連載
posted:2013.4.15 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer's profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が異様に強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HomeMakers」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、カフェ、民宿をオープンすべく築120年の農村民家を改装中。
http://homemakers.jp/
2012年10月31日、私たち家族は小豆島に移住してきました。
たくちゃん(夫36歳)、いろは(娘5歳)とわたし(33歳)の3人家族。
それにペコ(犬)、こまめ(ハムスター)も連れて、
夜中の1時神戸発のジャンボフェリーに乗っていざ小豆島へ。
そこから小豆島暮らしが始まりました。
ここ数年、「移住」「自給自足」「地方がおもしろい」
そんな言葉をよく目にする気がします。
すごく楽しそうで魅力的な言葉で、移住する前は、
そういう見出しの雑誌を見つけては読んでいました。
小豆島に来る前は、名古屋でIT企業勤め。
核家族、共働きだったため、子どもを毎日保育園に預けて通勤という
都会にはよくあるスタイル。
お金に困ることもなく、お店や遊ぶ場所もすぐ近くにたくさんある快適な生活。
でも、せわしない毎日、消費する毎日になんとなく違和感を感じ、
豊かに生きるってなんだろうとしばしば考えたり。
だから、生き方を変えるとか移住とかそういう言葉がよく目についたのかも。
そんな中で、日本を襲った大きな震災、わたし自身の体調不良など、
いろいろなことが重なった2011年。
よし、生き方を変えよう! と決心。
消費するために働いてお金を稼ぐ、そういう生き方じゃなくて、
生きること自体を働くことにしよう。
暮らしに必要なものを自分たちの手でつくる時間、
ごはんを家族そろって食べる時間を持とう。
そして運良くたくちゃんも同じように考えていて、家族の気持ちが固まれば、
アクションを起こすことは思ったよりも簡単で、物事は一気に進んでいき、
1年後には8年間勤めていた仕事を辞め、生まれ育った愛知県を出ることとなりました。
いま暮らしているのは、小豆島の肥土山(ひとやま)という、
山々に囲まれた盆地にある集落。
その盆地の斜面に建つ、義父が若い頃に住んでいた築120年の農村民家で、
わたしたち家族は生活しています。
島だけど、海というより山という場所。
段々畑や田んぼが広がるのどかな里山。
現在の世帯数は200程度で、人口600人くらいの規模。
多くの田舎と同様に超少子高齢化の集落で、
小学校は8年前に廃校となり、同学年の子どもは2、3人。
それだけ書くとよくある少し寂しい田舎のようですが、
肥土山の人のつながりは異様に強く、行事もとても多い。
映画『八日目の蝉』にも出てきた、田んぼの畦道を松明を持って練り歩く「虫送り」や、
300年以上も続く「肥土山農村歌舞伎」、
つい先日もお寺で「肥土山の火まつり」がありました。
そんな昔からの行事や風景が残り続けている場所です。
その肥土山でも、3月20日から「瀬戸内国際芸術祭2013」が始まりました。
瀬戸内国際芸術祭、略して「瀬戸芸」。
ところどころに展開されるアート作品や、瀬戸芸の青と白の旗、
島外から来ている人たちを目にして、ここに暮らす人たちも
なんとなくいつもと違う空気を感じてワクワクしています。
実際に作品づくりの手伝いをしたり、その制作過程を身近で見ることができたり、
またなかなか会えないであろう海外からのアーティストと直接お話をしたり、
ワクワクすることが多い毎日です。
まだ小豆島で暮らし始めて半年。
少しずつ島の人とのつながりも増え、移住後に始めた畑でも
野菜を収穫できるようになってきました。
そしてこれから築120年の自宅の改修工事に入る予定です。
そんな小豆島肥土山での暮らしや、瀬戸芸の様子、島の面白い人たちのことなど、
いま小豆島でどんなことが起こっているのか、
実際にここで暮らす小豆島人として毎週レポートしていきます。
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