2017年9月14日(木)、東京・表参道の
ビューティライフスタイルショップ〈テラリウム表参道〉にて、
『コロカル』とのコラボレーションによるワークショップが行われました。
その名も〈TERRARIUM JAPAN RESEARCH〉。
会場となる〈テラリウム表参道〉は、〈インフィオレ〉を中心に
自然派コスメや独自のセレクトアイテムなどビューティグッズも充実。
ガラス張りの店内には陽射しが降りそそぎ、とても開放的な場所。

第1弾となる今回は、青森県弘前市にある自給自足イタリアン
〈オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ〉のオーナーシェフ・笹森通彰さんによる、
自家栽培した野菜や自家製チーズを使った盛りつけ体験、
自家製シードル飲み比べ体験を行いました。

笹森さんは青森県弘前市生まれ。
料理の道を志すことになったきっかけは、学生時代アルバイトしていた
仙台のイタリア料理店でのまかないづくりにあったといいます。
きのこのクリームスパゲティをうまくつくることができた笹森さんは、
料理のおもしろさを見出し、当時学校で勉強していたコンピューター関係の職ではなく、
料理の道を志すことに決めました。

そうして東京のトップクラスで3軒、本場イタリアの一流店で4軒の修業を経て、
2003年に自給自足イタリアン、オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ、
2010年に自家製モッツァレッラチーズを100%使用したピッツァ専門店
〈ピッツェリア ダ・サスィーノ〉をオープンした笹森さん。

なぜ、“自給自足”なのか。なぜ、弘前に戻ってきたのか。
その理由は笹森さんの幼少時代の原体験にありました。

「小さい頃から祖母の自家消費用の畑で採れた自家栽培の野菜を食べていました。
採れたて濃厚でフレッシュなトウモロコシやスイカが私のおやつ。
養鶏もしていたので、卵は自分が取ってくる担当でした。
牛乳は近所の大学の農場で低温殺菌したものを愛飲。
だから、仙台のイタリアンでバイトしていたとき、野菜の味が弱かったり、
牛乳に味を感じなかったり、ちょっとおかしいなと感じたんです。
イタリアで修業していたときも素材の弱さを感じて、
自分の小さい頃の環境は特別だったんだなと思いました。
帰省して畑のものを食べると、やっぱりうまいと実感しましたね」(笹森さん)

そんなバックボーンがあるから、素材の良さを存分に生かした料理が
本当においしい料理と確信した笹森さん。
可能な限り素材づくりから手がけることを決意したといいます。

「東京には良い素材が揃っていますが、
素材の味と料理人の技を合わせて味を最大化するのではなく、
素材だけでもおいしいものにしたい。弘前に戻って、あの畑で、
自分の納得する素材を自ら手がければ、いい料理がつくれると思いました」

いまでは30種以上の野菜や果物をはじめ、
ワインやシードル、食用花、ハーブ、チーズ、生ハムなど、
レストランで提供する素材のほとんどが、笹森さんの自給自足によるもの。
なかでもいま一番力を注いでいるのが、ワインづくり。
盆地のため日中は暑くて夜は涼しく、しっかり寒暖差があるのに加え、
風通しがいいから湿気がこもらず病気になりにくいという、
非常にワインづくりに適した環境の弘前。
醸造免許を2010年に取得し、今年で7回目を迎えました。
ワインづくりの苦労について、笹森さんは次のように話します。

「酒税法の関係でワインづくりは難しいと思っていましたが、
弘前市にお願いして特区にしていただき、自分の畑で育てたブドウでつくった
自家製ワインを自分のレストランで提供するという条件で、
1リットルから提供できるようになりました。
だけど2013年には収穫前の大事な1か月が雨台風に直撃。
葉が落ちてしまったため光合成ができず、成長が止まってしまって。
通常は糖度が24度なのですが、そのときは17度まで落ちてしまい、参りました」

そんな苦難を乗り越え、いまでは2000本植えられているブドウ畑から、
最大1500リットル、ボトル2100本分とれるようになったといいます。
これからもいまあるワインをより良いものにしていくため、改良を重ねていくそうです。

また、2016年12月からは地元のリンゴでシードルづくりも開始。
今回飲み比べしていただく春仕込み、夏仕込み、冬仕込みの3種を展開しています。
もちろんその中にはたくさん試行錯誤して、うまくいかなかったものもありました。
オリーブや小麦は青森の冬を越せず、なかなか実がなりません。
豚や食用うずら、鴨も検討しましたが衛生法上難しく、
ハチミツは住宅街に囲まれた畑に蜂がやってくることはなく……。

また、烏骨鶏も害獣にやられてほぼ殲滅。
でも、生き残った1羽が気まぐれに生む卵が濃厚で、
また対策をとって挑戦したいと笹森さんは話します。
彼のあくなき探究心が生み出す最高の素材がこれからも増え続けていく予感に、
思わず胸が躍ります。