※この記事では、イノシシの解体や内臓などの写真が出てきます。
苦手な方はご注意ください。
こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。
我が家では、米や野菜と同様に、
お肉に関してもできるだけ“自分たちで得る”ことを大切にしています。
2013年に狩猟免許をとり、夫婦で猟を始めてからは、
我が家の食卓にのぼるお肉は、イノシシ、シカ、アナグマなどの野生動物がメイン。
出産後、私自身の狩猟活動は一時的にお休みしていますが、
夫が近所の猟師さんのお手伝いをしてもらってきたイノシシをさばいていただいたりと、
今でもジビエは日常的に食べるお肉のひとつです。
私たちがこの糸島の小さな集落で狩猟を続ける理由はふたつあります。
ひとつは、自分たちが食べるお肉を自給するため。
もうひとつは、集落の畑や田んぼを守るため。
その思いについては過去の記事で紹介しているので、
ご興味のある方はぜひ読んでみてください。
さて、冬は野生のイノシシがおいしくなる、狩猟の季節。
今回は、実際にイノシシがとれた場合、
「猟をする人の家ではどのように食べるのか?」というテーマで、
我が家のリアルごはんをご紹介したいと思います。

庭でイノシシをさばきます。
一頭のイノシシの肉を食べるまでには、
罠かけ→とどめ刺し→血抜き→内臓とり出し→皮剥ぎ→部位ごとに切り分け→保存・調理と、
たくさんの工程があります。
狩猟というと、仕留めるまでのプロセスが注目されがちですが、
そのあと何時間にもわたって
「食べられるお肉にするまで」の作業が待ち構えています。
何頭もとれると解体作業が夜中まで続くことも珍しくありません。
だからこそ、最後の最後まで無駄なく食べ切れたときは、うれしい気持ちと、
命をいただく感謝の気持ちでいっぱいになります。
さて、我が家ではイノシシがとれると
「内臓→頭→肉→骨」の順番で食べていきます。
まず、「内臓」は最も鮮度が落ちやすい部位です。
そのため狩猟したその日のうちに食べるか、
きれいに下処理をし、真空パックにしてから冷凍しています
(内臓には雑菌や寄生虫がいる可能性があるため、
丁寧に洗い、食べる際にはしっかりと火を通します)。

生後半年(推定)のイノシシの心臓。2歳を超えてくると握り拳くらいの大きさになります。
下処理が簡単で比較的すぐに食べられるのが、
心臓、肝臓、脾臓、腎臓など赤い色の臓器。
逆に下処理が大変なものは、小腸、大腸、胃など白い色の臓器です。
内臓はできるだけすべていただくようにしています。
ジビエが苦手、という人におすすめしたいのが「心臓」です。
筋肉質でプリプリとした歯応えで、臭みが少なく、
初めての人でも食べやすい部位です。
シンプルに焼いて塩・胡椒をかけるのが一番好きな味つけです。
食感や味わいは牛タンに近いかもしれません。
「肝臓(レバー)」は内臓のなかでも特に大きい部位。
血の臭いが残りやすいので、酒に漬けて臭みを抜いたり、
下味を濃いめにしたり、食べる際は少し工夫をしています。
ニンニク・醤油・酒でしっかり味つけした肝臓の唐揚げは娘の大好物。
また、生クリームと混ぜたレバーパテもおいしかった!
とにかく量が多いので、いろんなレシピを試しました。
ほかにも、さまざまな部位とオリーブオイルとニンニクとハーブで
アヒージョをつくってもおいしいです。
かたくなりすぎず、やわらかくジューシーで臭みもありません。

肝臓の唐揚げは下味をしっかりつけるのがポイント。冷めてもおいしいおつまみに。
肝臓についている「胆嚢(たんのう)」。
かつて猟師たちの間では、乾燥させたものは二日酔いに効果があるとされ、
「昔はみんなお酒の場では胸ポケットに忍ばせていたんだよ」と
漢方のように飲用していたと聞きました。
とても苦いので、爪の先くらいをちょっと削って飲んでいたそうです。
一方で、2016年にはイノシシの乾燥胆嚢が感染源と予想されるE型肝炎の発生例があり、
猟師間のユニークな文化だとは思いつつも、我が家では飲用していません。

漢方では熊の胆嚢を原料にした「熊の胆(くまのい)」が有名ですが、これは「猪の胆(ししのい?)」でしょうか。
ソーセージをつくりたいときは、「腸」が切れないように気合いを入れて洗います。
しかし、これがなかなか骨の折れる作業……。
腸内の汚れをきれいにしたあとは、仕上げに塩でもみ、
ぬめりをとってから真空パックにして保存。
ソーセージをつくるときは、イノシシ肉のミンチを中に入れてつくります。

丁寧に洗った腸。

イノシシの腸を使ってソーセージづくり。腸を切らないように丁寧に洗うのは、この作業のためです。

できあがったソーセージ。スパイスたっぷり。