市販のイーストのほかに自家製のサワー種を起こし、
しっかりと焼き色をつけて焼き上げられるパンは、ライ麦以外すべて道産小麦を使用。
特徴あるもちもち感を技術で口どけ良く仕上げ、
風味をきれいに残すことを追求しています。
「パンは風土の特色が味わいに現れやすい食べ物。
僕らはそれをテロワールって呼んでいます」と語る親方。
例えば、その土地の小麦を使うこともそうだし、
北へ行けば行くほど自家培養の酵母の酸味が強くなるのもそのひとつ。
体で覚えた感覚とともにさまざまなパンの知識を携えた親方は、土地の力を借りながら、
土地に愛されるパンをつくり続けています。

フンワカと焼きあがった小さな山食、名前もかわいいみにやまさん。食パンには市販のイーストを使うので、型ごとゴンゴンと数度叩きつけて中のアルコールガスを抜くのがポイントだそう。
パンづくりを学んだのは、意外な理由から
そんな親方がパン職人の道に進んだのは「たまたまだった」のだそう。
大学卒業後、渡島の福祉施設で働いていた親方は、
障がいをもつ人たちが自立しても働くところがないことから、
自分でその職場をつくろうという思いを持ち始めます。
「パン屋にしたのは、遠い親戚のおばさんの友だちが
札幌のドイツパンのお店〈ブルク〉で働いていると聞いたから。
独立するならパン屋もいいなと思って」

どっしりとしたパンたち。
そのかなり遠いご縁をきっかけにして訪れたブルクで、当時の社長、故 竹村克英さんに
「パン屋になりたいんじゃなく、障がいのある方も仕事ができる場所をつくりたいので、
修業は1年でお願いします」
と頼み込んだのだそう。
社長の弟子として1年間働きづめに働いたのち、
「都会じゃない場所で店をやりたくて」
と、地元の七飯町に戻って小さなパン屋、こなひき小屋を1987年にオープンします。

右上から時計回りに、みにやまさん(120円)、ヘルンヒェン(130円)、イチジクのパン(200円)、七飯町の福田農園の王様しいたけを使った、しいたけのブール(180円)。