連載
posted:2019.9.24 from:香川県小豆郡土庄町 genre:暮らしと移住
〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/
小豆島では昔から、島のあちこちにある小さな製麺所で
「そうめん」がつくられています。
その歴史は長く、約400年前の江戸時代はじめから。
「冬の農閑期に家族で生産できる」と考えた島の人が、
三輪(奈良県)でそうめんの製造技術を学び、
小豆島に持ち帰ったのが始まりとされています。
そして現在、小豆島の手延べそうめんは、
奈良県「三輪そうめん」、兵庫県「播州そうめん」に並ぶ
日本三大そうめんのひとつなんです。
うちのすぐ近所にもそうめんの製麺所が何軒かあります。
製麺所というととても大きな感じがしますが、
小豆島の製麺所は家族で運営している小さなところが多く、
自宅のすぐ隣に工場があったりします。
集落の中にぽつぽつと小さな製麺所がある感じが私はとても好きです。
そうめんを干してるところがちらりと見えたり、機械の音がしたり、
小豆島らしい風景のひとつだなぁと思います。
そんな製麺所のひとつ、中山の千枚田の中にある〈船波(ふなば)製麺所〉さんから
Webサイトをつくりたいと相談を受けたのをきっかけに、この春から夏に何度か訪れて
写真を撮らせてもらったり話を聞かせてもらったりしました。
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船波製麺所は、昭和44年からご家族でそうめんをつくり始めたそうです。
家族3人で始めて50年、受け継ぎながら
いまも変わらずご家族でそうめんをつくられています。
口数の少ないお父さんが黙々とそうめんの箸わけ
(麺がくっつかないように箸で分ける作業)をする様子。
オリジナルの台車に座って移動しながら作業するキュートなお母さん。
そんな風景を見ているだけで、なんだかぐっときてしまします。
3代目にあたる幸寿(たかひさ)さんもあわせて家族5人、
忙しいときには近所の方にも手伝いに来てもらってそうめんづくりをされています。
時代が変わっていくなかで受け継いでいくということは本当に難しく、
島の製麺所の数は年々減っています。
昔ほどそうめんが売れなくなったというのもあるし、何より跡を継ぐ人がいない。
それは私たちが取り組む農業も同じ。
長い年月をかけて積み重ねられてきたここでの産業や文化、
それによってできあがった風景。
小豆島の惹かれる風景って、ただ山があって海があってだけじゃなくて、
そこで人が暮らしていること、生産活動をしてきたことでできたものだと思います。
あー、そういう風景がなくならないようにしたいな。だって美しいから。
話は戻って、小豆島の手延べそうめん!
ぜひ一度食べてみてくださいね。
食べてもらえることで、おそうめんをつくり続けられます。
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船波製麺所
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