odekake
posted:2016.9.5 from:北海道虻田郡洞爺湖町 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
photographer profile
YAYOI ARIMOTO
在本彌生
フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp
writer's profile
Akiko Yamamoto
山本曜子
ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/
credit
取材協力:北海道観光振興機構
「洞爺のおいしい野菜をさらにおいしく食べられるような
調味料を扱う商店を開きたいので、よかったら何かやってみませんか?
と、〈ラムヤート〉の満寿喜さんに誘われたんです」
それが、〈toita〉店主の高野知子さんがここ洞爺町に移り住み、
お店を始めるきっかけでした。
洞爺湖の岸辺はお店から歩いてすぐ。なだらかな屋根が愛らしい外観のtoitaは、
暮らしや毎日の食卓をより豊かにしてくれる調味料や食品が並ぶ、
小さくも頼れるまちの商店です。
空き家だった古い一軒家を、お隣の人気パン屋さんラムヤートの店主、
今野満寿喜さんが店舗に改装。2015年秋にオープンしました。
洞爺湖の周りは農業地帯。地元の生産者さんと直接つながって届けられる
小規模でつくられている加工品をはじめ、地元産の旬の野菜や卵などが、
そのときどきで並んでいます。
そして、四国を中心にした地域で真摯につくられる食材や調味料も。
どれも素材からこだわってつくられた、安心していただけるものばかりです。
家での料理の幅がぐっと広がる、新たな定番に出合えます。
「直接つくり手の方々を訪ね、ものづくりの現場を見てから
お取り引きを始めるようにしています。ひとつひとつの商品にまつわる物語を、
お客さんにも伝えたいので」
旅好きの高野さんが瀬戸内国際芸術祭をきっかけに訪れ、
惚れ込んだという四国。今は、四国のおいしいものを取り扱う
愛媛の〈まなべ商店〉から情報をもらいつつ、
できるだけ自分の足でおいしいもの探しを続けているところだそう。
toitaでは不定期にさまざまなイベントを開催しています。高野さんの前職である
ファッションブランド〈Plantation〉の展示販売をはじめ、
札幌や道外の小さなショップや喫茶店を招いてのイベントや販売会も。
また出張toitaと題して、高野さん自ら外のイベントにおもむき、
これまでに東京の〈Plantation〉店舗や長野の〈ヤマとカワ珈琲店〉などで
期間限定ショップをオープン。
各地で、洞爺や北海道のいいものを伝えるメッセンジャー役を果たしています。
高野さんの人やお店とのつながり方に見えるのは、
それぞれが持つ土地やものの魅力をお互いにリスペクトして伝え合う、気持ちのいい関係です。
お店を通して暮らしの提案をしている高野さんは、
札幌でアパレルの仕事で多忙を極めていた時期、
食生活の乱れやストレスから体調を崩した経験がありました。
「自分の生活を見つめ直したとき、一度スピードを止めて、
新たな仕事をしたいと思うようになりました。
満寿喜さんから声をかけていただいたのが、ちょうどそのときだったんです」
もともと好きで通っていた洞爺に移住してからは、
忙しいながらも、暮らしにまつわることに時間をさけるようになったそう。
今後は、洞爺の生産者さんとともに地域おこし協力隊とつながって、
生産者さんと消費者をつなぐサポート役を担っていく計画もあると話してくれました。
「めざすは主役でなく、名脇役、つなぎ役です」と笑顔を見せる高野さん。
toitaとは、アイヌ語で“土地を耕す”という意味。
「『耕す』という意味のラテン語は、英語の『文化』という単語の語源になっています。
耕すことが文化につながるという思いで、ラムヤートや同じ志をもつまちの仲間たちとともに、
新しい文化をつくっていきたいなと思っています」
洞爺をはじめ、土地の力をぎゅっとつめこんだすてきなお土産が、
ここできっと見つかるはずです。
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toita
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