odekake
posted:2016.9.12 from:北海道美唄市 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
photographer profile
YAYOI ARIMOTO
在本彌生
フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp
writer's profile
Akiko Yamamoto
山本曜子
ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/
credit
取材協力:北海道観光振興機構
大正から昭和中期にかけて、
炭鉱のまちとして栄えた美唄(びばい)。
札幌と旭川をつなぐ国道12号線沿い、
年季の入った階段を登ってすぐのドアを開けると、
緑色の壁とランプ、そして天井に吊るされた
飛行機模型が目に飛び込んできます。
レトロなムードが漂う、このまま映画の舞台になりそうな
〈ぐうりん亭〉は、創業41周年を迎える老舗喫茶店です。
控えめの照明に浮かび上がる緑の壁や額縁が
まるで秘密の隠れ家のような雰囲気。
店内にあるものひとつひとつを眺めながらじっくり滞在したくなる、
そんな不思議な魅力がつまったお店です。
人気のメニューは〈ラザニア風スパゲティ〉(550円)。
たっぷりのホワイトソースとチーズのなかに
ミートソーススパゲティがかくれた、
どっしりと懐かしい味わいの、ボリューム満点な一品です。
大学時代は東京で過ごし、スキー部で活躍した店主の浅理伸一さん。
合宿所で大勢の部員に食事をつくっていた経験がお店のベースになっています。
豊富なメニューは、食事だけでも30種類以上!
「よそのお店でおいしかった料理を再現したものもあるから、
○○風が多いんです」と笑う浅理さん。
リーズナブルかつボリュームたっぷりなメニューで、
ぐうりん亭は、オープン以来、まちの高校生の集まる場所でもあります。
今は、浅理さんを友達感覚で訪れる女子中学生の常連さんもいるという
店の奥には、そんな学生たちの無数の落書きが
びっしりと書き込まれたテーブルが。
「昔は消していたんだけどね、今はもうそのままにしているんです」
と朝理さん。愛されてきた喫茶店の歴史がここに刻まれています。
店内に置かれているライブハウス並みの立派なJBLのスピーカーは、
ライブ会場としても使われてきたお店の顔。
札幌や東京からさまざまなアーティストが訪れています。
触発されて浅理さんもサックスを習い、バンドを組んでいた時期もあったのだとか。
東京にいた頃、喫茶店で、当時パンクバンドにいた
あがた森男さんが、ドラムのリハーサルをしているのを見かけた浅理さん。
印象に残ったそのお店が、吉祥寺にあった〈武蔵野火薬庫〉(ぐゎらんどう)。
のちにお店を始めるとき、壁を緑色にすると決めていたので
ぐゎらんどうをもじって“ぐうりん亭”と名づけたのだそう。
美唄出身の浅理さんは、大学卒業後、美唄に戻ってJUNグループの婦人服の支店長を勤めます。
のちに独立をめざし、並行してぐうりん亭をオープン。
当時は美唄最大の三菱美唄炭鉱が閉山して間もない頃で、まちは活気にあふれていたそう。
やがてまちの景気に影が差し、婦人服店を閉め、昼にぐうりん亭、
夜にスナックと2店舗を営んでいました。
現在は、ぐうりん亭の奥に〈ゴルフ工房 ASARI〉をかまえ、
ゴルフクラブのカスタマイズオーダーも受けるという多才ぶり。
今は小さいお子さんを連れた家族連れのお客さんが多く、
中には3世代にわたる方はもちろん、4世代目の子どもさん連れのお客さんもいるのだそう。
「お客さんが次の世代を店に連れて訪れてくれるのは、やっぱりうれしいですね」
美唄のまちとともに歩みを続けるぐうりん亭。
何にも似ていない、それでいてほっとできる独特のムードを
旅の途中に味わってみてはいかがでしょう。
information
ぐうりん亭
住所:美唄市大通西1条南1-3-3 2F
TEL:0126-62-0922
営業時間:10:00〜18:30
定休日:火曜日
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