odekake
posted:2016.9.16 from:北海道小樽市 genre:旅行
〈 おでかけコロカルとは… 〉
一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。
photographer profile
YAYOI ARIMOTO
在本彌生
フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp
writer's profile
Akiko Yamamoto
山本曜子
ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/
credit
取材協力:北海道観光振興機構
店先にずらりと並ぶ、新鮮でお買い得な海の幸。
港町小樽でとれたての魚介類が集まるのが、
観光の中心地から少し離れた新富町の〈南樽市場〉です。
市内に点在する市場のなかでも、
市民の台所として地元のお客さんでにぎわい、いつも活気にあふれています。
南樽市場の歴史は古く、前身は昭和初期に露天商を営んでいた人々のため
1938年に建設された高砂市場でした。やがて戦争による
物資不足や配給制度のため廃業。終戦後の1949年、
木造二階建てで50軒の商店が軒を連ねる長屋方式の南樽市場が誕生します。
1968年、建物の老朽化にともない、現在の建物が完成。現在は鮮魚店が8軒、精肉店、野菜や果物の店、日用雑貨店、薬局から小さな寿司屋に、
コーヒー店まで、幅広く計27店舗。
大型スーパーに行かずとも、ここでこと足りるほどの品揃えです。
1杯ずつドリップで落とされる、コーヒー専門店〈可否茶館〉の
コーヒー(200円)は、市場の店員さんたちにも人気。もちろんテイクアウトOK。
〈小樽クラシックブレンド〉のドリップパックがお土産に好評です。
広くとられた山側の駐車場沿いにも、
老舗豆腐店や人気のラーメン店が建ち並んでいます。
入口脇には小さな公園や木造の古い住宅が残る、どこか懐かしい風景が。
市場の脇を流れる勝納川には、
子どもの日が近づくと一面に300近くの鯉のぼりや大漁旗がはためき、
まちの風物詩になっています。
週末の老舗菓子店の出店や、土曜日にはお楽しみ抽選会も。
ちょっとしたおやつやお土産をみつけるのが楽しい昭和の情緒が残る市場で、
小樽のまちの素朴な暮らしぶりが体験できます。
江戸末期から明治にかけてニシン漁が盛んだった
小樽は本州との海運交易の拠点でした。北海道を代表する玄関口として、
食品から石炭まで多くのものや人が行き交った歴史を誇るまちです。
観光地としての小樽は、現在のまちのシンボル、運河から始まります。
港湾施設として1923年に完成した小樽運河はふ頭の整備などにより使命を終え、
1960年代、道路開発のため、埋め立て計画がもち上がりました。
歴史ある景観を守ろうと運河保存の市民運動がおこり、
十数年に及ぶ論争の結果運、河の北半分は保存。
道路に沿った南側は半分の幅が埋め立てられ、
散策路とガス灯が整備されて、現在の姿に生まれ変わりました。
この運動が小樽の古いまち並み保存へとつながり、運河のまわりを中心に建ち並ぶ、
軟石でつくられた木骨石造の石蔵や店舗などの歴史的建造物が、
まちの新たな見どころとなりました。
小樽運河の船から楽しむ〈小樽運河クルーズ〉も人気です。
観光地で知られる顔のほかにも、市場のように、
人々の暮らしに近い場所が小樽の見どころのひとつ。
気軽なお買い物気分で、飾り気のないまちの空気にふれてみてください。
information
南樽市場
Feature 特集記事&おすすめ記事
Tags この記事のタグ