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イサム・ノグチ、最大の彫刻作品。
現代アートに触れられる、
〈モエレ沼公園〉

おでかけコロカル|北海道・道央編

posted:2016.8.27  from:北海道札幌市  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/

credit

取材協力:北海道観光振興機構

公園そのものが、ひとつの彫刻作品

世界的彫刻家イサム・ノグチが最晩年に札幌で実現させた夢、
「都市の中のプレイマウンテン」。
札幌の北東に広がる〈モエレ沼公園〉は、
公園そのものがイサム・ノグチによる巨大な彫刻作品です。

「公園や庭園など人の役に立つものとして、大地を使った彫刻作品をつくりたい」
イサム・ノグチが長くあたためてきたプランが1988年、
札幌市の公園事業と奇跡的に重なり、ここモエレ沼でスタートします。

1988年末、公園の基本設計を遺して惜しくも逝去した
イサム・ノグチの遺志がそのまま引き継がれ、
モエレ沼公園は2005年にグランドオープンを迎えました。
札幌市民はもちろん、国内外から多くの人が訪れる一大彫刻公園です。

広大な園内に散らばる作品を巡るには、
東側駐車場内にあるレンタサイクル(200円〜)がおすすめ。
まずはここで、園内の地図やルートマップをチェック。
今回は夏季おすすめのコースのうち、
自転車で約1時間の〈遊具コース〉をまわります。

モエレ山や海の噴水を通り過ぎ、公園奥に位置する〈テトラマウンド〉。
見る角度や距離によって印象が変化する巨大な作品です。

直径2メートルのステンレス柱を組み合わせた三角錐と芝生の造形。壮大なスケール感。

テトラマウンド越しに見える〈プレイマウンテン〉(TOP画像)は、
イサム・ノグチが1933年から抱いてきたアイディアが実現したもの。
花崗岩でできた緩やかな斜面を登れば、
公園全体のランドスケープを眺めることができます。

プレイマウンテンの稜線の先には、水の波紋が湧きでてくる水辺〈モエレビーチ〉が。
夏場は多くの家族連れで賑わう人気スポットです。

すり鉢状の池はサンゴで舗装されているそう。浅いので小さなお子さんも安心して遊べます。

次は幾何学的なかたちの遊具が集まる〈サクラの森〉。
遊具の穴をくぐり抜けたり、下から見上げたりする子どもたちの行為も
彫刻作品の一部だとイサム・ノグチは考えていたそうです。

園内126基の遊具はすべてイサム・ノグチの作品。上空から見ると公園そのものも幾何学模様のよう。

ゴールは、モエレ沼公園のシンボル〈ガラスのピラミッド〉。
ここは公園の中の休憩所であり、展覧会やイベントが行われるスペースでもあります。

3階にはイサム・ノグチのギャラリーが常設。企画展以外は貸し館として、1階、2階のアトリウムおよびギャラリースペースなどで市民企画の多様なイベントが開催されています。

「現在は、イサム・ノグチの功績や公園そのものの価値を伝えていく場として、
現代アートに特化し、モエレ沼公園に関係するテーマをかけ合わせた展覧会を
年に2回開催しています」

そう話してくれたのは、2003年からモエレ沼公園の学芸員を務める宮井和美さん。
年2回、夏と冬にモエレ沼公園が主催する企画展が行われるほか、
2014年には『札幌国際芸術祭』のメイン会場のひとつとして利用されました。
その際、ゲストディレクター坂本龍一さんらの作品をガラスのピラミッドで展示。
公園としてはもちろん、アートサイトとして発信の幅を広げています。

太陽光がふりそそぐアトリウムはコンサート会場としても人気。張り巡らされたガラスが独特の音響を生みます。6〜9月には雪貯蔵による雪冷房システムとともに、床吸熱と自然の風を利用する冷房を組み合わせた空調システムを採用。

そしてモエレ沼公園は2017年夏、
第2回を迎える『札幌国際芸術祭』でもメイン会場となることが決定。
ゲストディレクターの大友良英さん率いる、
芸術祭バンドメンバー(企画メンバー)のひとりでもある宮井さん。
「イサム・ノグチのアートの要素に加えて、この場所にインスピレーションを受けた
アーティストの方々の手がけたアートを観ることができる、
貴重な機会になると思います」

2016年夏には、〈gm projects〉の豊嶋秀樹さんを企画・空間構成に迎え、
展覧会『ホーリー・マウンテンズ 内なる聖山へ続く三本の足跡』を開催。
山伏として活躍する坂本大三郎さん、
写真家の山内 悠さん、東浦奈良男さん/吉田智彦さんの3組が参加し、
モエレ沼公園のランドマークでもある〈山〉に光を当て、
山と人との関係性に迫りました(コロカルでの取材記事はこちら)。

売店ではモエレ沼公園オリジナルTシャツほかイサム・ノグチ作品〈AKARI〉シリーズを販売。軽食をテイクアウトできるショップ〈パニエ〉や、フレンチレストラン〈ランファン・キ・レーブ〉も。

「美術館とは違うこの場所の自由度を生かしながら、
公園として訪れてくれる方にも楽しんでいただける
アートの場づくりを目指しています」

宮井さんはそう語ってくれました。
来年グランドオープンから12年を迎えるモエレ沼公園は、
アーティストが新たな作品を生みだす場所、
それに出会える場所としても進化を続けています。
春夏秋冬それぞれの表情を楽しめる公園として、企画展示や
2017年夏の札幌国際芸術祭をめがけて訪れてみるのもおすすめです。

information

map

モエレ沼公園

住所:札幌市東区モエレ沼公園1-1

TEL:011-790-1231

営業時間:ガラスのピラミッド 6月1日〜8月31日9:00〜20:00、4月29日〜5月31日・9月1日〜11月3日9:00〜19:00、 11月4日〜4月28日 9:00〜17:00

定休日:第一月曜日(11月4日〜4月28日は毎週月曜日、12月29日〜1月3日)

※駐車場 あり

http://moerenumapark.jp

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