地元・日光でオープンした、こだわりのパン工房
午前8時、朝の光が差し込むパン工房で、4人の女性たちが作業台を囲み、
発酵した生地と対話をするように、言葉少なに手を動かしている。

発酵が進んだ生地の空気を抜きながら、つやが出るようにしっかりと丸め直す。スピーディながら生地を扱う手つきはやさしく、愛情が伝わってくる。
「生地の状態を見ながら、だいたいこのくらいの時間から
パンを丸める作業が始まります。
一般的なパン屋さんは朝の4時くらいからつくり始めて、
焼きたてのパンが店頭に並ぶ頃なのですが、
家庭を持つ女性でも無理なくできるパン屋さんにしたいと思っているんです。
朝の家事を済ませて、子どもを学校などに送り出してから、
ここへ来てパンづくりを始めるといった感じで」

24時間寝かせた生地。卵や油脂などの副材料を一切使っていないため、時間をかけてじっくりと発酵させて旨みを引き出す。
更家友美さんが日光市今市本町にパン工房〈brivory(ブライヴォリー)〉を
オープンさせたのは、2017年9月19日のこと。
趣味が高じて仕事になるパターンは珍しくないかもしれないが、
更家さんの話を聞いていると、その探究心とパンに対する情熱には驚くばかり。
「日光で生まれ育ったのですが、小さい頃からパン好きで、
東京の会社に就職してからも、パン屋さん巡りをして食べ比べていたんです。
就職先もパンやお酒の小売店で、だんだん食べるだけではなく
自分でもパンをつくってみたいと思うようになりました」

さまざまなパンを食べ歩いて特に魅了されたのが、
日本の高級パンブームの先駆けとなった東京・世田谷区の〈recette(ルセット)〉。
退職して日光に戻った更家さんは、一度は断られたものの
諦めきれずに再度かけ合って、recetteでアルバイトをさせてもらうことに。
「平日は日光で別のお仕事をしつつ、週末だけ東京に通って
recetteで働く日々を2年くらい続けました」
その後、recetteが規模を拡大するタイミングで、フルタイムで働くことになり、
再び拠点を東京に移す。店長として10年ほど働きながら、
パンコーディネーターの資格も取得した。
パンコーディネーターとは、更家さんいわく
「パンのある生活を広めるプロフェッショナルな資格」。
パンに関する仕事をしたい人が製パン理論や、
シーンやニーズに合わせたパンの食べ方など基礎知識を学ぶところから始まり、
企業やカフェ、ホテルなどに企画提案を行うための知識を身につける「エキスパート」、
パンの知識や技術を第三者に伝える教授法を学ぶ「アドバンス」まで、
3つの段階に分かれている。
更家さんは最高位のアドバンスまで取得し、recetteで働きながら
パン教室や専門学校の講師を務めたり、レシピ本を出版したりなど、
パンとより広く深いかたちで関わっていく。

更家さんが講師を務めるパン教室に通っていた人に声をかけられ、2008年に出版したレシピ本。パンを使った料理や、パンに合う料理を紹介している。
















































































