連載
posted:2019.10.7 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
小豆島で暮らし始めてもうすぐ丸7年経ちます。
うひょ〜、7年!
30代で引っ越してきた私たち夫婦は、気づけば40代になりました。
盛りだくさんの毎日が積み重なって、
小豆島に引っ越してきたのはもうずっとずっと昔のような気がします。
7年経ってもいまだに私たちは「移住者」で、雑誌の取材などでも
「どうして移住されたのですか?」と聞かれることがしばしばあります。
なんでだっけ?(笑)
名古屋で暮らしていた頃どんなことを考えて移住を決めたのか、
どんな気持ちだったのか、もう遠い記憶です。
ただやっぱり当時のことを思い出そうとすると、
いろんな思いや出来事が頭の中に浮かび出てきます。
30代前半、都会で子どもを育てながら働いていた私は、
それなりに満たされてはいたけれど、なにか悶々としていました。
自分が何をしたいのか、どんな生き方をしたいのか、ずっと考えていました。
この連載「小豆島日記」の最初の回に、私はこんなことを書いています。
消費するために働いてお金を稼ぐ、そういう生き方じゃなくて、
生きること自体を働くことにしよう。
暮らしに必要なものを自分たちの手でつくる時間、
ごはんを家族そろって食べる時間を持とう。
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そう、消費することに飽きていた気がします。
自分の時間を差し出して、そのかわりに会社からお金という対価をいただき、
そのお金で、それっぽいモノを買って、なんとなく食べに行って。
その繰り返し。
たくちゃん(夫)は、名古屋時代は本当に忙しく、
平日帰ってくるのは22時過ぎが普通。週末もほぼ仕事。
月に2回くらいしか完全な休みはなかったような気がします。
家でゆっくりごはんをつくって、家族そろってごはんを食べるということが
ほとんどありませんでした。そんな暮らしを変えたいなと。
7年経ったいま、驚くほど生き方は変わっています。
生活と仕事の境界はあいまいになり、ごちゃごちゃに混ざっています。
境界なんてないのかも。生活も仕事もまるっとまとめてひとつという感じです。
それから、ごはん!
朝ごはんは家族と、昼ごはんは働く仲間と、夜ごはんは家族とだったり仲間とだったり。
みんなと一緒に食べる、食べるだけじゃなくて料理するのも一緒に。
テーブルには、自分たちが育てた野菜の料理、瀬戸内海の魚介や、
お酒好きの友だちがセレクトしてくれたワインやウィスキー、焼酎も。
みんなでおいしいごはんを食べておいしいお酒を飲んでるとき、
ふと、「幸せだなぁ」と思うときがあります。
自分たちの手でつくる豊かで楽しい食卓。
私たちが大切にしたいのはそういう場と時間がある暮らし。
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