薄くスライスした単板を重ね合わせる技術・成形合板の
パイオニアである山形県の木工家具メーカー〈天童木工〉。
戦後日本の居住空間の発展に大きく貢献してきた同社は、
2020年6月21日に、創立80周年を迎えました。
これを記念し、昨年より、天童木工の80年を振り返るとともに、
天童木工のものづくりの指針にもなっている
「ジャパニーズモダン」の思想を見つめなおす
〈TENDO JAPANESE MODERN /80 PROJECT〉が始動。
今夏、同プロジェクトのメインコンテンツとなる、
気鋭デザイナーとの共作による新作家具が発表されました。
建築・インテリア・プロダクトそれぞれの視点から、
天童木工の今を体現するべく集められた
中村拓志氏、二俣公一氏、熊野亘氏の3名。
Swing chair Design by Hiroshi Nakamura ソリ脚チェア ナラ[ST色] W590 D533 H725 SH460 123200円 ※張地D 「コリーヌ2」限定
中村拓志(NAP建築設計事務所)1999年明治大学大学院理工学研究科建築学専攻博士前期課程修了。同年〈隈研吾建築都市設計事務所〉入所。 2002年〈NAP建築設計事務所〉を設立し、現在に至る。地域の風土や産業、敷地の地形や自然、そこで活動する人々のふるまいや気持ちに寄り添う設計を信条としている。
中村氏が手がけたのは、成形合板ならではのしなりと柔らかな張りから、
たおやかで美しいフォルムとゆったりとした座り心地を追求した〈Swing chair〉。
身体を包み込むようなT字型の背は、肘置きの機能も兼ね備え、
快適なデスクワークをサポートしてくれます。
脚部は回転脚、無垢脚、ソリ脚、3タイプをラインナップ。
用途や空間に合わせて、ぜひお好みの一脚を選んでみてください。
1943年の創業以来、日本を代表する繊維産地である北陸を拠点に、
染色技術を基盤とした繊維加工事業を行ってきた〈小松マテーレ〉。
工場直販型ファクトリーショップ〈mono-bo(モノーボ)〉。
2021年6月、同社は工場直販型ファクトリーショップ〈mono-bo(モノーボ)〉を
本社敷地内にオープンさせました。
ファブリックラボ〈fa-bo(ファーボ)〉
本社内にある建築家・隈研吾氏が設計したファブリックラボ
〈fa-bo(ファーボ)〉の関連施設として、
今回オープンさせた新しいラボをmono-boと命名。
アップサイクルの視点で捉え直したモノづくりを行う新ブランド
〈mate-mono(マテモノ)〉の商品などを販売するスペースを中心に、
小松マテーレの新しいモノづくりの現場を伝える工房などが入った
“サスティナブルなモノづくり”を実践する複合型施設となっています。
ここから時代の変化に応じて、繊維の魅力を多角的に発信していくそうです。
fa-boの繊細で美しい放射状の外観イメージからインスピレーションを得てデザインしたバッグ。カーテン生地の裏面の絶妙な光沢感に着目し、プリーツ加工を施すことで、fa-boの美しい外観を表現。〈fa-boバッグ〉5500円
マスクインナーの製造過程で発生する裁断切れ端を紐状にカットし、手編みで仕上げた個性的なバッグ。「エアロテクノ」搭載で、抗ウイルス機能が備わっています。〈あんだバッグ01〉3300円
カシマサッカースタジアムでも使用されている芝生の養生シートとしてつくられたメッシュ素材を、軽くて、プルンとした反発が特徴なシアーバッグに。本来は屋外で使用する生地のため、耐久性もあり。〈すけるバッグ01〉大:3850円、小:3300円
無縫製で裁断のロスがなく、縫製工程も省略された伸縮性のあるチューブ状のバッグ。1点ごとに染められる「製品染め」技術で、カラーごとにフレキシブルに生産ができるため、余剰在庫も発生しないそう。〈のびるバッグ01〉3960円
グッドネイバーズ・ジャンボリー(以下、GNJ)には
毎年多数のクラフトマンやアーティスト、シェフなどが
全国あちこちから参加してくれます。
今回はそのなかのひとり、奄美大島の染色作家、〈金井工芸〉金井志人さんの工房に
コロナ禍の緊急事態宣言の合間をぬって訪ね、
考えたことなどを書いてみたいと思います。
奄美大島から加計呂麻島を望む。
GNJでは毎回20〜30組ほどのものづくりのワークショップを開いています。
初期は鹿児島で活動しているクラフトマンから
その場でできる比較的簡単なものづくりを教わり、
一緒に体験して持って帰るということを行っていました。
しかし次第に参加してくれるクラフトマンも全国から集まってくれるようになり、
またGNJに協力してくれる企業のブースなども出るようになって
大がかりになってきました。
毎年工夫をこらして企画されるさまざまなクラフトワークショップ。
さまざまな企画をしていくなかで僕らが一番大事にしているのは、
ほかの地域でもできることではなくて、
「いま」「ここ」でしか体験できないものにしようということです。
具体的には鹿児島という地域ならではとか、GNJでしか実現できない組み合わせとか。
クラフトワークショップ企画担当の実行委員、
飯伏正一郎くん(自身もRHYTHMOS という
革細工のブランドを主宰するクラフトマン)を中心に、
各クラフト作家や協賛社のみなさんとディスカッションを重ねてつくってきました。
毎年人気のワークショップとなるのが、オフィシャルTシャツを制作してくれている、
〈ユナイテッドアローズ・グリーンレーベルリラクシング 〉と
奄美の染色工房とのコラボレーションワークショップです。
毎年色違いで展開されるオーガニックコットンのGNJオフィシャルTシャツ。
会場が廃校だということもあって、
オフィシャルTシャツはカレッジTシャツをモチーフに毎年色違いでつくっています。
それをワークショップ用として、特別に白地に白いラバープリントでつくってもらい、
GNJの会場で自分で泥染めをします。
プリント部分は染まらないので、くっきりとロゴが浮き出た自分だけのTシャツが完成。
イベントが終わると、その日のうちに持って帰れるというもの。
奄美の泥を持ち込んで染色のワークショップを展開。
かつて「肥前国」と呼ばれた、
現在の長崎県と佐賀県地方は波佐見焼や
有田焼といった九州屈指の焼き物の産地です。
その肥前の技術と精神を継承してきた、
〈株式会社中善〉から2020年に発足した
オリジナルブランド〈zen to〉。
zen toはこれまでさまざまなクリエイターたちとコラボし、
機能性とデザイン性の高いプロダクトを提案してきました。
zen toのコンセプトにあるのは、
「多様な嗜好に応える、多彩な個性(的なモノ)」。
業種で分けると同じ“プロダクトデザイナー”である8名が、
「カレー皿という共通のテーマに対してどのような答えを出すのか?」
というコンセプトで、制作がスタート。
そして今回、それぞれに造形美と機能性を備えた、
個性的なプロダクトが誕生しました。
まずはzen toのブランドディレクター兼、
陶磁器デザイナーである阿部薫太郎さんのカレー皿。
〈daily spice plate〉は、ボウルのような形状で、
奥行きが短く収納にも便利なひと皿に。
「波佐見焼のこれからの技術伝承も意識し、
手描きの絵付けをすると最初から決めていた」
という阿部さん。
ふちはしっかり厚めで、持って軽く、
スタッキングもしっかり底で重なる設計に。
波佐見焼らしい手描きの絵付けが華やかに料理を引き立てます。
移動屋台のお皿の収納に感動した経験から、
スペースを無駄にしないデイリーに使える
波佐見らしいお皿を目指したといいます。
材質:磁器 / サイズ:W220×D190×H60mm / カラー:ブルー・ブラウン / 価格:2420円(税込)
ゆるやかなラウンドが美しく、収納にも重宝する形に。日常使いを考えた、毎日フルに使える一品。
小さなお子さんがいて、これからおもちゃは何を買おうと
あれこれ考えているご家族の方に、
ぜひチェックしていただきたいおもちゃがあります。
今日ご紹介する〈tumi-isi(ツミイシ)〉。
バランスと創造的感覚を養うための積み木です。
職人が手作業でひとつひとつつくっており、それぞれが異なるサイズ・形状。
ころんと並べただけでもなんだか雰囲気があります。
一見重ねるのは難しそうですが、バランスを見ながら、積み上げていくことが可能。
この工程が、子どもの想像力やバランス感覚を養うことにつながるです。
北海道平取町二風谷で受け継がれる
アイヌの伝統技術を継承する工芸家とコラボレーションをし、
アイヌクラフトを未来につなぐための新たな商品開発を行う
「二風谷アイヌクラフトプロジェクト」。
現在、参加クリエーターやメーカーなどの企業を募集しています。
応募は、2021年7月13日(火)まで。
このコラボレーションは、“二風谷らしさ”を大切にしながら、
現代のライフスタイルの可能性を広げる、
新しい発想を取り入れたアイヌクラフトを提案することが目的。
本プロジェクトでコラボするアイヌクラフトの工芸家は、
平取町二風谷を中心に活動し、
アイヌ伝統工芸を継承する二風谷民芸組合の組合員のなかから、
応募クリエーターとのマッチングを行いプロジェクトが進行していきます。
お互いを指名することは不可。
参加する工芸家はクリエイターの公募後に決まるそうです。
北海道を代表するアイヌ伝統工芸作家であり、〈貝沢民芸〉店主の貝澤守さん。組合員のひとり。本プロジェクトでコラボが実現するかも?
貝澤守さんの作品。木製の浅く平たい形状の盆「イタ」。アイヌ文様のウロコ彫りがこの地域の特徴。
また、学生が参加できる学生枠を用意。
こちらは若手の工芸家とのマッチングになるそうです。
また、若手工芸家はベテラン工芸家の監修のもと、商品開発に取り組むということで、
世代を超えたコラボにも注目したいところです。
参加者のミッションは、「アイヌデザインを持ち歩く」をサブコンセプトに
「暮らしにとけこむアイヌデザイン」の商品開発を目指します。
ターゲットは都会に暮らす30代の男女。
応募の第一条件は、デザインを業務とすること、
または提供されたデザイン商品として具現化する制作能力を有すること。
いずれも直近5年以内に商品開発の実績を有する企業やクリエーターなら参加可能。
最終的に、一般枠・学生枠それぞれ2組ずつ、
計4組が商品化へ向けて進めるということ。
昭和21年に創業した〈西尾金庫鋼板株式会社〉は、
戦後の高需要から金庫メーカーとして始まりました。
今では金庫だけでなく、ロッカーや射撃競技用備品など、
さまざまな収納庫を製造販売しています。
今回、プロダクトデザインやブランディングを行う
〈TAKASHI TESHIMA DESIGN〉と共同開発したのが、
スチール製収納家具〈PUZZLE BOX〉。
一般販売が2021年6月21日よりスタートしました。
こちらのPUZZLE BOX、まず目を引かれるのがそのカラーリング。
パンプキンイエロー、オリーブ、マットブラックの
3色展開でこれまでのスチール製家具にはない、スタイリッシュな印象に。
無機質でクールに感じられる素材なだけに、
第一印象から遊び心をくすぐられますね。
イエローが映えるモダンなデザイン。扉を付けてロッカーとして。¥61545(税込)
デザイナーは、TAKASHI TESHIMA DESIGN の手嶋隆史さん。
企業内デザイナーとしてさまざまな
プロダクトデザインに10年以上携わり、
2018年の独立後、アウトドア雑貨や情報家電、
日用品などのプロダクトデザインを手掛けています。
コロナ禍が続くなか、テレワークや在宅勤務で
デスク周りを新調した人も少なくないはず。
手嶋さんは、これからも地方移住や2拠点生活を試したり
職住一体を始める人が増えていくのではないか、
またそういった意識や生活は今後も変化し続けるのではないかと考えています。
使わなくなったワークデスクを捨てるのは
簡単ではないため、ある時はテレワーク用のデスクに、
ある時はサニタリールームのロッカーになど、
“カタチを変えて使い続けられる家具”として
PUZZLE BOXはデザインされました。
木天板とスチールを組み合わせるワークデスク。フレームとボックスを左右に分けて天板を乗せるシンプルな設計。¥63305(税込)
越前漆器の産地、福井県鯖江市。
国内生産シェア9割の眼鏡産業から、繊維王国福井を象徴する繊維産業、
これらと並行して長い歴史を持つ漆器産業と、
鯖江市は日本が誇るものづくりのまちとして有名です。
今までコロカルでもさまざまな魅力あふれる
現地の職人さんや工房さんをピックアップしてきましたが、
今回ご紹介するのは鯖江市の河和田地区で、
約300年もの間、漆器業を営んできた〈株式会社セキサカ〉。
業務用漆器の企画から製造、卸まで手がける老舗です。
B5サイズ(W302×D215×H18mm、2200~2600円)、A4サイズ(W348×D261×H18mm、2700~3100円)、B4サイズ(W394×D307×H18mm、3400~3800円)
そんなセキサカが、国内外のデザイナーとタッグを組み、
広義の漆器にまつわるさまざまな製造技術を新たな視点で再解釈して
現代のライフスタイルに合わせ商品開発を行うプロダクトブランド〈SEKISAKA〉より、
〈PLACE〉の新作コレクション〈dripping collection〉が発売されました。
伝統と歴史に裏打ちされた焼き物として全国的に名が知られている、
石川県を産地とする九谷焼。
幅広いうつわの種類がある一方で、往年の形式に固執してしまったり、
現代では使いにくいデザインになってしまっている側面もある。
そんな九谷焼をいろいろな角度から知ってもらおうと、
2019年に立ち上げられた複合型文化施設が
〈九谷セラミック・ラボラトリー(通称・セラボクタニ)〉である。
建築家・隈研吾が設計した〈九谷セラミック・ラボラトリー〉。
この場所は、もともと「花坂陶石」という石から粘土をつくる製土所があった場所で、
建物の老朽化に伴い、〈セラボクタニ〉として生まれ変わった。
それゆえ、現役で製土所としての機能を果たしながらギャラリーや体験工房、
アトリエなどを持ち、九谷焼を多角的に体感できる施設となっている。
「製土」している様子をガラス越しに工場見学できる。 強い素地をつくるには細かい粒子が必要だとか。それが九谷焼の特徴ともいえる。
セラボクタニの2周年となる今年5月、
新商品開発プロジェクト〈セラボラボ〉が立ち上がり、
第1弾として〈福LUCKY〉と〈ETHNI9(エスニック)〉という
ふたつのブランドが発表された。
「この場所が立ち上がった当時から、オリジナル商品開発の話はありましたが、
2年越しに実現しました。
これまでは窯元や作家さんから商品を預かって販売していましたが、
それに加えてここにしかない商品をつくりたかった」と開発経緯を教えてくれたのは、
セラボクタニを実際に運営している小松市地域おこし協力隊のひとり、緒方康浩さん。
コロナ禍で生み出された「ニューノーマル」を目指す九谷焼は一体、
どんな焼き物になったのだろうか。
小松市の地域おこし協力隊として、セラボクタニに勤務する3人。左から緒方康浩さん、中岡庸子さん、吉田良晴さん。
この連載では、新潟県を拠点にキャンプを中心とした
ローカルなライフスタイルを提案する
〈スノーピーク〉代表取締役社長の山井梨沙さんが、
ローカルでありプラネット的なモノ・コト・ヒトに出会いながら、
コロナ後の暮らしのスタンダードを探し求める「フィールドワーク」の記録。
そして山井さんの著作『FIELDWORK―野生と共生―』の実践編となる。
初回は、そもそも「フィールドワーク」とは何か、
その言葉が生まれた人類学の研究者・石倉敏明さんに話を聞いた。
秋田市のキャンプ場にて対談は行われた。
山井梨沙(以下、山井): ご無沙汰しています。
自著『FIELDWORK―野生と共生―』ではすてきな前書きをご執筆いただき、
ありがとうございました。
今回、その続編としてこの連載をさせていただくことになったのですが、
タイトルにも入っている「フィールドワーク」という言葉について、
あらためて石倉さんにお話をうかがえたらと思います。
山井さんの著作『FIELDWORK ─野生と共生─』 。
石倉敏明(以下、石倉): 「フィールドワーク」とは自分が慣れ親しんだ世界の外に出て、
別の現実に触れる方法のことです。
人類学者は他者の世界に入り込んで、内側からその在り方を体験し、理解しようとします。
「他者」とはヒトだけでなく、人間を取り巻くすべてのモノを含んでいます。
大事なのは何かについての「知識」を得るだけでなく、
他者が体得している「知恵」に触れること。
だからこそフィールドでの体験が重要視されています。
フィールドでは他者との接触から、双方向的な変化が発生していく。
それを歴史学の言葉を借りて、「コンタクトゾーン(接触領域)」と呼ぶこともあります。
例えば、20世紀中盤のアメリカ・テネシー州で、
アフリカ系移民の文化とヨーロッパ系移民の文化が融合して
エルヴィス・プレスリーの歌声と腰つきが生まれ、
ロック音楽やポピュラー音楽となって世界中に広がっていったように。
山井: コロナ禍が続く今は、人との触れ合いが減っています。
大変なときですが、何か大きなシフトが起こりつつある時代という意味では、
コンタクトゾーンの話は参考になりそう。
石倉: フィールドワークは、社会という枠組みの外に出て、
世界そのものと再び接触(コンタクト)し直してゆくチャンスかもしれません。
その意味では、野外に出ることも重要です。例えば山に入って感じる木漏れ日や風の匂い、
湿度や雲の動きから何かを感じたりする経験。
フィールドに出ると、僕は幼少期の記憶みたいなものが蘇ってくるんです。
まだ看板の文字や標識の記号が読めなかった幼年時代。動物や子どものように、
文字や記号ではない、生々しい世界の見え方を追体験しているような感覚です。
梨沙さんも、著作の『FIELDWORK』で
子どもの頃のキャンプ体験のことを書いていましたけれど、
あれはまさにフィールドワークを通して味わうことになる感覚ですよね。
写真家・田附勝さんとの共著『野生めぐり 列島神話をめぐる12の旅』(淡交社)にて富士山麓での取材の様子。写真提供:『野生めぐり 列島神話をめぐる12の旅』(淡交社)
山井: 私は頭を使ってインストールするのが苦手で、事前に机上で得た知識でも、
とにかく現地に行って体感しないと、自分のなかでなかなか実感・定着しないんです。
新型コロナウイルスがやってきた当初は、
オンラインミーティングや画面上で目と頭だけで情報を得ることだけが続いて、
消化不良を起こしてしまっていたような気がします。
石倉先生にとってのフィールドワークとは、既存の学説を追体験して確認したり、
今までと違う情報や価値観に出合うことを期待するための行為なのでしょうか?
石倉: フィールドワークは、理論の向こう側にある生きた現実を現地で体感し、
受け止め直していく実践だと思っています。
断片的な情報などを手がかりに現地に行ってみると、
実際には期待を裏切られることも多いのですが、
立ち止まる経験も含めて大切なのかもしれないですね。
どんな記録も決して完全なものではなく、そこに視点や感覚のズレがあるからこそ、
新しい発見の余地があります。
キャンプでの火の起こし方とか、水場の位置とかはgoogleで検索できるけど、
炎の熱さや水の冷たさは絶対にググっても感じられない。
それと同じで、客観的に調べることの重要性は踏まえつつも、
書物で調べてもわからないことを、ほかの人の体ではなく、自分の体で体験したい。
そしてその体験を表現して、その場にいない誰かと共有したい。
これはアーティストや人類学者にとっては、とても大事な衝動だと思うんです。
コロカルでも何度もご紹介している〈石巻工房〉。
2011年に起こった東日本大震災から、震災の復旧・復興を目的とした、
市民のための公共工房として同年6月に発足。
以来、地域のクリエイティブの中心となるべく家具づくりを続け、
10年経った現在は「デザインの力でDIYの可能性を広げる」をコンセプトに
運営されています。
工房が掲げる〈Made in Local プロジェクト〉では、
イギリス、アメリカ、中国など、世界の10を超える地域でも注目され、
石巻工房の製品がつくられており、その和はワールドワイドで豊かな広がりを見せています。
2019年にはカリモク家具と提携し、
〈石巻工房 by Karimoku〉という新ブランドもスタートしました。
陶磁器のまち・長崎県波佐見町をルーツにもつ〈NUPPU(ヌップ)〉は、
サスティナブルをテーマに、親子の生活と将来を考えたテーブルウェアブランドです。
NUPPUはデザイナーに、
フィンランド・ヘルシンキを拠点に活動するマイヤ・プオスカリ氏を迎え、
「子どもが人生でいちばん最初に触れる器こそ、長く、ずっと使えるものを」と、
丸みのある優しい手触りと温かみのある口触りを持つ陶器を提案しています。
デザイナーのマイヤ・プオスカリ氏。2児の母でもある彼女が、自身の育児体験もとにデザインしています。
4年前に発売した、0〜3歳が対象のベビー用シリーズ〈NUPPU BABY〉。
当時、赤ちゃん用の食器といえば、
プラスチックなどの割れない素材が当たり前になっていましたが、
NUPPU BABYは陶器製。
“使い捨ての世の中だからこそ、物を大切にする心を育ててほしい”というコンセプトと、
丸みのある優しいフォルムと淡い色合いに共感が集まり、
出産祝いやお食い初めの贈りものとして一躍人気に。
NUPPU BABYシリーズ。
今回発売する新シリーズの〈NUPPU JUNIOR〉は、
ベビー用から少し年齢が上がり、3歳以上の子供を対象にしたデザインです。
3歳くらいになると一気に世界が広がり、毎日の新しい発見と経験の時期。
同シリーズは、波佐見焼のプレート・ボウル・マグの3セットをメインに、
ほかにもタオルやカトラリー、トレイもラインナップ。
用途が広く、たった一度しかない子ども時代に寄り添う、
サスティナブルなテーブルウェアになっています。
好奇心いっぱいの子どもの食卓を彩るNUPPU JUNIOR。
天保元年(1830年)に京都で創業した、
仏壇・仏具メーカーの〈若林佛具製作所〉。
これまで積み重ねてきた技術をもとに、
全国の国宝・重要文化財などの歴史的建造物の修理も手掛けています。
その若林沸具製作所が立ち上げたオリジナルブランド
〈KAKEHASHI SERIES〉から、6月10日より
新作盆提灯〈AGASATO(アガサト)〉が発売となりました。
盆提灯ラインナップ。左から〈AGASATO〉27500円、〈AKASHI〉9900円、〈TSUDOI〉12100円。
AGASATOはスタイリッシュな三つ足型の脚が特徴的。
盆提灯の伝統的な様式を守りながら、
現代のライフスタイルに合うデザインに仕上げられています。
そもそも盆提灯とは、夏のお盆の期間に
「自分の家を見つける目印となる灯」として、
故人や先祖の霊が迷わず帰ってくるための「目印」の役割を果たします。
盆提灯は地域や家庭の習慣によってさまざまですが、
「ご先祖さまをお迎えするためのもの」であり、
先祖を大切に思い敬う気持ちが込められているのです。
ほんのりと優しい光で寝室の間接照明としても合わせやすい。照明は電池式LEDでメンテナンスもしやすく機能的。
前回の連載 で、岩見沢市の美流渡(みると)に昨年移住した
画家のMAYA MAXXさんが陶芸の制作をしていることを書いた。
実は傍らで、昨年の冬から私も週1回、陶芸をするようになった。
きっかけはMAYAさんと一緒に、地域にある〈栗沢工芸館〉を訪ねたことだ。
ここは市民が予約をすればさまざまなクラフトが体験できる施設で、
冬季は地元の陶芸家のきくち好惠さんが担当となり、
陶芸制作を中心にした体験が行われている。
MAYAさんがあるとき、きくちさんに「菊練り」を学ぶというので、
私も教えてもらうことにした。
菊練りとは、粘土の中に残っている空気の粒を抜くために行う基本の工程で、
一度ちゃんと知っておきたいと思っていたのだ。
〈栗沢工芸館〉には地域の人々がクラフトを体験できる環境がある。
午前中、たっぷり菊練りを練習。
けれど練った粘土をどうするのか、私はまったく考えていなかった。
せっかく練ったんだから、何かつくってみようかな。
そう思ったとき頭に浮かんだのは、函館にある北海道唯一の国宝、「中空土偶」だった。
函館市南茅部地区で発見された中空土偶で「茅空(カックウ)」という愛称で親しまれている。〈函館市縄文文化交流センター〉 で公開。
土偶は縄文時代につくられた素焼きの造形物で、全国各地で出土している。
以前から土偶の独創的な形に惹かれていて、
写真集や文献を集めたり、絵本を描いたこともあった。
2016年に近隣の地区に山を買ったときには、山の土で土偶をつくったこともあった。
そのとき、土をきちんと精製していなかったため手のひらサイズしかできなかったが、
いつか大きな土偶をつくってみたいという気持ちを持っていた。
土偶の何が好きなのかは言葉で言い表すことが難しいのだが、
私にとってはかわいいぬいぐるみを見たときのように心が和み、
またさまざまな土偶の形を見れば見るほど、
なぜこのような造形になったのかとあれこれ想像するのがとても楽しい。
2012年につくった絵本『DOGU』。ウェブで公開したことがある。
山の土を使ってつくった土器と土偶。
というわけで、中空土偶をまったく同じようにつくってみようと考えた。
この土偶の高さは41.5センチ。
中が空洞になっている「中空」構造の土偶の中で最大の大きさ。
きくちさんにアドバイスをもらい、上半身と胴体、足をパーツに分けてつくり、
最後に合体させることにした。
私は美術大学に通っていたので、粘土で立体をつくった経験はあった。
しかし、中を空洞にした大きな物体をつくるのは今回が初めて。
手探りのなかで少しずつ作業をしていった。
まずは上半身をつくっていった。
photo Yurika Kono
岐阜県美濃地方。
日本最大の陶磁産業地帯として名高い地域です。
その発展の根幹にあるのは、
美濃で採れるバリエーション豊かな“土”なんだとか。
photo Yurika Kono
photo Yurika Kono
そんな美濃地方から、2021年に
美濃の土の可能性をデザインを通じて発信するブランド
〈MINO SOIL(ミノ ソイル)〉が誕生しました。
同ブランドは、世界で活躍するデザイナーと手を組み、美濃の土から、
今までにないものづくりを発展させていくというミッションを掲げています。
環境課題にも積極的に向き合い、
素材を循環させる技術開発にも取り組んでいるのだとか。
彼らは、このプロジェクトを地球からの恵みである土と、
持続するライフスタイルを結びつける、新しい試みだといいます。
「江戸東京リシンク展」〈うぶげや〉の歴史資料の展示で並んだ、同社の歴史を物語る刃物たち。
江戸小紋、江戸木版画、東京くみひも……。
江戸時代に花咲き、現代まで継承される、
東京に息づくすばらしい技術や産業。
そのなかで、現代においても
優れた取り組みを行なっている伝統産業を取り上げ、
その価値のさらなる向上を目指し、東京都が取り組んでいるのが
〈江戸東京きらりプロジェクト〉 です。
同プロジェクトでは2021年3月、
現代美術家の舘鼻則孝氏を展覧会ディレクターに迎え、
オンライン展覧会「江戸東京リシンク展」 を開催しました。
美しい映像の後に現れるクラシカルな洋館のイラスト。
これは昭和初期(1936年)に建てられた代表的な華族邸宅で、
現在は東京都指定有形文化財の〈和敬塾 旧細川侯爵邸〉です。
この展覧会は、〈和敬塾 旧細川侯爵邸〉を会場に、
舘鼻氏と江戸東京の伝統産業の担い手のコラボレーション作品や、
さまざまな江戸東京の伝統産業の歴史資料を展示。
また、映像を通して産業背景やつくり手のインタビューも公開されました。
今に伝わる江戸東京の伝統産業の豊かさが、
舘鼻氏のフィルターを通して色鮮やかに知れる展覧会となっています。
人形町で各種打刃物の製造販売を専業とする〈うぶげや〉と舘鼻氏のコラボ作品。 人形町で各種打刃物の製造販売を専業とする〈うぶげや〉と舘鼻氏のコラボ作品。
玉虫色に輝く紅「小町紅」を手がける〈伊勢半本店〉と舘鼻氏のコラボ作品。 玉虫色に輝く紅「小町紅」を手がける〈伊勢半本店〉と舘鼻氏のコラボ作品。
糸づくりから染色・デザイン・組みまで一貫して行う組紐工房〈龍工房〉と舘鼻氏のコラボ作品。 糸づくりから染色・デザイン・組みまで一貫して行う組紐工房〈龍工房〉と舘鼻氏のコラボ作品。
おうち時間が増えるに伴い、器に興味を持ったという方、
そして前々から器集めを趣味のひとつとしていた方。
そんなみなさんにぜひチェックしてほしいお店が、
京都は清水焼団地にこの春オープンしました。
その名も陶芸スタジオ〈TOKINOHA Ceramic Studio〉。
「つくり手と使い手の距離をもっと近く」をコンセプトに、
器を購入するだけでなく、器づくりの工程を見学・体験できるなど、
陶芸にまつわるストーリーを五感で体験できる、新感覚の陶芸体験施設です。
手がけたのは、2011年より生活に寄り添う清水焼ブランド〈TOKINOHA〉を展開し、
実店舗とオンライン販売を通して「陶芸と共にある生活」を
提案している〈Kiyo to-bo株式会社〉 。
「陶芸をサスティナブルな仕組みへと育てる」
という考えでKiyo to-boを経営する代表の清水大介さん。
陶芸文化をアップデートし、職人、流通、産地の新しいかたちを模索していると言います。
同館はそんな清水さんの想い溢れるスタジオです。
手前はショップスペース。奥は工房。
館内にはさまざまなこだわりがあり、ひとつは見て、触って体感できるショップ空間。
器の原料や製造工程、職人が器をつくる工房内部を直接覗くことのできる設計で、
清水焼の魅力を十二分に体感できるようになっています。
また、一般的な工房は閉鎖的で雑然としているイメージですが、
こちらはそれを払拭した明るく開放的なデザインに。
より親しみやすい空間が特徴です。
Prada Titanio パントス 79200円(予定価格)
徐々に暑さを感じる時期となってきた今日この頃。
真夏を前に、おしゃれなサングラスを新調したいという方も多いのでは?
そんな方におすすめな、メイド・イン・ジャパンのサングラスが、
この春ミラノ発のラグジュアリーブランド〈PRADA(プラダ)〉より発売されました。
コレクション名は〈Prada Titanio(プラダ チタニオ)〉。
メガネの一大産地・鯖江市生まれの、スマートで軽やかな、
幅広いシーンで活躍が期待できるプロダクトです。
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Prada Titanio レクタングル 79200円(予定価格) Prada Titanio レクタングル 79200円(予定価格)
形は逆三角形の「パントス」と四角形の「レクタングル」の2型。
マットとシャイン加工が相まった繊細な印象のフレームです。
レンズは、スレートグレー、ブルーグレー、モーブ、カメリアの
カラーレンズから選ぶことができます。
ブランド初となるチタニウムを使用し、
軽く耐久性があり、アレルギー反応が起きづらいのが特徴。
ヒンジ部分の組み込み技術や、
チタニウムにレーザーでエングレイブされたノーズパッド、
サテンと光沢の仕上げが施された、極めて薄く細いテンプルなど、
随所に高い日本の技術力が感じられるデザインです。
photo by Tsutomu Ogino(TOMART)
福井県鯖江市。
コロカルで何度も紹介している この地は、ご存知の通り、眼鏡・繊維・漆器産業が盛んな
日本が誇るものづくりのまち。
MS_042(小判弁当箱) 14700円 photo by Tsutomu Ogino(TOMART)
MS_039(長角蓋付き盛器) 18100円 photo by Tsutomu Ogino(TOMART)
MS_018(雲型前菜盛器) 16700円 photo by Tsutomu Ogino(TOMART)
MS_019(ロケット) 12300円 photo by Tsutomu Ogino(TOMART)
〈HOZUBAG〉
SDGsが広まり、社会全体で地球の未来を考えた取り組みが、
以前より輪をかけて行われるようになった近年。
そうした流れを受けて、環境に配慮したプロダクトを
日常に取り入れたい方は多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する〈HOZUBAG(ホズバッグ)〉は、
そんな方におすすめなアップサイクルバッグ。
〈HOZUBAG〉価格は3190~5720円。
カラフルでおしゃれな見た目ですが、なんと
廃棄されたパラグライダーの生地でできているんです。
長崎県、波佐見町の陶磁器メーカー
〈株式会社中善〉から2020年に誕生したブランド〈zen to〉。
日本を代表する陶磁器デザイナー、
エンジニアである阿部薫太郎さんが
ブランドディレクターとして〈zen to〉を指揮します。
ブランドコンセプトは、“多様な嗜好に応える、多彩な個性”
さまざまな人に使いやすく、
そして個性的なアイテムを提案しています。
こちらの記事 ではブランド発足第1弾として、
小宮山雄飛さんとツレヅレハナコさんによる監修のカレー皿を紹介。
第2弾となる今回は、カレーフリークとして知られる
タブラ奏者のU-zhaan(ユザーン)さんと、
〈社食堂〉で注目される〈SUPPOSE DESIGN OFFICE〉の
建築家・吉田愛さんがカレー皿の監修を務めます。
材質:磁器/サイズ::⌀270×H24mm/価格:3,960円(税込)
インドの打楽器「タブラ」を巧みに操り、
心地よい音楽を奏でるユザーンさん。
今回監修したのは、その名も〈仕切りが取れるカレー皿〉。
さまざまな種類のカレーを手づくりする、
ユザーンさんならではの視点が盛り込まれたプロダクトです。
普段から仕切りのあるワンプレートを重宝しているそうですが、
購入するときに悩ましいのがその「仕切りの数」なのだそう。
仕切り2か所Ver。量によってルーとライスの位置を替えても◎。
〈MASUNAGA designed by Kenzo Takada〉の〈Orchid〉
一大メガネ産業地帯のある福井県。
同県では、日本に流通しているメガネの9割以上を生産しているといいます。
そんな福井へ、1905年(明治38年)にメガネ産業を持ち込み
「眼鏡産業の祖」と称される実業家の増永五左衛門。
彼が創業した会社が、
高級メガネフレーム製造販売の老舗〈増永眼鏡株式会社〉です。
この春、そんな歴史ある増永眼鏡から、
ファッションデザイナーの故高田賢三氏をディレクターに迎え、
8年前にスタートした〈MASUNAGA designed by Kenzo Takada〉をメインに、
2021年春夏コレクション全4シリーズが、
4月6日より、同ブランドの直営店を中心に発売されています。
〈Orchid〉71500円。バリエーションは4型各2〜4色展開。
MASUNAGA designed by Kenzo Takadaからは、
パントシェイプとクラウンシェイプをミックスしたオールメタルフレームに、
ダブルフロントリムによってあえて余白をつくり、
日本的な「間の美学」を表現した〈Orchid〉が登場。
生前、メガネのデザインに意欲的だったという高田氏。
MASUNAGA designed by Kenzo Takadaの新作Orchidは、
氏が生前に残したさまざまなアイデアを、
増永眼鏡のデザインチームがまとめ、プロダクトに落とし込んだもの。
パントシェイプとクラウンシェイプをミックスしたオールメタルフレームに、
ダブルフロントリムによってあえて余白を作り、日本的な「間の美学」を表現しています。
テンプルのデザインは、19世紀に流行した
手持ちメガネ「ローネット」の装飾的な持ち手がモチーフに。
六角柱の表裏に装飾的なアラベスク模様を施し、
直線的でありながら同レーベルらしいエレガントな雰囲気を醸しています。
〈MASUNAGA since 1905〉の〈FLATIRON〉60500円。バリエーションは6型各3〜4色展開。
ニューヨークで最も有名なビルのひとつ、
フラットアイアン・ビルディングをイメージして名づけられた
〈MASUNAGA since 1905〉の〈FLATIRON〉は、
鉄骨高層建築黎明期の建物のような、精密さと気品が魅力。
チタン素材を採用し、全体的にスリムに仕上げることで、
スタイリッシュで端正なスタイルを実現しました。
スライド式ヨロイにリムロックがドッキングされた構造も特徴。
細かいパーツを組み合わせることで生まれた、
質感あるカラーコントラストの妙も美しいです。
高齢化が進み、日本で古くから伝わる
職人の技術の担い手が少なくなっているというニュースも耳にしますが
若い世代が引き継ぎ、現代的なアレンジを加えて
伝統に新しい息吹をもたらしている工房や工芸品は全国各地にあります。
今回は、〈地域おこし協力隊〉のみなさんに
お住まいのまちで継承されている匠の技について紹介してもらいました。
師から弟子へと脈々と受け継がれている
その技術から生み出される品々は
伝統的でありながらもどこか新しさを感じます。
次世代の担い手たちの挑戦をぜひチェックしてみてください。
きっと多くの女性は「ひとつだけのアクセサリー」を
もらったらとても幸せな気持ちになりますよね。
それが数少ない職人さんが手がけた
工芸品だったとしたらどうでしょうか。
この上ない幸せを感じるのでは?
県内に7人しかいない秋田銀線細工の職人のなかで
3人の女性職人が運営している工房〈矢留彫金工房〉が秋田市にあります。
思わずうっとりしてしまう秋田銀線細工。
秋田ではその昔、大変良質な銀がとれる銀山があり、
当時その銀を使用した金属工芸が発展しました。
戦後、秋田銀線細工の技術が確立され、
その技術は現在も伝統工芸として残っています。
〈矢留彫金工房〉では秋田美人3人衆が
「現代に合った、若者にも手に取ってもらいやすいアクセサリー」として
銀線細工の技を引き継いでいます。
細いものでは0.2ミリの銀線素材を加工していきます。
銀線細工の制作工程に惹かれ、つくり手不足に危機感を抱き、
繊細なこの技術を後世に残すべく2019年に工房を設立。
セミオーダーでのアクセサリーをはじめ、
金属工芸の基礎が学べる教室なども展開しています。
もちろん、既製品も購入することができますよ。
「若い方にも手にとっていただき
銀線細工のよさを知ってもらいたいし、
今まで見てきた銀線細工と違う新たなデザインも楽しんでほしいです」
クラウドファンディングで支援してくれた方への返礼品として制作した雛人形の持道具。
「制作工程は、何度も線の太さなどの具合を見て、
時には互いの意見を聞いてみんな切磋琢磨して取り組んでいます」と、
話す3名の瞳も大変輝いていました。
あなたもひとつだけのアクセサリー、つくりませんか?
おだやかな雰囲気の職人さんが、ひとつひとつ心を込めて制作。内に秘めた情熱は思わず応援したくなります。
photo & text
重久 愛 しげひさ・いつみ
「死ぬまでには一度は行きたい場所」で知られる鹿児島県与論島出身。2019年に縁あって秋田県秋田市にIターン。よそ者から見た秋田市の魅力や移住に至る経験を生かして、秋田市の地域おこし協力隊に着任。YOGAを生かした地域交流を図る事業や、移住者を受け入れる市民団体事業をプロデュース中。山菜採りにすっかり夢中に。自称「立てばタラの芽、座ればバッケ、歩く姿はコシアブラ」。
石川&金沢生まれの工芸品や旬の地元グルメ、
ワークショップに映画上映に音楽ライブなどなど。
毎年盛りだくさんの内容で開催されてきた〈春ららら市〉。
新型コロナウイルスの影響で、昨年2020年は残念ながら中止となりましたが、
今年は無事開催されることとなりました!
4月3日(土)・4日(日)の2日間、
金沢市の「しいのき緑地」と「本多の森公園」の2会場に
約140店のお店がテントでずらりと出店します。
記念すべき10回目となるこのイベントの開催にあたり、
実行委員会のおひとり、〈乙女の金沢展〉プロデューサーの岩本歩弓さんから
コロカルにコメントをいただきました。
「金沢市、また、石川県には、数千人とも言われる工芸作家がいます。
また、小粒でピリリの、小さくとも魅力あふれるお店がたくさんあります。
11年前に、そんな作家や店舗があつまる野外イベントはできないかと打診されました。
まわりの作家さんたちにも話を聞いてみると、
県外のクラフトフェアなどにも参加しているけれど、
遠方では交通費や宿泊費などの経費もかかる上に天候のリスクもあるから、
地元で開催されるならぜひ、といった声が多く、それならば企画してみようと思いました。
はじめは、約50店舗ほどだったでしょうか。
徐々に参加者も増え、いまでは3倍近くのお店が出店されています。
それまでは、地元作家の作品を買える地元のお店は少なく、
“地元の人ほど地元で作られているものを知らない”、そんな状態だったと思います。
いまでは、春ららら市で作家さんの器を買い集めるのを
楽しみにしてくださっている方も多く、
ふだん行けないお店の料理を楽しんでくださる方など、
来られる方がみなさんそれぞれの楽しみ方で満喫されていて、本当にうれしいです」
(岩本さん)