています。
このチームをつくるために、森林組合や製材所の集まりに何度もお邪魔して
意図を説明し、先進地視察にうかがってノウハウを聞きつつ課題を共有し、
八女杉を利活用するためチーム一丸となって動き始めました。
八女市役所内をリノベーション。移住定住センターをオープン
まずは地元で八女杉の良さを認識してもらうため、
八女市本庁舎の一室(約33平方メートル)を、八女杉を使って木質化リノベーションし、
〈八女市移住定住支援センター〉を設置することになりました。
昭和45年に建築された事務室の天井材を剥がし、
杉板のルーバー(細長い板を枠組みに隙間をあけて平行に組んだもの)を設置し、
八女杉でオフィス家具を制作。お子さん連れのファミリー向けに、
少し遊べるよう八女杉のブランコも設置しました。
単純に木をたくさん使えば良さが伝わるものではありません。
床はモルタル仕上げにし、スギ材との対比・バランスを図ることで、
木の良さを引き立てる空間となりました。
工事は、里山ながや・星野川でも活躍いただいた、
八女市星野村在住の大工・今村俊佑さんを中心に、
地元の若手の職人さんたちが工事を行ってくれました。

〈八女市移住定住センター〉工事中。工事は、市役所の通常業務の時間を避けて、夜間及び休日の作業となりました。

八女杉を壁や天井に利用しているところ。

八女市移住定住センターのリノベ後。
こうして2017年に八女市移住定住支援センターがオープンし、
八女の移住希望者をお迎えする空間が完成しました。
市庁舎の廊下を歩いていると、途中から杉の香りがほんのり漂います。
そして突然現れる木の温かみある空間に驚いていただき、
八女杉に癒されつつ、ゆったりと話をしていただけています。
何より日頃から、市役所職員のみなさんに打ち合わせなどで
積極的に空間を活用していただいていることがうれしいです。
建築関係者の方からは、
「これ、八女の木? よか木目をしとるやんね!」という声が聞かれるようになり、
八女杉の良さが少しずつ見直されていることを実感しています。
林業者から製材所、工務店まで、業界全体が有機的につながったチームで
実績が生まれたことも大きな成果でした。


































































































