ポートランドのDIY精神に刺激を受け
ものづくりの喜びを分かち合う、
〈RINNE〉プロジェクト始動

写真提供:RINNE

廃材にクリエイティブな価値を見出し循環させたい

今回は、2020年春、東京・台東区に拠点がオープンするという
新しいプロジェクトについて紹介してみたい。

プロジェクト名は〈RINNE(りんね)〉。
生命が無限に転生を繰り返すという
「輪廻(りんね)」の思想が言葉の由来になっており、
モノを捨てることなくクリエイティブな価値を見出し
循環させていこうとするプロジェクトだ。

その第1弾として、不要なモノを素材にして、お酒を飲みながら
ワイワイものづくりを楽しむバーの立ち上げが計画されている。

RINNEの活動を知ったきっかけは、このプロジェクトのメンバーであり、
コミュニケーションデザイナーの山中緑さんと東京で約半年ぶりに再会したことだ。

札幌在住だった緑さんは、昨夏、娘さんとふたりでポートランドへ電撃移住。
住まいも仕事も決めずに現地に向かった彼女は、
この移住を“冒険の旅”と名づけ、さまざまな暮らしの挑戦を行っていった。

ハプニングを乗り越えつつ住まいを見つけたり、娘さんの学校を探したり。
Facebookで発信される日々の挑戦にわたしは引き込まれ、
昨冬の一時帰国のタイミングに合わせ、
わたしの住む美流渡(みると)で彼女にお話会を開いてもらったこともある。

美流渡のお話会の様子。緑さんは、「これまでのいろんな概念が壊され、常識が覆され、そして刺激を受け、ショックとともに自由になって元気になっている気がする」とポートランドでの日々を語ってくれた。

美流渡のお話会の様子。緑さんは、「これまでのいろんな概念が壊され、常識が覆され、そして刺激を受け、ショックとともに自由になって元気になっている気がする」とポートランドでの日々を語ってくれた。

今年の6月、たまたまわたしの上京予定と彼女の帰国のタイミングが重なって、
東京で会うことができて驚いたことがある。
たった半年のあいだに、緑さんのまわりでは、
新しいプロジェクトがたくさん始まっており、その中でも、
これから本格始動するというRINNEプロジェクトに、大きな興味を持ったのだった。

わたしが移住した岩見沢の山あいの美流渡地区は、過疎化が進み、空き家も多い。
これらの家の中には生活道具が残されていたり、
倒壊の危険のある古家はどんどん壊されているのだが、
廃材として捨ててしまうには惜しいものも多く、
なんとか活用する手段はないのだろうかと、つねづね感じており、
このプロジェクトがヒントになるのではと感じたからだ。

RINNEプロジェクトのアイデアの源泉になったのは、
ポートランドにある〈SCRAP PDX〉と〈DIY BAR〉という取り組みだ。
緑さんは、日々の暮らしのなかで、なぜポートランドが「世界の先端」と言われ、
「クリエイティブシティ(創造都市)」と言われるのか、その秘密を探っていた。
そんななかで大きな刺激を受けたものがこのふたつだったという。

〈SCRAP PDX〉の店内。シールや包装紙などあらゆる素材が集められている。(写真提供:RINNE)

〈SCRAP PDX〉の店内。シールや包装紙などあらゆる素材が集められている。(写真提供:RINNE)

SCRAP PDXは非営利の団体で、紙製品や布、文房具など、
クリエイティブな素材になりうる、ありとあらゆるモノが
集められたショップを運営している。
仕入れは売れ残りの商品や余った材料など寄付によってまかなわれていて、
ボランティアが仕分けを行っている。

緑さんの娘さんは、ここに入ったとたん「宝の山だ」と狂喜乱舞したそうで、
誰もが何かがつくりたくなってくる、
そんなワクワクした気分になれる場所なのだという。

〈DIY BAR〉。ものづくりをしながら食べたり飲んだり。店員さんもフレンドリーで、つくった作品をほめてくれることも。(写真提供:RINNE)

〈DIY BAR〉。ものづくりをしながら食べたり飲んだり。店員さんもフレンドリーで、つくった作品をほめてくれることも。(写真提供:RINNE)

もうひとつのDIY BARは、クラフトビールなどポートランドらしい飲み物を飲みながら、
和気あいあいとした雰囲気のなかでものづくりを楽しめる場所。

「わたしはもともとの真面目な性格と、デザイナーとしての変な意識(プライド?)で、
気持ち肩に力が入った気がしたけれど、それがだんだん、
どんどん“どうでもよくなって”いって、さまざまな手法を試したくなる!」

緑さん革小物づくりをこのバーで体験し、そんな感覚を覚えたという。

writer profile

來嶋路子 Michiko Kurushima
くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。
http://michikuru.com/

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