連載
posted:2020.1.31 from:山口県宇部市 genre:暮らしと移住 / 食・グルメ
PR 山口県
〈 この連載・企画は… 〉
山口県で思い出すものといえば、錦帯橋、松下村塾、ふぐ、秋吉台など。自然や文化遺産、
おいしい食まで、さまざまな魅力が揃っています。そんな山口県には、移住して、新しい働き方を実践している人たちがいます。
「UJIターン」し、仕事と働き方に新しい価値を見いだしている人たちは、みんなワイワイと楽しそう。
仕事がかたちづくる、山口県での生き方と暮らしをうかがいます。
writer profile
Saki Ikuta
生田早紀
いくた・さき●インディペンデントな広告会社『ココホレジャパン』の新米アシスタント。生まれも育ちもド田舎の27歳。やばい芋ねえちゃんとして青春時代を過ごす。その野暮さは現在も健在! さりげなく韻を踏むことが生業です。
photographer profile
Yousuke Yamamoto
山本陽介
やまもと・ようすけ●山本写真機店店主。まちの写真屋としての撮影業務に加え、プロアマ問わず全国からフィルムスキャニングの依頼を受けるラボマンとして活躍中。
http://yamamotocamera.jp/
のどかな風景が広がり、白ネギがやたらとシャキッとして植わっている。
遠目に眺めると、びっしりと連なるその列が緑のじゅうたんのようだ。
自然豊かな山口県宇部市で、この葉っぱまで丸ごと食べられる白ネギや
フルーツのように甘いミニトマト〈アイコ〉を中心に、
野菜を育てているのが〈まこっこ農園〉の才木誠さん・祥子さん夫妻だ。
宇部で農業を始めてから、今年で10年目。
蛍が生息するきれいな清水を使い、菌の多様性を最大限に生かす農業に取り組んでいる。
創業当初からつくり続けているミニトマトの〈アイコ〉。細長い形が特徴。
もともとは、夢と憧れを抱き、経験ゼロで農業の世界に飛び込んだふたり。
同じくゼロから新規就農し、子育て世代である若手農家5組で
〈情熱農家プロジェクト toppin〉というグループを結成した。
埼玉県出身の誠さんと山口県宇部市出身の祥子さんはどのようにして農業を始め、
継続し、そのスタイルを確立してきたのか、お話をうかがった。
〈おかわりカラフルトマト〉。トマトは産直アプリ「ポケットマルシェ」で直販を行っている(収穫期間中のみ)。〈サンココア、アイコ、サンチェリー、サンオレンジ、サンイエロー、サングリーン〉。時季に応じて多様なミニトマトがぎっしり入っている。
トマトと白ネギの生産を主軸にしている〈まこっこ農園〉。
季節に応じて、キャベツやスナップエンドウなどの野菜もつくっている。
農園のモットーは「食べることを楽しく」だ。
「『葉っぱの部分なんて今まで食べてなかった』という人が食べてくれるようになったらうれしい」と祥子さん。
「例えば、カラフルトマトみたいに
見た目でパッと気分が上がる野菜をつくりたかったんです。
葉っぱの部分まで食べられる白ネギなら、新しい食べ方ができるし楽しくなりますよね」
(祥子さん)
そうした自分たちの想いを守りながら農業一本で食べていくためには、
なにより販路の選択や販売方法が要になる。
「ミニトマトは、近くに産地がないんですよね。
個人で出荷するので数や量ではなく味や彩りといった
量以外の勝負をしていこうと考えました」(誠さん)
就農当時に手がけていたお茶は、
家族経営という自分たちの農業スタイルと照らし合わせて考えた。
「お茶は全国的に価格が低迷していて、そのなかで活路をつくることができず、
結局、野菜に専念することにしました。
ただお茶は今でも大好きで、日本茶インストラクターの資格を生かし、
地元の小学校などで“茶育”を続けています」(祥子さん)
祥子さんの家族の知り合いや飲食店への直販は、初期の頃から行っていた。
店舗でも、特徴やこだわりをポップなどで伝え、付加価値をつけるようにしたという。
「その効果もあって、野菜を買ってくださるお客さんが少しずつ増えてきました。
売れるということで評価が見えやすいということが、
自分たちのやりがいにもつながったと思います」(祥子さん)
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そして3年前、大きな転機が訪れた。
地元の生協〈コープやまぐち〉から野菜の出荷のお誘いがあったときのことだ。
「僕たちだけでやるのももったいないし、量や品目も足りないので、
ほかの若手の人たちにも声をかけてみんなでやろうかって話になりましたね」(誠さん)
こうしてコープからお声がかかった2016年に、
出荷販売グループ〈情熱農家プロジェクト toppin(トッピン)〉を結成。
全員が子育て世代であり、
ゼロから新規就農した宇部市と山陽小野田市の若手農家5組によって構成されている。
「もっと自分たちのことを発信できて、ちゃんと想いを届けられる場所に出品したい。
目指しているところはみんな同じでした。
それから、同じ悩みを抱えていたというのもありましたね。
例えば子どもの進学を考えて必要な資金を計算してみると、
今のままではダメだよねって。
だからグループをつくって、販売力を強めていくことになりました」(祥子さん)
スナップエンドウのフラフラと弱い部分を補強しているところ。12〜1月にかけて収穫する予定。
「つくる人と食べる人の距離がもっと近くなればと思っています。
年に数回お客様との交流会を開かせていただいたり、
また畑の状況や野菜のおいしい食べ方などを〈toppin〉のfacebookにて
メンバー日替わりで毎日発信するなど、
お客様とつながることを大切にしていきたいなと思っています」(祥子さん)
〈toppin〉はおいしくて信頼できるブランドとして、
これからもどんどん地域に根づいていくだろう。
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才木祥子さん(左)、誠さん(右)。
そもそも、未経験のまま農業の世界に飛び込んだふたり。
中学生のときから農業をしたいという思いがあり東京農業大学を卒業した誠さんと、
大学時代に働いていた農家レストランで野菜づくりのおもしろさを知った祥子さん。
ふたりは農業系の出版社に同期入社したことで出会い、本を売るため、
日本全国の農家をバイクで一軒一軒回っていったという。
そうしているうちに
「農業をやりたい思いがより強く固まっていきました」という祥子さん。
こうして、才木さん夫妻は農業を始めるため、
2009年に、祥子さんの地元である山口県宇部市へ移住した。
「最初は市役所に行きましたね。宇部市のなかにもいろいろな地区がありますが、
僕は受け入れてもらえる場所なら、そこがいいなと思っていました。
『この土地で農業がしたい』という、
理想の場所がある人のほうが多いと思うんですけど、
限られたエリアで探すと条件も出てきたりして大変なので」(誠さん)
「成功する・しないは別として、農業の分野でいったら、まずは現地に行かないと何も始まらないですよね。土地ありきのものなので」と誠さん。
そこでお茶づくりが盛んな小野地区をおすすめされた誠さん。
お茶をつくることにしたところ、周りの方が野菜も育てられる土地を貸してくれた。
しかしながら、知識はあっても、ふたりには実際の経験がまったくなかった。
「今持っている農機具も、ほとんどが譲ってもらったものです」と誠さん。軽トラは自分たちで購入した。
「当時は、青年就農給付金(現在の「農業次世代人材投資資金」)や、
実習を組み合わせた行政のプログラムが始まる前でした。
だから、わからないことがあれば、
大学時代に出会った農家の友人や農業関係の会社で働く友人に質問して、
やりながら農業を学んだ感じですね。
まずは身の丈に合うかたちで始めようと、初期投資も抑えました。
お茶を最初の品目に選んだのは、すぐに収獲できる木と、
そのための機械が揃っていたからです。
軽トラこそ買いましたけど、ビニールハウスもトラクターも貸してもらって(笑)。
管理機と小道具を揃えるぐらいで済むような段取りでした」(誠さん)
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当初は、お茶とトマトを中心につくっていたが、
3年が経つ頃、もう少し規模を大きくしたいと考えるようになった。
才木さん一家。もともと借家だったところに自分たちの家を新築した。「家を建てることは、地域に対する覚悟を見せること」と誠さん。
「ここに住みながら車で10分の畑に通っていました。
3年住んで近所の人とは仲良くなっていたので、借家の家主さんに、
今、通ってる畑はやめて家の近くで農業をやりたいんだと相談してみたんです」
(誠さん)
すると家主さんは『これからの人に土地を託していかなければ、
この地域は続かないから』と、代々受け継いできた土地を貸してくれたそうだ。
「自分たちだけでがんばるというよりは、基本『助けてくださ〜い!』ってすぐ周りの人を頼るほうですね(笑)」と祥子さん。
大切な土地を借りたからにはと、草刈機を担ぎ、トラクターにも乗り、
これまで以上に農作業に励んだ祥子さん。
倒れてしまうのではないかと誠さんが心配するほどだったが、
その姿は近所に住む家主さんの目にも留まったのだろう。
「孫に送ってあげたいから」とトマトを買いに来てくれるなど、
家主さんとの関係性はぐっと近いものになった。
「地域の人に助けてもらってきたから、今の環境があります。
自分たちの代で終わらせずに、
次代に受け継いでいけるような農業経営を目指しています」(祥子さん)
夢や憧れがあっても、すぐに腰をあげられる人はそう多くない。
考え込んでいるうちに、やりたいという思いが消え失せてしまうこともある。
一緒に白ネギを収穫する才木さん夫妻。
「新しいところに飛び込めば、見える景色は絶対に変わってくると思います。
失敗しても、失敗と思わずに経験だと思えばいい。
次のステップに進むためのものなんです」(祥子さん)
「すべてが揃ってからじゃなくても、いけると思えば、
そのタイミングで始めてもいいんじゃないかな。
チャンスは次もあるとは限らないので、
数少ないチャンスを必死で取りにいかないとって思いますね。
農業は、天候ひとつで良くも悪くもなるような世界。
続けるだけでもすごいことだと思います」(誠さん)
できる範囲から始めて、やりながら自分たちのスタイルをつかんでいく。
才木さんたちの辿った道のりが、こっちにおいでと手招きしているような気がした。
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まこっこ農園
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