移住先探しの旅は岡山へ。 心揺さぶられた 牛窓町の陶芸家夫妻の暮らし

夫婦で交互に綴る
暮らしと移住のはなし

コロカルで『美味しいアルバム』を連載する
フォトグラファー津留崎徹花が
夫、鎮生とともに移住を決意。
夫は今年6月に会社を辞め、現在は無職。
ふたりと5歳の娘は、改造したワンボックスカーで
移住先探しの旅に出ることに。
夫婦で交互に綴る連載、今回は妻の徹花が見た、
岡山の陶芸家夫妻の暮らしについて。

台湾の日本通の必読誌 『秋刀魚』の編集長が 日本で最も幸せなまちを行く。

雑誌『秋刀魚』編集長 Eva Chen

2014年台湾に新しい雑誌が生まれた。
コンセプトは「Discover Japan Now」。雑誌の名前は『秋刀魚』。
毎号台湾人目線で、日本人でも知らない日本の姿や魅力を独自の切り口で発掘している。
いまや台湾の日本好きで知らない人はいない雑誌だ。
今回は編集長のEva Chen氏がLIP田中の故郷であり、
台湾でもまだ知名度の高くない「福井」を訪れた。
新幹線も通っていない、空港もないこの場所だが、
幸福度日本一に選ばれた(日本総合研究所発表「幸福度ランキング2016年版」)
その理由は一体どこにあるのだろうか?
(by LIP)

最も幸せなまちで古民家の新しい命を感じる。

散歩する、それはあるまちに近づく最も奥の深い方法である。
雑誌『秋刀魚』創刊以来、確かに日本のたくさんのまちを訪ね、
散策取材の企画も多く行ってきた。
そのなかでも今回訪れた福井は、日本で「最も行きにくいまち」と言われ、
空港も新幹線もまだ未開通の北陸の地。

福井のまち並みはまるで朝ドラに出てくる昭和時代の風景のようだった。
この地の温かくて平穏な日常は、神様がこの地に授けた日本一の水(*1)のように、
華やかな味わいはないが、口の中でほんのりとした甘みが漂う。
この甘みは人々に微笑みながらこう思わせる。
「福井がほかの場所から遠いおかげで、
福井ならではの幸せな味は守られているのかもしれない」

*1 日本一の水:水政策に詳しいジャーナリストの橋本淳司さんによる「水道水がおいしい市町村ベスト5」で、福井県大野市の水道水が1位に選ばれた。

親友の雑誌『LIP』の田中佑典氏のお誘いで彼の故郷を訪れることになった。
日本の友人の地元に行くのは、台湾人の私にはとても新鮮なことである。
まるで卒業アルバムのページをめくるように、
友だちの幼い頃の行きつけのお店に行き、学生時代に乗っていた電車に乗り、
十数年経っても変わらないどこかの道の物語を聞いていていると、
今回の旅は一層感情移入することができた。
あとから気づいたが、福井の方言で、語尾に「の」の音をつけた挨拶は
「ここは私の故郷じゃないか?」と思わせるくらい親近感の湧く響きだった。

故郷とは人々の記憶の中に隠れた古びた家であり、
古くまだらに色づいた外壁は歴史の跡を表している。
福井には古い町家が数多くある。高齢化と過疎化が進んでいるなか、
それらの古民家は一時的にまちから忘れられていた。
しかし、近年福井は「まちおこし」(日本式古民家「町家」のリノベーション)に
力を入れているおかげで、この地で古民家をリノベーションする若者が
どんどん増えている。歴史と新しい創造が融合し、
木造建築の積み重ねてきた月日を吸収し、新たな命を芽生えさせる。

町家のリノベーションの代表作のひとつは坂井市にある民宿〈詰所三國〉である。
明治時代の元〈田中薬局〉を改修し、当時の薬瓶や看板はそのままのかたちで、
庭園や吹き抜け構造を残した民宿へと姿を変えた。
室内デザインは日本を愛する東洋文化研究家のアメリカ人、
アレックス・カー氏(Alex Kerr)が手がけた。
1日限定2組。「行雲」と「流水」の2棟の客室があり、
夜は歴史を感じる空間に囲まれ、庭では星空を楽しめる。
朝は宿から3分くらい歩くと三国港があり、
幕末に北前船が商売をしていた歴史深い場所を歩くことができる。

しかし、私が一番驚いたのは客室に完備しているキッチン。
ご当地の伝統的な漆器や磁器が食器として使える。
一般的なホテルのように食事提供のサービスはないが、
民宿は旅の客にこう誘っているように感じた。
「ここで料理作りを楽しみ、短い滞在のなかでも
この地ならではの日常生活をイメージしよう」と。

〈おりづるタワー〉 原爆ドーム横に 新ランドマークオープン

2016年9月23日(金)、広島の原爆ドーム横に、
新しい複合施設〈おりづるタワー〉がオープンしました。
展望台のほか、物産館やカフェなども入っており
“広島を最も感じられる場所”の新たなランドマークに!

1945年に広島市に投下された原爆。
おりづるタワーは、核兵器の破壊と悲しさの象徴である〈原爆ドーム〉と
ほとんど同じエリアに、復興と優しさ溢れる未来を象徴して誕生しました。
運営するのは広島を拠点とする〈広島マツダ〉。

おりづるタワーの屋上展望台からは、原爆のあとに復興をとげた
広島のまち並みを見渡すことができます。

屋上展望台は、周囲がメッシュで覆われたウッドデッキの展望スペース。
風がそのまま通り抜ける設計です。
隣の平和記念公園・原爆ドーム、また晴れた日には宮島の弥山(みせん)まで、
広島の2つの世界遺産を同時に望むスポット。
テイクアウト専用のカフェも常設しているので、屋上展望台のゆるやかな丘の上で、
軽食やドリンクとともに広島市内の景色を眺めることができます。

9月23日〜25日の3日間は、グランドオープンの特別企画として、
通常大人1,700円の展望台入場料がなんと無料に! 
この機会に是非訪ねてみてはいかがでしょうか?

〈アッセンブリッジ・ナゴヤ 2016〉 港まちを舞台にした 音楽とアートの祭典

音楽とアートで、まちに新しい価値を築く。名古屋市の新たな取り組み

名古屋市の南部、名古屋港及び築地口エリアで、
9月22日(木・祝)〜10月23日(日)の1か月間、
クラシック音楽×現代アートのフェスティバル
〈Assembridge NAGOYA(アッセンブリッジ・ナゴヤ)2016〉が開催されます。

イベントタイトルに掲げられた、Assembridgeとは、
Assemble(集める、組み立てる)とBridge(橋)を組み合わせた造語だそうです。

その言葉通り、いつものまちの風景の中に「音楽」や「アート」を落とし込み、
来場者、出演者や出展者はもちろん、このまちに住む人々までもが、
普段はなかなか接することのない世界レベルのクラシック音楽や、
現代アート作品を身近に体験する機会をつくり出します。

すでに今年の冬に開催されたプレイベントも好評を博した同イベント。
今回は、さらに会場数や参加アーティスト数を増大させた本祭として開催されるのです。

演奏場所は水族館から飲食店まで。音楽がまちじゅうに溢れ出す4日間

名古屋港水族館。プレイベントでの演奏風景。

港まちならではのロケーションと言える、公園や名古屋港水族館でのコンサートなど、
4日間で総勢200名というクラシック音楽の奏者らが集う音楽部門
『ピクニックに出かけるように、港まちで音楽を』。

名古屋港ガーデンふ頭「つどいの広場」では、
特設ステージ〈水の劇場 ヴァッサービューネ〉が設置され、
名古屋フィルハーモニー交響楽団と、現代フランスを代表するピアニスト、
ジャン=マルク・ルイサダによるフルオーケストラコンサートが野外で行われます。

また、名古屋港ポートハウスでは、フランスの鬼才と称される、
ミシェル・ベロフのピアノリサイタルも(こちらはチケット制)。

名古屋フィルハーモニー交響楽団による街頭コンサート(プレイベント時の様子)。

まちなかの飲食店なども、コンサート会場に(プレイベント時の様子)。

その他にも、茂木大輔、なぎさブラスゾリステン、三浦一馬、村治奏一、
大宮臨太郎、宮坂拡志、岩崎洵奈、朴葵姫、山根一仁など、
世界的に活躍するアーティストが集結。
イルカパフォーマンスとサクソフォンカルテットの競演や、
地域で親しまれる喫茶店、居酒屋でのコンサートなど、
バラエティに富んだコンサートが開催されます。

本格的なクラシック音楽を間近で鑑賞できるだけでなく、
さまざまなまちの風景を舞台に奏でられることで、「音楽」と「まち」が混ざりあい、
それぞれがいつもと違った魅力を見せてくれるはずです。

浅草のふくろうカフェ 〈ふくろう神社〉オープン。 世界一写真がきれいに撮れる!?

猫カフェに続き人気のふくろうカフェ。
2016年9月16日(金)、東京・浅草に、
神社をコンセプトにしたふくろうカフェ〈ふくろう神社〉がオープンします。

ふくろう神社では、地元浅草の神社・仏閣をイメージ。
店内に鳥居や神棚を設置したり、壁紙にも和紙調のものを導入。
幻想的な雰囲気を演出しています。

神社がモチーフ

そしてなんといっても一番のアピールポイントは、
“写真がきれいに撮れる”こと!

来場者の多くがSNS投稿のためなどに、ふくろうの写真を撮るふくろうカフェ。
従来のふくろうカフェの悩みは、室内全体を暗くしていて写真がブレてしまったり、
蛍光灯などのままで照らしてしまって写真の色味が良くないことでした。
そのため、こちらのカフェでは、
先日世界遺産に登録された上野の〈国立西洋美術館〉が展示品をきれいに見せるために
導入している照明器具と同じ製品で照明を演出しています。

もちろん、ふくろうの生態にも配慮しており、
色温度を落とすレンズを入れたり、
光源が直接見づらくなるようにフードをしたりしているのでご安心を。

活気ある〈南樽市場〉は 市民の台所。暮らしにふれながら お土産探し。

店先にずらりと並ぶ、新鮮でお買い得な海の幸。
港町小樽でとれたての魚介類が集まるのが、
観光の中心地から少し離れた新富町の〈南樽市場〉です。
市内に点在する市場のなかでも、
市民の台所として地元のお客さんでにぎわい、いつも活気にあふれています。

9軒もならぶ鮮魚店には特産のハッカクやシャコ、カスベなど、季節ごとにとれたての旬の魚介が。地方発送を受け付けているお店も。

南樽市場の歴史は古く、前身は昭和初期に露天商を営んでいた人々のため
1938年に建設された高砂市場でした。やがて戦争による
物資不足や配給制度のため廃業。終戦後の1949年、
木造二階建てで50軒の商店が軒を連ねる長屋方式の南樽市場が誕生します。

1968年、建物の老朽化にともない、現在の建物が完成。現在は鮮魚店が8軒、精肉店、野菜や果物の店、日用雑貨店、薬局から小さな寿司屋に、
コーヒー店まで、幅広く計27店舗。
大型スーパーに行かずとも、ここでこと足りるほどの品揃えです。

山側入口向かいにある〈酒田商店〉。ほっけフライ(160円)や火・木・土販売のイカメンチ(67円)が人気。午後には品薄になることも。※2017年4月中旬に閉店

市民御用達のかまぼこ店〈大八栗原蒲鉾店〉。名物〈復古版角焼き〉(700円)や半熟の燻製卵をまるごと入れた〈くんかまたまご〉(230円)、旅のちょっとしたおともに〈つまみ揚〉(100g150円)も。

まちの子どもたちの身長がびっしりと貼られた柱。ほっとなごめる休憩スペースもご自由に。

1杯ずつドリップで落とされる、コーヒー専門店〈可否茶館〉の
コーヒー(200円)は、市場の店員さんたちにも人気。もちろんテイクアウトOK。
〈小樽クラシックブレンド〉のドリップパックがお土産に好評です。

市場の雰囲気と絶妙にマッチしている店内外のイラストは、小樽出身の画家・漫画家 横山文代さんの作。左が市場のイメージキャラクター“みなみちゃん”。こちらは山側の入口の休憩所。

広くとられた山側の駐車場沿いにも、
老舗豆腐店や人気のラーメン店が建ち並んでいます。
入口脇には小さな公園や木造の古い住宅が残る、どこか懐かしい風景が。
市場の脇を流れる勝納川には、
子どもの日が近づくと一面に300近くの鯉のぼりや大漁旗がはためき、
まちの風物詩になっています。

週末の老舗菓子店の出店や、土曜日にはお楽しみ抽選会も。
ちょっとしたおやつやお土産をみつけるのが楽しい昭和の情緒が残る市場で、
小樽のまちの素朴な暮らしぶりが体験できます。

運河から徒歩すぐのふ頭には、停泊する豪華客船の姿が。かつてはこの港に、日本海を巡って積み荷を売買する北前船が訪れていました。

江戸末期から明治にかけてニシン漁が盛んだった
小樽は本州との海運交易の拠点でした。北海道を代表する玄関口として、
食品から石炭まで多くのものや人が行き交った歴史を誇るまちです。

観光地としての小樽は、現在のまちのシンボル、運河から始まります。
港湾施設として1923年に完成した小樽運河はふ頭の整備などにより使命を終え、
1960年代、道路開発のため、埋め立て計画がもち上がりました。
歴史ある景観を守ろうと運河保存の市民運動がおこり、
十数年に及ぶ論争の結果運、河の北半分は保存。
道路に沿った南側は半分の幅が埋め立てられ、
散策路とガス灯が整備されて、現在の姿に生まれ変わりました。

ふ頭のなかった時代には荷を積んだ小舟“はしけ”が行き交っていた運河。現在は運河クルーズが運行しています。

この運動が小樽の古いまち並み保存へとつながり、運河のまわりを中心に建ち並ぶ、
軟石でつくられた木骨石造の石蔵や店舗などの歴史的建造物が、
まちの新たな見どころとなりました。
小樽運河の船から楽しむ〈小樽運河クルーズ〉も人気です。

観光地で知られる顔のほかにも、市場のように、
人々の暮らしに近い場所が小樽の見どころのひとつ。
気軽なお買い物気分で、飾り気のないまちの空気にふれてみてください。

information

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南樽市場

住所:小樽市新富町12-1

TEL:0134-23-0722

営業時間:9:00〜18:30

定休日:日曜日

※駐車場 あり

http://www.nantaruichiba.or.jp

移住、どこで暮らす? 一家で移住先を探す旅へ

暮らしを考える旅。
津留崎家の移住について

コロカルで『美味しいアルバム』
連載中のフォトグラファー津留崎徹花。
地域の暮らしや食、人に触れるうち、
移住したいという気持ちが高まり、夫・鎮生と移住を決意。
けれど、どこへ移住するかはまだ決まっていません。
5歳の娘を連れ、いろいろな土地を巡りながら考えたいという
津留崎家の旅がいよいよ始まります。

超ハイテクスマートホステル 〈&AND HOSTEL〉が 福岡市にオープン! 最先端のIoTデバイスを体験可能

2016年8月、福岡県福岡市に“日本初のスマートホステル”として
近未来の“デジタルライフ”を体験できる、〈&AND HOSTEL〉がオープンしました。
IoTデバイス体験を“宿泊”の中に組み入れて、
お客様に“デジタルライフ”を体験してもらうことを目的としたホテルです。

IoTとは、“モノのインターネット化”のこと。
世の中にある様々な物体(モノ)をインターネットにつなげて、
相互に通信することによって、遠隔操作や自動認識などが可能になっています。

このホステルではIoTデバイスを一箇所に集めることによって、
宿泊自体を観光目的のひとつとして訪れてもらいたいという狙いがあるそうです。

実際にどんなことが体験できるのかというと、
お部屋に入るとかわいいコミュニケーションロボット〈BOCCO〉がお出迎えしてくれたり、
スマートフォンのタイマーアプリと連動した照明〈HUE〉が、
朝の目覚めのタイミングに合わせてライティングしたり。

IoTデバイスを開発している各社の協力のもと、なんと10種類ものIotデバイスを完備しており、
滞在中、様々なシーンでスマートライフを体験できます。

スマートフォンのアプリと連動し気軽にメッセージのやり取りが出来るロボット〈BOCCO〉(ユカイ工業株式会社)

スマホを使い、調光や1600万色以上もの調色ができるスマートLED照明 〈HUE〉(フィリップスライティングジャパン合同会社)

また、こんなことまでできちゃうの!?と驚かされそうなのが、
SONY株式会社が開発している〈Smart Eye Glass〉。

AR技術を利用して、サングラスの内側にテキストや画像などが映し出されるという仕組みで、
このサングラスをかけて街中へ出れば、
ハンズフリーでたくさんの情報を手に入れることが出来るそう! 
株式会社ディー・エヌ・ピーが技術協力しており、共同で福岡観光ガイドの開発を推進しています。

福岡から観光パンフレットがなくなるのも時間の問題かも!?

東伊豆で〈秋のすすきイベント〉 東京ドーム26個分の 絶景すすき野原を堪能!

静岡県の東伊豆町にある、自然豊かな〈稲取細野高原〉。
東京ドーム26個分の面積を誇る広大な高原。
相模湾・伊豆七島を一望できる絶景ポイントを擁する風光明媚な散策スポットです。

ここで2016年10月5日(水)〜11月11日(金)の期間、
黄金色に輝くすすきを堪能する〈秋のすすきイベント〉が開催されます。
青い相模灘を眼下に、黄金色のすすきの大群生が見られるのはこの季節だけ!

〈秋のすすきイベント〉では、スタンプラリーや
三筋山絶景ポイントまでのシャトルタクシー送迎のほか、
週末にはガイドウォークや自然観察会、陶芸やプリザーブドフラワーの体験教室、
もちまき、演奏会などなど、さまざまなイベントが開催予定。
晩秋の季節、黄金色のすすきが創りだす壮大な光景を是非体験してみては?
イベント開催の詳細は公式サイトにて。

information

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稲取細野高原〈秋のすすきイベント〉

会場:稲取細野高原(静岡県賀茂郡東伊豆町稲取細野高原)

開催期間:2016年10月5日(水)~11月11日(金) ※雨天中止

営業時間:10:00~16:00

料金:大人(中学生以上)600円、小人(小学生以下)無料

Web:公式サイト

美唄の老舗喫茶店〈ぐうりん亭〉。 ラザニア風スパゲティは青春の味

大正から昭和中期にかけて、
炭鉱のまちとして栄えた美唄(びばい)。
札幌と旭川をつなぐ国道12号線沿い、
年季の入った階段を登ってすぐのドアを開けると、
緑色の壁とランプ、そして天井に吊るされた
飛行機模型が目に飛び込んできます。

レトロなムードが漂う、このまま映画の舞台になりそうな
〈ぐうりん亭〉は、創業41周年を迎える老舗喫茶店です。

壁や床などの内装は店主の浅理伸一さんと、大八(プロの大工ではないからこの肩書き)の友人とで手がけました。統一感のある什器はなんとすべてもらいものだとか。

控えめの照明に浮かび上がる緑の壁や額縁が
まるで秘密の隠れ家のような雰囲気。
店内にあるものひとつひとつを眺めながらじっくり滞在したくなる、
そんな不思議な魅力がつまったお店です。

壁には古いポスターやレコードジャケットの額縁が。このバランスとセンスが心地よい空間をつくりだしています。

人気のメニューは〈ラザニア風スパゲティ〉(550円)。
たっぷりのホワイトソースとチーズのなかに
ミートソーススパゲティがかくれた、
どっしりと懐かしい味わいの、ボリューム満点な一品です。

大学時代は東京で過ごし、スキー部で活躍した店主の浅理伸一さん。
合宿所で大勢の部員に食事をつくっていた経験がお店のベースになっています。
豊富なメニューは、食事だけでも30種類以上!
「よそのお店でおいしかった料理を再現したものもあるから、
○○風が多いんです」と笑う浅理さん。

デザートには、昔ながらのスタイルが地元女子中学生にも人気の〈チョコパフェ〉(400円)を。

リーズナブルかつボリュームたっぷりなメニューで、
ぐうりん亭は、オープン以来、まちの高校生の集まる場所でもあります。

カウンターは閉店したスナックから運んできたもの。取り付けるとき“大八”の友人が裏表逆につけてしまったというエピソードも。

今は、浅理さんを友達感覚で訪れる女子中学生の常連さんもいるという
店の奥には、そんな学生たちの無数の落書きが
びっしりと書き込まれたテーブルが。
「昔は消していたんだけどね、今はもうそのままにしているんです」
と朝理さん。愛されてきた喫茶店の歴史がここに刻まれています。

落書きが残るのは、奥のふたつのテーブルだけ。近づいてみると……

甘酸っぱい落書きがご覧のとおり。なかには比較的新しいものも。

店内に置かれているライブハウス並みの立派なJBLのスピーカーは、
ライブ会場としても使われてきたお店の顔。
札幌や東京からさまざまなアーティストが訪れています。
触発されて浅理さんもサックスを習い、バンドを組んでいた時期もあったのだとか。

雰囲気たっぷりのお店のマッチは友人デザイン。この女性のポートレートがお店の看板でもあったそう。店内にはこれをモチーフにした浅理さんの作品があるので、ぜひ探してみて。

東京にいた頃、喫茶店で、当時パンクバンドにいた
あがた森男さんが、ドラムのリハーサルをしているのを見かけた浅理さん。
印象に残ったそのお店が、吉祥寺にあった〈武蔵野火薬庫〉(ぐゎらんどう)。
のちにお店を始めるとき、壁を緑色にすると決めていたので
ぐゎらんどうをもじって“ぐうりん亭”と名づけたのだそう。

アイスコーヒー(350円)は銅製マグカップで。ひとつひとつの食器も味わい深い。

美唄出身の浅理さんは、大学卒業後、美唄に戻ってJUNグループの婦人服の支店長を勤めます。
のちに独立をめざし、並行してぐうりん亭をオープン。
当時は美唄最大の三菱美唄炭鉱が閉山して間もない頃で、まちは活気にあふれていたそう。
やがてまちの景気に影が差し、婦人服店を閉め、昼にぐうりん亭、
夜にスナックと2店舗を営んでいました。

現在は、ぐうりん亭の奥に〈ゴルフ工房 ASARI〉をかまえ、
ゴルフクラブのカスタマイズオーダーも受けるという多才ぶり。

笑顔が素敵な浅理さん。そのチャレンジ精神と器用さ、根気強さが、長く続くお店の秘訣。

今は小さいお子さんを連れた家族連れのお客さんが多く、
中には3世代にわたる方はもちろん、4世代目の子どもさん連れのお客さんもいるのだそう。
「お客さんが次の世代を店に連れて訪れてくれるのは、やっぱりうれしいですね」

美唄のまちとともに歩みを続けるぐうりん亭。
何にも似ていない、それでいてほっとできる独特のムードを
旅の途中に味わってみてはいかがでしょう。

道にある緑色の看板が目印。2階へと進めば、緑色の空間が迎えてくれます。

information

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ぐうりん亭

住所:美唄市大通西1条南1-3-3 2F

TEL:0126-62-0922

営業時間:10:00〜18:30

定休日:火曜日

滝川の隠れ名店〈鮨 おくの〉。 ひと手間かけた抜群のおいしさ

繊細な姿で現れた真イカの握りは、思わず目を奪われる美しさ。
ていねいに包丁を入れた真イカに特製のタレのあとゴロをひと塗り、
仕上げは柚子七味。柔らかなイカにゴロの風味がふわりと香る、
見た目に違わぬおいしさです。

かつて炭鉱で栄えたまちに囲まれ多くのひとが行き交った、
札幌から北へ車で約一時間の距離にあるまち、滝川市。
今も飲み屋が多い滝川の中心部にあるアーケード街の一角、
広いアプローチに真っ白なのれんが目印の〈鮨おくの〉には、あたたかな光が灯っていました。

北海道産のタモ材を使用したカウンターは、友人である札幌の木工作家〈cogu〉が仕上げに手を貸してくれたそう。椅子やテーブルは飛騨家具〈柏木工〉のもの。

カウンター席とテーブル席とに分かれた店内は余白を感じられる空間。
真っ白な壁と木のトーンが、しっとりと落ち着く雰囲気をつくりだしています。
お店をひとりで切り盛りするのは若き店主、奧野恒康さん。
滝川市内の〈寿司本おくの〉二代目でもあり、
来たる代替わりの準備として2015年に独立、鮨おくのをオープンしました。

お任せ握り6種と酒肴5種の〈お任せコース〉(3800円)をはじめ、
〈お任せ握り〉(1貫150円〜)と〈酒肴〉(1種500円〜)を組み合わせて
厳選されたお酒とともに楽しむことができます。

左からサバの燻製、イワシとトマトの南蛮漬け、北海シマエビに黄身酢かけ。素材のおいしさを引き出す、隙のない技が光ります。

鮨おくのは、江戸前ならぬ“いいとこ取りの蝦夷前”と称する独自のスタイル。
素材そのままではなくひと手間をかけて、
素材のおいしさを引き立せることを大切にしています。

「江戸前寿司のような、手をかけて一貫を
ひと料理にするという感覚でやっていきたい」
と話す奥野さんの握りや一品料理は見た目も美しく、
後味にまでおいしい余韻が残ります。

ふんわりと上品なホッケのつみれ汁。訪れた7月上旬は道南の松前産を使用。お出汁もしみじみおいしい。

ひと品ごとを引き立てるうつわにも注目。やわらかな質感の古い汁碗は、
なんとオークションで奥さまとともに見極めたものだそう。
使う側、盛る側両方の目線から選んでいるうつわや料理のお話を伺いながら、
ついついお酒が進みます。

左2本が鶴沼ワイナリーの白。左から〈鶴沼ピノ・ブラン〉(グラス750円)、〈鶴沼ミュスカ〉(同950円)、右は〈北海道ケルナー〉(同650円)。

お酒のメニューにある白ワインは、奥野さんが出会ってそのおいしさに驚いたという、
同じ空知地域で浦臼町の〈鶴沼ワイナリー〉からお鮨に合う3本を厳選。

こだわりの日本酒(冷酒 400円・燗酒1合 750円)は純米吟醸酒や特別純米酒のほか、
乳酸発酵させた酒母の中から酵母を育む伝統製法“生酛造り”の生酛純米酒も。
隣町新十津川の金滴酒造前杜氏さんがつくられた山廃純米酒〈金滴 熟成酒〉の
絶妙なまろやかさは、ぜひ味わいたい一杯です。

ひと目で美味しさの伝わるマグロ。奥野さんがあつらえている醤油だれの風味とともに、口の中でほどけるよう。

「試作をつくっていると、素材に対する手数は3手になると多すぎるんです。
付け足した味にしかならない。1、2手で決めて、それでおいしかったら一番いいですね」

自分の体験から素材との間合いを計り、おいしさを追求している奥野さん。
「店をやっていくなかで軸にしているのは、まわりを気にせず、
好きなようにやるということ。それができるのが田舎の利点だと思っています」

カステラと見まがうふんわり美しい卵焼きは、大人な甘みがデザート感覚。

持ち帰るのがうれしくなるようなデザインの折詰(9貫2100円+折代100円)パッケージを始め、お店のロゴなどを手がけるのは札幌出身のイラストレーター、サトウアサミさん。

奥野さんの奥さまは、〈SANCHOS JAM〉の名義で
ひっそりとジャムづくりを続けるオクノサオリさん。
素材選びのセンスとおいしさとでファンの多いサオリさんのジャム。
現在は札幌にある北欧雑貨店〈piccolina〉で、月替わりのジャムが限定数販売されています。

奥野さんは大学卒業後、札幌で5年半の修行期間をへて、実家である寿司店に戻ります。
学生時代は跡を継ぐことを考えていなかったものの、
卒業間近にサラリーマンになるタイプではないと気づき、寿司屋の道に入りました。

凛とした雰囲気の若き店主、奥野恒康さん。子どもの頃から板前のお父さんの隣で包丁を使うのが好きだったそう。

料理はもとより、お店のすみずみにまで
洗練されたセンスが感じられる鮨 おくの。
滝川のまちに泊まってゆっくりと夜に訪れたい、そんな名店です。

information

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鮨 おくの

住所:滝川市栄町3-4-5

TEL:0125-24-1818

営業時間:18:00〜24:00

定休日:日曜日

※駐車場 あり

湖面に立てる秘密のポイントへ? 表情豊かな洞爺湖散策へ

山々に包まれるようにたたずむ美しいカルデラ湖、洞爺湖。
新千歳空港から西へ車で約1時間半の湖周辺は
〈支笏洞爺国立公園〉に指定される自然の宝庫です。
また、有珠山や特別天然記念物の昭和新山から洞爺湖にかけて、
火山活動がつくりあげた景観が〈洞爺有珠山ジオパーク〉としても知られています。

大地の躍動から生まれた洞爺湖の開放感にあふれる風景は、
眺めるだけでなく、そのなかに入って体験してみたくなるはず。

刻々と姿を変えていく洞爺湖をカヌーでゆくひととき。湖面からの風景も体験してみて。(写真:洞爺湖ガイドセンター)

穏やかな湖面の美しさとともに、四季折々に表情を変える湖岸を楽しめるのが、
湖をカヌーでめぐるガイドツアーです。
ツアーを行うのは〈洞爺湖ガイドセンター〉。経験豊富なガイドとともに、
サンライズ・サンセットタイムの約1時間のカヌーツアーをはじめ、
夏は深い緑を、秋は紅葉を満喫できる〈洞爺湖カヌーでピクニック〉など、
季節に応じたさまざまなアクティビティが楽しめます。
希望があれば、洞爺湖の湖面に立てる秘密のポイントへとご案内。
天候などにもよりますが、忘れられない思い出の1枚を撮ることができます。

洞爺湖を一望できる〈支笏洞爺国立公園サイロ展望台〉からの眺め。左から大島、少し見えているのが饅頭島、弁天島、観音島。展望台にはお土産店や展望レストランも。

洞爺湖の中央、火山活動によって生まれた湖に浮かぶ島〈中島〉は、
4つに分かれた無人島。なかでも最大の〈大島〉には遊歩道が整備され、
自然林の残る深い森を散策することができます。
温泉街の桟橋から大島行きの観光遊覧船が30分おきに就航しているので訪れてみましょう。

大島まで片道20分の遊覧船。デッキに出て風を感じながらカモメとともに中島へ向かうのもよし、船内で少し懐かしい観光アナウンスに耳を傾けるもよし。

〈洞爺湖汽船〉が運行する洞爺湖遊覧船〈エスポアール〉(大人往復1420円)は
まるで湖に浮かぶ城のよう。広々とした船内で、レトロな雰囲気に包まれた船旅を楽しめます。
1階メインフロアでは、事前予約で
お弁当セットつきのランチクルーズ(大人2200円)も行っています。
ほかに〈幸福〉〈羊蹄〉などの遊覧船も運行。
夜には〈洞爺湖ロングラン花火大会〉のための
花火鑑賞船(大人1600円)としても人気を集めています。

きれいな三角形の大島が見えてきました。天気に恵まれれば大島の湖畔から、対岸に有珠山と昭和新山がのぞめます。

大島には小さな森林博物館、売店兼飲食コーナーが設けられています。
博物館入口で入山手続きを済ませたら、ゲートから奥へと伸びる遊歩道へ。
途中で分かれる〈周遊コース・約1時間〉〈アカエゾマツコース・約3時間〉があり、
ウッドチップの敷かれた道を進んでいきます。
大島発の最終便は17:00。余裕をもってゆっくりと散策に出かけましょう。

トドマツが整然と並ぶ森で深呼吸。遊歩道をはさんで反対の斜面は手つかずの原生林が広がっています。

遊歩道の先に広がる樹々は、アカマツの森からトドマツの森、
そして深い原生林へと姿を変えていきます。
静けさに包まれた森林浴を楽しみながら、洞爺の自然を味わうことができます。
1時間の周遊コースなら、途中看板のあるT字路を右折。
少し勾配のある道のりなので、スニーカーなどの歩きやすい靴がおすすめ。

周遊コースそばにそびえる巨木。大島では、日高から運ばれたという野性のシカに出会えることも。

足もとには小さな花や苔むした倒木が。途中からはフカフカの腐葉土を踏みしめながらの散策が心地いい。

爺湖の語源は〈ト・ヤ〉、“湖の岸”というアイヌ語を和人が湖の名前にしたもの。
大自然を満喫したあとは岸辺にたたずむ温泉街に戻り、
温泉でゆっくり汗を流す極上のひとときを。

※先日の台風10号により、洞爺湖中島でも大量の風倒木が発生しました。
現在、中島へ上陸(下船)はできますが、遊歩道が閉鎖されています。
詳細は洞爺湖町役場0142-75-4400までお問い合わせください。

information

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洞爺湖ガイドセンター

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺町193-8

TEL:0142-82-5002

http://www.toya-guide.com

〈洞爺湖万世閣 レイクサイドテラス〉 洞爺湖名物の花火は老舗ホテルで

穏やかで美しい洞爺湖。訪れる人に安らぎを与えるこの湖の風景は、
太古の火山活動により生まれたもの。湖の南には、
これまでに幾度も噴火を繰り返してきた有珠山がそびえ立っています。
2016年に開湯100周年を迎えた、洞爺湖の南岸に位置する洞爺湖温泉街。
幾度もの噴火を乗り越えてきた歴史とともに、
まちが一体となって新しい観光文化を創造し続けています。

洞爺湖温泉街が誇る最大のイベントが〈洞爺湖ロングラン花火大会〉。
1977年の有珠山噴火後、お客さんを温泉街に呼び戻そうと、
温泉街が共同で立ち上げた花火大会は今年35回目を迎えます。

4月28日から10月31日まで、
荒天日以外は毎日20時45分から打ち上げ開始。
外に出て豪快な花火を間近で見上げるのはもちろん、
湖畔のホテル〈洞爺湖万世閣 ホテルレイクサイドテラス〉では、
客室からも花火をゆったりと楽しむことができます。

湖に面したホテルレイクサイドテラス。湖岸の遊歩道を含め、洞爺湖温泉街では約3キロにわたる国内最大規模のフリーwifiスポットが設けられています。

温泉街のなかでもっとも美しい洞爺湖を眺められる、
創業75周年を迎えたホテルレイクサイドテラス。
フロントから地下ロビーラウンジへ降りれば、
パノラマで広がる四季折々のレイクビューが迎えてくれます。
また、東館、中央館、西館に分かれたほぼすべての客室から、
窓いっぱいに洞爺湖を望むことができます。

スーベリアツインルームの窓からは湖を一望のもとに見渡せます。木の風合いやインテリアがシックで落ち着ける空間。

2008年、洞爺湖サミットをきっかけに中央館の客室を全て洋室に変更。
上層階には個人のお客さんにもゆっくりと過ごしてもらえるよう、
洋室スーベリアルームをリニューアルオープンしました。
刻々と移ろう湖の風景を楽しみつつ、柔らかなソファやローベッドが
心地よいくつろぎの時間に誘います。ここからゆったりと眺める花火はまた格別。

客室からは花火鑑賞の遊覧船の姿も。船の乗り場はレイクサイドホテルすぐそば。

どのホテルからも花火が見えるよう、打ち上げ船がゆっくり移動してゆきます。対岸のまちの明かりも美しさに華を添えて。

ホテルレイクサイドテラスの温泉大浴場は、西館8階〈星の湯〉と
中央館地下1階〈月の湯〉の2か所。最上階に位置する星の湯では、
絶景の展望露天風呂から眼下の洞爺湖を眺めながらの湯浴みが楽しめるほか、
夜はお湯の中から花火鑑賞という贅沢なひとときも過ごせます。

刻一刻と移ろう湖の景色を楽しめる〈星の湯〉露天風呂。天気のいい日は“蝦夷富士”と名高い羊蹄山が見えることも。(写真:洞爺湖万世閣 ホテルレイクサイドテラス)

月の湯は和風情緒あふれる庭園風呂がテーマ。
広々とした大浴場と野趣あふれる露天岩風呂が、旅の疲れを癒してくれます。

〈月の湯〉内風呂では開放感に包まれた入浴を。趣の異なるふたつの湯は男女入れ替え制なので、滞在中に湯めぐりしたい。館内には室内プールも併設。(写真:洞爺湖万世閣 ホテルレイクサイドテラス)

夕食と朝食には、全面のガラス窓が開放感あふれる
西館1階のバイキングレストラン〈ステラマリス〉で
盛りだくさんなメニューからお好みをチョイス。取材に訪れたこの日は、
漁師さんから直接仕入れる〈噴火湾産ホタテ焼き〉や〈アスパラの天ぷら〉などが並び、
旬の素材や地元産の食材を使った料理も豊富(※季節によって食材は変わります)。
朝食には2015年に有珠山の温泉源の熱を利用して生まれた新名物、
ゆでたまごならぬ〈ジオたまご〉も要チェック。
このほかに、ドライエイジングビーフとハーフビュッフェを味わえる
レストラン〈ラ・カンティーナ〉も併設しています。(要予約)

バイキングのサラダバーコーナー。地元産のミニトマトほか種類豊富なメニューがずらり。

1人用ジンギスカンセットはテーブルで組み立ててチャッカマンで点火。ラムや野菜、お好みの食材を好きなだけ乗せて。タレ多めで焼くのがおすすめ。

洞爺湖万世閣レイクサイドテラスは、1941年、この地に建っていた
旅館〈萬世館〉を、創業者の浜野増次郎さんが買い取ったことに始まります。
しかし創業間もない1944年、ホテルからほど近い壮瞥町で
昭和新山が誕生し噴火活動が始まったほか、
1977年の有珠山大規模噴火でも打撃を受けます。

「長く勤める従業員の中には、3回の噴火を経験しているものもいます」
と穏やかに語るのは、支配人を務める宮崎健さん。
洞爺湖温泉街の歴史は、浜野増次郎さんをはじめ、ここ洞爺で苦境に立ち向かい、
復興に力を注いできた人々の歴史でもあります。

支配人に着任して4年目を迎える宮崎健さん。「洞爺湖の魅力はなんといってもこの景色。毎日見ていても飽きない美しさを、多くの方に体験していただきたいです」

萬世館から万世閣へ、そしてホテルレイクサイドテラスへ、
スタッフやまちの人々とともに前進し建物の増改築を重ね、
今や洞爺湖温泉街の顔として、多くのお客さんでにぎわうホテルとなりました。

温泉街隣にある壮瞥町では毎年2月下旬に〈昭和新山国際雪合戦〉が開催され、
国内外の精鋭チームが集い、真冬に熱い戦いを繰り広げる冬の風物詩が人気を呼んでいます。
「我々洞爺湖温泉街チームも参加していまして、
今年は優勝を逃しましたが、世界第3位に輝きました。
当ホテルのテニスコートを使って練習が行われていたんですよ」と宮崎さん。

このほかにも、旅館経営者にアニメファンの方がいたことから
〈TOYAKO マンガ・アニメフェスティバル〉(6月下旬)を
2009年からスタート。SNSで話題を呼び、
全国からお客さんが訪れる人気イベントへと成長しています。

長い歴史のなかに新たな文化を取り入れ、進化を続ける洞爺湖温泉街。
季節ごとさまざまに行われるイベント情報もチェックしつつ、
湖畔の滞在を楽しんでみませんか。

information

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洞爺湖万世閣 ホテルレイクサイドテラス

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺湖温泉21

TEL: 0142-73-3500

http://www.toyamanseikaku.jp

ビッキの大作が鑑賞できる 〈洞爺湖芸術館〉 元村役場の建物を改修

洞爺湖の北東の岸辺、〈ラムヤート〉〈toita〉が並ぶ商店街から
まっすぐ湖畔へとすすむと、湖に向かって建つ〈洞爺湖芸術館〉が見えてきます。

1952年築のレトロな雰囲気をもつ建物はもと村役場。
洞爺村と呼ばれたこの地域は2006年、
隣の虻田町と合併し、洞爺湖町となります。
村役場としての役目を終えた建物は洞爺湖芸術館として
2008年にリニューアルオープン。
旧洞爺村がそれまでに買取や寄贈によって収集していた美術コレクションを、
地域の方々に公開展示・発信する場として、新たなスタートを切りました。

もとの姿を生かしたレトロなつくりの建物そのものもじっくり鑑賞したい部分。階段上の窓は、館内に唯一残る村役場時代からの手のべガラス。

旧洞爺村とアートのつながりは、1988年に始まった洞爺湖を囲む
当時3町村による〈洞爺湖ぐるっと彫刻公園〉プロジェクト事業に遡ります。
この事業は、1977年の有珠山噴火の後、1984年と1988年に
復興へのモニュメントとして、
美唄市出身の世界的な彫刻家・安田侃さんの作品が
湖畔に設置されたことをきっかけにスタートしたもので、
計58 基の彫刻作品が、洞爺湖畔の風景となって佇んでいます。

洞爺湖全景を映し出す窓からのすばらしい眺め。2階のビエンナーレ展示室は役場の元議会場。村に大きな建物がなかった時代は結婚式場としても使われたそう。現在は企画展やコンサートイベントも行われています。

ここに、参加した彫刻家と当時の洞爺村の村長が企画した
〈洞爺村国際彫刻ビエンナーレ〉が1993 年にスタート。
2007年まで洞爺村で開催された(最後の回は洞爺湖町)小さな村のビエンナーレに、
世界93カ国から多くの応募作品が寄せられました。
このうち87作品が洞爺湖芸術館に収蔵され、
2階の展示室でゆっくりと鑑賞することができます。

昭和46年刊、230冊限定の川端康成『雪国』豪華本。大卒の初任給が5万円という時代に、2万7千円という値段がつけられたそう。美しい装丁に引き込まれます。

このビエンナーレの図録づくりに関わったのが、
洞爺湖芸術館に多くの希少本を寄贈した横浜在住の印刷会社社長、
石島成美さん。芸術文化の振興をすすめる村長の地域づくりに共感し、
「都会に集まりがちな本物の芸術を、大自然にかこまれた洞爺村の未来のために」と、
40年かけて蒐集したうちの400冊を寄贈。
元村長室だった空間に、なかなか目にする機会のない、
そうそうたる作家たちが手がけた近代・現代日本文学作品の
初版本・限定本がずらりと並んでいます。

棟方志功や谷崎潤一郎の初版限定本のほか、三島由紀夫直筆サイン入り本も。

2階には、ビエンナーレから派生した「洞爺湖イメージアッププロジェクト事業」が実り、
ユネスコ世界遺産主席写真家をつとめた並河萬里さんが
この地に住みながら3年間かけて撮影した、美しい洞爺の風景写真が飾られた1室も。

この作品のなかには、“三樹園”という古風な旅館の写真があります。

「これはかつて芸術館となりにあった旅館で、
三樹園という名前は、芸術館の窓から見える小公園の“三樹”にちなんだものです。“三樹”は桑と桜とセンの木がひとつの株から出ているように生えたている大樹で、
桑は樹齢1300 年、桜は600年(残念ながら現在の桜は2代目)、
センは200年を超える古木です。香川をはじめ四国から来た開拓者たちが、
困難にくじけそうになったときにこの樹を見て、
このように寄り添ってみんなで頑張ってゆこうと誓い合って、
“三樹”の名がつけられたそうです」
(※樹齢は1933年に林学博士本田静六氏が鑑定)

芸術館の館長、三島邦代さんはそんなエピソードを教えてくれました。

彫刻作品左から、カナダで制作された『Images of British Columbia』(1983年)、『隔生A.C』(1988年)、『TOH』(1980年)、樹齢500年の大木でつくられた『風』(1988年)。壁面を飾るビッキの絵画作品はご遺族から寄贈されたもの。

1階には、北海道を代表する彫刻家、
砂澤ビッキ(1932〜1989)の大作が荘厳な空気を放っています。
ビッキの大きな彫刻作品をまとめて観ることができるのは、現在、洞爺湖芸術館だけだそう。

ビッキのアトリエ風景。すべてビッキが使用していた本物の道具が、配置もそのままに再現されています。壁の黒板にあるデザイン図も本人が描いたもの。

ビッキが音威子府(おといねっぷ)で制作し遺した、
大きな作品の収蔵場所を探していたご遺族が、当時の札幌芸術の森美術館の館長に相談し、
ここ芸術館を選ばれたことが、この常設展示につながりました。
強靭さと繊細さをあわせもつビッキの作品と、
それらがつくられた制作場所とを、あわせて体感することができます。

年に一度〈砂澤ビッキ週間〉を設け、特別展示が行われています。2016年はご遺族のご協力のもと、音威子府の〈アトリエ3モア〉にあったビッキの書斎を細部に至るまで再現。あちこちにビッキならではの遊び心が見つかります。(〜2016年10月2日まで会期延長)

ビッキが敬愛していたヘンリー・ムーアのポスターの上にある作品は『樹面』(1975年)。

こちらは唯一触ったり腰かけたりできるビッキの作品。一部の椅子は裏返すと、椅子の足は取り外し式で好きな穴に入れられるという仕組み。座り心地は……ぜひ体感してみて。

館内をゆっくりまわったあとは、1階の奥にある物販コーナーに立ち寄って
スタッフ手づくりの地元産ハーブティーを片手にひと休みを。

アートで村の振興と発信に力を注いできた洞爺村の歴史を
静かに伝える洞爺湖芸術館。洞爺湖の新たな魅力が、ここにあります。

information

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洞爺湖芸術館

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺町96

TEL:0142-87-2525

営業時間:【4月〜5月】10:00〜17:00、【6月〜9月】10:00〜18:00、【10月〜11月】10:00〜16:00 ( 受付は閉館30分前まで)

休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、12月1日〜3月31日

観覧料 一般300円、高校生200円、中学生100円※団体などその他割引あり

※エレベータ・多目的化粧室・車いす・駐車場完備

http://www.geijutukan.net

暮らしの商店〈toita〉には 洞爺のおいしいものが大集合。 食を通して人とつながる

「洞爺のおいしい野菜をさらにおいしく食べられるような
調味料を扱う商店を開きたいので、よかったら何かやってみませんか?
と、〈ラムヤート〉の満寿喜さんに誘われたんです」

それが、〈toita〉店主の高野知子さんがここ洞爺町に移り住み、
お店を始めるきっかけでした。

洞爺湖の岸辺はお店から歩いてすぐ。なだらかな屋根が愛らしい外観のtoitaは、
暮らしや毎日の食卓をより豊かにしてくれる調味料や食品が並ぶ、
小さくも頼れるまちの商店です。
空き家だった古い一軒家を、お隣の人気パン屋さんラムヤートの店主、
今野満寿喜さんが店舗に改装。2015年秋にオープンしました。

洞爺湖町にある〈阿部自然農園〉のなたね油エクストラバージン(850円)と深煎り(800円)。「おひとりで生産から加工まで手がけている農園。深煎りはナッツのような香ばしいかおりでラムヤートのパンにも合うんです」と高野さん。

洞爺湖の周りは農業地帯。地元の生産者さんと直接つながって届けられる
小規模でつくられている加工品をはじめ、地元産の旬の野菜や卵などが、
そのときどきで並んでいます。
そして、四国を中心にした地域で真摯につくられる食材や調味料も。
どれも素材からこだわってつくられた、安心していただけるものばかりです。
家での料理の幅がぐっと広がる、新たな定番に出合えます。

近隣ニセコの〈ラララファーム〉でつくられている自然栽培のトマトを使ったトマトジュース(2100円)とトマト塩麹(600円)。季節限定の貴重な品。

「直接つくり手の方々を訪ね、ものづくりの現場を見てから
お取り引きを始めるようにしています。ひとつひとつの商品にまつわる物語を、
お客さんにも伝えたいので」

旅好きの高野さんが瀬戸内国際芸術祭をきっかけに訪れ、
惚れ込んだという四国。今は、四国のおいしいものを取り扱う
愛媛の〈まなべ商店〉から情報をもらいつつ、
できるだけ自分の足でおいしいもの探しを続けているところだそう。

コロカルが取材にお邪魔した日、高野さんが旅先で出会った徳島の〈アァルトコーヒー〉庄野雄治さんによるイベントやワークショップが行われていました。コーヒー豆の販売も。

toitaでは不定期にさまざまなイベントを開催しています。高野さんの前職である
ファッションブランド〈Plantation〉の展示販売をはじめ、
札幌や道外の小さなショップや喫茶店を招いてのイベントや販売会も。

また出張toitaと題して、高野さん自ら外のイベントにおもむき、
これまでに東京の〈Plantation〉店舗や長野の〈ヤマとカワ珈琲店〉などで
期間限定ショップをオープン。
各地で、洞爺や北海道のいいものを伝えるメッセンジャー役を果たしています。

高野さんの人やお店とのつながり方に見えるのは、
それぞれが持つ土地やものの魅力をお互いにリスペクトして伝え合う、気持ちのいい関係です。

札幌の手づくり石けんのお店〈siesta labo〉とコラボレーションした〈トーヤのせっけん〉(1404円)。洞爺産の大豆を使った豆乳入りで、使い心地はしっとりなめらか。おみやげにもぴったり。

お店を通して暮らしの提案をしている高野さんは、
札幌でアパレルの仕事で多忙を極めていた時期、
食生活の乱れやストレスから体調を崩した経験がありました。

「自分の生活を見つめ直したとき、一度スピードを止めて、
新たな仕事をしたいと思うようになりました。
満寿喜さんから声をかけていただいたのが、ちょうどそのときだったんです」

もともと好きで通っていた洞爺に移住してからは、
忙しいながらも、暮らしにまつわることに時間をさけるようになったそう。

ナチュラルで凛とした雰囲気の高野さん。洞爺の空気に溶け込む笑顔が印象的。「今後は、食品だけではなく暮らしまわりの雑貨などもお伝えしていきたいです」

今後は、洞爺の生産者さんとともに地域おこし協力隊とつながって、
生産者さんと消費者をつなぐサポート役を担っていく計画もあると話してくれました。
「めざすは主役でなく、名脇役、つなぎ役です」と笑顔を見せる高野さん。

toitaとは、アイヌ語で“土地を耕す”という意味。
「『耕す』という意味のラテン語は、英語の『文化』という単語の語源になっています。
耕すことが文化につながるという思いで、ラムヤートや同じ志をもつまちの仲間たちとともに、
新しい文化をつくっていきたいなと思っています」

洞爺をはじめ、土地の力をぎゅっとつめこんだすてきなお土産が、
ここできっと見つかるはずです。

取材に訪れたこの日は、札幌の北欧雑貨を扱う〈piccolina〉がイベント出展中でした。

information

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toita 

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺町85-2

問い合わせ:toita.toya@gmail.com

営業時間:10:00〜16:00ころ

定休日:火曜・水曜

https://ja-jp.facebook.com/toita.toya/

元商店街を活気ある通りへ 洞爺湖畔の地産地消の石窯パン屋 〈ラムヤート〉

洞爺湖北側の岸辺。地域の特産品を取り扱う
道の駅がわりの〈とうや水の駅〉の向かいに
どこか愛嬌のある古民家を見つけたら、
それが洞爺のランドマーク、石窯焼きのパン屋さん〈ラムヤート〉です。

映画『しあわせのパン』の舞台にもなり、
オープンから2017年で10年を迎えるラムヤートは、パン屋を生業に、
元商店街だった店前の通りを
ふたたび活気あるまちにしていこうとスタートしたお店。

「僕らがパン屋を開店したとき、近所の方から、
当時店がひとつもなかったこの通りに約20年ぶりの店ができたと言われました」

洞爺湖の南にあるまち伊達に生まれ、札幌からこの地へ移住した
店主の今野満寿喜(ますき)さんは笑ってそう語ります。

2代目パン職人、ゴンちゃんこと友田直之さんは全くの素人からパンづくりの道へ。「先代の祐介さんに教わり、函館の有名パン屋店主さんに何度もアドバイスをもらい、付近のお店やお客さんに味や仕上がりを見てもらったり。多くの人に支えられて焼いています」

パン棚に並ぶ〈無花果とカシューナッツのパン〉(ハーフ690円)や
〈向日葵の種のパン〉(620円)など、手をかけてつくられるハード系パンや
食パンはどれもどっしりとして素朴な美人さん。
中身がぎゅっと詰まっていて、噛めば噛むほど深い味わいが広がります。

ラムヤートのパンは店の軒先に自然に実る葡萄から起こした自家製天然酵母を使い、
手ごねのあと常温で3〜4時間じっくりと自然発酵させてから、
手づくりの石窯で焼き上げています。

奥行き180センチもある立派な石窯は満寿喜さん設計。レンガは新しいものに加え、地元で登り窯を持つ陶芸家さんの使用済みレンガを再利用。窯の中で焼き上がりを待つのは〈向日葵の種のパン〉。

パンづくりに使われるのは、ドライフルーツやナッツ以外、
全て洞爺湖近辺、または北海道内の生産者さんの安心・安全な素材。
〈田舎パン〉(ハーフ670円)に使われる全粒粉や〈玄米粉の食パン〉(680円)の玄米粉は、
洞爺湖町の阿部自然農園から仕入れています。砂糖、卵、バター、添加物は不使用。
営業日の土・日・祝日の開店10時に合わせて、10種類ほどのパンが並びます。
ときにはサンドイッチの販売もあり。売り切れることも多いので、
早めの時間帯に訪れるのがおすすめです。

入口左側にパンの棚。店内には洞爺湖畔でつくられている木彫作品や、料理家・たかはしよしこさんのエジプト塩なども置かれています。お客さんやご近所さんが入れかわり立ちかわり訪れる、まちの商店の風景。

「パンづくりで大切にしているのは、まず廃棄しないこと。
たくさんつくって経済を回すのでなく、
生きるのに使うお金をなるべく小さくしていきたいんです。
そして、自分が暮らす地点から近いところでつくられた、
いい素材を選ぶことを大事にしています」

そんな風に考える満寿喜さんが洞爺に移住したきっかけは、
「ここで暮らしていきたい」というシンプルな思いでした。

今や〈toita〉さんをはじめ近隣の店舗づくりも手がける今野満寿喜さん。大工仕事は独学で、洞爺に住んでから必要に迫られて始めたそう。

「湖があり、静かで、大きすぎず小さすぎない。
当時はまだ村だったこのまちが、すごくいいなと思ったんです」
札幌に住んでいた頃、10年先の人生を考え、
仕事よりも先にその下にある土地を大事にしようと決意。
安住の地を探して北海道をまわり、ここ洞爺にたどり着きます。

地道な空き家探しの末、現在の店舗兼住まいの古民家に出合います。
「お金がなかったので、洞爺の廃材や什器だけで店づくりをしてきました。
なるべくすべてを地産地消でやってみようと思って」

おりしも、埼玉のパンメーカーに勤務していた弟の祐介さんが、
パンの大量生産・大量廃棄に悩み、自分で店を始めようとしたタイミング。
満寿喜さんは「それなら洞爺でパン屋をやらないか」と祐介さんを誘います。

初代パン職人をつとめた弟の祐介さんは4年で独立するという約束を果たし、
現在は隣町の喜茂別で〈ソーケシュ製パン+トモエコーヒー〉を営んでいます。

元スタッフが京都の〈ガケ書房〉で出会った風博士さん、風さんからつながった森 ゆにさん、そのふたりおすすめのWATER WATER CAMEL が2014年にラムヤートでライブをした記念の絵が。この絵と今のお店のロゴは、そのときともに訪れたイワサトミキさん作。

ラムヤートの存在と洞爺湖の土地の魅力が多くの人を惹きつけ、
今、湖畔には新しいお店が続々とオープンしています。
お店の裏手には、焼き菓子店〈しまりすや〉と、
アンティークの布を扱う〈nii〉が小さなお店をかまえ、
ラムヤートお隣には暮らしにまつわる商店〈toita〉が。
いずれのお店も、満寿喜さんが声をかけた道内外の友人が営んでいます。
このほかにも、静かで穏やかな時間の流れる湖畔では、
あちこちに点在するお店巡りを楽しむことができます。

10年前、ラムヤート1軒があるだけだった通りは、
今や小さなお店が立ち並び、子どもたちが駆け回る、
生き生きとした商店街へと様変わりしました。

店名のラムヤートは、逆さにすると“トーヤムラ”。
「僕らが来た頃は、まだここは洞爺村でした。合併で洞爺湖町になった今も、
近所のおじいちゃんおばあちゃんはここを村と呼ぶんです。
村がここに存在していたことを、少しでも残せたらと思って」

まちの歴史に寄り添いながら、新しい風を吹き込んでゆくラムヤート。
暮らしの足もとを見つめ直すきっかけに出会える、
思いのこもったパンを味わいにぜひ訪れてみて。

満寿喜さんのセンスがあふれる空間には、息子さんをはじめ、近所の子どもたちの作品も。奥はギャラリースペース。

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ラムヤート

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺町128−10

TEL:0142−87−2250

営業時間:土・日曜・祝日10:00〜16:00(売り切れ次第終了)

定休日:月〜金曜

器、木舟、衣服など生活道具を展示 アイヌ文化を継承し未来へつなぐ 〈二風谷アイヌ文化博物館〉

一歩足を踏み入れると、あらわれるのは壮大なスケールの展示空間。
〈平取町立二風谷アイヌ文化博物館〉では、
国会議員もつとめたアイヌ文化研究者・アイヌ民族の故 萱野茂さんが
収集した重要有形民俗文化財
「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」1121点のうち、
919点を所蔵・展示しています。国文化財に指定されたこのコレクションから
平取地域のアイヌの人々の歴史と文化に、深く触れることができる場です。

展示室は〈アイヌ〉人々の暮らし、〈カムイ〉神々への信仰、
〈モシリ〉大地の恵み、〈モレウ〉造形の伝承と4つに分かれ、
伝統的な生活道具を中心に、アイヌの暮らしぶりを紹介しています。

紺色の木綿地は沙流(さる)川流域の「切伏刺しゅうした着物」によく用いられる色合い。こちらは普段着ではなく晴れ着にあたる衣服。

木綿の生産がなかったアイヌ民族にとって、
こうした生地は主に和人との交流のなかで得たもの。
平取地域ではオヒョウなどの木の樹皮を使った〈アットゥ〉と呼ばれる織物が、
途絶えることなく受け継がれてきました。

二風谷でつくられるこのアットゥと、
彫刻の施された平たい木製のお盆〈イタ〉が
2013年、北海道で初めて伝統的工芸品として指定。
展示では、使い込まれた美しいアットゥやイタを見ることができます。

鹿の毛皮でつくられた〈ユ〉は冬の暮らしに欠かせない防寒着。

狩猟・採集を主な生業にしていたアイヌの人々が、
森で仕掛けていたワナを実際に試せるコーナーも。アイヌの人々の暮らしの道具には、
実用的ながらも美しいデザインを数多く見ることができます。

酒の入った杯に先をつけ、神に人の願いを届ける祈りの道具〈イクパスイ〉。多彩なデザインが施される彫刻作品で、なかでも杯に乗せられた作品は塗りと彫りの技術の最高峰を極めた上に、金箔が貼られた一級の芸術品。

「興味深いのは、漆や金箔を使う技術のなかったアイヌ民族の生活道具に、
これらがしばしば使われていること。当時アイヌの人と和人の交流のなかで、
本州で塗られた可能性が考えられます」

展示品について丁寧に教えてくれた学芸員の長田佳宏さんは、そう語ります。
このほかに装飾に使われたガラス玉、鉄や刀なども、
本州圏や北方圏との交易などで得ていたもの。
外の世界とつながりながら生活を送っていた姿が浮かび上がります。

昭和40年代につくられた手彫りの舟。この大きな舟はカツラの木でつくられたもの。先端には神の〈イナウ〉(御幣のようなもの)が飾りつけられています。

二風谷地域を流れる沙流(さる)川では今も〈チサンケ〉と呼ばれる、
舟おろしの儀式が行われています。
これは古代から伝わる技法でつくられた舟に魂をいれる進水の儀式。
毎年8月中旬頃に一般公開され、
参加者は約1キロの川下りを体験することもできます。古代舞踊の演舞のほか、
前日には〈ウトヌカ〉(アイヌ式の結婚式)や前夜祭なども行われているので、
あわせて訪れてみたいイベントです。

〈ポタタクサ〉はヨモギのこと。清め草といわれ、家の中の囲炉裏で燃やすと虫除けになり、茎の部分を矢柄にしたりと重宝していました。右奥は魔除けとして、また強心剤などの薬として使われた〈イケマ〉。

祭祀に使われた草木や生活に密着した食生活についても、
実物が展示されているのが特徴。なかにはイナキビ、アワのように、
現在も沙流川地域で栽培されているものもありますが、確保しにくい素材も多いそう。

平取地域では、アイヌの伝統的生活空間づくりのための
自然素材を育成する〈イオル再生事業〉として、
生活用具をつくるのに必要な樹木や野草を育てる森づくりや
チセの制作に使われるヨシの栽培など、まちぐるみで伝統再生への取り組みを進めています。

首長や祭事をつかさどる人がかぶる冠。本来のアイヌのクマの木彫りはこんな素朴な顔立ち。一般にお土産物で知られる鮭を加えたクマの木彫りは、後年スイスから入ってきたモチーフと言われています。

博物館からすぐの距離には、地域の発掘調査成果や出土品が展示される〈沙流川歴史館〉や、
博物館の母体になったコレクションの一部や
世界各地の先住民族の工芸品が見られる〈萱野茂 二風谷アイヌ資料館〉があり、
気軽に立ち寄ることができます。

平取地域はアイヌ文化を受け継ぎ未来へとつなぐ、道内で最も大きな拠点です。
この3つの施設をつなぐ〈匠の道〉沿いにある、
工芸家たちがそれぞれ営む民芸品店でのお土産探しもお楽しみのひとつ。

博物館そばの2棟のチセでは、工芸家が木彫または布製品をつくる様子を見ることができます。沙流川地域の〈チセ〉はヨシでつくられ、チセづくりの技を絶やさぬよう定期的にチセの維持管理を行なっているそう。

匠の道沿いにはアイヌ民族の住居〈チセ〉が建てられ、
かつての〈コタン〉(集落)の姿を見られるほか、
春から秋にかけてチセの内部で地元の古老による「ユカと語りべ」が開かれ、
訪れる人にアイヌ語でのお話や神謡を聞かせてくれます。

地元の工芸家が毎日交代しながら運営するチセには囲炉裏がおかれ、かつての暮らしの雰囲気も味わえます。彫られているのはイタ。文様のひとつひとつに制作者の想いがあります。

博物館のとなり、イオル再生事業の中心となる
〈平取町アイヌ文化情報センター〉では、
イタとアットゥをはじめ、まちに住む工芸家たちが制作した
アイヌ伝統工芸品を展示販売するほか、ムックリや刺しゅうコースター、
木彫コースターの体験学習を行うことができます(予約は二風谷アイヌ文化博物館まで)。

平取地域イオル再生事業では伝承を受け継ぐ次世代の担い手を育てるため、地域の若者を雇用して技術を教えています。若者たちが手がけた酒杯は地域の祭事で使われているそう。

「アイヌ文化の継承に力を注いでいる地域なので、
博物館も地域と歩調を合わせてさまざまな活動を行っています。
北海道とその周辺地域で育まれ、継承されてきたアイヌ文化を
より多くの人に体験していただきたいですね」

のどかな山あいにある平取町二風谷地域は、
アイヌの人々が受け継ぐ暮らしを守り、今へと伝えています。
ゆっくり流れる時間を感じながら、
自然に寄り添って生きるアイヌ文化を探訪してみませんか。

博物館の裏には、二風谷ダムとにぶたに湖が広がります。敷地にはアイヌの人々がものづくりに使う木が植えられた樹木園も。駐車場を緑地に変え、集いと憩いの場を整備していく計画が進行中。

information

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平取町立二風谷アイヌ文化博物館

住所:沙流郡平取町二風谷55

TEL:01457-2-2892

開館時間:9:00〜16:30

休館日:4月16日〜11月15日定休なし、11月16日〜4月15日月曜、※ただし12月16日〜1月15日 館内整備のため休館

※チセでの〈ユカと語り部〉は5月〜9月下旬の毎週土曜日15:30〜16:30(無料・予約不要)毎年変更になるので、要確認。   

入館料 大人400円・小中学生150円(団体割引・共通券あり)

http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/

はるばる訪ねたい地産地消の店。 絶品のびらとり和牛100% 〈じゃんけんぽん〉

地元ならではの鮮度がおいしい、希少なびらとり和牛。

ジュウジュウいい音とともにテーブルに置かれた
〈びらとり和牛ハンバーグ&カットステーキセット〉(1950円)のお皿には、
ふんわり箸でほどけるほど柔らかな特製ハンバーグと、
肉の旨みがぎゅっと詰まったカットステーキがぎっしり。
どちらも地元ブランド牛の〈びらとり和牛〉を100%使用した、
ここ〈じゃんけんぽん〉ならではの逸品です。

北海道一のトマト出荷量を誇る平取は、まちでつくられる桃太郎トマトや
加工品を〈ニシパの恋人〉ブランドで全国へ発信しています。
もうひとつ静かな人気を集めるのが、
平取の厳しい冬を乗り越えることで肉の旨味が凝縮した
ブランド牛の〈びらとり和牛〉。
頭数が少ないため、なかなか流通していないこの和牛が、
じゃんけんぽんではふんだんに使われています。

ステーキとハンバーグが焼かれていくところ。赤身のステーキは両面を全部焼いて、余熱でじっくり火を通したミディアムレアの焼き加減が絶妙です。

おいしい理由は、鮮度もポイントのひとつ。
びらとり和牛を一頭買いしているお店から、毎日使う分だけを仕入れています。
「冷凍ものは一切使わず、新鮮な肉を使っています。
ストックがないので、売り切れたら終了。
このスタイルは、おいしく食べてもらいたいという父のこだわりですね」
そう語るのは、現在オーナー佐々木幸博さんからお店をまかされている、息子の廣大さん。

トマトがとれる期間いっぱい、10月末までの期間限定〈びらとり丼〉(1180円)。丼にぎっしり入ったびらとり和牛はもちろん、お米、トマト、水菜など野菜まですべてが平取産という、究極の地産地消メニュー。

近郊のトマト農家から「青トマトを使えないか」
という提案から生まれた〈びらとり丼〉は、
ジューシーなびらとり和牛と青と赤トマトの爽やかな甘みと酸味が絡んだ、
季節限定のおすすめメニュー。

じゃんけんぽんのネットショップでも販売している特製ハンバーグの素材は、
びらとり和牛のみでつくられる自慢の一品。つなぎも抑え、甘みもたまねぎだけだそう。
「豚肉を使っていないので、ふわふわな食感になるんです」と廣大さん。
この肉そのもののおいしさを味わってもらうため、塩胡椒のみの味つけで、
ソース別添えのスタイル。むしろソースなしでペロリと完食してしまうおいしさです。

もとは喫茶店だったこのお店をお父さまが買い取って改装。壁の敷居向こうの座敷席はあとから増築したスペース。店名のじゃんけんぽんは、“一度聞いたら忘れない”という理由で、妹さんの学級通信のタイトルを採用。

お店で使うお米、トマトなどの野菜も平取産。
地産地消に力を入れるお父さまの幸博さんは平取出身で、
札幌や東京で飲食店に勤め、故郷で独立。びらとり地産地消の会の会長も務めていました。
じゃんけんぽんは、お店のメニューをびらとり和牛一本に切り替えて、
20年以上経つそうです。

オーナーであるお父さまが体調不良でお休みしているため、お店をまかされている佐々木廣大さん。「10年ほどサラリーマンで全国を飛び回っていましたが、2年前に戻ってきました」

「作り手としても、この和牛は単純においしい。
いずれは独立してびらとり和牛専門の店を出したいと思っています」
そんな夢も語ってくれた廣大さん。
「うちのメニューはボリュームがありますが、
肉の質がいいので胃もたれもしないし、女性やお年寄りでも食べられます。
店を通して、びらとり和牛の魅力をもっと伝えていきたいですね」

山小屋風の三角屋根が目印。店の裏にある自家菜園でハーブ類やズッキーニを栽培しています。ドライブ途中のランチにも訪れたい。

information

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じゃんけんぽん

住所:沙流郡平取町振内町30-11

TEL:01457-3-3200

営業時間:11:00~14:00(LO 14:00)、17:00~20:00(LO 20:00)

定休日:月曜(祝日はお電話でお問い合わせ下ください)

※駐車場 あり

http://www.jyankenpon-hamburg.com

明治建築のニシン小屋を修復! 浜のかあさんに教わる漁師メシとは

群来太郎丼とは?

日本海に面した小樽の北西部にある漁師町、 祝津(しゅくつ)発祥、
カラリと揚げたニシンに特製の甘辛タレがからむ、
漁師さんおなじみのおかずをどんぶり仕立てにしたメニューです。

ニシンの豊漁を意味する〈群来〉は、この地の歴史そのものを物語る言葉。
かつて江戸時代末期から大正時代にかけて、祝津をはじめ、
小樽から稚内にかけての北海道の日本海側にはニシンが大量に押し寄せました。

かつてとは規模もニシンの種類も変わったものの、2009年以降に群来が再来しています。写真は小樽張碓(はりうす)地区の群来。ニシンの産卵によって海岸線が乳白色に変わる様子。

その記憶を今に留め、2010年に復活した、
祝津のランドマーク〈茨木家中出張番屋〉(いばらきけ なかでばりばんや)で、
浜のかあさんと一緒に群来太郎丼をつくり、
ニシン漁の歴史に触れながら味わう体験メニューを楽しむことができます。

祝津の漁港が目の前、〈にしん街道〉沿いの〈茨木家中出張番屋〉(いばらきけ なかでばりばんや)。

主催しているのは、この番屋の修復に携わり、
現在は番屋の運営とともに祝津の地域おこしを手がけている
NPO法人〈おたる祝津たなげ会〉のみなさん。

浜のかあさん、加藤明子さん、佐野信子さんのおふたりに教わりながら、
群来太郎丼とともに、ここ祝津地域で40年来養殖されているとれたての
ホタテ刺身、ホタテ稚貝の味噌汁づくりがスタート。

番屋の奥に新設された台所で、浜のかあさん、佐野さんがホタテ稚貝の味噌汁の準備をすすめていました。

このあたりでとれるニシンの旬は、1〜3月の厳冬期。
群来太郎丼には、旬のニシンをとってすぐにおろし、保存したものを使っています。

「祝津の夏の旬はヒラメ。冬場はアンコウもとれますよ。
磯周りの漁師さんはウニやアワビが主ですね」

浜のかあさんのひとり、加藤さん。

気さくなかあさんたちの家業はそれぞれ漁師。
下ごしらえの済んだ材料を使い、
祝津の特産のホタテ漁や、魚料理のお話をうかがいながら、
ニシンを揚げ、まだ生きているホタテをさばいていきます。
現れたホタテの身は、ぷくぷくと立派な大きさ!

口の中で甘くとろけるホタテの刺身。

完成した漁師ごはんセットをおいしくいただきながら、
おたる祝津たなげ会の青山政嘉さんに、
この番屋やニシン漁の歴史について教えてもらいます。

ニシンが最高の水揚げを記録した1897年、その漁獲高は約100万トン。
これは、当時国内の総漁獲高の6割を占めるという、想像を絶する豊漁です。
「大量のニシンは、その半分がニシンかすになり、
綿花や藍、畑の肥料として本州へ向けて出荷されていたんですよ」という意外な歴史も。

明治末期、祝津の三大網元に数えられた茨木家が建てたこの番屋は、
ニシン漁の漁夫たちが寝泊まりする暮らしの場でした。
長く使用されず損傷が進み、一時は取り壊しの危機にありましたが、
地域住民をはじめさまざまな人たちから保存のための活動がおこり、
2009年、修復へ向けて動き出します。
黒光りする床板やネダイと言われた寝床や天井に渡された梁など、
できる限りもともと使われている資材が生かされ、
番屋は2010年の夏、見事によみがえりました。

ニシン漁は復活したものの大漁期の1%。しかし、半世紀ぶりにおこった小樽で群来は、国の助成公募に重なるという好機に恵まれ、修復には市やまちをはじめ多くの力が集まりました。

現在は地域のコミュニティーセンターとして、
地元産の旬の海の幸をランチにして提供する〈おさかな市〉や
地域の子どもたちに向けた〈食育番屋〉などさまざまなイベントが行われ、
ニシン漁の歴史や祝津の文化を伝えています。

かつて漁夫の活気にあふれていた番屋が、まちのにぎわいの新たな拠点へ。
「たなげ」とは“みんなで持ち上げる”という意味の古い浜言葉です。

「たなげ会の活動は浜のかあさんたちをはじめ、
漁師さんや地域の人たちの協力があってこそ。
今後はこの活動を引き継ぐ若い人を育てていきたいですね」
青山さんはそう語ってくれました。

42もの漁場建築が残る祝津地域。
港を見下ろす高台には、北海道の有形文化財に指定されている
〈小樽市鰊(にしん)御殿〉(入場料 一般300円)が威風堂々の姿を見せています。
また、番屋から歩いて行ける〈おたる水族館〉も隠れた人気スポット。

地元の素材と地元のレシピが生きた漁師ごはんとともに
北海道ならではのニシン漁の歴史にふれたあとは、
祝津のまちをゆっくり散策してみるのもおすすめです。

小樽市鰊(にしん)御殿から、日本海を見渡す。

information

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おたる祝津たなげ会

住所:小樽市祝津3-165 茨木家中出張番屋

TEL:0134-26-6160

http://www.tanage.jp

原始の自然の姿に出合える ニセコの秘境とは?

ニセコは、手つかずの高山植物の宝庫

スノースポーツで有名なニセコですが、短い春から秋にかけての季節は、
大自然を感じながら登山やトレッキング、散策を満喫できる場所です。
車窓からの眺めが美しい〈ニセコパノラマライン〉道道66号線を進み、
ニセコ山系の登山口としても知られる〈五色温泉〉の隣にあるのが、
〈五色温泉インフォメーションセンター〉。
スタッフによる花や紅葉の見頃情報をはじめ、登山ルートの案内など、
ニセコの自然情報を訪れる人へ随時発信しています。
休憩に、ニセコの情報集めに、気軽に立ち寄りたいポイントです。

道産カラマツ材が使われたインフォメーションセンターは2013年リニューアルオープン。木のぬくもりを感じるテーブルや椅子はニセコ町の家具工房〈シンプイ〉一松伸裕さんの作品。

五色温泉インフォメーションセンターの奥の小径を進むと、
イワオヌプリ(アイヌ語で「硫黄の山」)への登山口へと続きます。
登山口の入り口付近には、山の斜面いっぱいに〈エゾイソツツジ〉が咲き誇っていました。
実は、ここは“ニセコのお花畑”と呼ばれ、さまざまな高山植物の群生に出合える穴場なんです。

取材に訪れた日はあいにくの雨でしたが、毎年7月上旬に咲くエゾイソツツジが可憐に花を咲かせ、幻想的な風景が広がっていました。山の天気は変わりやすいので、散策のときは雨対策の準備も忘れずに。

足元で儚げに咲くのはツツジ科の小低木〈アカモノ〉。

ひとつひとつ歩きながら高山植物を丁寧に教えてくれたのは、
ニセコの自然を知りつくす〈ライオンアドベンチャー〉の齊藤満さんです。
同社は、ニセコや千歳、札幌を拠点に、大自然を満喫するアクティビティを展開しています。

齊藤さんは苫小牧のご出身。
子どもの頃から海や川を遊び場にして育ち、札幌で書店に就職したのち関東の本社勤務を経て
「自然の豊かなところで働こう」と決意して退職。
その後ニセコへ移住し、かれこれ10年以上をこの土地で過ごしてきました。

「すぐそばに大自然があり、同じエリアでも標高差で表情が変わるのが
ニセコの魅力ですね。山のイメージが強いニセコですが、釣りポイントも豊富。
車で1時間走れば、豊かな漁港もある岩内で海釣りができますよ」と語る齊藤さん。

7月上旬、ちょうど見頃を迎えていた〈タニウツギ〉。

まるで神やどる美しさ。静寂な湖沼へ

続いてニセコの秘境として知られるのが、
原生林と湿原にかこまれ、風のない日は凪いだ水面が鏡張りになって
季節ごとの大自然を映し出す〈神仙沼〉。
四季折々のアウトドアや行楽でにぎわうニセコ地域にひっそりと佇む、
神秘的な絶景スポットです。
五色温泉インフォメーションセンターから車で10分ほど、
レストハウスのある広い神仙沼駐車場に降り立つと、
神仙沼へと続く遊歩道の入口はすぐそこです。

〈モウセンゴケ〉は葉の先から粘液を出して虫を捕らえる食虫植物。火山によって生まれた神仙沼湿原は栄養が少ない泥炭層。生き残るために、虫を養分にする仕組みをもっています。(写真:ライオンアドベンチャー)

神仙沼までは、整備された木道を歩いて片道20分ほど。
木道が整備されているので軽装でも気軽に訪れることができます。
ダケカンバやマツの森を進んだ先、一面に広がるのが〈神仙沼湿原〉。
あちこちに小さな池塘(ちとう 湿原の泥炭層にできる池沼)が点在する
海抜750メートルの高層湿原で、
ニセコの短い夏から秋にかけて、さまざまな高山植物が姿を見せてくれます。

夏、湿原に咲き乱れる白い花〈チングルマ〉。この風景が秋になると……(写真:ライオンアドベンチャー)

秋には真っ赤なじゅうたんに様変わり。チングルマは実は低木なので、しっかりと紅葉するのだそう。(写真:ライオンアドベンチャー)

神仙沼の名づけ親は、ニセコ近郊の岩内出身でボーイスカウトを誕生させた下田豊松さん。
登山中に発見した沼の美しさにうたれ、
「神、仙人の住みたまう所」と感銘を受けたことから命名されました。

「遅い雪解けが始まる6月〜7月中旬にかけては、
花が咲き乱れる絶好のシーズン。
そして9月下旬から10月中旬までの紅葉の時期(※)は、水面に映る青空と赤、
黄色にマツの緑が加わった奥行きのある絶景に出合えますよ」(齊藤さん)

神仙沼からほど近く、起伏のある登山道を進んだ先にある鏡沼。ちょっとした冒険気分が味わえる道のりなのでトレッキングシューズがおすすめ。(写真:ライオンアドベンチャー)

神仙沼やお花畑散策のあとは、すぐ近くの五色温泉に浸かるのもおすすめ。
硫黄を含む源泉100%で美肌の湯とも言われ、体を芯から温めてくれます。

車から降りてすぐに原始のままの自然が体験できるニセコの夏は6月〜10月いっぱいまで。
神仙沼へ続く66号線は11月〜5月まで冬期間通行禁止となるので、
インフォメーションセンターのサイトなどで確認の上訪れましょう。

information

神仙沼

住所:岩内郡共和町前田

※年によって高山植物や紅葉の見頃は変わりますので、五色温泉インフォメーションセンターの情報をご確認ください。

information

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五色温泉インフォメーションセンター

住所:虻田郡ニセコ町字ニセコ510

TEL:0136-59-2200

営業時間:8:00-17:00

※開館期間 6月1日~10月31日

日本一の旅先朝ごはんを決定! 〈日本一朝ごはんフェスティバル (R)2016〉投票受付中

旅の楽しみといえば、宿の朝ごはん! 今年も楽天トラベルが主催する
〈朝ごはんフェスティバル(R)2016〉がスタートしました。
日本全国のホテル・旅館など約1500の宿泊施設が提供する
朝ごはんから日本一を決める企画です。開催は今年で7回め。
“日本一の朝ごはん”の称号を賭け、全国の宿泊施設が熱い戦いを繰り広げています。

ただいま、特設ページにて、審査の第1ステージとなるウェブ投票を受付中。
全国47都道府県からエントリーされている、
各宿泊施設の朝ごはんの写真と説明文をチェックして、
食べたいと思うメニューをクリックすると投票することができます。
期間は8月31日(水)16:59まで。(※投票にはユーザー登録が必要です)

唐津ロイヤルホテル〈朝からつドッグ〉

すみや亀峰菴〈こだわりの京都松茸おこわ〉

あさやホテル〈エッグベネディクト〉

ウェブ投票のあとは、期間中に集まった投票数と口コミ評価をもとに、
第2ステージに出場する全国48宿泊施設を選出。
10月に開催される第2ステージは、エントリーされた朝ごはんを
料理の専門家だけでなく一般来場者も、実際に食べて投票することができるのだそう。

イサム・ノグチ、最大の彫刻作品。 現代アートに触れられる、 〈モエレ沼公園〉

公園そのものが、ひとつの彫刻作品

世界的彫刻家イサム・ノグチが最晩年に札幌で実現させた夢、
「都市の中のプレイマウンテン」。
札幌の北東に広がる〈モエレ沼公園〉は、
公園そのものがイサム・ノグチによる巨大な彫刻作品です。

「公園や庭園など人の役に立つものとして、大地を使った彫刻作品をつくりたい」
イサム・ノグチが長くあたためてきたプランが1988年、
札幌市の公園事業と奇跡的に重なり、ここモエレ沼でスタートします。

1988年末、公園の基本設計を遺して惜しくも逝去した
イサム・ノグチの遺志がそのまま引き継がれ、
モエレ沼公園は2005年にグランドオープンを迎えました。
札幌市民はもちろん、国内外から多くの人が訪れる一大彫刻公園です。

広大な園内に散らばる作品を巡るには、
東側駐車場内にあるレンタサイクル(200円〜)がおすすめ。
まずはここで、園内の地図やルートマップをチェック。
今回は夏季おすすめのコースのうち、
自転車で約1時間の〈遊具コース〉をまわります。

モエレ山や海の噴水を通り過ぎ、公園奥に位置する〈テトラマウンド〉。
見る角度や距離によって印象が変化する巨大な作品です。

直径2メートルのステンレス柱を組み合わせた三角錐と芝生の造形。壮大なスケール感。

テトラマウンド越しに見える〈プレイマウンテン〉(TOP画像)は、
イサム・ノグチが1933年から抱いてきたアイディアが実現したもの。
花崗岩でできた緩やかな斜面を登れば、
公園全体のランドスケープを眺めることができます。

プレイマウンテンの稜線の先には、水の波紋が湧きでてくる水辺〈モエレビーチ〉が。
夏場は多くの家族連れで賑わう人気スポットです。

すり鉢状の池はサンゴで舗装されているそう。浅いので小さなお子さんも安心して遊べます。

次は幾何学的なかたちの遊具が集まる〈サクラの森〉。
遊具の穴をくぐり抜けたり、下から見上げたりする子どもたちの行為も
彫刻作品の一部だとイサム・ノグチは考えていたそうです。

園内126基の遊具はすべてイサム・ノグチの作品。上空から見ると公園そのものも幾何学模様のよう。

ゴールは、モエレ沼公園のシンボル〈ガラスのピラミッド〉。
ここは公園の中の休憩所であり、展覧会やイベントが行われるスペースでもあります。

3階にはイサム・ノグチのギャラリーが常設。企画展以外は貸し館として、1階、2階のアトリウムおよびギャラリースペースなどで市民企画の多様なイベントが開催されています。

「現在は、イサム・ノグチの功績や公園そのものの価値を伝えていく場として、
現代アートに特化し、モエレ沼公園に関係するテーマをかけ合わせた展覧会を
年に2回開催しています」

そう話してくれたのは、2003年からモエレ沼公園の学芸員を務める宮井和美さん。
年2回、夏と冬にモエレ沼公園が主催する企画展が行われるほか、
2014年には『札幌国際芸術祭』のメイン会場のひとつとして利用されました。
その際、ゲストディレクター坂本龍一さんらの作品をガラスのピラミッドで展示。
公園としてはもちろん、アートサイトとして発信の幅を広げています。

太陽光がふりそそぐアトリウムはコンサート会場としても人気。張り巡らされたガラスが独特の音響を生みます。6〜9月には雪貯蔵による雪冷房システムとともに、床吸熱と自然の風を利用する冷房を組み合わせた空調システムを採用。

そしてモエレ沼公園は2017年夏、
第2回を迎える『札幌国際芸術祭』でもメイン会場となることが決定。
ゲストディレクターの大友良英さん率いる、
芸術祭バンドメンバー(企画メンバー)のひとりでもある宮井さん。
「イサム・ノグチのアートの要素に加えて、この場所にインスピレーションを受けた
アーティストの方々の手がけたアートを観ることができる、
貴重な機会になると思います」

2016年夏には、〈gm projects〉の豊嶋秀樹さんを企画・空間構成に迎え、
展覧会『ホーリー・マウンテンズ 内なる聖山へ続く三本の足跡』を開催。
山伏として活躍する坂本大三郎さん、
写真家の山内 悠さん、東浦奈良男さん/吉田智彦さんの3組が参加し、
モエレ沼公園のランドマークでもある〈山〉に光を当て、
山と人との関係性に迫りました(コロカルでの取材記事はこちら)。

売店ではモエレ沼公園オリジナルTシャツほかイサム・ノグチ作品〈AKARI〉シリーズを販売。軽食をテイクアウトできるショップ〈パニエ〉や、フレンチレストラン〈ランファン・キ・レーブ〉も。

「美術館とは違うこの場所の自由度を生かしながら、
公園として訪れてくれる方にも楽しんでいただける
アートの場づくりを目指しています」

宮井さんはそう語ってくれました。
来年グランドオープンから12年を迎えるモエレ沼公園は、
アーティストが新たな作品を生みだす場所、
それに出会える場所としても進化を続けています。
春夏秋冬それぞれの表情を楽しめる公園として、企画展示や
2017年夏の札幌国際芸術祭をめがけて訪れてみるのもおすすめです。

information

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モエレ沼公園

住所:札幌市東区モエレ沼公園1-1

TEL:011-790-1231

営業時間:ガラスのピラミッド 6月1日〜8月31日9:00〜20:00、4月29日〜5月31日・9月1日〜11月3日9:00〜19:00、 11月4日〜4月28日 9:00〜17:00

定休日:第一月曜日(11月4日〜4月28日は毎週月曜日、12月29日〜1月3日)

※駐車場 あり

http://moerenumapark.jp

畑のとれたて野菜が最高! 地元食材をたっぷりいただく 〈わがまま農園Café〉

石狩のおいしさをまるごとランチに

運ばれてきたプレートをひと目見て、周りのお客さんから歓声が上がりました。
やってきたのは輝くほど新鮮な旬の野菜と〈望来豚(もうらいとん)のリエット〉が
ぎゅっと重ねられた〈本日のサンド〉(1200円・セットつき)。
ボリュームも美しさも満点なうえ、
野菜はすぐそばの農園で採れたものばかり。鮮度までお墨つきです。

札幌方面から石狩川を越えて畑の広がる道を進むと、
防雪柵が続く道沿いに小さな看板が見つかります。
石狩の農家の田中勝吉さん一家が営む〈わがまま農園Café〉は、
農園でとれた新鮮野菜をはじめ、
地元産の厳選食材をふんだんに使ったランチメニューが人気を集めるカフェ。

ゆったりと心地よい時間の流れる店内。什器選びは奥さまの民世さん担当。中央の大きなテーブルは改装時大工さんにつくってもらった、ガラスをはずすといろりにもなるすぐれもの。

農園を手がける名古屋出身の田中勝吉さんは、もとは普通のサラリーマン。
「たまたま転勤で初めて来た北海道に魅了されました。
念願だった土いじりをここで本格的にやってみようと思い立ったんです。
54歳で早期退職し、石狩地域で初の新規就農として入植しました」

売りに出されていたこの農地と巡り合った勝吉さんは、
農家となるべく隣家の農家さんに研修を受け、
2001年に〈わがまま農園〉をスタートさせます。

15年間農薬の入っていないわがまま農園。ハウスの中ですくすくと育つかぶはこの日カフェで、素材本来のおいしさが際立ったとろとろな〈かぶのスープ〉に変身。

丁寧に畑を案内してくれた勝吉さん。

無農薬でさまざまな種類の野菜を少しずつ育て、
本州の友人たちへ年間の契約での個別発送と直売とで
野菜を販売してきましたが、勝吉さんが心臓病を経験し、
2015年からは畑の規模を半分ほどに縮小。
ガーデニングの好きな奥さまの民世さんと二人三脚で
2ヘクタールの畑を切り盛りしながら、
石狩の直売所〈とれのさと〉と農園での直売を行っています。

カフェの大きな窓の向こうには、わがまま農園が広がっています。

そして同じ2015年の秋、
もともと身近な人向けのゲストハウスとして使っていた
2階建ての納屋を全面改装し、わがまま農園Caféをオープン。

そのきっかけは、手づくり料理やスイーツで人をもてなすことが好きな民世さんが
昔、まだ幼い娘たちと散歩中に話した
「いつかお店をやってみたいね」という夢にありました。

現在、お店づくりやメニューづくり、料理全般をこなすカフェ担当は、
東京で10年以上シェフやパティシエの仕事に就いていた三女のえみさん。
農園にカフェをつくる話を民世さんに持ちかけられ、石狩の地に戻ってきました。

凛とした立ち姿できびきびと作業をこなすえみさん。盛りつけや色合いにもえみさんのセンスとこだわりが表れています。

「自分のお店を持ちたいとは思っていなかったんですが、
いい機会かなと思って。東京では、頼めばいつでも同じ素材を使えましたが、
ここでは使える時期が限られます。そのなかで地産地消を大切に、
おいしいものを一番おいしい時期に生かして使っていこうと思っています」

野菜料理が得意というえみさんは、地元素材の研究をしながら、
旬のメニューを開発しています。
ひよこ豆を地元産大豆に変えてつくった濃厚なフムスや、
わがまま農園で一番人気のアスパラほか、
グリーントマトなど野菜を使ったスイーツも好評です。

今日のお魚ランチは〈イナダのソテー〉。木の子のソテーとズッキーニを合わせ、タプナードを添えて。ほろりとほどけるイナダに、味つけされた木の子が絶妙に絡みます。

今日のお肉とお魚2種類から選べるランチ〈わがままスペシャル〉(各1200円)は
メインのほかサラダ、スープ、ミニデザート、ドリンクがセット。
お肉はレアな石狩市内のブランド豚〈望来豚〉を、
お魚は同じ石狩市内の厚田で揚がった魚介類を中心に使用。
他にも、生野菜、マリネ野菜などをバランスよく、
しかもたっぷりと盛り合わせた幸せメニュー
〈わがままサラダボウル〉(セットつき1200円)も人気です。

この日は、かぶのスープ。素材の甘みがきいた身体にしみいるおいしさ。

野菜をはじめ、石狩や近郊のこだわり食材は
勝吉さんのつながりで仕入れています。
安心かつおいしい食材を近郊でまかなえるのは、
小規模で多品種を栽培している石狩の土地柄もあるそう。

ちょっと恥ずかしがり屋さんな、ホール担当の民世さん。えみさんに教わりながら接客の修行中なのだとか。手に持っているのは〈わがままサラダボウル〉。

ここに暮らしてから、「好きなことをしているので苦労はしていないです」
ときっぱり語る勝吉さん。
移住や新規就農を希望する若い人たちに、アドバイスしたいことは?

「農家を生業にして以来、悪いときがあっても頑張れるのは、
この仕事が好きだから。自分がこころから楽しいと思えることをやれば、
継続できると思いますよ」

ピカピカのとれたて野菜が破格で並ぶ販売コーナー。

わがまま農園の命名を、「私がわがままだからです」と笑って語る勝吉さん。
そこには「我」の想いの「あるがまま」、
この地に根づいて暮らしを切り拓いてきた強さが見え隠れしていました。

カフェのメニューは時期ごとの素材を使って日替わり、月替わりで提供しているので、
色合いも内容も移り変わります。
季節ごとに、最も旬な石狩のおいしさがつめこまれたわがままメニューを、
味わいに行ってみませんか。

アスパラのチーズケーキ(350円)。どっしりチーズにしっかりアスパラの組み合わせが衝撃のおいしさ。

information

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わがまま農園Café

住所:石狩市八幡町高岡町87-3

TEL:080-1885-0050

営業時間:11:00~日暮れまで

定休日:水曜日(不定休あり)、12月下旬から3月末まで冬期休業

※駐車場 あり

http://wagamama.0326.biz

息を呑むコバルトブルーの海。 絶景スポット〈島武意海岸〉

静かに佇む積丹ブルーの美しい入り江

細いトンネルの先に広がるのは、抜けるようなコバルトブルーの海。
晴れていれば、海の底まで見える透明度に驚かされるはず。

積丹半島の東に位置する〈島武意(しまむい)海岸〉は日本の渚百選のひとつに数えられ、
〈ニセコ積丹小樽海岸国定公園〉の一部にあたる美しい入江です。
“シャコタンブルー”で知られる〈神威岬〉からは、車で約30分の距離。
アイヌ語で「シュマ・ムイ」、〈岩の入江〉と呼ばれた通り、
海岸の左にそびえる〈ビョウブ岩〉をはじめ険しく切り立った岸壁と岩が特徴です。

海岸は崖の上にあるため、展望台へは山に向かって坂道を登っていきます。
登りきった駐車場から歩いてすぐの斜面には、
人がすれ違える程度の幅の真っ暗なトンネルの入口が。

海岸へ続くこのトンネルは明治28年、当時北海道の日本海側で最盛期を迎えたニシン漁で獲れたニシンを運ぶために掘られたものだそう。

コバルトブルーだけでなく、エメラルドブルーや紺碧に近い青も見つけられる島武意海岸。
展望台からの素晴らしい眺めはもちろん、静かな波打ち際へも降りてみたいところ。
丸太の階段がついた急勾配の坂道をジグザグと下れば、15分ほどで海岸へ到着します。

海岸へ続く坂道の途中から。美しい青色が近づいてきます。

波に洗われた石の浜。自然保護のためキャンプは禁止されていますが、
清らかな海にふれたり、波打ち際を眺めながらひと休みしたり、思い思いの時間を過ごせます。

1706年に開基した積丹町は漁業で栄えた歴史を持ち、ヤン衆が網を上げる力入れの歌、
沖揚げ音頭と呼ばれる〈ソーラン節〉発祥の地。
浜辺にはかつて使われたニシン番屋の跡も残っています。
夏の時期、エゾカンゾウの花が咲き誇る帰路の坂道は軽い登山感覚の道のり。
歩きやすい靴での訪問がおすすめです。

information

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島武意海岸

住所:積丹郡積丹町大字入舸町

TEL:0135-44-3715(積丹観光協会)