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移住、どこで暮らす?
一家で移住先を探す旅へ|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.001

Page 2

無計画な旅のはじまり

歳になる娘と42歳の妻、同じく42歳の僕と3人家族のわが家。
生まれ育った東京を離れ、移住することにしました。

行き先は未定。
「移住する」ということは決めたのですが、どこに移住するかはまだ決めていません。移住してからなにをして稼いでいくのか、それも決めていません。

なんとも無計画です。

でも、僕はこの夏、5年半勤めた会社を辞めました。

勤めていた会社ではリノベーションの仕事をしていました。
それ以前には、建築家の弟子、自らリノベーションを手がけたカフェバーの経営、地方の隅々まで車で巡る地図の調査員、などなど
さまざまな仕事を転々としておりました。
会社を辞めて移住を決めたとはいっても、
次の仕事が決まっているかというとそれもなく、
地方で食べていけるような特別なスキルや免許があるわけでもありません。

妻は一昨年出版社を退職し、フリーランスのフォトグラファーとして仕事をしています。たまに文章も書いてます(コロカルで『美味しいアルバム』という連載をしています)。
フリーランスですので、どこでも仕事をできるかもしれませんが、
いまのところ東京での仕事がほとんどで、
地方での仕事が確約されているわけでもありません。

5歳の娘は平日は保育園、休日は私たちと過ごす生活を楽しんでいます。
現在、妻の姉家族と同居していますので、
そこの子どもたちと遊ぶのが楽しくてしょうがないようです。
休みに家族3人で出かけていても、早く家に戻って
いとこたちと遊びたいと言い出す始末です。

そんな僕たちが、移住することを決めました。
そして、この夏の終わりに移住先を探す旅に出ようと思います。

移住先を決める旅? 
なにを悠長なことをと思われるかもしれません。
でも、実際にその場所で、日が昇るのを見て、日が沈むのを見なければ
どこに移住すべきかなんて決められる気がしないのです。

兵庫県 洲本市(淡路島)の山あいに沈む夕日。東京で忙しくしているといつの間にか日が昇り、いつの間にか日が沈む。もう少し自然に寄り添った生活がしたいのです。同じ日本にこんなにきれいに沈む夕日を望む場所があるのですから。

というのも、東京生まれ東京育ちの妻と僕には、
地方に深い縁のある土地はありません。
そうなると、全国のどこでもが候補地となりえるのです。

そこで、この辺かな? というところを旅して、
ここだ! と決めたらいいのではないか。
そして、決めた土地で暮らすことでその土地にふさわしい稼ぎ方が
見えてくるのではないか。そう考えたのです。

移住というとその先での仕事のことが引っ掛かり、
なかなか行動に移せないということをよく耳にします。
まずは土地ありき、そして、その土地はこれから決める。
こんな移住のかたちがあってもよいのではないでしょうか。

この先どうなるのか、自分たちにもまったく見えていないこの地点から、
どこに行きつくのか? 行きついた先でどのような生活をつくり上げるのか? 
この連載では、そんなことを
僕と妻が交互に書きながらお伝えしていきたいと思います。

僕たち夫婦は揃って移住しようというくらいですから、
比較的同じ方向を向いているふたりだとは思います。
といっても違う人間、男と女。考え方も人生観も違います。
そのふたりがお互いに納得できるような移住先を決めることができるのか?
お互いの立場から語っていくことで、
家族で移住を考えている方の参考になれば幸いです。

昨年、家族で旅行している際に知り合った家族が営む、古民家をリノベーションしたレストラン〈朔〉。彼らに出会い、その暮らしを垣間見て移住への決心が後押しされました。ここには自然とともに暮らしと仕事があります。