料理家・冷水希三子の旅コラム
「沖縄の離島で塩のルーツを知り、
ヤギカレーをつくり上げた」

さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第6回は、料理家の冷水希三子さんが沖縄の離島に通ったお話。
いくつかの離島の特産品から着想して、おみやげものや料理を生み出す活動のなかで
たくさんの人、海、食材との出会いがありました。
特に粟国の塩と多良間のヤギ汁が印象的だったようです。

おみやげものとヤギカレーの開発

あまり沖縄に縁がなかった私でしたが、
5年ほど前にお声がけをいただき沖縄の離島に通うプロジェクトがありました。
沖縄にある有人島47島のうち、比較的観光客や観光資源の多くない島を盛り立てて、
雇用も増やしていこうというもの。

方法としては直接的ではないのかもしれませんが、
まずはその島の特産品を使っておみやげものを開発することで、
島の人々のお仕事を増やすこと。
さらにそれらを通して、島のことを知らなかった人たちにも知ってもらいたいという、
小さいながらも地道な活動です。

その島とは、
多良間(たらま)、粟国(あぐに)、渡名喜(となき)、南大東、北大東の5島です。
とはいえ、私は粟国の塩を日々使っているので粟国と、
なんだか天気予報に出てくる南大東を聞いたことがあるくらいでした。

ミッションは、島の特産品を活用した商品を開発すること。
レシピを考えてからそれぞれの島に乗り込み、島のおばあや食品をつくっている方たちに、
つくり方や保存瓶の使い方などを説明して回りました。

最初は「若い、(若くはないですが(笑))、知らない人が来て何をするのやら~」と
人見知りされている状態でしたが、少しずつ心を開いてくださり、
今でもそのレシピでつくってくださっている方々もいて、なんだかうれしいです。

ポンと入れてコーヒーを注ぐだけで 劇的に味が変わる〈備前珈琲玉〉が 気になる!

約5センチのコーヒー豆の形をしたコーヒーグッズ

岡山で1000年以上の歴史を持つ備前焼。
昔から「備前水甕(みずがま)、水が腐らぬ」と言われていています。
水をおいしく、やわらかくする効果は、
科学的にも証明されているそう。

コーヒーを注いで20秒ほどで味が変化してくる。〈備前珈琲玉〉は入れたままでOK。

コーヒーを注いで20秒ほどで味が変化してくる。〈備前珈琲玉〉は入れたままでOK。

そんな備前焼でつくられた〈備前珈琲玉〉は
マグカップにポンと入れて、
コーヒーを注ぎ入れるだけで味が変化する優れものなのです。

実店舗で飲み比べ体験もできる

〈備前珈琲玉〉は岡山市にコーヒーショップを構える
〈暮らしと珈琲〉が備前焼を
もっと手軽に楽しんでもらいたいという想いから制作。
現在ではネット販売の他、JR岡山駅構内〈さんすて岡山南館〉にある
コーヒー店〈little岡山〉でも販売しており、
岡山土産として人気を博しています。
※〈little岡山〉は〈さんすて岡山南館〉リニューアルに伴い、
3月9日(月)~4月末まで臨時休業となります。

あえて苦味の強いブレンドにしたコーヒーとセットになった〈備前焼で完成する珈琲セット〉1,750円(税込)。〈備前珈琲玉〉のおかげで苦味がとれてまろやかな味わいに。

あえて苦味の強いブレンドにしたコーヒーとセットになった〈備前焼で完成する珈琲セット〉1,750円(税込)。〈備前珈琲玉〉のおかげで苦味がとれてまろやかな味わいに。

店舗では〈備前珈琲玉〉を入れたものと
入れてないものの飲み比べができます。
実際に試飲してみると、
そのコーヒーの味の違いに驚かれる方が多いそうです。

岡山〈more fruits〉 見学ツアーの企画からPVづくりまで。 農家の広告塔として 活躍するスムージー店

岡山駅から徒歩10分の〈more fruits〉(以下、モアフル)が、
1周年を迎えました! 
〈モアフル〉は「日常にもっとフルーツを」をテーマにしているスムージーのお店。
注文を受けてから1杯ずつつくるので、
果物のフレッシュさを存分に味わえます。

昨年の夏は、桃がまるごとのったスムージーパフェが大人気だったそう。〈季節のミックススムージー〉500円、〈バナナスムージー〉400円(どちらもショートサイズの税込価格)。

昨年の夏は、桃がまるごとのったスムージーパフェが大人気だったそうです。〈季節のミックススムージー〉500円、〈バナナスムージー〉400円(どちらもショートサイズの税込価格)。

倉敷ひらまつ農園さんのレモンやミカン、
池宗さんのモモやシャインマスカットに、
小堀さんの瀬戸バナナなど、農家さんの名前がわかる果物を中心に使用。
店主の橘将太さんが実際に農園へ出向き、
旬の岡山県産フルーツを適正な価格で直接仕入れています。

イチゴのスムージー。こちらは〈あまおとめ〉と〈おいCベリー〉のミックス。イチゴ感を満喫できるストレートも、甘さが際立ってまろやかなミルクも、どちらもおすすめ。

イチゴのスムージー。こちらは〈あまおとめ〉と〈おいCベリー〉のミックス。イチゴ感を満喫できるストレートも、甘さが際立ってまろやかなミルクも、どちらもおすすめ。

夏にはシャインマスカットの瑞々しい飲み口に潤され、
今の時期ならイチゴがたまらなくおいしい。
百貨店勤務時に高品質な果物を扱っていた橘さんの、
素材を生かす力はたしかなものです。

「前職で、果物は高いというイメージがあることに気づきました。
だけれど、果物ができるまでにはいろんな苦労や工夫があって、
たとえば栄養が集中するように
あえてひとつの木にひとつしか実がならないように育てている
メロン農家さんがいたりします。
いい果物が相応の価格になる背景を知ってもらいつつ、
手軽に果物を楽しんでもらえたらと思って〈モアフル〉を始めました」

キャンプでの調味料にもこだわりを。 アウトドアシーンに馴染む 〈NICATA〉の本格出汁

静岡県沼津で水揚げされた魚でつくられる
〈NICATA〉の無添加・無食塩の本格出汁

“家庭でもアウトドアでも手軽に楽しめる”をコンセプトにした
〈NICATA〉の本格出汁。
道具にこだわりを持つキャンパーの間でも話題になっています。

その理由は、味のおいしさはもちろんのこと
アウトドアシーンに馴染むデザインと工夫がされている点です。

アウトドアをする人の目線で考えられたデザイン。

一見するとコーヒー豆が入っているような洗練されたパッケージ。
下部には穴が空いており、紐やフックをつけて
キャンプ場などでも木にひっかけておくことが可能です。
乱雑になりがちなキャンプ場でもサッと取り出して
調理ができるのが嬉しいですね。

アウトドアシーンでも便利な仕様ですが、家でもキッチンのレンジフードなどに掛けておけます。

アウトドアシーンでも便利な仕様ですが、家でもキッチンのレンジフードなどに掛けておけます。

出汁はパックに入って小分けになっており
鍋にそのまま入れて調理するのもよし。
袋を破って粉出汁をパスタや炒め物に混ぜ合わせて調理するのもよしと、
使い方次第でさまざまな料理に対応するので
本格的で繊細な味わいがキャンプ場で楽しめます。
味が濃い料理が多いキャンプ飯の名脇役になりそうです。

小説を肴に日本酒を一杯。 〈ほろ酔い文庫〉創刊。 第一弾は山内マリコの恋愛小説

日本酒を嗜むときは、その土地のものを肴に。
と、いうのは飲兵衛の人たちの間ではよく耳にする言葉。
お酒の造り手やその土地に住む人や風土、歴史などを知ることは
より日本酒を深く味わえることができるのは間違いないでしょう。

そんな人と土地、お酒との関係性を「お酒と物語」という
新しいスタイルに編み直したお酒〈ほろよい文庫〉が創刊。
“文庫”と銘打たれた通り、短編小説付きの日本酒なのです。

男女の絵柄でそれぞれ異なる2通りの味わいと物語。

日本酒に付属された2つの短編小説。左から〈一杯目『運命の人かもしれないけど「じゃあ、ここで』〉、〈二杯目『あしたはまだ到着していない』〉。

日本酒に付属された2つの短編小説。左から〈一杯目『運命の人かもしれないけど「じゃあ、ここで』〉、〈二杯目『あしたはまだ到着していない』〉。

〈ほろよい文庫〉第一弾は、新潟の酒処・長岡が舞台。
小説を担当した作家・山内マリコが
実際に訪れて土地の空気を感じながら書き下ろしたものです。
長岡での男女の出会いを、
男性と女性それぞれの視点からリアルに描いています。

「地域を元気にしたい」 青森県・弘前で、“りんごの葉だけ”で できたお茶がデビュー!

りんごの健康効果に着目

青森県・弘前で、りんごの葉だけを焙煎してつくったお茶
〈りんご葉の茶〉が誕生しました。

りんご味のお茶は数あれど、
“りんごの葉だけ”でできたお茶は、味わったことがない人がほとんどなのでは?

りんごの葉には、ポリフェノールの一種・フロリジンが
豊富に含まれていて、血糖値の上昇を抑えたり、
抗加齢効果があると言われています。

生み出したのは、〈医果同源(いかどうげん)りんご機能研究所〉。
〈医果同源〉は、「“医食同源”の考えにならい、
果実のパワーを日々いただくことで健康になろう」という造語で、
自らりんごを育てながら、
「りんごの持つ健康によい作用」の研究・りんご商品の開発に取り組んでいます。

育てているりんごの木々と、医果同源りんご機能研究所のスタッフ。

育てているりんごの木々と、医果同源りんご機能研究所のスタッフ。

農園があるのは、標高400メートルの山々に囲まれた青森県・大鰐町。

所長の城田安幸さんは
弘前大学農学生命科学部の元准教授で、農学博士であり、昆虫学者。
りんごにも虫にも、自然にも人にもやさしい栽培方法を模索し、
化学農薬・化学肥料はいっさい使わずにりんごを育成。
2014年には有機JAS認証を取得しました。

目指すのは、「安全・安心はもちろん、その先をいく“ハッピーなりんご”づくり」。

「生態系にやさしい栽培で生まれたりんごであり、
そのりんごからできたジュースやお茶を飲むお客様が
心身ともに幸せになれるりんご、
そして生産者である私たちも栽培していて幸せな気持ちになれるりんごです。

毎日のように、りんごの木が元気かどうか、一本一本を見てまわります。
そうすることで、人とりんごの木の間に、
信頼できる友人のような、ハッピーな関係が生まれていると思うんです」

小さなりんごの大きな力

主力商品は、会社名を冠したりんごジュース〈医果同源〉。

りんごジュース〈医果同源〉。「未熟りんご」の効果に着目し生み出されました。

りんごジュース〈医果同源〉。「未熟りんご」の効果に着目し生み出されました。

紫外線や虫など過酷な自然から実を守るために
りんごにはポリフェノールが豊富。
なかでも熟す前の、若くて青い「未熟りんご」の時期は、
実を成長させるために成熟果の5~10倍のポリフェノールがふくまれているんだとか。

「未熟りんごと成熟りんごをジュースにして混ぜて飲むことで、
がん細胞などを最初に攻撃する
ナチュラルキラー細胞が10%以上活性化する」ことを、
城田博士が長年の研究で明らかにし、商品化に至りました。

若くて青い「未熟りんご」の実。小さなりんごに大きな力があることを教えてくれます。

若くて青い「未熟りんご」の実。小さなりんごに大きな力があることを教えてくれます。

このほか研究所では、りんごの絞りかすを活用した
「りんごの紙」や、りんごの花のハチミツを商品化。

果実に限らず、枝、幹の健康効果を調査するなど、
りんごのあらゆる部位を無駄なく活用しようと研究を重ねた城田博士。
ある日“りんごの葉”の健康効果をうたった海外論文に出会います。

国産カカオも登場! コロカル選・ジャパンメイドの チョコレート2020

今年もバレンタインの季節が近づいてきました。
今回は“ローカル”に根ざした、ジャパンメイドのチョコレートを
厳選してご紹介します。

小笠原で育ったカカオを使った〈TOKYO CACAO〉

ひとつめは、国内での栽培は難しいといわれてきた
“国産カカオ”を使用したチョコレート〈TOKYO CACAO〉。
1901年創業の製菓会社〈平塚製菓〉が土壌づくりから栽培、
収穫、発酵、製品化までを一貫して国内で手がけています。

〈平塚製菓〉の〈TOKYO CACAO〉。タブレット2枚をパッケージ。3000円(税抜)

〈平塚製菓〉の〈TOKYO CACAO〉。タブレット2枚をパッケージ。3000円(税抜)

カカオの樹は、とても繊細。
カカオベルトと呼ばれるカカオの産地は、赤道を挟んだ南北緯20度以内にあり、
そうした熱帯雨林のような環境でなければ育たないといわれてきました。

平塚製菓では2003年より、東京・小笠原村の母島にてカカオの栽培に着手。
2019年冬、初めて商品化に成功しました。

そのお味は「カカオのフルーツ感が感じられて、
いままでに食べたことがない味」と評判。

平塚製菓で広報を担当する入江智子さんは
「私たちの工場ではカカオを発酵させてすぐにチョコレートをつくっているため、
発酵のフレーバーも感じられます。日本では昔から発酵食品が食べられてきたので、
多くの方に受け入れていただけたのかもしれません」とコメント。

東京・小笠原村の母島にあるハウスで育ったカカオ。

東京・小笠原村の母島にあるハウスで育ったカカオ。

TOKYO CACAOは平塚製菓のオンラインストアで販売されているほか、
渋谷ヒカリエで開催中の「ショコラZAKKAフェスティバル」にも登場します。

ちなみに同社の農園では、次の収穫期に向けて
着々とカカオが育っているそう。すごいですね!

information

map

ショコラZAKKAフェスティバル

会期:2020年1月31日(金)〜2月14日(金)

時間:11:00〜21:00

会場:渋谷ヒカリエ 8階COURT内(東京都渋谷区渋谷2-21-1)

Web:ショコラZAKKAフェスティバル

TOKYO CACAO

※TOKYO CACAOはなくなり次第終了

野毛〈酒蔵 石松〉
「ローカル酒場巡りは小旅行」
ツウから教わる、野毛の飲み方、愛し方

旅の醍醐味はローカル酒場!
全国おすすめ酒場探訪記 横浜・野毛編
酒場から知るまちのうつろい、新たな幸せ

今回のローカル酒場は、関東圏の聖地のひとつ、
神奈川県は横浜・野毛にご案内。
JR桜木町駅と京浜急行日ノ出町駅の間にあるこの地は、
横浜の昔と今、文化と喧騒が混在。
丘の上には緑と瀟洒(しょうしゃ)な世界、海に向かえばみなとみらい。
そして、まちなかはと言えば……。

昭和の時代は、港湾、市場関係者が元気と癒しを求めたまち。
ギャンブルも艶もあって、だからこその人情もある。
その歴史を見続けてきたのが立ち飲みの〈酒蔵 石松〉。

野毛のまちのネオンに誘われ、ふらりふらりとはしご酒を楽しむのも粋。

野毛のまちのネオンに誘われ、ふらりふらりとはしご酒を楽しむのも粋。

桜木町駅から〈野毛ちかみち〉を使ってわずか5分で酒飲みのパラダイスへ。複合施設ぴおシティ地下2階の一角にある〈石松〉。平日の午後3時でもカウンターはすでにこの様子。

桜木町駅から〈野毛ちかみち〉を使ってわずか5分で酒飲みのパラダイスへ。複合施設ぴおシティ地下2階の一角にある〈石松〉。平日の午後3時でもカウンターはすでにこの様子。

大将の早乙女節夫さんは、
「やんちゃなことは散々やってきたよ! 今はもう全部やめたけどさ。
昭和の時代にここにいたら、そりゃそうなっちゃうよ」
とカラッと明るい笑顔。

1968(昭和43)年にフルーツ屋として開業し、
1977(昭和52)年に立ち飲み屋に転業。
現在は〈ぴおシティ〉となっているビルが、
まだ〈桜木町ゴールデンセンター〉という名前だったころから、
この飲食店街で営んでいるのは〈石松〉を含めて
「もう4軒ぐらいになっちゃったかね」と早乙女さん。
今と昔のこの土地を感じる。それがローカル酒場の楽しみです。

今回の案内人は、ヘアスタイリストの平田克也さん。
趣味がローカル酒場巡りで、野毛はもうホーム感覚で、
お気に入りの店やコースはいくつもあります。

平田さんはヘアスタイリストという仕事柄、平日が休日。ローカル酒場を巡る人にとって週末の混雑を避けることができて好都合なのだとか。

平田さんはヘアスタイリストという仕事柄、平日が休日。ローカル酒場を巡る人にとって週末の混雑を避けることができて好都合なのだとか。

「血の一滴」なんて堅い言葉も早乙女さんの笑顔で聞くと心躍るひと言に。コップ酒(290円)、2杯分飲める徳利(530円)。

「血の一滴」なんて堅い言葉も早乙女さんの笑顔で聞くと心躍るひと言に。コップ酒(290円)、2杯分飲める徳利(530円)。

平田さんは、ローカル酒場巡りは「小旅行」と言います。
予定は詰め込まず、さっと飲んで食べて、
その時の気分で次へ、というのが彼のゆるやかな流儀。

「最初にハマったのは、4、5年前、大井町でした」。
狭い路地に並ぶ酒場を歩き、数軒はしごすれば
そのまちの昔と今が感じられる不思議。
初めて訪れるまちでも、ローカル酒場がその地のことを教えてくれる。
まさにそれは小旅行なのでしょう。

平田さんが独立し、〈TSUKI〉というサロンをオープンしたのは1年前。
自身がが手掛けるTシャツや、海外で買い付けてきたアクセサリーが並ぶ、
クリエイティブなスペースでもありますが、
ロケーションはと言えば、中目黒駅すぐの酒場街の雑居ビル。
変わりゆく中目黒の高架下、昭和の面影が残る酒場。
その両方を感じられる場所に引き寄せられたのは、
平田さんにとって自然なことだったのでしょうか。

〈スカイベリー〉 大きい・美しい・おいしいの 三拍子揃った 栃木の“ハレの日のいちご”

スカイベリーのおいしさを味わい尽くす
“いちご好き限定”ワークショップを開催

いちごの生産量、日本一を誇る栃木で生まれた
三ツ星いちご〈スカイベリー〉をご存知ですか?
それは、栃木の「いちご研究所」が17年の歳月をかけて
10万株のなかから見つけ出した、特別ないちご。
群を抜いて“大きい・美しい・おいしい“ハレの日のいちご”です。
2020年1月10日、銀座シックス内〈グラン銀座〉にて、
そんなスカイベリーのワークショップと試食会が開催されました。

イベントは、栃木県農政部経済流通課で
スカイベリーのブランディングを担当する岡本優さんのプレゼンテーションからスタート。
その後は、日本一の目利きといわれる〈銀座千疋屋〉の果実バイヤー、石部一保さん、
とちぎ未来大使・スカイベリーメッセンジャーの
筑井美佑輝さんによるトークセッションが行われました。

左から栃木在住のフリーアナウンサー、野澤朋代さん、〈銀座千疋屋〉の果実バイヤー、石部一保さん、とちぎ未来大使・スカイベリーメッセンジャーの筑井美佑輝さん。

左から栃木在住のフリーアナウンサー、野澤朋代さん、〈銀座千疋屋〉の果実バイヤー、石部一保さん、とちぎ未来大使・スカイベリーメッセンジャーの筑井美佑輝さん。

そして、待ちに待ったスカイベリーが運ばれてきました。
持ってみると、なんとこの大きさ!

スカイベリーを手に持つ

この日いただいたのは、現在栃木県が力を入れている〈プレミアムスカイベリー〉。
さっそくいただいてみると、何とも爽やかでジューシーな甘み。
酸味が少ないので、お子さんでも安心して食べられそうです。

いちごはビタミンCと食物繊維が豊富で、
スカイベリーのような大粒のいちごなら、
6、7個で大人が1日に必要なビタミンCを採れるのだと言います。
これはなんと、レモン5個分に相当するビタミン量。
酸っぱいほうがビタミンCが多いような気がしますが、
おいしいいちごでビタミンが採れるなんてうれしいですね。

石部さんは、フルーツの仕入れに携わって12年。
早朝に大田市場へ出かけ、目だけでおいしい果物を選別しています。
おいしいいちごの見分け方を聞くと、
艶とハリがあり、葉が新鮮なものを選ぶとよいのだとか。
また、へたの方から食べていくと、最後に一番甘いところを食べられると教えてくれました。

筑井さんのご実家は、いちご農家。
「私はスカイベリーの食感が好きなんです。ひと粒でも満足感があります」と語ります。

プレミアムスカイベリーを手がけているのは、
厳寒期の抽出検査で、平均糖度12度ほどにもなるいちごを生産する
〈JAおやま〉の指定生産者。
JAおやまでは〈スカイベリー研究会〉を発足し、
さらに大きさ・美しさ・おいしさが際立ついちごの生産に取り組んでいます。
各生産者は、栽培ノウハウや糖度測定結果をオープンにし、
互いに農場を行き来しながら、おいしさを追求しているのだとか。
栃木のいちごにかける情熱に驚かされます。

〈まこっこ農園〉
才木誠さん・祥子さん
身の丈に合わせた「つながる農業」

のどかな風景が広がり、白ネギがやたらとシャキッとして植わっている。
遠目に眺めると、びっしりと連なるその列が緑のじゅうたんのようだ。

自然豊かな山口県宇部市で、この葉っぱまで丸ごと食べられる白ネギや
フルーツのように甘いミニトマト〈アイコ〉を中心に、
野菜を育てているのが〈まこっこ農園〉の才木誠さん・祥子さん夫妻だ。

宇部で農業を始めてから、今年で10年目。
蛍が生息するきれいな清水を使い、菌の多様性を最大限に生かす農業に取り組んでいる。

創業当初からつくり続けているミニトマトの〈アイコ〉。細長い形が特徴。

創業当初からつくり続けているミニトマトの〈アイコ〉。細長い形が特徴。

もともとは、夢と憧れを抱き、経験ゼロで農業の世界に飛び込んだふたり。
同じくゼロから新規就農し、子育て世代である若手農家5組で
〈情熱農家プロジェクト toppin〉というグループを結成した。
埼玉県出身の誠さんと山口県宇部市出身の祥子さんはどのようにして農業を始め、
継続し、そのスタイルを確立してきたのか、お話をうかがった。

想いを生かせる販路を見つける

〈おかわりカラフルトマト〉。トマトは産直アプリ「ポケットマルシェ」で直販を行っている(収穫期間中のみ)。〈サンココア、アイコ、サンチェリー、サンオレンジ、サンイエロー、サングリーン〉。時季に応じて多様なミニトマトがぎっしり入っている。

〈おかわりカラフルトマト〉。トマトは産直アプリ「ポケットマルシェ」で直販を行っている(収穫期間中のみ)。〈サンココア、アイコ、サンチェリー、サンオレンジ、サンイエロー、サングリーン〉。時季に応じて多様なミニトマトがぎっしり入っている。

トマトと白ネギの生産を主軸にしている〈まこっこ農園〉。
季節に応じて、キャベツやスナップエンドウなどの野菜もつくっている。
農園のモットーは「食べることを楽しく」だ。

「『葉っぱの部分なんて今まで食べてなかった』という人が食べてくれるようになったらうれしい」と祥子さん。

「『葉っぱの部分なんて今まで食べてなかった』という人が食べてくれるようになったらうれしい」と祥子さん。

「例えば、カラフルトマトみたいに
見た目でパッと気分が上がる野菜をつくりたかったんです。
葉っぱの部分まで食べられる白ネギなら、新しい食べ方ができるし楽しくなりますよね」
(祥子さん)

そうした自分たちの想いを守りながら農業一本で食べていくためには、
なにより販路の選択や販売方法が要になる。

「ミニトマトは、近くに産地がないんですよね。
個人で出荷するので数や量ではなく味や彩りといった
量以外の勝負をしていこうと考えました」(誠さん)

就農当時に手がけていたお茶は、
家族経営という自分たちの農業スタイルと照らし合わせて考えた。

「お茶は全国的に価格が低迷していて、そのなかで活路をつくることができず、
結局、野菜に専念することにしました。
ただお茶は今でも大好きで、日本茶インストラクターの資格を生かし、
地元の小学校などで“茶育”を続けています」(祥子さん)

祥子さんの家族の知り合いや飲食店への直販は、初期の頃から行っていた。

祥子さんの家族の知り合いや飲食店への直販は、初期の頃から行っていた。

店舗でも、特徴やこだわりをポップなどで伝え、付加価値をつけるようにしたという。

「その効果もあって、野菜を買ってくださるお客さんが少しずつ増えてきました。
売れるということで評価が見えやすいということが、
自分たちのやりがいにもつながったと思います」(祥子さん)

おいしい小豆島!〈小豆島島鱧〉
瀬戸内海育ちの良質なハモ

小豆島の食卓に並ぶ、おいしいもの

小豆島って本当に食材豊かな島だなぁと常々思います。
あらためてその小豆島の食材について「おいしい小豆島」シリーズとして、
今年は何回か書いていこうと思います。

瀬戸内海育ちのハモを使った「鱧天丼」。

瀬戸内海育ちのハモを使った「鱧天丼」。

〈瀬戸内国際芸術祭2019〉の期間中営業されていた〈瀬戸一食堂〉さんでは、鱧定食や鱧天丼など、浜の母ちゃんたちがつくってくれるごはんを食べられました。

〈瀬戸内国際芸術祭2019〉の期間中営業されていた〈瀬戸一食堂〉さんでは、鱧定食や鱧天丼など、浜の母ちゃんたちがつくってくれるごはんを食べられました。

小豆島に引っ越してくる前のうちの食卓には、
近所の大きなスーパーで買ったお肉や野菜、調味料などが並んでいました。
どこで誰がどうやって育てたのか、つくったのかわからない食材たち。
パッケージをみてなんとなくおいしそうだなとか、
こっちのほうが安くてお得だなとか、そんなふうに食材を選んでいました。
それが普通だったし、そこに対して不満を感じていただわけでもありませんでした。

子どもが生まれてからは少し「食」への意識が高まり、
なるべく体にいいものを食べようと、
オーガニックスーパーで買い物することも増えました。
でも、誰がどんなふうにつくったのか深く知ろうとすることもなく、
なんとなく良さそうなものを選んでいたような気がします。

小豆島に引っ越してきてからは、食材の選び方、調達の仕方が大きく変わりました。
野菜は自分たちが育てているし、お米は近所の方から分けていただき、
お味噌や梅干しもつくるようになりました。
醤油は醤油屋さんの工場へ直接買いに、魚は瀬戸内産の新鮮な魚が並ぶ近所の商店へ。
スーパーで購入するものもありますが、以前に比べて、地元でつくられたもの、
採れたもの、知ってる人がつくったものを食べることがとても増えました。

ある冬の日のうちの食卓。〈HOMEMAKERS〉の野菜を中心に、パンはサツマイモと交換で送っていただいたもの、調味料は友人がつくったもの。

ある冬の日のうちの食卓。〈HOMEMAKERS〉の野菜を中心に、パンはサツマイモと交換で送っていただいたもの、調味料は友人がつくったもの。

「地元のものをなるべく食べるようにしよう」という
自分たちの考え方がそうさせたのもあるのですが、
小豆島の食は魅力的で、おいしいものがあふれていて、
自然と小豆島のものを多く食べるようになっていったような気がします。
いまでは食卓に並ぶ食材の多くが、小豆島産のもの、
知っている人がつくったものになりました。

畑作業を手伝ってくれているオリーブ農家〈tematoca〉さんのエキストラヴァージンオリーブオイルも食卓に並びます。

畑作業を手伝ってくれているオリーブ農家〈tematoca〉さんのエキストラヴァージンオリーブオイルも食卓に並びます。

さて、前置きが長くなりましたが、そんな「おいしい小豆島」のひとつとして、
今回は〈小豆島島鱧(しまはも)〉(以下、島鱧)のことを書きます。

四海(しかい)漁港から漁に出ていく漁船。

四海(しかい)漁港から漁に出ていく漁船。

この日は偶然、四海漁協の田中くんがいて、ハモのことを話してくれました。

この日は偶然、四海漁協の田中くんがいて、ハモのことを話してくれました。

水槽で畜養管理中のハモ。

水槽で畜養管理中のハモ。

具材は? 味噌or醤油派?
地域性を楽しむ
「わたしのまちのお雑煮」

今月のテーマ 「わたしのまちのお雑煮」

お正月にかかせない料理「お雑煮」。
主に元旦から数日にわたって食す、餅が入った汁仕立ての料理、
という様式は全国的に共通しているものの、
具材や味つけは地域によってさまざまという、類稀な料理です。

住まう地域と、ほかの地域のお雑煮を比べてみて、
「こんな具材が入るなんて!」という驚きも楽しい!

今回は、日本各地にI・Uターンした皆さんに、
移住先で出合ったお雑煮や、故郷のお雑煮との比較など、
各地のお雑煮事情を教えてもらいました。

■北海道エリア

【北海道羅臼町】 旨みたっぷり! 羅臼昆布×鮭節の出汁でいただくお雑煮

羅臼町のお雑煮。

焼いた角餅と、彩りのナルト。具だくさんの羅臼町のお雑煮。

北海道には、もともとお雑煮は存在しませんでした。
それは、アイヌの食文化にお雑煮がなかったからです。

明治時代に入植した開拓者それぞれのお雑煮が混ざり合ってできたものが、
現在の北海道のお雑煮となっています。

地域の方にお雑煮をつくってもらいました。

羅臼町のお雑煮に、コレという形式はありませんが、
この地域だからこそ実現できるお雑煮を紹介します。

羅臼町には、“昆布の王様”とも呼ばれる「羅臼昆布」と、
産卵後の脂が抜け落ちた鮭を利活用した「鮭節」があります。

濃い出汁がとれる、和食には欠かせない羅臼昆布。

濃い出汁がとれる、和食には欠かせない羅臼昆布。

北海道の一部でしか製造されていない鮭節。鰹節とはまた違う旨みがあります。

北海道の一部でしか製造されていない鮭節。鰹節とはまた違う旨みがあります。

これらの合わせ出汁に、醤油で味つけし、
具材には、鶏肉、にんじん、ごぼう、しいたけ、焼き餅が入ります。
昆布×鮭節の黄金出汁による旨みたっぷり! 羅臼ならではの味です。

photo & text

大石陽介 おおいし・ようすけ

1988年静岡県焼津市生まれ。大学卒業後、静岡県の小学校教諭として富士山の麓で8年勤務。うち2年間は青年海外協力隊(JICA)としてモンゴルへ。現地の小中高一貫校で先生方へのアドバイス・子どもたちへの指導にあたる。現在は、羅臼町の地域おこし協力隊として、「ソトから見た羅臼」という視点でまちの魅力を発信中。町内のあちこちへ出向き、取材から撮影、編集までをひとりでこなす。

〈ジェラテリア クラキチ〉
藤井蔵吉さんの
好きなものに突き進むお店のつくり方

周南市の徳山駅付近では近年「好きなこと」をベースにお店を開業する
若者が増えているという。
寂しげだった商店街に賑わいを生み出しているお店のひとつが
ジェラート店〈ジェラテリア クラキチ〉だ。

「朝搾りミルク」「高瀬茶抹茶」などの定番ジェラートのほか、「フランボワーズの真っ赤なソルベ」など色鮮やかな季節のフレーバーが並ぶ。

「朝搾りミルク」「高瀬茶抹茶」などの定番ジェラートのほか、「フランボワーズの真っ赤なソルベ」など色鮮やかな季節のフレーバーが並ぶ。

周南市出身の藤井蔵吉さんが営む〈ジェラテリア クラキチ〉では、
常時10種類ほどのジェラートやソルベを手づくりしている。
なかでも、藤井さんの実家である〈藤井牧場〉産の牛乳が生かされた
「朝搾りミルク」が絶品だ。
すっきりさとコクが共存する〈ジェラテリア クラキチ〉のジェラートには、
固定客が多い。毎日足を運ぶ人もいるという。

今回は、Uターンしてから〈ジェラテリア クラキチ〉を開業した藤井さんに
話をうかがった。

ジェラートづくりには実験のような楽しさがある

実家の〈藤井牧場〉から直送される生乳。そのまま飲ませてもらったところ、ほのかな甘みでさっぱりとしており、とてもおいしかった。

実家の〈藤井牧場〉から直送される生乳。そのまま飲ませてもらったところ、ほのかな甘みでさっぱりとしており、とてもおいしかった。

地元から近い広島の高校を卒業後、北海道の畜産大学に進学した藤井さん。

「純粋に生物や化学、特に実験が好きだったので、大学でも勉強したいなと思って。
北海道を選んだのも、当時〈ムツゴロウ王国〉に憧れていたからでした」

〈mountain△grocery〉 沼垂テラス商店街にオープンした ヴィーガン料理店

山と畑の恵みたっぷりの、おいしいヴィーガンを

新潟駅から車で5分ほど、信濃川河口近くにあるまち、沼垂(ぬったり)。
かつて港町として栄え、いまは静かなそのまちに、
観光客や地元の人が行き交い、にぎわいを取り戻した通りがあります。

名前は「沼垂テラス商店街」。
長屋を改装した建物に個性豊かな店がひしめき合い、
どこか懐かしい趣も漂わせています。
2019年8月、同商店街にヴィーガン(*)料理の店
〈mountain△grocery(マウンテン・グロサリー)〉がオープンしました。

*ヴィーガン:動物の命を尊重し、人間は動物を搾取することなく生きるべきであるという考え。肉、魚介類、卵、乳製品などの動物性食品を口にせず、日常生活においても、極力毛皮や皮革をはじめとする動物性の素材を使用しない。動物愛護や環境保全の観点からその主義を守り抜く人が多い。

料理家yoyo.さんがオープンさせた〈mountain△grocery〉。

料理家yoyo.さんがオープンさせた〈mountain△grocery〉。

目印は淡いピンクのドアに窓枠、そしてちょっとポップなネオンサイン。
店の中に入ると、キッチンに面したカウンター席とテーブル席がひとつ。
奥には個室もあります。

キッチンに立つのは、店主のyoyo.(ヨーヨー)さん。
きびきびと動き、元気な声で迎えてくれます。

東京に生まれ、もともとファッションの世界で活動していたyoyo.さんは、
30歳のときに南インドを旅し、古くから伝わる菜食主義の文化に
感銘を受けたのだとか。

それからは野菜中心の食生活に切り替え、2006年頃には
東京・高円寺にて〈VEGEしょくどう〉という名で料理を提供するように。
その後、原宿、沖縄県那覇市などへと拠点を移し、
その土地土地の食文化を吸収しながら料理の腕を磨いてきました。

店内の椅子と一枚板を用いたテーブルは新潟県産の木材を用い、DIYで制作したもの。店舗デザインと家具の制作を手がけたのは〈デザインムジカ〉の安藤僚子さん。

店内の椅子と一枚板を用いたテーブルは新潟県産の木材を用い、DIYで制作したもの。店舗デザインと家具の制作を手がけたのは〈デザインムジカ〉の安藤僚子さん。

そんなyoyo.さんの店で食べられるのは、地場産の自然栽培の野菜をたっぷり使った
「ファラフェルサンドプレート」。

自家製天然酵母のピタパンに揚げたてのファラフェルと総菜を挟んでいただくと、
口の中に野菜の甘みやほろ苦さが広がり、
野菜ってこんなに複雑な味わいがあるんだ、と新鮮な気持ちに。
yoyo.さんが旅先で出会った、さまざまな料理のエッセンスが加えられているのも、
この店ならではです。

ぜひ味わってほしいのは、なめらかなフムス。
すーっと体に入っていくように感じられるのは、
大量生産された加工品や添加物を使っていないせいかもしれません。

「ファラフェルサンドプレート」(1200円)ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)と、ビーツのフムス、人参とブロッコリーのクミンソテー、長ネギと柿のマリネなど、日替わりの総菜が色鮮やかに並ぶ。ピタパン、スープつき。

「ファラフェルサンドプレート」(1200円)。ファラフェル(ひよこ豆のコロッケ)と、ビーツのフムス、人参とブロッコリーのクミンソテー、長ネギと柿のマリネなど、日替わりの総菜が色鮮やかに並ぶ。ピタパン、スープつき。

ファラフェルのほか、〈ホシノコーヒーラボ〉の珈琲やヴィーガンケーキもおいしい。
ヴィーガン料理は初めて、という方にもおすすめできるお店です。

そもそもyoyo.さんは、完全菜食主義ではないのだそう。
新潟市に拠点を移す以前は、県内の山深い地域にも暮らしており、
自然と共生してきた食文化と出会い、近所の猟師さんがしとめた猪をいただくことも。
獣害の深刻さも知り、いろいろな料理にアレンジして、
野生のお肉のおいしさを率先して周りに伝えていたといいます。

旧沼垂市場の長屋を改装して誕生した沼垂テラス商店街。手づくり総菜と佐渡牛乳ソフトクリームの店〈ルルックキッチン〉のスイーツもおすすめ。ぜひお立ち寄りを。

旧沼垂市場の長屋を改装して誕生した沼垂テラス商店街。手づくり総菜と佐渡牛乳ソフトクリームの店〈ルルックキッチン〉のスイーツもおすすめ。ぜひお立ち寄りを。

マウンテン・グロサリーのある商店街の長屋は、もともと市場として使われていた建物。
近年は高齢化や郊外化の影響からシャッター街と化していましたが、
この界隈に昭和40年から店を構える大衆割烹〈大佐渡たむら〉の
2代目店主、田村寛さんが2010年に〈ルルックキッチン〉をオープン。
その後、田村さんの呼びかけによって店が集まり始め、
いまでは30近くの店が営業しています。

〈民宿ふらっと〉発酵食品で
能登イタリアンを完成させる。
外国人シェフが営む宿

半年先まで予約で埋まる石川・能登の民宿

能登半島の先のほうにある能登町から海を眺めると、
ちょうど富山県の立山連峰が海越しに見える。
その美しい景色を一望できる高台に、週末ともなれば半年先まで
予約で埋まることもある民宿がある。
オーストラリア人のベンジャミン・フラットさんと
能登町出身の船下智香子さんが営む、1日5組限定の〈民宿ふらっと〉だ。

今ある暮らしと伝統を、おすそ分けする場所

民宿ふらっとの様子。森に自生する木々が、宿の背後に勢いよく盛り上がっている。海と森、その両方を楽しむには絶好の環境だ。

民宿ふらっとの様子。森に自生する木々が、宿の背後に勢いよく盛り上がっている。海と森、その両方を楽しむには絶好の環境だ。

国内外から旅行者を引き寄せる民宿ふらっとの看板商品は、
能登の食材、能登の発酵食品を料理に生かした、
通称「ベンさん」のつくる能登イタリアンだ。

ベンさんは13歳から「farm to table」(身近な農場で採れた食材を調理に生かす)を
テーマにする実家のレストランで手伝いを始め、
シドニーにあるイタリアンレストランでは料理長を務めるまで、キャリアを磨いてきた。
イタリア料理は、土地の食材を生かす地産地消が多い。
能登に来たベンさんの考えも同じで、「地のもの」を重んじる姿勢は、
地元の漁港で揚がった魚介類を受け、
メニューが当日に決まるスタイルを見てもわかる。

アオリイカのアラギターラ。宇出津港で上がったアオリイカを使った手打ち生パスタ。(写真提供:民宿ふらっと)

アオリイカのアラギターラ。宇出津港で上がったアオリイカを使った手打ち生パスタ。(写真提供:民宿ふらっと)

調理では地元産の魚介類に、自分でつくった発酵食品の調味料「いしり」や
自家製ドレッシングなどを使って、手を加えていく。
使われる大根や干し柿なども敷地内の菜園や果樹園で採れる食材で、
食卓に並ぶパンも近隣にあるなじみのパン屋から仕入れている。

調味料のいしりとは地域によって「いしる」とも言い、
能登町ではイカを原料につくる発酵食品の魚醤油(うおじょうゆ)だ。
ベンさんは、こうした能登の発酵食品を大胆に取り入れ、
独自の能登イタリアンを完成させた。

特にいしりについては、もともと民宿の経営をしていた智香子さんの両親が、
だしや調味料として料理に使っていた。
魚介の香りが豊かなこの地元食品が、
べンさんのつくるイタリア料理の隠し味になっているのだ。

ベンジャミン・フラットさん。(写真提供:民宿ふらっと)

ベンジャミン・フラットさん。(写真提供:民宿ふらっと)

「命を無駄なく、おいしくいただく」 岩手県二戸で、 生産者が営むシャルキュトリー

二戸で育まれるブランド〈佐助豚〉

岩手県・二戸は、冷涼な気候で疫病発生のリスクが少ないことや、
隣県の八戸港に、大規模な飼料穀物コンビナートがあることなどから、
養鶏・養豚が盛ん。
(豊かな恵みを育む二戸の土地柄については、こちらで詳しく紹介しています)

なかでも〈久慈ファーム〉の〈佐助豚〉は、
雄のデュロック種、雌のランドレース種と大ヨークシャー種の
3つの品種を掛け合わせた三元豚で、
全国のレストランやホテルから直接注文が入る人気のブランド豚。
さっぱりしているのにコクがある脂や、きめ細かな肉質が特徴です。

持続可能な営みが生んだ味

佐助豚の脂は、約36度と人間の体温と同じくらいの融点なので、冷めても、体の中でも脂が固まりにくい。

佐助豚の脂は、約36度と人間の体温と同じくらいの融点なので、冷めても、体の中でも脂が固まりにくい。

佐助豚は、二戸の東端にそびえる〈折爪岳〉の伏流水と、
200~300万年前の地層から採取した
炭化植物が配合された飼料で育ちます。

この飼料、もともとは周辺環境に配慮し、
汚水や臭気対策として取り入れられたものですが、
使ってみると、炭の脱臭効果のように肉の獣臭さを抑え、
脂の融点を下げるなど、味や肉質にも良い影響があったそう。

徹底した温度管理や体重管理のもと健康的に肥育される環境はもちろん、
二戸という場所で長く営みを続ける方法を模索するなかで、
佐助豚の味は育まれてきたのです。

「佐助」は久慈ファーム初代の名前で、ブランドのイメージになっているイラストも佐助さんがモチーフ。祖父から子へ子から孫へ、その飼育技術が受け継がれています。(撮影:安彦幸枝)

「佐助」は久慈ファーム初代の名前で、ブランドのイメージになっているイラストも佐助さんがモチーフ。祖父から子へ子から孫へ、その飼育技術が受け継がれています。(撮影:安彦幸枝)

命をいただいているからこそのつとめ

久慈ファームでは、パテ・ド・カンパーニュや、レバーペーストなど、
シャルキュトリーの製造も行なっています。

日本人の消費量が増えているワインのつまみとしてもさることながら、
根底にあるのは、命を無駄にせず、おいしくいただくこと。

「ロースだけ売りたいと思ってもロースだけの豚はいないんです。
内臓から皮まで、1頭のすべてを無駄なく、おいしく食べてもらいたい」
「命をいただいているからにはそれがつとめ」と話すのは、3代目の久慈剛志さん。

佐助豚の豚耳、豚足、頭肉を香味野菜、スパイスとともに長時間煮込んだフロマージュ・ド・テット。

佐助豚の豚耳、豚足、頭肉を香味野菜、スパイスとともに長時間煮込んだフロマージュ・ド・テット。

シャルキュトリーは、冷蔵技術が発達していない時代、
熟成や燻製することで家畜の肉を長持ちさせ、
「無駄にせずおいしく食べるため」生まれた料理。
根底にある命を大切にする思いに共感した久慈さんは、
技術を学ばせるため職人を本場フランスに派遣し、
佐助豚でつくるシャルキュトリーを生みだしました。

京都・東山〈LURRA°〉 世界に向けて動き出した 次世代のレストラン

京都から世界へ働きかける食のプロジェクト

2019年7月、京都は東山に注目のレストランが誕生しました。
名前は〈LURRA°(ルーラ)〉。

「LURRA」はバスク語で「地球」という意味で、
Aの上の小さな丸は、その周りを回る月なんだそう。
合わせて「世界にここ以外にはないLURRA°という座標」
という意味が込められています。

〈LURRA°〉のロゴマーク。こちらの扉を開くと、新しい“食の旅”が始まります。

〈LURRA°〉のロゴマーク。こちらの扉を開くと、新しい“食の旅”が始まります。

ニュージーランドの〈Clooney(クルーニー)〉というレストランで
ヘッドシェフ、ヘッドソムリエ、バーマネジメントとして働き、
レストランアワード〈Cuisine Good Awards〉で
国内最高評価である3ハットを受賞した、
ジェイカブ・キアー、宮下拓己、堺部雄介の3人が、
日本から世界に向けたプロジェクトとしてスタートした同店。

「京都のように伝統と革新の両方が存在し、
自然豊かな国際都市は世界的に見ても多くは存在しません。
そのような京都で、食だけではなく、お店全体のシステムや
まちに根付く伝統・文化、自然などにまるっと向き合い、
多様なアウトプットで世界に向けて発信していけたらと思っています」

とゼネラルマネージャーの宮下さん。
何やらただならならぬ気配が漂います。

「ふたりいないとできない」 夫婦で二人三脚、岩手県・二戸で、 昔ながらの木炭で焼く南部せんべい

藤原せんべいの藤原秀俊さん・恵子さん夫婦

炭火で焼かれる香ばしいせんべい

岩手県・二戸に、昔ながらの木炭でせんべいを焼く〈藤原煎餅店〉があります。

金田一温泉郷のすぐそばで店を営むのは、藤原秀俊さん・恵子さん夫婦。
昭和37年に店を始めた秀俊さんの両親から引き継いだ焼き機で、
毎日500~600枚の「南部せんべい」を焼いています。

太平洋沿岸に吹く冷たく湿った東寄りの風「やませ」の影響で、
稲作に不向きだったこの地域では、
古くから小麦粉を原料とする「南部せんべい」が
ごはんやおやつ代わりとして親しまれてきました。

ふたりいないとできない味

せんべい4枚分の型が横に並ぶ焼き機。この列が8列あり、型に生地を流し込んでレバーで回すと、それぞれの型に火が当たり、せんべいが焼き上がります。

せんべい4枚分の型が横に並ぶ焼き機。この列が8列あり、型に生地を流し込んでレバーで回すと、それぞれの型に火が当たり、せんべいが焼き上がります。

店を訪れたのは午後。せんべいを焼き終え、選別・梱包しているところでした。
ガス焼きと違い、木炭焼きは一度火を起こすと止められないため、
午前中いっぱい、火が消えるまでせんべいを焼き続けます。

型を回さないと焦げてしまうため、
秀俊さんが焼き機につきっきりで回し、
その横で生地をつくって秀俊さんに渡すのが恵子さんの役目。
「生地をつくる人と焼く人、ふたりいないとできないんです」と秀俊さん。

焼き機のレバーを持ちながら、つくり方を教えてくれた恵子さん。先代から引き継いだ焼き機は、つくっているところがもう無いそう。「壊れちゃったらもう終わり。」と話します。

焼き機のレバーを持ちながら、つくり方を教えてくれた恵子さん。先代から引き継いだ焼き機は、つくっているところがもうないそう。「壊れちゃったらもう終わり」と話します。

ひとつとして同じものがない

毎朝1時間かけて(冬は寒いからもう少し時間がかかるそう)火を起こします。
「炭は生き物。火が強くなったり、弱くなったりもするの。
ガスのように温度が一定でないから、せんべいも、ひとつとして同じものがないんです」

焼き始めると焼き機から離れられないので、すぐに補充できるよう多めの木炭が準備されています。

焼き始めると焼き機から離れられないので、すぐに補充できるよう多めの木炭が準備されています。

生地の状態も、天気や気温、湿度で変わるため、
水の量を変えたり、冷やしたりして調整するそう。
「その日の焼き機のあたたまり具合でも生地の大きさを変えます。
温度が強ければ、小さくしないと膨れすぎちゃうので、
『今日は少し小さめで』と(秀俊さんから)言われると、その通りにつくるんです」
と恵子さん。

「ふたりいないとできない」、夫婦二人三脚のせんべいづくりです。

焼き場には、〈せんべいの耳〉をとる機械もあります。足元にあるペダルを踏むと、中段の円に置いた耳付せんべいが持ち上がって上の空洞を突き抜け、耳だけがとれて下に溜まっていきます。

焼き場には、〈せんべいの耳〉をとる機械もあります。足元にあるペダルを踏むと、中段の円に置いた耳付せんべいが持ち上がって上の空洞を突き抜け、耳だけがとれて下に溜まっていきます。

新春限定! 豪華・近江牛のランチを 東京・日本橋で。 「ココクール マザーレイク・セレクション」

母なる湖・琵琶湖を抱く滋賀県。
独自の発酵文化、食文化を以前コロカルでも紹介しましたが、
さらに強力なメッセージ性を持って滋賀県の魅力を発信する試みが始まっています。

滋賀ならではの資源や素材を活かし、
滋賀らしい価値観を持つ食や商品、サービスの良さを発信、体感し、
滋賀のファンになってもらう。
それが、県が2012年に始めた取組み「ココクール マザーレイク・セレクション」。
これまでも、インターナショナル・ギフト・ショーや
県のイベントなどで対外的な露出をしていましたが、
1月11日(土)〜13日(月・祝)に、2020年の始まりにふさわしいグルメイベントが、
東京・日本橋の滋賀県のアンテナショップ〈ここ滋賀〉で行われます。

「ココクール」とは、「“湖国”の“クール”な商品や暮らしぶり」と県内外の人々との出会いが生まれるようにという思いを込めた造語。

「ココクール」とは、「“湖国”の“クール”な商品や暮らしぶり」と県内外の人々との出会いが生まれるようにという思いを込めた造語。

日本橋駅からも三越前駅からもアクセス良しの〈ここ滋賀〉。

日本橋駅からも三越前駅からもアクセス良しの〈ここ滋賀〉。

地域ならではの工夫がいっぱい!
「わたしのまちの保存食」

今月のテーマ 「わたしのまちの保存食」

南北に長く、地域によって異なる気候区分に属する日本。
だからこそ、その風土を生かした、地域ならではの保存食が根づいています。

山の恵みや、海の幸にひと手間加え、長い冬を乗りきるための工夫。
おいしいものを、さらにおいしく食べるアイデア。
その技術や伝統は、今でも私たちの食生活を支えています。
先人の知恵には、頭が下がるばかり!

今回は、全国の皆さんから集まった
ユニークな「保存食」をご紹介します。

■「海の恵み」を活用した、伝統の保存食

【北海道羅臼町】 旨みを最大限に引き出す伝統製法「開きダラ」

羅臼の海

世界自然遺産「知床」を有する最果てのまち、羅臼町。
海・川・森の生命のサイクルがもたらす恵の地であるため、
1年を通して豊富な海産物が水揚げされます。

アクセスがよいまちではないからこそ生まれる保存食がいくつもあり、
今回はその中のひとつ「開きダラ」をご紹介します。

浜で天日干しし、熟成を重ねる開きダラ。

浜で天日干しし、熟成を重ねる開きダラ。

タラは、体の8割以上を水分が占めるため、足がはやく、流通には不向きな魚。
ですが、羅臼のおいしいタラを全国へ届けたいという思いから、
加工方法を模索し、流通できるようにしたのが開きダラ。

開きダラ加工で大賑わいだった、昭和初期の風景写真。(提供:羅臼町郷土資料館)

開きダラ加工で大賑わいだった、昭和初期の風景写真。(提供:羅臼町郷土資料館)

絶妙な塩加減に調整した塩水に漬け、天日で平干し。
何日もかけて干し、表裏表と繰り返し、じっくり仕上げていきます。
形を整え、重石で押さえ、熟成を重ね、
最後に浜で仕上げ干しを何日も繰り返し、ようやく完成。
2週間以上かけてつくる昔ながらの製法を守り続ける文化が、羅臼には残っています。

開きダラは、噛めば噛むほど口の中に広がる旨みがあり、
料理で使うときには、水で戻して使うことで、
タラ本来の旨みを最大限に生かすことができます。

天日干し中の開きダラ

photo & text

大石陽介 おおいし・ようすけ

1988年静岡県焼津市生まれ。大学卒業後、静岡県の小学校教諭として富士山の麓で8年勤務。うち2年間は青年海外協力隊(JICA)としてモンゴルへ。現地の小中高一貫校で先生方へのアドバイス・子どもたちへの指導にあたる。現在は、羅臼町の地域おこし協力隊として、「ソトから見た羅臼」という視点でまちの魅力を発信中。町内のあちこちへ出向き、取材から撮影、編集までをひとりでこなす。

〈ホテルロイヤルクラシック大阪〉が 大阪・なんばに開業。 そのみどころ、魅力を 一挙紹介!

旧新歌舞伎座の意匠を復元 アートを身近に感じるホテル

大阪・ミナミのランドマーク旧新歌舞伎座跡地に、
宿泊施設〈ホテルロイヤルクラシック大阪〉が、12月1日に開業。
旧新歌舞伎座の在りし日を思い起こさせる姿が、今注目を集めています。

さまざまな伝統文化の発信地として、
長年大阪の人たちに愛されてきた新歌舞伎座ですが、
老朽化などにより2009年6月に惜しまれつつ閉館。
冠婚葬祭事業を展開する〈ベルコ〉が跡地を引き継ぎ、
当時の意匠を受け継ぐ都市型ホテルとして産声をあげることになりました。

ホテルの設計は、東京オリンピック・パラリンピックの拠点となる
新国立競技場の完成も記憶に新しい、建築家・隈研吾氏が担当。
隈氏も敬愛する村野藤吾氏設計の旧新歌舞伎座の象徴とも言える、
幾重にもなった唐割風(からはふ)を低層部に復元するなど、
長く親しまれてきた“ミナミの顔”の意匠を継承した外観が特徴となっています。

2階のカフェラウンジ〈コアガリ〉や共有スペース、エントランスには、
旧新歌舞伎座で使用されていた金物や鬼瓦などが展示されており、
その歴史を垣間見ることができます。

旧新歌舞伎座 懸魚 真鍮製(直径600mm)

旧新歌舞伎座 懸魚 真鍮製(直径600mm)

旧新歌舞伎座 鬼瓦銅板製 辻普堂左・歌舞伎十八番「嫐(うわなり)」で使用された隈取をイメージ右・歌舞伎十八番「暫(しばらく)」で使用された隈取をイメージ

旧新歌舞伎座 鬼瓦銅板製 辻普堂 左・歌舞伎十八番「嫐(うわなり)」で使用された隈取をイメージ 右・歌舞伎十八番「暫(しばらく)」で使用された隈取をイメージ

館内は、天然木をふんだんに取り入れた和モダンな佇まい。
館内の階数表示やお手洗いのピクトグラムにも木を用いるなど、
スタイリッシュながらも温かみのある空間に仕上がっています。

全天候型のチャペルアトリウム〈大空〜SORA〜〉も木でつくるこだわりよう。

全天候型のチャペルアトリウム〈大空〜SORA〜〉も木でつくるこだわりよう。

新潟の海の幸を里山で味わう。 南魚沼〈龍寿し〉が名店といわれる理由

南魚沼市と魚沼市のちょうど中間にあたる大崎集落。
住宅や商店がポツリポツリと点在するこのエリアに、
遠路はるばる車を走らせ顧客が集う寿司屋〈龍寿し〉があります。

先代の頃は出前と宴会が売り上げの多くを占める、
いわゆる農村地帯のお寿司屋さんだった同店は、
2代目大将の佐藤正幸さんの手により、
新潟でも屈指のレベルと評判の名店へと進化を遂げました。

現在では県外からのお客さんが約3割を占め、
南魚沼市の高級宿〈里山十帖〉をプロデュースする
〈自遊人〉の代表取締役である岩佐十良(とおる)さんをはじめ、
食通たちに愛されています。
その道の通たちをうならせる秘密はどこにあるのでしょう。

手間、時間、独自のアイデアが生む、ここにしかない味

この日はカウンターで、つまみと握りのおまかせコース
「信楽(しがらき)」(7500円・税別)をいただくことに。
おつまみ4~5品、握りが10~12貫にお味噌汁がついた
バラエティに富んだ人気メニューです。

まずはおつまみから。
細くシャキシャキとした食感が心地よい岩もずくに始まり、
幻の魚と呼ばれるアラの刺身、甘エビの刺身、ノドグロの塩焼きと続きます。
岩もずくからノドグロまでこの日の主役はすべて佐渡産です。

ノドグロの塩焼きに添えられた枝豆も地物。

ノドグロの塩焼きに添えられた枝豆も地物。

アラと甘エビに添えられたつまは、だしで漬けた南魚沼産の糸瓜。
糸瓜は「糸かぼちゃ」「そうめんかぼちゃ」とも呼ばれる長岡の伝統野菜です。
大根よりも味が濃く、身が詰まっているため、佐藤さんがひと手間加えることで、
それだけで立派な一品として仕上がっています。

甘エビの刺身には、長岡野菜の糸瓜のつまを。八海山の伏流水で育てた魚沼わさびはその都度すりおろす。

甘エビの刺身には、長岡野菜の糸瓜のつまを。八海山の伏流水で育てた魚沼わさびはその都度すりおろす。

「糸瓜を使い始めたのは3年前から。
2015年に〈雪国A級グルメ〉というプロジェクトの講演会に参加したときに
山形の〈アル・ケッチャーノ〉の奥田政行シェフのお話を聞いて、
もっと地元の食材に目を向けてみようと思ったのがきっかけです。
糸瓜はまず巻物の具として使い始めて、その具をそのまま
『これ、つまにも使えるじゃん!』とひらめいたんです」

大将の佐藤正幸さん。

大将の佐藤正幸さん。

おつまみの締めは地物トマトと新潟県産ぶどうのカプレーゼ風味。
トマトは2種、ぶどうは3種使用し、
酒粕、アーモンド、砂糖、クリームチーズと和えたもの。

トマトとぶどうの酸味や甘みにクリームチーズのコクが絶妙に絡み合う
爽やかな味わいで、おつまみの終わりと握りの始まりをつなぐための
一品としての役割を果たしている印象を受けました。
佐藤さんの気遣いとクリエイティビティが伝わってきます。

おつまみの締めは、地物トマトと新潟県産ぶどうのカプレーゼ風味。佐藤さんのお客さんへの気遣いを感じる一品。

おつまみの締めは、地物トマトと新潟県産ぶどうのカプレーゼ風味。佐藤さんのお客さんへの気遣いを感じる一品。

ジビエシーズン到来! 長野県内外の約80店舗が参加する 〈信州ジビエフェア〉開催中

近頃、ブームになりつつあるジビエ(野生鳥獣肉)。
脂肪が少なく高タンパクで低カロリーなのに、
鉄分やカルシウムが豊富でクセもなく、
繊細な風味や食べごたえはあるとあって、ファンが急増中です。

なかでも山に囲まれ、古来、鹿肉を食べる文化が受け継がれてきた長野県では、
独自のジビエの認証評価を設定し、
各地で加工施設を整えて〈信州ジビエ〉として
高品質でレベルの高い安全な食材の提供をめざしています。
県内には工夫を凝らしたジビエ料理で人気を集める飲食店が数多くあり、
さらにその人気ぶりから独創的なジビエメニューに挑戦するお店も増加中。
信州はまさに、おいしい〈信州ジビエ〉が楽しめるジビエ天国なんです!

特に現在は狩猟解禁期間中(11月15日から2月15日まで)。
上質な〈信州ジビエ〉が楽しめるファン待望のシーズン到来とあって、
各店で極上のジビエ料理を提供しています。
それとあわせ、毎年恒例の〈信州ジビエフェア〉も開催中!
長野県内外の約80店舗のレストラン、居酒屋、ホテル・旅館などで、
それぞれ自慢の信州ジビエを使ったメニューを提供しており、
山の幸〈信州ジビエ〉を満喫する絶好のチャンスです。

ということで、フェアに参加するエリア別のおすすめ飲食店をピックアップ!

●ピッツェリア カスターニャ
(長野エリア)

ピッツェリア カスターニャ

長野駅から徒歩3分ほどに位置するピッツェリア。
イタリア・ナポリから直輸入したピザ窯で焼き上げるピザをはじめとする
イタリア料理を提供しています。ジビエは信頼のおけるマタギから入荷。
「青首鴨のロースト」や「鹿肉のロースト」「猪のストラコット」といった
季節のジビエ料理(2,200円〜)や「猪肉のラグーを使った自家製ピチ(1,760円)」などの
メニューがそろい、自然からの恵みを大切にしたシンプルな調理法が
素材の旨みをさらに引き立てます。

information


map

ピッツェリア カスターニャ

住所:長野市南石堂町1317

TEL:026-217-0008

営業時間:11:30〜14:00(LO)/17:30〜21:00(LO)(日曜LO20:00)

定休日:月曜

提供期間:通年

https://pizzeria-castagna.hatenablog.jp

●旬菜料理はたの(中野・飯山エリア)

旬菜料理はたの

奥信濃・飯山市の築100年を越える古民家で、
旬の地元素材とジビエを組み合わせた会席料理を古器で提供。
コクと旨みが詰まったジビエの肉はもちろん、
鴨出汁でじっくり煮込んだ、たっぷりの地元野菜もおすすめです。
「天然鴨鍋コース(6,930円/人)」は4人前からの提供で、2日前までの要予約。
3人以下の場合はお問い合わせを。

information

map

旬菜料理はたの

住所:飯山市旭644

TEL:0269-67-0393

営業時間:11:30〜14:30(LO13:30)/17:30〜21:30(LO20:00)

提供期間:12月1日〜2月15日

https://kominka-washoku.com

●ブレストンコート ユカワタン
(上田・軽井沢エリア)

ブレストンコート ユカワタン

四季の変化が豊かな軽井沢の森に佇む
〈ホテルブレストンコート〉のメインダイニング。
フレンチの技術をベースに、信州の土地の恵みを生かした素材を使い、
日本人の感性や味覚に応えるフランス料理を提供しています。
この冬のコースは、ジビエ料理を含んだ
全9品の「王様のジビエ25,300円(サービス料別)」。
かつてフランス王侯貴族のための特別料理であった前菜「パテ・ド・ロワ」と、
古典フランス料理の最高峰とされるメインの肉料理「野兎のロワイヤル」など、
贅を尽くした希少なジビエ料理が楽しめます。

information

map

ブレストンコート ユカワタン

住所:北佐久郡軽井沢町星野

TEL:050-5282-2267

営業時間:17:30〜(宿泊者以外も利用可)

定休日:1月14日~2月29日は不定休

提供期間:12月27日〜1月13日

http://yukawatan.blestoncourt.com

●農園カフェ ラビット
(大町・白馬エリア)

農園カフェ ラビット

北アルプスを望む標高900メートルの中山高原で、
自家製無農薬野菜を使用した地元産ジビエ料理が楽しめるカフェ。
地元の野生鳥獣処理加工施設「美麻ジビエ工房」の関係者でもある店主は、
化学調味料を一切使わず、素材の味を大切にした料理を提供しています。
「信州ジビエのカレークリームドリア(1,500円)」は
ピリッとしたカレー味が食欲をそそる一品。ボリュームのある鹿肉料理です。

information

map

農園カフェ ラビット

住所:大町市大町8295−48 中山高原

TEL:0261-85-2120

営業時間:11:00〜15:00(4月1日〜11月30日)

定休日:火曜

提供期間:11月15日〜11月30日

https://cafe-rabbit.com

〈ARCH BREWERY〉柳昌宏さん
クラフトビールを通して
自分のまちを自分でおもしろくする

お酒のまち・岩国で生まれたクラフトビールのブルワリー

すがすがしい醸造所の様子を見た瞬間、
「この人がつくるビールはきっとおいしいに違いない」と確信した。
ここは2年ほど前に開業した、岩国市で初となるクラフトビールの醸造所
〈ARCH BREWERY(アーチブルワリー)〉である。

この岩国市は錦帯橋で有名だが、旭酒造や村重酒造など5つの名蔵元をもち、
あまたの“のんべえ”憧れの酒どころとしても知られる。
そんな酒の聖地で、岩国市出身の柳昌宏さんはなぜこの醸造所を始めたのだろうか。

岩国市の風景。

岩国市の風景。

醸造所はJR岩国駅から徒歩10分、まちの中心地付近にある。

醸造所はJR岩国駅から徒歩10分、まちの中心地付近にある。

カラフルなオレンジ色のビルの1階を訪ねると
すらりと背の高い〈ARCH BREWERY〉代表の柳昌宏さんが出迎えてくれた。
引き戸を開けると広がる、ぱっと見15坪ほどのコンパクトな醸造所。
クラフトビールのなかでも特に独立性が強く、
小さな規模である“マイクロブルワリー”然としている。

全商品5本を並べると錦帯橋が現れる仕掛けというのがいい。

全商品5本を並べると錦帯橋が現れる仕掛けというのがいい。

〈ARCH BREWERY〉は、ホップと柑橘が豊かに香る〈ARCH IPA〉など
全5種類をラインナップ。山口県周防大島のミカンを副原料として使用するなど、
地域の素材も積極的に取り入れる。
米軍基地のある岩国らしいインターナショナルな雰囲気もまた
ビールをおいしくしているかもしれない。
そんな生まれも育ちも岩国の柳昌宏さんに〈ARCH BREWERY〉を巡る物語をうかがった。

つまらないのは、このまちじゃなくて自分自身だった

柳昌宏さん。関西在住時は映画の助監督をしながら、夜は動画制作やライブの撮影をしていたそう。そのときの縁がきっかけで、OEMなどを通してお客さんになってくれている人も多い。

柳昌宏さん。関西在住時は映画の助監督をしながら、夜は動画制作やライブの撮影をしていたそう。そのときの縁がきっかけで、OEMなどを通してお客さんになってくれている人も多い。

大学進学を機に、地元・岩国を出て関西で暮らしたという柳さん。
経営学部で学び、卒業後は映画の助監督として弟子入りしたそう。

「大学まで出してもらったのに親不孝な道を進みました。
そうしているうちに父が病に倒れまして。
当時、僕はお金にならないことをやっていたし、弟の昌仁も県外でプラプラしていたので、
ふたりで一緒に岩国に戻って来ました」

こうして柳さんは2012年にUターンした。