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いいものを未来へ残す
「わたしのまちで受け継がれる技」

このまちのくらしとけしき
vol.033

posted:2021.3.31   from:全国(秋田、福島)  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  毎月コロカル編集部からテーマを出し、
日本各地で活動している地域おこし協力隊の方から集まった写真とメッセージを紹介していきます。
その土地ならではのものだったり、自分の暮らしと変わらないものだったり……。
どんな暮らしをしてどんな景色を見ているのか、ちょっと覗いてみませんか?

writer profile

Itsumi Shigehisa, Takayuki Endo

重久愛/遠藤孝行


今月のテーマ 「わたしのまちで受け継がれる技」

高齢化が進み、日本で古くから伝わる
職人の技術の担い手が少なくなっているというニュースも耳にしますが
若い世代が引き継ぎ、現代的なアレンジを加えて
伝統に新しい息吹をもたらしている工房や工芸品は全国各地にあります。

今回は、〈地域おこし協力隊〉のみなさんに
お住まいのまちで継承されている匠の技について紹介してもらいました。

師から弟子へと脈々と受け継がれている
その技術から生み出される品々は
伝統的でありながらもどこか新しさを感じます。
次世代の担い手たちの挑戦をぜひチェックしてみてください。

【秋田県秋田市】
繊細で優美な工芸品“秋田銀線細工”を守り抜く秋田美人3人衆

きっと多くの女性は「ひとつだけのアクセサリー」を
もらったらとても幸せな気持ちになりますよね。
それが数少ない職人さんが手がけた
工芸品だったとしたらどうでしょうか。
この上ない幸せを感じるのでは?

県内に7人しかいない秋田銀線細工の職人のなかで
3人の女性職人が運営している工房〈矢留彫金工房〉が秋田市にあります。

思わずうっとりしてしまう秋田銀線細工。

思わずうっとりしてしまう秋田銀線細工。

秋田ではその昔、大変良質な銀がとれる銀山があり、
当時その銀を使用した金属工芸が発展しました。
戦後、秋田銀線細工の技術が確立され、
その技術は現在も伝統工芸として残っています。

〈矢留彫金工房〉では秋田美人3人衆が
「現代に合った、若者にも手に取ってもらいやすいアクセサリー」として
銀線細工の技を引き継いでいます。

細いものでは0.2ミリの銀線素材を加工していきます。

細いものでは0.2ミリの銀線素材を加工していきます。

銀線細工の制作工程に惹かれ、つくり手不足に危機感を抱き、
繊細なこの技術を後世に残すべく2019年に工房を設立。
セミオーダーでのアクセサリーをはじめ、
金属工芸の基礎が学べる教室なども展開しています。
もちろん、既製品も購入することができますよ。

「若い方にも手にとっていただき
銀線細工のよさを知ってもらいたいし、
今まで見てきた銀線細工と違う新たなデザインも楽しんでほしいです」

クラウドファンディングで支援してくれた方への返礼品として制作した雛人形の持道具。

クラウドファンディングで支援してくれた方への返礼品として制作した雛人形の持道具。

「制作工程は、何度も線の太さなどの具合を見て、
時には互いの意見を聞いてみんな切磋琢磨して取り組んでいます」と、
話す3名の瞳も大変輝いていました。
あなたもひとつだけのアクセサリー、つくりませんか?

おだやかな雰囲気の職人さんが、ひとつひとつ心を込めて制作。内に秘めた情熱は思わず応援したくなります。

おだやかな雰囲気の職人さんが、ひとつひとつ心を込めて制作。内に秘めた情熱は思わず応援したくなります。

information

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矢留彫金工房

住所:秋田県秋田市大町2-1-11 榮太【楼】ふるさと文化館1階

TEL:018-838-1714

矢留彫金工房ホームページ

Instagram

mail:yadome@asahinet.jp

photo & text

重久 愛 しげひさ・いつみ

「死ぬまでには一度は行きたい場所」で知られる鹿児島県与論島出身。2019年に縁あって秋田県秋田市にIターン。よそ者から見た秋田市の魅力や移住に至る経験を生かして、秋田市の地域おこし協力隊に着任。YOGAを生かした地域交流を図る事業や、移住者を受け入れる市民団体事業をプロデュース中。山菜採りにすっかり夢中に。自称「立てばタラの芽、座ればバッケ、歩く姿はコシアブラ」。

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【福島県耶麻郡猪苗代町】
〈中ノ沢こけし〉に魅せられて移住し、弟子入り!

〈中ノ沢こけし〉は、福島県猪苗代町にある
中ノ沢温泉が発祥の伝統工芸品です。
大きな目と、目の周りの赤い化粧、
そしてなんともいえない愛くるしい表情が特徴で、
通称「たこ坊主」と呼ばれています。

愛くるしい表情が魅力の〈中ノ沢こけし〉。

愛くるしい表情が魅力の〈中ノ沢こけし〉。

職人のもとで修業をしている小林澄子さんは、
〈中ノ沢こけし〉の魅力に惹かれて、
2020年に東京から猪苗代町に移住してきました。
現在は、猪苗代町の地域おこし協力隊として
役場や観光協会で働きながら、こけし職人の修業に励んでいます。

小林澄子さん(左)と師匠の柿崎文雄さん(右)。

小林澄子さん(左)と師匠の柿崎文雄さん(右)。

「〈中ノ沢こけし〉の、頭が大きくて胴が細いという
アンバランスな感じも好きです。
工人さんの個性が色濃く出ているのも中ノ沢こけしの魅力です」と、
〈中ノ沢こけし〉への想いを語ってくれた小林さんは、
東京で会社員をしていた経験を生かして、Instagramなどで
中ノ沢こけしの情報発信もされています。
柿崎さんのこけしは、〈道の駅 猪苗代〉で購入できます。

information

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道の駅 猪苗代

住所:福島県耶麻郡猪苗代町大字堅田字五百苅1番地

TEL:0242-36-7676

Web:道の駅 猪苗代

photo & text

遠藤孝行 えんどう・たかゆき

福島県の会津に位置する「猪苗代町」で地域おこし協力隊をしています。もともと東京でエンジニアをしていたこともあり、ITのノウハウを活かして「ふるさと納税」と「猪苗代湖の環境保全」を担当しております。現在、協力隊3年目となり、情報発信・教育・観光事業を主とした株式会社アウレを起業しました。

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