〈洞爺湖万世閣 レイクサイドテラス〉 洞爺湖名物の花火は老舗ホテルで

穏やかで美しい洞爺湖。訪れる人に安らぎを与えるこの湖の風景は、
太古の火山活動により生まれたもの。湖の南には、
これまでに幾度も噴火を繰り返してきた有珠山がそびえ立っています。
2016年に開湯100周年を迎えた、洞爺湖の南岸に位置する洞爺湖温泉街。
幾度もの噴火を乗り越えてきた歴史とともに、
まちが一体となって新しい観光文化を創造し続けています。

洞爺湖温泉街が誇る最大のイベントが〈洞爺湖ロングラン花火大会〉。
1977年の有珠山噴火後、お客さんを温泉街に呼び戻そうと、
温泉街が共同で立ち上げた花火大会は今年35回目を迎えます。

4月28日から10月31日まで、
荒天日以外は毎日20時45分から打ち上げ開始。
外に出て豪快な花火を間近で見上げるのはもちろん、
湖畔のホテル〈洞爺湖万世閣 ホテルレイクサイドテラス〉では、
客室からも花火をゆったりと楽しむことができます。

湖に面したホテルレイクサイドテラス。湖岸の遊歩道を含め、洞爺湖温泉街では約3キロにわたる国内最大規模のフリーwifiスポットが設けられています。

温泉街のなかでもっとも美しい洞爺湖を眺められる、
創業75周年を迎えたホテルレイクサイドテラス。
フロントから地下ロビーラウンジへ降りれば、
パノラマで広がる四季折々のレイクビューが迎えてくれます。
また、東館、中央館、西館に分かれたほぼすべての客室から、
窓いっぱいに洞爺湖を望むことができます。

スーベリアツインルームの窓からは湖を一望のもとに見渡せます。木の風合いやインテリアがシックで落ち着ける空間。

2008年、洞爺湖サミットをきっかけに中央館の客室を全て洋室に変更。
上層階には個人のお客さんにもゆっくりと過ごしてもらえるよう、
洋室スーベリアルームをリニューアルオープンしました。
刻々と移ろう湖の風景を楽しみつつ、柔らかなソファやローベッドが
心地よいくつろぎの時間に誘います。ここからゆったりと眺める花火はまた格別。

客室からは花火鑑賞の遊覧船の姿も。船の乗り場はレイクサイドホテルすぐそば。

どのホテルからも花火が見えるよう、打ち上げ船がゆっくり移動してゆきます。対岸のまちの明かりも美しさに華を添えて。

ホテルレイクサイドテラスの温泉大浴場は、西館8階〈星の湯〉と
中央館地下1階〈月の湯〉の2か所。最上階に位置する星の湯では、
絶景の展望露天風呂から眼下の洞爺湖を眺めながらの湯浴みが楽しめるほか、
夜はお湯の中から花火鑑賞という贅沢なひとときも過ごせます。

刻一刻と移ろう湖の景色を楽しめる〈星の湯〉露天風呂。天気のいい日は“蝦夷富士”と名高い羊蹄山が見えることも。(写真:洞爺湖万世閣 ホテルレイクサイドテラス)

月の湯は和風情緒あふれる庭園風呂がテーマ。
広々とした大浴場と野趣あふれる露天岩風呂が、旅の疲れを癒してくれます。

〈月の湯〉内風呂では開放感に包まれた入浴を。趣の異なるふたつの湯は男女入れ替え制なので、滞在中に湯めぐりしたい。館内には室内プールも併設。(写真:洞爺湖万世閣 ホテルレイクサイドテラス)

夕食と朝食には、全面のガラス窓が開放感あふれる
西館1階のバイキングレストラン〈ステラマリス〉で
盛りだくさんなメニューからお好みをチョイス。取材に訪れたこの日は、
漁師さんから直接仕入れる〈噴火湾産ホタテ焼き〉や〈アスパラの天ぷら〉などが並び、
旬の素材や地元産の食材を使った料理も豊富(※季節によって食材は変わります)。
朝食には2015年に有珠山の温泉源の熱を利用して生まれた新名物、
ゆでたまごならぬ〈ジオたまご〉も要チェック。
このほかに、ドライエイジングビーフとハーフビュッフェを味わえる
レストラン〈ラ・カンティーナ〉も併設しています。(要予約)

バイキングのサラダバーコーナー。地元産のミニトマトほか種類豊富なメニューがずらり。

1人用ジンギスカンセットはテーブルで組み立ててチャッカマンで点火。ラムや野菜、お好みの食材を好きなだけ乗せて。タレ多めで焼くのがおすすめ。

洞爺湖万世閣レイクサイドテラスは、1941年、この地に建っていた
旅館〈萬世館〉を、創業者の浜野増次郎さんが買い取ったことに始まります。
しかし創業間もない1944年、ホテルからほど近い壮瞥町で
昭和新山が誕生し噴火活動が始まったほか、
1977年の有珠山大規模噴火でも打撃を受けます。

「長く勤める従業員の中には、3回の噴火を経験しているものもいます」
と穏やかに語るのは、支配人を務める宮崎健さん。
洞爺湖温泉街の歴史は、浜野増次郎さんをはじめ、ここ洞爺で苦境に立ち向かい、
復興に力を注いできた人々の歴史でもあります。

支配人に着任して4年目を迎える宮崎健さん。「洞爺湖の魅力はなんといってもこの景色。毎日見ていても飽きない美しさを、多くの方に体験していただきたいです」

萬世館から万世閣へ、そしてホテルレイクサイドテラスへ、
スタッフやまちの人々とともに前進し建物の増改築を重ね、
今や洞爺湖温泉街の顔として、多くのお客さんでにぎわうホテルとなりました。

温泉街隣にある壮瞥町では毎年2月下旬に〈昭和新山国際雪合戦〉が開催され、
国内外の精鋭チームが集い、真冬に熱い戦いを繰り広げる冬の風物詩が人気を呼んでいます。
「我々洞爺湖温泉街チームも参加していまして、
今年は優勝を逃しましたが、世界第3位に輝きました。
当ホテルのテニスコートを使って練習が行われていたんですよ」と宮崎さん。

このほかにも、旅館経営者にアニメファンの方がいたことから
〈TOYAKO マンガ・アニメフェスティバル〉(6月下旬)を
2009年からスタート。SNSで話題を呼び、
全国からお客さんが訪れる人気イベントへと成長しています。

長い歴史のなかに新たな文化を取り入れ、進化を続ける洞爺湖温泉街。
季節ごとさまざまに行われるイベント情報もチェックしつつ、
湖畔の滞在を楽しんでみませんか。

information

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洞爺湖万世閣 ホテルレイクサイドテラス

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺湖温泉21

TEL: 0142-73-3500

http://www.toyamanseikaku.jp

ビッキの大作が鑑賞できる 〈洞爺湖芸術館〉 元村役場の建物を改修

洞爺湖の北東の岸辺、〈ラムヤート〉〈toita〉が並ぶ商店街から
まっすぐ湖畔へとすすむと、湖に向かって建つ〈洞爺湖芸術館〉が見えてきます。

1952年築のレトロな雰囲気をもつ建物はもと村役場。
洞爺村と呼ばれたこの地域は2006年、
隣の虻田町と合併し、洞爺湖町となります。
村役場としての役目を終えた建物は洞爺湖芸術館として
2008年にリニューアルオープン。
旧洞爺村がそれまでに買取や寄贈によって収集していた美術コレクションを、
地域の方々に公開展示・発信する場として、新たなスタートを切りました。

もとの姿を生かしたレトロなつくりの建物そのものもじっくり鑑賞したい部分。階段上の窓は、館内に唯一残る村役場時代からの手のべガラス。

旧洞爺村とアートのつながりは、1988年に始まった洞爺湖を囲む
当時3町村による〈洞爺湖ぐるっと彫刻公園〉プロジェクト事業に遡ります。
この事業は、1977年の有珠山噴火の後、1984年と1988年に
復興へのモニュメントとして、
美唄市出身の世界的な彫刻家・安田侃さんの作品が
湖畔に設置されたことをきっかけにスタートしたもので、
計58 基の彫刻作品が、洞爺湖畔の風景となって佇んでいます。

洞爺湖全景を映し出す窓からのすばらしい眺め。2階のビエンナーレ展示室は役場の元議会場。村に大きな建物がなかった時代は結婚式場としても使われたそう。現在は企画展やコンサートイベントも行われています。

ここに、参加した彫刻家と当時の洞爺村の村長が企画した
〈洞爺村国際彫刻ビエンナーレ〉が1993 年にスタート。
2007年まで洞爺村で開催された(最後の回は洞爺湖町)小さな村のビエンナーレに、
世界93カ国から多くの応募作品が寄せられました。
このうち87作品が洞爺湖芸術館に収蔵され、
2階の展示室でゆっくりと鑑賞することができます。

昭和46年刊、230冊限定の川端康成『雪国』豪華本。大卒の初任給が5万円という時代に、2万7千円という値段がつけられたそう。美しい装丁に引き込まれます。

このビエンナーレの図録づくりに関わったのが、
洞爺湖芸術館に多くの希少本を寄贈した横浜在住の印刷会社社長、
石島成美さん。芸術文化の振興をすすめる村長の地域づくりに共感し、
「都会に集まりがちな本物の芸術を、大自然にかこまれた洞爺村の未来のために」と、
40年かけて蒐集したうちの400冊を寄贈。
元村長室だった空間に、なかなか目にする機会のない、
そうそうたる作家たちが手がけた近代・現代日本文学作品の
初版本・限定本がずらりと並んでいます。

棟方志功や谷崎潤一郎の初版限定本のほか、三島由紀夫直筆サイン入り本も。

2階には、ビエンナーレから派生した「洞爺湖イメージアッププロジェクト事業」が実り、
ユネスコ世界遺産主席写真家をつとめた並河萬里さんが
この地に住みながら3年間かけて撮影した、美しい洞爺の風景写真が飾られた1室も。

この作品のなかには、“三樹園”という古風な旅館の写真があります。

「これはかつて芸術館となりにあった旅館で、
三樹園という名前は、芸術館の窓から見える小公園の“三樹”にちなんだものです。“三樹”は桑と桜とセンの木がひとつの株から出ているように生えたている大樹で、
桑は樹齢1300 年、桜は600年(残念ながら現在の桜は2代目)、
センは200年を超える古木です。香川をはじめ四国から来た開拓者たちが、
困難にくじけそうになったときにこの樹を見て、
このように寄り添ってみんなで頑張ってゆこうと誓い合って、
“三樹”の名がつけられたそうです」
(※樹齢は1933年に林学博士本田静六氏が鑑定)

芸術館の館長、三島邦代さんはそんなエピソードを教えてくれました。

彫刻作品左から、カナダで制作された『Images of British Columbia』(1983年)、『隔生A.C』(1988年)、『TOH』(1980年)、樹齢500年の大木でつくられた『風』(1988年)。壁面を飾るビッキの絵画作品はご遺族から寄贈されたもの。

1階には、北海道を代表する彫刻家、
砂澤ビッキ(1932〜1989)の大作が荘厳な空気を放っています。
ビッキの大きな彫刻作品をまとめて観ることができるのは、現在、洞爺湖芸術館だけだそう。

ビッキのアトリエ風景。すべてビッキが使用していた本物の道具が、配置もそのままに再現されています。壁の黒板にあるデザイン図も本人が描いたもの。

ビッキが音威子府(おといねっぷ)で制作し遺した、
大きな作品の収蔵場所を探していたご遺族が、当時の札幌芸術の森美術館の館長に相談し、
ここ芸術館を選ばれたことが、この常設展示につながりました。
強靭さと繊細さをあわせもつビッキの作品と、
それらがつくられた制作場所とを、あわせて体感することができます。

年に一度〈砂澤ビッキ週間〉を設け、特別展示が行われています。2016年はご遺族のご協力のもと、音威子府の〈アトリエ3モア〉にあったビッキの書斎を細部に至るまで再現。あちこちにビッキならではの遊び心が見つかります。(〜2016年10月2日まで会期延長)

ビッキが敬愛していたヘンリー・ムーアのポスターの上にある作品は『樹面』(1975年)。

こちらは唯一触ったり腰かけたりできるビッキの作品。一部の椅子は裏返すと、椅子の足は取り外し式で好きな穴に入れられるという仕組み。座り心地は……ぜひ体感してみて。

館内をゆっくりまわったあとは、1階の奥にある物販コーナーに立ち寄って
スタッフ手づくりの地元産ハーブティーを片手にひと休みを。

アートで村の振興と発信に力を注いできた洞爺村の歴史を
静かに伝える洞爺湖芸術館。洞爺湖の新たな魅力が、ここにあります。

information

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洞爺湖芸術館

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺町96

TEL:0142-87-2525

営業時間:【4月〜5月】10:00〜17:00、【6月〜9月】10:00〜18:00、【10月〜11月】10:00〜16:00 ( 受付は閉館30分前まで)

休館日:月曜(祝日の場合は翌日)、12月1日〜3月31日

観覧料 一般300円、高校生200円、中学生100円※団体などその他割引あり

※エレベータ・多目的化粧室・車いす・駐車場完備

http://www.geijutukan.net

暮らしの商店〈toita〉には 洞爺のおいしいものが大集合。 食を通して人とつながる

「洞爺のおいしい野菜をさらにおいしく食べられるような
調味料を扱う商店を開きたいので、よかったら何かやってみませんか?
と、〈ラムヤート〉の満寿喜さんに誘われたんです」

それが、〈toita〉店主の高野知子さんがここ洞爺町に移り住み、
お店を始めるきっかけでした。

洞爺湖の岸辺はお店から歩いてすぐ。なだらかな屋根が愛らしい外観のtoitaは、
暮らしや毎日の食卓をより豊かにしてくれる調味料や食品が並ぶ、
小さくも頼れるまちの商店です。
空き家だった古い一軒家を、お隣の人気パン屋さんラムヤートの店主、
今野満寿喜さんが店舗に改装。2015年秋にオープンしました。

洞爺湖町にある〈阿部自然農園〉のなたね油エクストラバージン(850円)と深煎り(800円)。「おひとりで生産から加工まで手がけている農園。深煎りはナッツのような香ばしいかおりでラムヤートのパンにも合うんです」と高野さん。

洞爺湖の周りは農業地帯。地元の生産者さんと直接つながって届けられる
小規模でつくられている加工品をはじめ、地元産の旬の野菜や卵などが、
そのときどきで並んでいます。
そして、四国を中心にした地域で真摯につくられる食材や調味料も。
どれも素材からこだわってつくられた、安心していただけるものばかりです。
家での料理の幅がぐっと広がる、新たな定番に出合えます。

近隣ニセコの〈ラララファーム〉でつくられている自然栽培のトマトを使ったトマトジュース(2100円)とトマト塩麹(600円)。季節限定の貴重な品。

「直接つくり手の方々を訪ね、ものづくりの現場を見てから
お取り引きを始めるようにしています。ひとつひとつの商品にまつわる物語を、
お客さんにも伝えたいので」

旅好きの高野さんが瀬戸内国際芸術祭をきっかけに訪れ、
惚れ込んだという四国。今は、四国のおいしいものを取り扱う
愛媛の〈まなべ商店〉から情報をもらいつつ、
できるだけ自分の足でおいしいもの探しを続けているところだそう。

コロカルが取材にお邪魔した日、高野さんが旅先で出会った徳島の〈アァルトコーヒー〉庄野雄治さんによるイベントやワークショップが行われていました。コーヒー豆の販売も。

toitaでは不定期にさまざまなイベントを開催しています。高野さんの前職である
ファッションブランド〈Plantation〉の展示販売をはじめ、
札幌や道外の小さなショップや喫茶店を招いてのイベントや販売会も。

また出張toitaと題して、高野さん自ら外のイベントにおもむき、
これまでに東京の〈Plantation〉店舗や長野の〈ヤマとカワ珈琲店〉などで
期間限定ショップをオープン。
各地で、洞爺や北海道のいいものを伝えるメッセンジャー役を果たしています。

高野さんの人やお店とのつながり方に見えるのは、
それぞれが持つ土地やものの魅力をお互いにリスペクトして伝え合う、気持ちのいい関係です。

札幌の手づくり石けんのお店〈siesta labo〉とコラボレーションした〈トーヤのせっけん〉(1404円)。洞爺産の大豆を使った豆乳入りで、使い心地はしっとりなめらか。おみやげにもぴったり。

お店を通して暮らしの提案をしている高野さんは、
札幌でアパレルの仕事で多忙を極めていた時期、
食生活の乱れやストレスから体調を崩した経験がありました。

「自分の生活を見つめ直したとき、一度スピードを止めて、
新たな仕事をしたいと思うようになりました。
満寿喜さんから声をかけていただいたのが、ちょうどそのときだったんです」

もともと好きで通っていた洞爺に移住してからは、
忙しいながらも、暮らしにまつわることに時間をさけるようになったそう。

ナチュラルで凛とした雰囲気の高野さん。洞爺の空気に溶け込む笑顔が印象的。「今後は、食品だけではなく暮らしまわりの雑貨などもお伝えしていきたいです」

今後は、洞爺の生産者さんとともに地域おこし協力隊とつながって、
生産者さんと消費者をつなぐサポート役を担っていく計画もあると話してくれました。
「めざすは主役でなく、名脇役、つなぎ役です」と笑顔を見せる高野さん。

toitaとは、アイヌ語で“土地を耕す”という意味。
「『耕す』という意味のラテン語は、英語の『文化』という単語の語源になっています。
耕すことが文化につながるという思いで、ラムヤートや同じ志をもつまちの仲間たちとともに、
新しい文化をつくっていきたいなと思っています」

洞爺をはじめ、土地の力をぎゅっとつめこんだすてきなお土産が、
ここできっと見つかるはずです。

取材に訪れたこの日は、札幌の北欧雑貨を扱う〈piccolina〉がイベント出展中でした。

information

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toita 

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺町85-2

問い合わせ:toita.toya@gmail.com

営業時間:10:00〜16:00ころ

定休日:火曜・水曜

https://ja-jp.facebook.com/toita.toya/

元商店街を活気ある通りへ 洞爺湖畔の地産地消の石窯パン屋 〈ラムヤート〉

洞爺湖北側の岸辺。地域の特産品を取り扱う
道の駅がわりの〈とうや水の駅〉の向かいに
どこか愛嬌のある古民家を見つけたら、
それが洞爺のランドマーク、石窯焼きのパン屋さん〈ラムヤート〉です。

映画『しあわせのパン』の舞台にもなり、
オープンから2017年で10年を迎えるラムヤートは、パン屋を生業に、
元商店街だった店前の通りを
ふたたび活気あるまちにしていこうとスタートしたお店。

「僕らがパン屋を開店したとき、近所の方から、
当時店がひとつもなかったこの通りに約20年ぶりの店ができたと言われました」

洞爺湖の南にあるまち伊達に生まれ、札幌からこの地へ移住した
店主の今野満寿喜(ますき)さんは笑ってそう語ります。

2代目パン職人、ゴンちゃんこと友田直之さんは全くの素人からパンづくりの道へ。「先代の祐介さんに教わり、函館の有名パン屋店主さんに何度もアドバイスをもらい、付近のお店やお客さんに味や仕上がりを見てもらったり。多くの人に支えられて焼いています」

パン棚に並ぶ〈無花果とカシューナッツのパン〉(ハーフ690円)や
〈向日葵の種のパン〉(620円)など、手をかけてつくられるハード系パンや
食パンはどれもどっしりとして素朴な美人さん。
中身がぎゅっと詰まっていて、噛めば噛むほど深い味わいが広がります。

ラムヤートのパンは店の軒先に自然に実る葡萄から起こした自家製天然酵母を使い、
手ごねのあと常温で3〜4時間じっくりと自然発酵させてから、
手づくりの石窯で焼き上げています。

奥行き180センチもある立派な石窯は満寿喜さん設計。レンガは新しいものに加え、地元で登り窯を持つ陶芸家さんの使用済みレンガを再利用。窯の中で焼き上がりを待つのは〈向日葵の種のパン〉。

パンづくりに使われるのは、ドライフルーツやナッツ以外、
全て洞爺湖近辺、または北海道内の生産者さんの安心・安全な素材。
〈田舎パン〉(ハーフ670円)に使われる全粒粉や〈玄米粉の食パン〉(680円)の玄米粉は、
洞爺湖町の阿部自然農園から仕入れています。砂糖、卵、バター、添加物は不使用。
営業日の土・日・祝日の開店10時に合わせて、10種類ほどのパンが並びます。
ときにはサンドイッチの販売もあり。売り切れることも多いので、
早めの時間帯に訪れるのがおすすめです。

入口左側にパンの棚。店内には洞爺湖畔でつくられている木彫作品や、料理家・たかはしよしこさんのエジプト塩なども置かれています。お客さんやご近所さんが入れかわり立ちかわり訪れる、まちの商店の風景。

「パンづくりで大切にしているのは、まず廃棄しないこと。
たくさんつくって経済を回すのでなく、
生きるのに使うお金をなるべく小さくしていきたいんです。
そして、自分が暮らす地点から近いところでつくられた、
いい素材を選ぶことを大事にしています」

そんな風に考える満寿喜さんが洞爺に移住したきっかけは、
「ここで暮らしていきたい」というシンプルな思いでした。

今や〈toita〉さんをはじめ近隣の店舗づくりも手がける今野満寿喜さん。大工仕事は独学で、洞爺に住んでから必要に迫られて始めたそう。

「湖があり、静かで、大きすぎず小さすぎない。
当時はまだ村だったこのまちが、すごくいいなと思ったんです」
札幌に住んでいた頃、10年先の人生を考え、
仕事よりも先にその下にある土地を大事にしようと決意。
安住の地を探して北海道をまわり、ここ洞爺にたどり着きます。

地道な空き家探しの末、現在の店舗兼住まいの古民家に出合います。
「お金がなかったので、洞爺の廃材や什器だけで店づくりをしてきました。
なるべくすべてを地産地消でやってみようと思って」

おりしも、埼玉のパンメーカーに勤務していた弟の祐介さんが、
パンの大量生産・大量廃棄に悩み、自分で店を始めようとしたタイミング。
満寿喜さんは「それなら洞爺でパン屋をやらないか」と祐介さんを誘います。

初代パン職人をつとめた弟の祐介さんは4年で独立するという約束を果たし、
現在は隣町の喜茂別で〈ソーケシュ製パン+トモエコーヒー〉を営んでいます。

元スタッフが京都の〈ガケ書房〉で出会った風博士さん、風さんからつながった森 ゆにさん、そのふたりおすすめのWATER WATER CAMEL が2014年にラムヤートでライブをした記念の絵が。この絵と今のお店のロゴは、そのときともに訪れたイワサトミキさん作。

ラムヤートの存在と洞爺湖の土地の魅力が多くの人を惹きつけ、
今、湖畔には新しいお店が続々とオープンしています。
お店の裏手には、焼き菓子店〈しまりすや〉と、
アンティークの布を扱う〈nii〉が小さなお店をかまえ、
ラムヤートお隣には暮らしにまつわる商店〈toita〉が。
いずれのお店も、満寿喜さんが声をかけた道内外の友人が営んでいます。
このほかにも、静かで穏やかな時間の流れる湖畔では、
あちこちに点在するお店巡りを楽しむことができます。

10年前、ラムヤート1軒があるだけだった通りは、
今や小さなお店が立ち並び、子どもたちが駆け回る、
生き生きとした商店街へと様変わりしました。

店名のラムヤートは、逆さにすると“トーヤムラ”。
「僕らが来た頃は、まだここは洞爺村でした。合併で洞爺湖町になった今も、
近所のおじいちゃんおばあちゃんはここを村と呼ぶんです。
村がここに存在していたことを、少しでも残せたらと思って」

まちの歴史に寄り添いながら、新しい風を吹き込んでゆくラムヤート。
暮らしの足もとを見つめ直すきっかけに出会える、
思いのこもったパンを味わいにぜひ訪れてみて。

満寿喜さんのセンスがあふれる空間には、息子さんをはじめ、近所の子どもたちの作品も。奥はギャラリースペース。

information

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ラムヤート

住所:虻田郡洞爺湖町洞爺町128−10

TEL:0142−87−2250

営業時間:土・日曜・祝日10:00〜16:00(売り切れ次第終了)

定休日:月〜金曜

器、木舟、衣服など生活道具を展示 アイヌ文化を継承し未来へつなぐ 〈二風谷アイヌ文化博物館〉

一歩足を踏み入れると、あらわれるのは壮大なスケールの展示空間。
〈平取町立二風谷アイヌ文化博物館〉では、
国会議員もつとめたアイヌ文化研究者・アイヌ民族の故 萱野茂さんが
収集した重要有形民俗文化財
「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」1121点のうち、
919点を所蔵・展示しています。国文化財に指定されたこのコレクションから
平取地域のアイヌの人々の歴史と文化に、深く触れることができる場です。

展示室は〈アイヌ〉人々の暮らし、〈カムイ〉神々への信仰、
〈モシリ〉大地の恵み、〈モレウ〉造形の伝承と4つに分かれ、
伝統的な生活道具を中心に、アイヌの暮らしぶりを紹介しています。

紺色の木綿地は沙流(さる)川流域の「切伏刺しゅうした着物」によく用いられる色合い。こちらは普段着ではなく晴れ着にあたる衣服。

木綿の生産がなかったアイヌ民族にとって、
こうした生地は主に和人との交流のなかで得たもの。
平取地域ではオヒョウなどの木の樹皮を使った〈アットゥ〉と呼ばれる織物が、
途絶えることなく受け継がれてきました。

二風谷でつくられるこのアットゥと、
彫刻の施された平たい木製のお盆〈イタ〉が
2013年、北海道で初めて伝統的工芸品として指定。
展示では、使い込まれた美しいアットゥやイタを見ることができます。

鹿の毛皮でつくられた〈ユ〉は冬の暮らしに欠かせない防寒着。

狩猟・採集を主な生業にしていたアイヌの人々が、
森で仕掛けていたワナを実際に試せるコーナーも。アイヌの人々の暮らしの道具には、
実用的ながらも美しいデザインを数多く見ることができます。

酒の入った杯に先をつけ、神に人の願いを届ける祈りの道具〈イクパスイ〉。多彩なデザインが施される彫刻作品で、なかでも杯に乗せられた作品は塗りと彫りの技術の最高峰を極めた上に、金箔が貼られた一級の芸術品。

「興味深いのは、漆や金箔を使う技術のなかったアイヌ民族の生活道具に、
これらがしばしば使われていること。当時アイヌの人と和人の交流のなかで、
本州で塗られた可能性が考えられます」

展示品について丁寧に教えてくれた学芸員の長田佳宏さんは、そう語ります。
このほかに装飾に使われたガラス玉、鉄や刀なども、
本州圏や北方圏との交易などで得ていたもの。
外の世界とつながりながら生活を送っていた姿が浮かび上がります。

昭和40年代につくられた手彫りの舟。この大きな舟はカツラの木でつくられたもの。先端には神の〈イナウ〉(御幣のようなもの)が飾りつけられています。

二風谷地域を流れる沙流(さる)川では今も〈チサンケ〉と呼ばれる、
舟おろしの儀式が行われています。
これは古代から伝わる技法でつくられた舟に魂をいれる進水の儀式。
毎年8月中旬頃に一般公開され、
参加者は約1キロの川下りを体験することもできます。古代舞踊の演舞のほか、
前日には〈ウトヌカ〉(アイヌ式の結婚式)や前夜祭なども行われているので、
あわせて訪れてみたいイベントです。

〈ポタタクサ〉はヨモギのこと。清め草といわれ、家の中の囲炉裏で燃やすと虫除けになり、茎の部分を矢柄にしたりと重宝していました。右奥は魔除けとして、また強心剤などの薬として使われた〈イケマ〉。

祭祀に使われた草木や生活に密着した食生活についても、
実物が展示されているのが特徴。なかにはイナキビ、アワのように、
現在も沙流川地域で栽培されているものもありますが、確保しにくい素材も多いそう。

平取地域では、アイヌの伝統的生活空間づくりのための
自然素材を育成する〈イオル再生事業〉として、
生活用具をつくるのに必要な樹木や野草を育てる森づくりや
チセの制作に使われるヨシの栽培など、まちぐるみで伝統再生への取り組みを進めています。

首長や祭事をつかさどる人がかぶる冠。本来のアイヌのクマの木彫りはこんな素朴な顔立ち。一般にお土産物で知られる鮭を加えたクマの木彫りは、後年スイスから入ってきたモチーフと言われています。

博物館からすぐの距離には、地域の発掘調査成果や出土品が展示される〈沙流川歴史館〉や、
博物館の母体になったコレクションの一部や
世界各地の先住民族の工芸品が見られる〈萱野茂 二風谷アイヌ資料館〉があり、
気軽に立ち寄ることができます。

平取地域はアイヌ文化を受け継ぎ未来へとつなぐ、道内で最も大きな拠点です。
この3つの施設をつなぐ〈匠の道〉沿いにある、
工芸家たちがそれぞれ営む民芸品店でのお土産探しもお楽しみのひとつ。

博物館そばの2棟のチセでは、工芸家が木彫または布製品をつくる様子を見ることができます。沙流川地域の〈チセ〉はヨシでつくられ、チセづくりの技を絶やさぬよう定期的にチセの維持管理を行なっているそう。

匠の道沿いにはアイヌ民族の住居〈チセ〉が建てられ、
かつての〈コタン〉(集落)の姿を見られるほか、
春から秋にかけてチセの内部で地元の古老による「ユカと語りべ」が開かれ、
訪れる人にアイヌ語でのお話や神謡を聞かせてくれます。

地元の工芸家が毎日交代しながら運営するチセには囲炉裏がおかれ、かつての暮らしの雰囲気も味わえます。彫られているのはイタ。文様のひとつひとつに制作者の想いがあります。

博物館のとなり、イオル再生事業の中心となる
〈平取町アイヌ文化情報センター〉では、
イタとアットゥをはじめ、まちに住む工芸家たちが制作した
アイヌ伝統工芸品を展示販売するほか、ムックリや刺しゅうコースター、
木彫コースターの体験学習を行うことができます(予約は二風谷アイヌ文化博物館まで)。

平取地域イオル再生事業では伝承を受け継ぐ次世代の担い手を育てるため、地域の若者を雇用して技術を教えています。若者たちが手がけた酒杯は地域の祭事で使われているそう。

「アイヌ文化の継承に力を注いでいる地域なので、
博物館も地域と歩調を合わせてさまざまな活動を行っています。
北海道とその周辺地域で育まれ、継承されてきたアイヌ文化を
より多くの人に体験していただきたいですね」

のどかな山あいにある平取町二風谷地域は、
アイヌの人々が受け継ぐ暮らしを守り、今へと伝えています。
ゆっくり流れる時間を感じながら、
自然に寄り添って生きるアイヌ文化を探訪してみませんか。

博物館の裏には、二風谷ダムとにぶたに湖が広がります。敷地にはアイヌの人々がものづくりに使う木が植えられた樹木園も。駐車場を緑地に変え、集いと憩いの場を整備していく計画が進行中。

information

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平取町立二風谷アイヌ文化博物館

住所:沙流郡平取町二風谷55

TEL:01457-2-2892

開館時間:9:00〜16:30

休館日:4月16日〜11月15日定休なし、11月16日〜4月15日月曜、※ただし12月16日〜1月15日 館内整備のため休館

※チセでの〈ユカと語り部〉は5月〜9月下旬の毎週土曜日15:30〜16:30(無料・予約不要)毎年変更になるので、要確認。   

入館料 大人400円・小中学生150円(団体割引・共通券あり)

http://www.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/nibutani/

はるばる訪ねたい地産地消の店。 絶品のびらとり和牛100% 〈じゃんけんぽん〉

地元ならではの鮮度がおいしい、希少なびらとり和牛。

ジュウジュウいい音とともにテーブルに置かれた
〈びらとり和牛ハンバーグ&カットステーキセット〉(1950円)のお皿には、
ふんわり箸でほどけるほど柔らかな特製ハンバーグと、
肉の旨みがぎゅっと詰まったカットステーキがぎっしり。
どちらも地元ブランド牛の〈びらとり和牛〉を100%使用した、
ここ〈じゃんけんぽん〉ならではの逸品です。

北海道一のトマト出荷量を誇る平取は、まちでつくられる桃太郎トマトや
加工品を〈ニシパの恋人〉ブランドで全国へ発信しています。
もうひとつ静かな人気を集めるのが、
平取の厳しい冬を乗り越えることで肉の旨味が凝縮した
ブランド牛の〈びらとり和牛〉。
頭数が少ないため、なかなか流通していないこの和牛が、
じゃんけんぽんではふんだんに使われています。

ステーキとハンバーグが焼かれていくところ。赤身のステーキは両面を全部焼いて、余熱でじっくり火を通したミディアムレアの焼き加減が絶妙です。

おいしい理由は、鮮度もポイントのひとつ。
びらとり和牛を一頭買いしているお店から、毎日使う分だけを仕入れています。
「冷凍ものは一切使わず、新鮮な肉を使っています。
ストックがないので、売り切れたら終了。
このスタイルは、おいしく食べてもらいたいという父のこだわりですね」
そう語るのは、現在オーナー佐々木幸博さんからお店をまかされている、息子の廣大さん。

トマトがとれる期間いっぱい、10月末までの期間限定〈びらとり丼〉(1180円)。丼にぎっしり入ったびらとり和牛はもちろん、お米、トマト、水菜など野菜まですべてが平取産という、究極の地産地消メニュー。

近郊のトマト農家から「青トマトを使えないか」
という提案から生まれた〈びらとり丼〉は、
ジューシーなびらとり和牛と青と赤トマトの爽やかな甘みと酸味が絡んだ、
季節限定のおすすめメニュー。

じゃんけんぽんのネットショップでも販売している特製ハンバーグの素材は、
びらとり和牛のみでつくられる自慢の一品。つなぎも抑え、甘みもたまねぎだけだそう。
「豚肉を使っていないので、ふわふわな食感になるんです」と廣大さん。
この肉そのもののおいしさを味わってもらうため、塩胡椒のみの味つけで、
ソース別添えのスタイル。むしろソースなしでペロリと完食してしまうおいしさです。

もとは喫茶店だったこのお店をお父さまが買い取って改装。壁の敷居向こうの座敷席はあとから増築したスペース。店名のじゃんけんぽんは、“一度聞いたら忘れない”という理由で、妹さんの学級通信のタイトルを採用。

お店で使うお米、トマトなどの野菜も平取産。
地産地消に力を入れるお父さまの幸博さんは平取出身で、
札幌や東京で飲食店に勤め、故郷で独立。びらとり地産地消の会の会長も務めていました。
じゃんけんぽんは、お店のメニューをびらとり和牛一本に切り替えて、
20年以上経つそうです。

オーナーであるお父さまが体調不良でお休みしているため、お店をまかされている佐々木廣大さん。「10年ほどサラリーマンで全国を飛び回っていましたが、2年前に戻ってきました」

「作り手としても、この和牛は単純においしい。
いずれは独立してびらとり和牛専門の店を出したいと思っています」
そんな夢も語ってくれた廣大さん。
「うちのメニューはボリュームがありますが、
肉の質がいいので胃もたれもしないし、女性やお年寄りでも食べられます。
店を通して、びらとり和牛の魅力をもっと伝えていきたいですね」

山小屋風の三角屋根が目印。店の裏にある自家菜園でハーブ類やズッキーニを栽培しています。ドライブ途中のランチにも訪れたい。

information

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じゃんけんぽん

住所:沙流郡平取町振内町30-11

TEL:01457-3-3200

営業時間:11:00~14:00(LO 14:00)、17:00~20:00(LO 20:00)

定休日:月曜(祝日はお電話でお問い合わせ下ください)

※駐車場 あり

http://www.jyankenpon-hamburg.com

明治建築のニシン小屋を修復! 浜のかあさんに教わる漁師メシとは

群来太郎丼とは?

日本海に面した小樽の北西部にある漁師町、 祝津(しゅくつ)発祥、
カラリと揚げたニシンに特製の甘辛タレがからむ、
漁師さんおなじみのおかずをどんぶり仕立てにしたメニューです。

ニシンの豊漁を意味する〈群来〉は、この地の歴史そのものを物語る言葉。
かつて江戸時代末期から大正時代にかけて、祝津をはじめ、
小樽から稚内にかけての北海道の日本海側にはニシンが大量に押し寄せました。

かつてとは規模もニシンの種類も変わったものの、2009年以降に群来が再来しています。写真は小樽張碓(はりうす)地区の群来。ニシンの産卵によって海岸線が乳白色に変わる様子。

その記憶を今に留め、2010年に復活した、
祝津のランドマーク〈茨木家中出張番屋〉(いばらきけ なかでばりばんや)で、
浜のかあさんと一緒に群来太郎丼をつくり、
ニシン漁の歴史に触れながら味わう体験メニューを楽しむことができます。

祝津の漁港が目の前、〈にしん街道〉沿いの〈茨木家中出張番屋〉(いばらきけ なかでばりばんや)。

主催しているのは、この番屋の修復に携わり、
現在は番屋の運営とともに祝津の地域おこしを手がけている
NPO法人〈おたる祝津たなげ会〉のみなさん。

浜のかあさん、加藤明子さん、佐野信子さんのおふたりに教わりながら、
群来太郎丼とともに、ここ祝津地域で40年来養殖されているとれたての
ホタテ刺身、ホタテ稚貝の味噌汁づくりがスタート。

番屋の奥に新設された台所で、浜のかあさん、佐野さんがホタテ稚貝の味噌汁の準備をすすめていました。

このあたりでとれるニシンの旬は、1〜3月の厳冬期。
群来太郎丼には、旬のニシンをとってすぐにおろし、保存したものを使っています。

「祝津の夏の旬はヒラメ。冬場はアンコウもとれますよ。
磯周りの漁師さんはウニやアワビが主ですね」

浜のかあさんのひとり、加藤さん。

気さくなかあさんたちの家業はそれぞれ漁師。
下ごしらえの済んだ材料を使い、
祝津の特産のホタテ漁や、魚料理のお話をうかがいながら、
ニシンを揚げ、まだ生きているホタテをさばいていきます。
現れたホタテの身は、ぷくぷくと立派な大きさ!

口の中で甘くとろけるホタテの刺身。

完成した漁師ごはんセットをおいしくいただきながら、
おたる祝津たなげ会の青山政嘉さんに、
この番屋やニシン漁の歴史について教えてもらいます。

ニシンが最高の水揚げを記録した1897年、その漁獲高は約100万トン。
これは、当時国内の総漁獲高の6割を占めるという、想像を絶する豊漁です。
「大量のニシンは、その半分がニシンかすになり、
綿花や藍、畑の肥料として本州へ向けて出荷されていたんですよ」という意外な歴史も。

明治末期、祝津の三大網元に数えられた茨木家が建てたこの番屋は、
ニシン漁の漁夫たちが寝泊まりする暮らしの場でした。
長く使用されず損傷が進み、一時は取り壊しの危機にありましたが、
地域住民をはじめさまざまな人たちから保存のための活動がおこり、
2009年、修復へ向けて動き出します。
黒光りする床板やネダイと言われた寝床や天井に渡された梁など、
できる限りもともと使われている資材が生かされ、
番屋は2010年の夏、見事によみがえりました。

ニシン漁は復活したものの大漁期の1%。しかし、半世紀ぶりにおこった小樽で群来は、国の助成公募に重なるという好機に恵まれ、修復には市やまちをはじめ多くの力が集まりました。

現在は地域のコミュニティーセンターとして、
地元産の旬の海の幸をランチにして提供する〈おさかな市〉や
地域の子どもたちに向けた〈食育番屋〉などさまざまなイベントが行われ、
ニシン漁の歴史や祝津の文化を伝えています。

かつて漁夫の活気にあふれていた番屋が、まちのにぎわいの新たな拠点へ。
「たなげ」とは“みんなで持ち上げる”という意味の古い浜言葉です。

「たなげ会の活動は浜のかあさんたちをはじめ、
漁師さんや地域の人たちの協力があってこそ。
今後はこの活動を引き継ぐ若い人を育てていきたいですね」
青山さんはそう語ってくれました。

42もの漁場建築が残る祝津地域。
港を見下ろす高台には、北海道の有形文化財に指定されている
〈小樽市鰊(にしん)御殿〉(入場料 一般300円)が威風堂々の姿を見せています。
また、番屋から歩いて行ける〈おたる水族館〉も隠れた人気スポット。

地元の素材と地元のレシピが生きた漁師ごはんとともに
北海道ならではのニシン漁の歴史にふれたあとは、
祝津のまちをゆっくり散策してみるのもおすすめです。

小樽市鰊(にしん)御殿から、日本海を見渡す。

information

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おたる祝津たなげ会

住所:小樽市祝津3-165 茨木家中出張番屋

TEL:0134-26-6160

http://www.tanage.jp

原始の自然の姿に出合える ニセコの秘境とは?

ニセコは、手つかずの高山植物の宝庫

スノースポーツで有名なニセコですが、短い春から秋にかけての季節は、
大自然を感じながら登山やトレッキング、散策を満喫できる場所です。
車窓からの眺めが美しい〈ニセコパノラマライン〉道道66号線を進み、
ニセコ山系の登山口としても知られる〈五色温泉〉の隣にあるのが、
〈五色温泉インフォメーションセンター〉。
スタッフによる花や紅葉の見頃情報をはじめ、登山ルートの案内など、
ニセコの自然情報を訪れる人へ随時発信しています。
休憩に、ニセコの情報集めに、気軽に立ち寄りたいポイントです。

道産カラマツ材が使われたインフォメーションセンターは2013年リニューアルオープン。木のぬくもりを感じるテーブルや椅子はニセコ町の家具工房〈シンプイ〉一松伸裕さんの作品。

五色温泉インフォメーションセンターの奥の小径を進むと、
イワオヌプリ(アイヌ語で「硫黄の山」)への登山口へと続きます。
登山口の入り口付近には、山の斜面いっぱいに〈エゾイソツツジ〉が咲き誇っていました。
実は、ここは“ニセコのお花畑”と呼ばれ、さまざまな高山植物の群生に出合える穴場なんです。

取材に訪れた日はあいにくの雨でしたが、毎年7月上旬に咲くエゾイソツツジが可憐に花を咲かせ、幻想的な風景が広がっていました。山の天気は変わりやすいので、散策のときは雨対策の準備も忘れずに。

足元で儚げに咲くのはツツジ科の小低木〈アカモノ〉。

ひとつひとつ歩きながら高山植物を丁寧に教えてくれたのは、
ニセコの自然を知りつくす〈ライオンアドベンチャー〉の齊藤満さんです。
同社は、ニセコや千歳、札幌を拠点に、大自然を満喫するアクティビティを展開しています。

齊藤さんは苫小牧のご出身。
子どもの頃から海や川を遊び場にして育ち、札幌で書店に就職したのち関東の本社勤務を経て
「自然の豊かなところで働こう」と決意して退職。
その後ニセコへ移住し、かれこれ10年以上をこの土地で過ごしてきました。

「すぐそばに大自然があり、同じエリアでも標高差で表情が変わるのが
ニセコの魅力ですね。山のイメージが強いニセコですが、釣りポイントも豊富。
車で1時間走れば、豊かな漁港もある岩内で海釣りができますよ」と語る齊藤さん。

7月上旬、ちょうど見頃を迎えていた〈タニウツギ〉。

まるで神やどる美しさ。静寂な湖沼へ

続いてニセコの秘境として知られるのが、
原生林と湿原にかこまれ、風のない日は凪いだ水面が鏡張りになって
季節ごとの大自然を映し出す〈神仙沼〉。
四季折々のアウトドアや行楽でにぎわうニセコ地域にひっそりと佇む、
神秘的な絶景スポットです。
五色温泉インフォメーションセンターから車で10分ほど、
レストハウスのある広い神仙沼駐車場に降り立つと、
神仙沼へと続く遊歩道の入口はすぐそこです。

〈モウセンゴケ〉は葉の先から粘液を出して虫を捕らえる食虫植物。火山によって生まれた神仙沼湿原は栄養が少ない泥炭層。生き残るために、虫を養分にする仕組みをもっています。(写真:ライオンアドベンチャー)

神仙沼までは、整備された木道を歩いて片道20分ほど。
木道が整備されているので軽装でも気軽に訪れることができます。
ダケカンバやマツの森を進んだ先、一面に広がるのが〈神仙沼湿原〉。
あちこちに小さな池塘(ちとう 湿原の泥炭層にできる池沼)が点在する
海抜750メートルの高層湿原で、
ニセコの短い夏から秋にかけて、さまざまな高山植物が姿を見せてくれます。

夏、湿原に咲き乱れる白い花〈チングルマ〉。この風景が秋になると……(写真:ライオンアドベンチャー)

秋には真っ赤なじゅうたんに様変わり。チングルマは実は低木なので、しっかりと紅葉するのだそう。(写真:ライオンアドベンチャー)

神仙沼の名づけ親は、ニセコ近郊の岩内出身でボーイスカウトを誕生させた下田豊松さん。
登山中に発見した沼の美しさにうたれ、
「神、仙人の住みたまう所」と感銘を受けたことから命名されました。

「遅い雪解けが始まる6月〜7月中旬にかけては、
花が咲き乱れる絶好のシーズン。
そして9月下旬から10月中旬までの紅葉の時期(※)は、水面に映る青空と赤、
黄色にマツの緑が加わった奥行きのある絶景に出合えますよ」(齊藤さん)

神仙沼からほど近く、起伏のある登山道を進んだ先にある鏡沼。ちょっとした冒険気分が味わえる道のりなのでトレッキングシューズがおすすめ。(写真:ライオンアドベンチャー)

神仙沼やお花畑散策のあとは、すぐ近くの五色温泉に浸かるのもおすすめ。
硫黄を含む源泉100%で美肌の湯とも言われ、体を芯から温めてくれます。

車から降りてすぐに原始のままの自然が体験できるニセコの夏は6月〜10月いっぱいまで。
神仙沼へ続く66号線は11月〜5月まで冬期間通行禁止となるので、
インフォメーションセンターのサイトなどで確認の上訪れましょう。

information

神仙沼

住所:岩内郡共和町前田

※年によって高山植物や紅葉の見頃は変わりますので、五色温泉インフォメーションセンターの情報をご確認ください。

information

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五色温泉インフォメーションセンター

住所:虻田郡ニセコ町字ニセコ510

TEL:0136-59-2200

営業時間:8:00-17:00

※開館期間 6月1日~10月31日

日本一の旅先朝ごはんを決定! 〈日本一朝ごはんフェスティバル (R)2016〉投票受付中

旅の楽しみといえば、宿の朝ごはん! 今年も楽天トラベルが主催する
〈朝ごはんフェスティバル(R)2016〉がスタートしました。
日本全国のホテル・旅館など約1500の宿泊施設が提供する
朝ごはんから日本一を決める企画です。開催は今年で7回め。
“日本一の朝ごはん”の称号を賭け、全国の宿泊施設が熱い戦いを繰り広げています。

ただいま、特設ページにて、審査の第1ステージとなるウェブ投票を受付中。
全国47都道府県からエントリーされている、
各宿泊施設の朝ごはんの写真と説明文をチェックして、
食べたいと思うメニューをクリックすると投票することができます。
期間は8月31日(水)16:59まで。(※投票にはユーザー登録が必要です)

唐津ロイヤルホテル〈朝からつドッグ〉

すみや亀峰菴〈こだわりの京都松茸おこわ〉

あさやホテル〈エッグベネディクト〉

ウェブ投票のあとは、期間中に集まった投票数と口コミ評価をもとに、
第2ステージに出場する全国48宿泊施設を選出。
10月に開催される第2ステージは、エントリーされた朝ごはんを
料理の専門家だけでなく一般来場者も、実際に食べて投票することができるのだそう。

イサム・ノグチ、最大の彫刻作品。 現代アートに触れられる、 〈モエレ沼公園〉

公園そのものが、ひとつの彫刻作品

世界的彫刻家イサム・ノグチが最晩年に札幌で実現させた夢、
「都市の中のプレイマウンテン」。
札幌の北東に広がる〈モエレ沼公園〉は、
公園そのものがイサム・ノグチによる巨大な彫刻作品です。

「公園や庭園など人の役に立つものとして、大地を使った彫刻作品をつくりたい」
イサム・ノグチが長くあたためてきたプランが1988年、
札幌市の公園事業と奇跡的に重なり、ここモエレ沼でスタートします。

1988年末、公園の基本設計を遺して惜しくも逝去した
イサム・ノグチの遺志がそのまま引き継がれ、
モエレ沼公園は2005年にグランドオープンを迎えました。
札幌市民はもちろん、国内外から多くの人が訪れる一大彫刻公園です。

広大な園内に散らばる作品を巡るには、
東側駐車場内にあるレンタサイクル(200円〜)がおすすめ。
まずはここで、園内の地図やルートマップをチェック。
今回は夏季おすすめのコースのうち、
自転車で約1時間の〈遊具コース〉をまわります。

モエレ山や海の噴水を通り過ぎ、公園奥に位置する〈テトラマウンド〉。
見る角度や距離によって印象が変化する巨大な作品です。

直径2メートルのステンレス柱を組み合わせた三角錐と芝生の造形。壮大なスケール感。

テトラマウンド越しに見える〈プレイマウンテン〉(TOP画像)は、
イサム・ノグチが1933年から抱いてきたアイディアが実現したもの。
花崗岩でできた緩やかな斜面を登れば、
公園全体のランドスケープを眺めることができます。

プレイマウンテンの稜線の先には、水の波紋が湧きでてくる水辺〈モエレビーチ〉が。
夏場は多くの家族連れで賑わう人気スポットです。

すり鉢状の池はサンゴで舗装されているそう。浅いので小さなお子さんも安心して遊べます。

次は幾何学的なかたちの遊具が集まる〈サクラの森〉。
遊具の穴をくぐり抜けたり、下から見上げたりする子どもたちの行為も
彫刻作品の一部だとイサム・ノグチは考えていたそうです。

園内126基の遊具はすべてイサム・ノグチの作品。上空から見ると公園そのものも幾何学模様のよう。

ゴールは、モエレ沼公園のシンボル〈ガラスのピラミッド〉。
ここは公園の中の休憩所であり、展覧会やイベントが行われるスペースでもあります。

3階にはイサム・ノグチのギャラリーが常設。企画展以外は貸し館として、1階、2階のアトリウムおよびギャラリースペースなどで市民企画の多様なイベントが開催されています。

「現在は、イサム・ノグチの功績や公園そのものの価値を伝えていく場として、
現代アートに特化し、モエレ沼公園に関係するテーマをかけ合わせた展覧会を
年に2回開催しています」

そう話してくれたのは、2003年からモエレ沼公園の学芸員を務める宮井和美さん。
年2回、夏と冬にモエレ沼公園が主催する企画展が行われるほか、
2014年には『札幌国際芸術祭』のメイン会場のひとつとして利用されました。
その際、ゲストディレクター坂本龍一さんらの作品をガラスのピラミッドで展示。
公園としてはもちろん、アートサイトとして発信の幅を広げています。

太陽光がふりそそぐアトリウムはコンサート会場としても人気。張り巡らされたガラスが独特の音響を生みます。6〜9月には雪貯蔵による雪冷房システムとともに、床吸熱と自然の風を利用する冷房を組み合わせた空調システムを採用。

そしてモエレ沼公園は2017年夏、
第2回を迎える『札幌国際芸術祭』でもメイン会場となることが決定。
ゲストディレクターの大友良英さん率いる、
芸術祭バンドメンバー(企画メンバー)のひとりでもある宮井さん。
「イサム・ノグチのアートの要素に加えて、この場所にインスピレーションを受けた
アーティストの方々の手がけたアートを観ることができる、
貴重な機会になると思います」

2016年夏には、〈gm projects〉の豊嶋秀樹さんを企画・空間構成に迎え、
展覧会『ホーリー・マウンテンズ 内なる聖山へ続く三本の足跡』を開催。
山伏として活躍する坂本大三郎さん、
写真家の山内 悠さん、東浦奈良男さん/吉田智彦さんの3組が参加し、
モエレ沼公園のランドマークでもある〈山〉に光を当て、
山と人との関係性に迫りました(コロカルでの取材記事はこちら)。

売店ではモエレ沼公園オリジナルTシャツほかイサム・ノグチ作品〈AKARI〉シリーズを販売。軽食をテイクアウトできるショップ〈パニエ〉や、フレンチレストラン〈ランファン・キ・レーブ〉も。

「美術館とは違うこの場所の自由度を生かしながら、
公園として訪れてくれる方にも楽しんでいただける
アートの場づくりを目指しています」

宮井さんはそう語ってくれました。
来年グランドオープンから12年を迎えるモエレ沼公園は、
アーティストが新たな作品を生みだす場所、
それに出会える場所としても進化を続けています。
春夏秋冬それぞれの表情を楽しめる公園として、企画展示や
2017年夏の札幌国際芸術祭をめがけて訪れてみるのもおすすめです。

information

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モエレ沼公園

住所:札幌市東区モエレ沼公園1-1

TEL:011-790-1231

営業時間:ガラスのピラミッド 6月1日〜8月31日9:00〜20:00、4月29日〜5月31日・9月1日〜11月3日9:00〜19:00、 11月4日〜4月28日 9:00〜17:00

定休日:第一月曜日(11月4日〜4月28日は毎週月曜日、12月29日〜1月3日)

※駐車場 あり

http://moerenumapark.jp

畑のとれたて野菜が最高! 地元食材をたっぷりいただく 〈わがまま農園Café〉

石狩のおいしさをまるごとランチに

運ばれてきたプレートをひと目見て、周りのお客さんから歓声が上がりました。
やってきたのは輝くほど新鮮な旬の野菜と〈望来豚(もうらいとん)のリエット〉が
ぎゅっと重ねられた〈本日のサンド〉(1200円・セットつき)。
ボリュームも美しさも満点なうえ、
野菜はすぐそばの農園で採れたものばかり。鮮度までお墨つきです。

札幌方面から石狩川を越えて畑の広がる道を進むと、
防雪柵が続く道沿いに小さな看板が見つかります。
石狩の農家の田中勝吉さん一家が営む〈わがまま農園Café〉は、
農園でとれた新鮮野菜をはじめ、
地元産の厳選食材をふんだんに使ったランチメニューが人気を集めるカフェ。

ゆったりと心地よい時間の流れる店内。什器選びは奥さまの民世さん担当。中央の大きなテーブルは改装時大工さんにつくってもらった、ガラスをはずすといろりにもなるすぐれもの。

農園を手がける名古屋出身の田中勝吉さんは、もとは普通のサラリーマン。
「たまたま転勤で初めて来た北海道に魅了されました。
念願だった土いじりをここで本格的にやってみようと思い立ったんです。
54歳で早期退職し、石狩地域で初の新規就農として入植しました」

売りに出されていたこの農地と巡り合った勝吉さんは、
農家となるべく隣家の農家さんに研修を受け、
2001年に〈わがまま農園〉をスタートさせます。

15年間農薬の入っていないわがまま農園。ハウスの中ですくすくと育つかぶはこの日カフェで、素材本来のおいしさが際立ったとろとろな〈かぶのスープ〉に変身。

丁寧に畑を案内してくれた勝吉さん。

無農薬でさまざまな種類の野菜を少しずつ育て、
本州の友人たちへ年間の契約での個別発送と直売とで
野菜を販売してきましたが、勝吉さんが心臓病を経験し、
2015年からは畑の規模を半分ほどに縮小。
ガーデニングの好きな奥さまの民世さんと二人三脚で
2ヘクタールの畑を切り盛りしながら、
石狩の直売所〈とれのさと〉と農園での直売を行っています。

カフェの大きな窓の向こうには、わがまま農園が広がっています。

そして同じ2015年の秋、
もともと身近な人向けのゲストハウスとして使っていた
2階建ての納屋を全面改装し、わがまま農園Caféをオープン。

そのきっかけは、手づくり料理やスイーツで人をもてなすことが好きな民世さんが
昔、まだ幼い娘たちと散歩中に話した
「いつかお店をやってみたいね」という夢にありました。

現在、お店づくりやメニューづくり、料理全般をこなすカフェ担当は、
東京で10年以上シェフやパティシエの仕事に就いていた三女のえみさん。
農園にカフェをつくる話を民世さんに持ちかけられ、石狩の地に戻ってきました。

凛とした立ち姿できびきびと作業をこなすえみさん。盛りつけや色合いにもえみさんのセンスとこだわりが表れています。

「自分のお店を持ちたいとは思っていなかったんですが、
いい機会かなと思って。東京では、頼めばいつでも同じ素材を使えましたが、
ここでは使える時期が限られます。そのなかで地産地消を大切に、
おいしいものを一番おいしい時期に生かして使っていこうと思っています」

野菜料理が得意というえみさんは、地元素材の研究をしながら、
旬のメニューを開発しています。
ひよこ豆を地元産大豆に変えてつくった濃厚なフムスや、
わがまま農園で一番人気のアスパラほか、
グリーントマトなど野菜を使ったスイーツも好評です。

今日のお魚ランチは〈イナダのソテー〉。木の子のソテーとズッキーニを合わせ、タプナードを添えて。ほろりとほどけるイナダに、味つけされた木の子が絶妙に絡みます。

今日のお肉とお魚2種類から選べるランチ〈わがままスペシャル〉(各1200円)は
メインのほかサラダ、スープ、ミニデザート、ドリンクがセット。
お肉はレアな石狩市内のブランド豚〈望来豚〉を、
お魚は同じ石狩市内の厚田で揚がった魚介類を中心に使用。
他にも、生野菜、マリネ野菜などをバランスよく、
しかもたっぷりと盛り合わせた幸せメニュー
〈わがままサラダボウル〉(セットつき1200円)も人気です。

この日は、かぶのスープ。素材の甘みがきいた身体にしみいるおいしさ。

野菜をはじめ、石狩や近郊のこだわり食材は
勝吉さんのつながりで仕入れています。
安心かつおいしい食材を近郊でまかなえるのは、
小規模で多品種を栽培している石狩の土地柄もあるそう。

ちょっと恥ずかしがり屋さんな、ホール担当の民世さん。えみさんに教わりながら接客の修行中なのだとか。手に持っているのは〈わがままサラダボウル〉。

ここに暮らしてから、「好きなことをしているので苦労はしていないです」
ときっぱり語る勝吉さん。
移住や新規就農を希望する若い人たちに、アドバイスしたいことは?

「農家を生業にして以来、悪いときがあっても頑張れるのは、
この仕事が好きだから。自分がこころから楽しいと思えることをやれば、
継続できると思いますよ」

ピカピカのとれたて野菜が破格で並ぶ販売コーナー。

わがまま農園の命名を、「私がわがままだからです」と笑って語る勝吉さん。
そこには「我」の想いの「あるがまま」、
この地に根づいて暮らしを切り拓いてきた強さが見え隠れしていました。

カフェのメニューは時期ごとの素材を使って日替わり、月替わりで提供しているので、
色合いも内容も移り変わります。
季節ごとに、最も旬な石狩のおいしさがつめこまれたわがままメニューを、
味わいに行ってみませんか。

アスパラのチーズケーキ(350円)。どっしりチーズにしっかりアスパラの組み合わせが衝撃のおいしさ。

information

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わがまま農園Café

住所:石狩市八幡町高岡町87-3

TEL:080-1885-0050

営業時間:11:00~日暮れまで

定休日:水曜日(不定休あり)、12月下旬から3月末まで冬期休業

※駐車場 あり

http://wagamama.0326.biz

息を呑むコバルトブルーの海。 絶景スポット〈島武意海岸〉

静かに佇む積丹ブルーの美しい入り江

細いトンネルの先に広がるのは、抜けるようなコバルトブルーの海。
晴れていれば、海の底まで見える透明度に驚かされるはず。

積丹半島の東に位置する〈島武意(しまむい)海岸〉は日本の渚百選のひとつに数えられ、
〈ニセコ積丹小樽海岸国定公園〉の一部にあたる美しい入江です。
“シャコタンブルー”で知られる〈神威岬〉からは、車で約30分の距離。
アイヌ語で「シュマ・ムイ」、〈岩の入江〉と呼ばれた通り、
海岸の左にそびえる〈ビョウブ岩〉をはじめ険しく切り立った岸壁と岩が特徴です。

海岸は崖の上にあるため、展望台へは山に向かって坂道を登っていきます。
登りきった駐車場から歩いてすぐの斜面には、
人がすれ違える程度の幅の真っ暗なトンネルの入口が。

海岸へ続くこのトンネルは明治28年、当時北海道の日本海側で最盛期を迎えたニシン漁で獲れたニシンを運ぶために掘られたものだそう。

コバルトブルーだけでなく、エメラルドブルーや紺碧に近い青も見つけられる島武意海岸。
展望台からの素晴らしい眺めはもちろん、静かな波打ち際へも降りてみたいところ。
丸太の階段がついた急勾配の坂道をジグザグと下れば、15分ほどで海岸へ到着します。

海岸へ続く坂道の途中から。美しい青色が近づいてきます。

波に洗われた石の浜。自然保護のためキャンプは禁止されていますが、
清らかな海にふれたり、波打ち際を眺めながらひと休みしたり、思い思いの時間を過ごせます。

1706年に開基した積丹町は漁業で栄えた歴史を持ち、ヤン衆が網を上げる力入れの歌、
沖揚げ音頭と呼ばれる〈ソーラン節〉発祥の地。
浜辺にはかつて使われたニシン番屋の跡も残っています。
夏の時期、エゾカンゾウの花が咲き誇る帰路の坂道は軽い登山感覚の道のり。
歩きやすい靴での訪問がおすすめです。

information

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島武意海岸

住所:積丹郡積丹町大字入舸町

TEL:0135-44-3715(積丹観光協会)

余市のいいもの、ここにあり。 心づくしの隠れ家ゲストハウス 〈はれるや〉

海を見下ろす、静かなゲストハウス

小樽から車で30分ほどの余市は、おだやかな海と見渡す限りの畑、
果樹園にかこまれた豊かなまちです。ニッカウヰスキーや新鮮な魚介類の並ぶ、
市場のある中心部から積丹方面へ進んだ、海を見下ろす緑あふれる丘の上。
「ここに宿が?」と驚く細い坂道の先に、木々と広い空にかこまれた大きな一軒家が現れます。

〈ゲストハウス はれるや〉は、ご夫妻で営む一日ひと組だけの”療養型民宿”。
旦那さんの高橋由人さんが台湾式足もみを、奥さまの尾崎サトコさんが
ここ余市ならではの食材を使った食事を担当しています。

札幌にも足もみ治療院をもち余市と行き来している高橋由人さん、尾崎サトコさん、愛犬のドリ子ちゃん。このほかにも数匹の猫が室内外にのびのびと暮らしているので、アレルギーの方は残念ながらご遠慮くださいとのこと。

ゲストルームは、ご夫妻の住まう母屋に廊下でつながった離れの建物。
くつろげるリビングと、緩やかに隔てられた小さなベッドルーム、
木々の見える大きな窓が開放的なバスルームがあり、
海を見下ろす広い庭へ出て過ごすこともできます。

海風が渡ってくる心地よいゲストルーム。庭では厳選した食材を楽しめるバーベキューつきの〈BBQプラン〉も。

静かなロケーションが心地よい一軒家は、釣り好きだった尾崎さんのお父さまが建てたもの。
札幌生まれの尾崎さんは23年前、ここに住み始めます。料理が好きで、
フランス料理をはじめ、ローフードや精進料理など幅広い教室に通ってきた尾崎さんは、
いずれ小さな民宿を開きたいという思いをあたためていたそう。

眼下には穏やかな余市の海が広がります。木々の緑や鳥の声、波音が聞こえる明るい部屋で、日常から離れた深いくつろぎを感じられるはず。

そして同じく札幌生まれの高橋さんがここへ移り住んだ理由は、まさに、療養のため。
東京でファッションの仕事や飲食店のディレクションなど幅広く活躍した高橋さんは、
50歳のとき悪性リンパ腫と重度の糖尿病を患いました。
その前に偶然興味をもち資格をとっていた台湾式足もみの診察経験から、
西洋医学ではなく、食事療法をはじめとした自然療法を選びます。
海と緑、そして川にかこまれ自然の力を感じる暮らしと高橋さんの強い意志が、
なんと3年で完治させたと言います。

「命が助かったから、これから何をやろうか? と思ったとき、
自分のように体を壊してしまった方たちにこの家へ来てもらって、
滞在しながら治療もできる“療養型民宿”を始めることにしたんです」

ふたりの思いが重なり、ゲストハウス〈はれるや〉は2009年にオープン。
足もみとともに、安心な食の提供に力を入れ、
食材は余市近郊の生産者さんと直接つながって旬の食材を中心に仕入れています。
食事制限のある方に対応したり、ローフードを取り入れるなど、
ひとりひとりお客さんの希望を汲んでメニューを構成しているそう。

この日の夕食のメニューのひとつ。栗でほっこりな甘みをつけたじゃがいものパンケーキはしっとりもちもち。近くの赤井川産有機アスパラと、ヨーグルトにハーブを和えたソースがマッチしています。菜園で自然栽培されたズッキーニはほんのり甘みが。

コースのように一品ずつ運ばれてくる料理は、レシピを知りたくなる、
素材を生かして手をかけられたものばかりです。

とてもおいしい尾崎さんの自家製パン。はれるやのメニューには、長野の小布施ワイナリーに生まれ栃木のココ・ファームで実績を積んだ曽我貴彦さんによる余市のワイナリー〈ドメーヌ・タカヒコ〉の希少なワインも。

家の隣にある自家菜園では、『奇跡のりんご』で知られる木村秋則さんから
縁あって教わった無農薬無施肥栽培で10種類以上の野菜を育てながら、
宿の料理に生かしています。

朝食は和風。長岡式酵素玄米と、余市港であがったヘラガニのお味噌汁、身欠きニシン、備長炭入りのお湯から取り分ける湯豆腐がふんわり。漬け物の二十日大根と山椒の葉は自家菜園産。

「余市は食材の宝庫。後志地域の食の豊かさは、日本で一番だと思っています。
すばらしい生産者さんたちがいるから、これだけの食事をお出しできる。
皆さんあっての私たちなんです」
そう話してくれた尾崎さんに案内してもらい、余市の生産者さんやつくり手さんのもとへ。

はれるやで使われる可愛い猫のカップは、
余市にアトリエ&ショップをかまえる〈JUNIO〉の作品。
茨城で手吹きガラス作品を制作していたご夫妻が奥さんの実家余市へ移住し、陶芸へと転向。
余市駅からほど近い元質屋の古民家を改装したショップには、
さまざまな質感の、ふだん使いが楽しくなりそうな器が並びます。

「小さなメーカー」というスタンスでシンプルにプラスされた余白ある形を提案しているJUNIOの木村泰明さんといすゞさん。ショップは金土日のみ営業。

実は、隣の仁木町とともにフルーツのまちとして知られる、余市。
はれるやの夕飯のメニュー「ベリーとトマトのガスパチョ」などに使われていた
フルーツやトマトは、仁木に畑・観光農園・レストラン・ワイナリーをもつ、
〈ベリーベリーファーム上田〉から。7種のベリーをはじめ
有機栽培や特別栽培でフルーツづくりを手がける上田一郎さんは、
農地とともに余市の土壌に合うブルーベリーの木々を譲り受け、エンジニアから農家へと転職。
「この仕事が大好きです」と語る上田さんの周りには、
たわわに実をつけたさくらんぼが輝いていました。

取材に訪れたときは、さくらんぼの最盛期。肉料理をメインにしたレストランのドリンクバーでは自家製トマトジュースや7月以降はベリージュースが楽しめ、7月末から10月末限定の無農薬べリーを7〜8種類乗せたパフェが大人気です。

さくらんぼ畑の丘の上には美しいヴィンヤードをもつ〈リタファーム&ワイナリー〉が。
農家の4代目にあたる菅原さんご夫婦は、
2013年に念願のワイナリーをオープン。ご夫婦ふたりで葡萄の栽培、草刈り
野性酵母による自然発酵のワインづくりすべてを行っています。
生産量は限られますが、ワイナリー隣のショップで販売も。
今後はバルを併設する計画をたてているそうです。

ショップ2階の窓から見渡せる〈風のヴィンヤード〉と名づけた美しい葡萄畑は一枚の絵のよう。ここから、余市の土地そのものを閉じこめた稀有なワインが生まれます。

ひたむきな情熱でワインづくりに取り組む菅原誠人さん、由利子さん。後ろは築70年になる納屋を改装した素敵なショップ。農作業などでほぼ不在のため、訪問するときは前もって電話で連絡を。

左から、野生酵母で瓶内二次発酵させたフルーティーな農家のシードル(1580円)、瓶内二次発酵のスパークリングワインHANABI(2200円)、余市産キャンベルを野生酵母でゆっくりと自然発酵させたライトボディーの赤ワイン(1880円)、ノンアルコールワインテイストの余市産キャンベルジュース(1380円)。

余市の丘陵地帯、数百種類の農作物すべてが無農薬栽培の〈えこふぁーむ〉は
なんと代表の牧野時夫さんがひとりで運営。
大阪生まれの牧野さんは北海道大学在学中に農業を志し、
ワインメーカー勤務後、離農した農家から葡萄畑を買い取って農園をスタート。
収穫した野菜や果物は、大半が個人注文を受けて
さまざまな種類のものを直接配送するスタイル。
現在も畑で、日々研究と挑戦を重ねています。

農園を案内しながら、早わざで葡萄の剪定をする牧野時夫さん。宮沢賢治の思想に共感し、農民オーケストラ〈北海道農民管弦楽団〉の代表を22年間つとめる芸術家の一面も。

風に揺れるライ麦。小さな草刈り機で刈り、手で脱穀し、電動の石臼で少しずつ挽くのだそう。どの作物も丹精こめて育てられています。

「同じまちで頑張っている生産者さんたちと共生してお互いに宣伝し合うことが、
将来的にハーモニーになっていくということを意識しています」
尾崎さんはそう語ります。

自然に囲まれた穏やかな空間で、余市の誇る恵みのお話を聞きながら、
おいしく安心な料理をいただき、台湾式足もみで現在の自分を深く知る。
まちの魅力を最先端で発信し続けるゲストハウスはれるやは、
より健やかな日常を送るための、大人の休息所です。

information

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ゲストハウス はれるや

住所:余市郡余市町浜中町242−1

TEL:0135-23-4660

※足もみと食事と組み合わせた日帰りプランもあり

http://www.yoichihareruya.com/index.html

information

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JUNIO 

住所:余市郡余市町大川町1-64

TEL:0135-22-2001

営業時間:11:00〜17:00

定休日:金・土・日(念のため訪れる前に電話でご確認ください)

http://junio.jp

information

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ベリーベリーファーム上田

住所:余市郡仁木町東町13-49

TEL:観光農園0135-32-3090、レストラン0135-48-5510

営業時間:11:00~20:30

定休日:不定休

http://www.natural-farm.jp

information

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リタファーム&ワイナリー

住所:余市郡余市町登町1824

TEL:0135-23-8805

農作業などでほぼ不在のため、訪問するときは前もって電話で連絡を。

http://www.rita-farm.jp

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えこふぁーむ

住所:余市郡余市町登町1178

TEL:0135-22-7431

※Facebookで発送可能な野菜を発信中。ご希望の方はメッセージよりお申し込みください。

https://www.facebook.com/ecomackyfarm/

〈廃校キャンプ〉で 童心に返ろう! 元小学校をまるまる貸切り

誰もいない学校でおもいっきり遊べたら、ものすごく楽しそう! 
2016年9月10日(土)〜11日(日)、群馬県みなかみ町の〈泊まれる学校さる小〉にて、
イベント〈廃校キャンプ〉が行われます。
非日常イベント専門企画会社の〈Holiday Jack〉が主催する、
元小学校を完全貸切りにした“廃校イベント”です。

この2日間は、校舎、グラウンド、体育館、プールなどが使い放題。
運動会、BBQ大会、花火大会、野外映画館、星空BAR、ドロケー、缶ケリ、
キャンプファイヤー、ラジオ体操、給食作りなどなど、
“大人が本気になって遊ぶ”をテーマに、さまざまなイベントが練られています。
給食を自らの手で作り、隠れることなく堂々とお酒を片手に夜中まで語り合い、
学校の教室に泊まる…そんな体験が待っているのだとか。

海が見える丘の上の窯元 〈不悉洞〉。真っ白な磁器や 美しい色の伊賀焼を

ベースは伊賀焼。凛と佇む高田さんの器

広くとられた窓の前に並ぶ作品が、日本海を背にしてまるで絵画のよう。
ここは、眼下に穏やかな忍路(おしょろ)湾が広がる丘の上に佇む、
陶芸家、高田義一さんの工房軒ショップ〈不悉洞〉(ふしつどう)。

お店に目立った看板はないものの、窓越しに並ぶ陶器が目印。
土の風合いが生きる伊賀焼の器と、手にしっくりとおさまる真っ白な磁器。
築60年の古民家に寄り添うようにさまざまな焼きものが並びます。

大阪生まれの高田さんの作風のベースは、
修行先の三重県伊賀で身につけた伊賀焼。
「これは伊賀の土を含め3種類の土をブレンドしています。
伊賀の先生から、この配合なら伊賀焼と名乗っていいと言われているんです」

左の明るい緑は、天然松灰のみで、濃く青みがかったものは二軒隣にあるおいしいパン屋さん〈エグ・ヴィヴ〉の薪窯から出たケヤキの灰を合わせたもの。(各4000円)

緑色の自然釉が雫のように器の底や表面に流れ、独特の個性が生まれた美しい器。
高温で焼かれることで降りかかった薪の灰が緑色のガラス質になるという、
伊賀焼独特の意匠です。
外側は土の質感を感じるざらりとした手触り。
ところどころにある気泡は土の成分に含まれる長石や珪石による効果だそう。

ぽってりとしてツヤのある磁器は、札幌のコーヒー店でも使われている人気のシリーズ。
口当たりのよさが特徴です。

ころんとした姿が愛らしいカップ。ひとつひとつ形が違うので、お気に入りを探して。(各4000円)

「ごはんがおいしく炊けるよ」と高田さんお墨付きの土鍋(8000円)。年に1回、冬場に集中してつくっているそう。伊賀焼の製法でしっかり焼きしめられ、耐火性に優れています。

入ってすぐのホールには、大きな壺がずらりと並ぶ一角が。
「僕がつくりたいのは壺。もう15年間つくり続けています。
僕の幹にあたるのはこの壺で、このために枝葉にあたる磁器を焼いている。
裏にある穴窯も、壺を焼くためにつくったんです」と高田さん。

土の質感がみなぎっている、大壺。

ショップとなっている古民家のすぐ隣に住まいと窯、そして別棟に作陶室があり、
建物裏の丘には斜面に沿ってつくられた立派な穴窯が風格を放っています。
2年を費やし2001年に完成した穴窯を、年に一度徹夜で焚き、
壺をはじめとした作品を焼いています。初窯の時は150個もの作品を焼き上げたそう。

海を見下ろす穴窯。もとは葡萄畑だった斜面を、日本の穴窯の平均角度の14度にならしてつくりました。「冷めるのが早くなるので、土を掘ってわらを混ぜてふとんのようにかぶせています」

穴窯の周りには自然そのままの山野草や山葡萄、桑の実がのびのびと自生し、
小さな自家菜園ではジャガイモが可愛い花をつけています。高田さんの楽しみ、
渓流釣りで見つけて植えてみたというシラネアオイが群生していました。

窓の向こうは海、静謐な空気の漂う作陶室。窓の下にふたつ見えるのが、丸い板のふちを蹴って回す〈けろくろ〉。

〈知床海岸食堂〉オープン。 海辺でオホーツク海鮮の 炉端焼きを満喫!

世界自然遺産である、知床のオホーツク海。
夏の雄大なオホーツク海を一望できる海鮮レストラン
〈知床海岸食堂〉が北海道斜里郡斜里町にグランドオープンしました。

〈知床海岸食堂〉で提供されるのは、ウトロ港で揚がる
オホーツクの新鮮で安心安全な魚介グルメ。

知床炉端焼きメニュー(例)

道産牛やタラバガニ、天然帆立などををメインにした炉端焼きや、
いくらたっぷりの〈いくら丼〉など。
北海道・知床ならではの味覚と
ボリュームたっぷりのメニューがそろっています。
海を眺めながらの新鮮な魚介類の炉端焼き、気持ちよく楽しめそうです。

たっぷり肉厚の地元産帆立

熊丼

さらには〈熊丼〉1,800円という、
北海道ならではの変わり種のメニューも並びます。

こちらがお店を切り盛りするスタッフのみなさん。
すてきな景色と美味しい料理がいっぺんに楽しめる、
かなり気になるお店です。

information

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知床海岸食堂

住所:斜里郡斜里町ウトロ東361

TEL:0152-24-2752

営業時間:ランチ 11:30~14:30 ディナー 18:00~21:00

営業日:2016年10月17日(月)まで(日程期間は無休)

教育移住を検討中の家族は注目! 兵庫県豊岡市で 最先端の教育を親子で体験する サマースクールを開校

2016年8月24日(水)~26日(金)に、豊岡市で、
演劇的手法を用いたコミュニケーション教育や運動あそびを体感できるとともに、
自然、食、気になる豊岡での暮らしなども体験できるサマースクール
〈飛んでるローカル豊岡 教育体験ジャーニー〉が開催されます。

昨年秋に開催された、移住希望者向け体験プログラム〈ヒアリングジャーニー〉
親子向けプログラムとなってさらにパワーアップ。
2泊3日のサマースクールの内容は、
劇作家の平田オリザさんによる、
演劇的手法を用いたコミュニケーション教育の体験授業や、
豊岡の豊かな自然のなかで実施される環境教育〈田んぼの学校〉の体験、
地元の子育て世代との交流会など。

市内各所で開催される〈田んぼの学校〉。豊岡の自然をからだ全体で楽しめます。

さらに、地元の味覚を味わう、城崎温泉の外湯〈鴻の湯〉で入浴といった、
“豊岡市で暮らす”ということの魅力を親子で体験できる機会も。

城崎温泉〈鴻の湯〉。コウノトリが足の傷を癒していたことから発見された温泉という逸話があります。

子どもにいい環境で教育を受けさせたい。
豊岡市が提唱する「ローカル&グローバルな教育」が気になる。
演劇的手法を用いた、最先端のコミュニケーション教育に興味がある。
豊岡市内の全園・全小学校で実施している「運動遊び」について知りたい。
豊岡市への移住に興味がある。という方は、参加無料のこの機会をお見逃しなく。

参加申し込みの方法は

〈教育体験ジャーニー エントリーフォーム〉から申し込み可能です。

また、メール、郵送、またはFAXでも申し込み・問合わせ受け付けています。

メールでの申し込みの場合は、タイトルに「教育体験ジャーニー参加申込」、
本文に、保護者(氏名・フリガナ・性別・年齢・住所・連絡先)、
児童(氏名・フリガナ・性別・学年・年齢)と、応募動機、
食品アレルギーのある方は品名を明記のうえ、

toyoocome@city.toyooka.lg.jpまでご連絡ください。

「飛んでるローカル豊岡」の移住定住プロモーション動画もあわせてご覧ください。

information

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飛んでるローカル豊岡
兵庫県豊岡市 大交流課定住促進係

住所:兵庫県豊岡市中央町2-4

TEL:0796-21-9096

FAX:0796-22-3872

toyoocome@city.toyooka.lg.jp

https://tonderu-local.com/journey/

進化した 〈ホテル アンテルーム 京都〉 名和晃平・蜷川実花の コンセプトルームも!

“京都のアート&カルチャーの今”を発信することをコンセプトに、
5年前、京都駅の南側に位置する専修学校をリノベートして生まれた、
ホテル&アパートメント〈ホテル アンテルーム 京都〉。
スタイリッシュなインテリアと
リーズナブルな価格で幅広い層に人気のこのホテルが、
2016年7月22日(金)、グランドリニューアルオープンしました。

1階に誕生したモダンな庭付き客室。ギャラリーノマルが手掛ける

伝統や文化が色濃く受け継がれている京都にあるホテルとして、
増床した新たな客室には、全体的に日本の美の視点を取り入れたのだとか。
モダンに表現された日本の庭や、清水焼の照明、
小上がりのベットステージといった細やかなしつらえが、
現代的なアート空間の中に、〈和〉の心を感じさせてくれます。

名和晃平が手掛けるコンセプトルーム(イメージ)

蜷川実花が手掛けるコンセプトルーム(イメージ)

さらに、増床した客室の一部は、
日本の先端を走る現代美術家の名和晃平さんや蜷川実花さん、
ヤノベケンジさん、金氏徹平さん、宮永愛子さんら、
8組のアーティストが手掛けるコンセプトルームに!
客室全体が、アーティストそれぞれの持つ独自の世界観で彩られ、
刺激的で新しいカタチのホテル滞在のひとときを、体験できそうです。

〈どさんこ旅サロン〉がオープン! 北海道のプロがアドバイスする 新しい観光発信拠点

日本各地で梅雨明けが発表され、いよいよ夏の観光シーズンが到来。
こうも暑いと、「どこか涼しい場所で、のんびり過ごしたいなぁ」と、
北海道旅行を計画している人も多いのではないでしょうか。

充実した北海道旅を実現するために、
ぜひ足を運びたいスポットが
JR有楽町駅から徒歩1分の場所にある東京交通会館3階にオープンしました。

ここ〈北海道・さっぽろ観光情報プラザ〉は、
「北海道をより身近に感じてもらえるように」という想いで
これまでなかった、北海道各地の観光情報の発信拠点をスタートさせました。
多くの人に親しまれるようにと願いを込めて
〈どさんこ旅サロン〉という愛称が付けられました。
同じく、交通会館の1階に入っている
〈北海道どさんこプラザ 有楽町店〉は2016年5月にリニューアルしたばかりなので、
ぜひ、一緒に訪ねてみてください。

どさんこ旅サロンの特長は、北海道の179市町村の観光情報が手に入ること。
パンフレットは空港別にわかれて並んでいるので、
さまざまな、小さなまちの魅力に気づくことができます。
実は、秘境のアウトドアスポットがあったり、気鋭のワイン醸造所がオープンしていたり。
また、関東圏ではなかなか手に入らない北海道情報誌のバックナンバーもあり、
いままで知らなかった北海道の出会えるチャンスです。

北海道はこんなに広い! どさんこ旅サロンにある地図を見ながら、旅を考えても。

ネットで調べるのもいいけれど、
その土地を良く知っている人の視点を借りるのも
旅を充実させるための大事な要素ですよね。

北海道の旅に関して何かわからないことがあれば、
常勤するスタッフに尋ねれば、ていねいに教えてくれます。

今年は、北海道の旅を計画してみませんか?

information

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北海道・さっぽろ観光情報プラザ(どさんこ旅サロン)

住所:東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館3階

営業時間:10:00~17:30

定休日:土・日・祝および年末年始(12月29日~1月3日)

夏休み期間限定! 老舗料亭で全長30メートルの 流しそうめんを

暑い毎日、涼を感じる流しそうめんはいかが? 
このたび奈良県奈良市にある、老舗料亭〈菊水楼〉にて、
2016年8月1日から29日の夏休み期間、
イベント〈スゴい!流しそうめん@菊水楼〉が開催されます。

〈菊水楼〉は創業125年、国の登録有形文化財でもある由緒ある料亭。
このイベントは、京都府井手町〈世界流しそうめん協会〉の
プロデュースによって実現したもの。

京都から持ち込んだ青竹の流しそうめん台を、料亭の3階部分にセット! 
その長さ、なんと全長約30メートルにもなります。

流すそうめんは地元奈良の名産品〈三輪素麺〉。
めんつゆは、菊水楼の料理長が自らとったお出汁を使用した
こだわりの〈特製めんつゆ〉で、
バリエーション豊かなトッピングも用意されます。

お得なビュッフェプランもあるそう。
料金は流しそうめんのみのコースで、大人1500円、小学生以下500円。
開催日程など、詳細は公式サイトにて。

地方創生プロジェクト 〈若杉屋〉オープン! お遍路宿をファスティング旅館に

博多の中心街から直線距離で11kmのところにある、
自然豊かな福岡県糟屋郡篠栗町(かすやぐん・ささぐりまち)。

2016年8月2日(火)、ここに、
〈ファスティング旅館 若杉屋〉がオープンします。
篠栗の森とのなか、地元採用の5人の女将たちが切り盛りする、
地方創生のプロジェクトです。

この〈若杉屋〉、かつてはお遍路宿として使われていました。
リニューアル後の宿では、5人の女将たちが、
固形物を食べずに内臓を休める〈ファスティング〉、
森の中でリラックスする〈森林セラピー〉、
篠栗ならではのお遍路体験や写経をおこなう〈お遍路メニュー〉を提供。

リラックスと、メンタルを整える効果を高めた
独自のプログラムが行われます。
五感を開いて心身から“本当の休息”を体感できる宿を目指すそう。

ハンモックセラピー

オリジナルの酵素ドリンク

森林セラピー