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おいしい小豆島!〈小豆島島鱧〉
瀬戸内海育ちの良質なハモ

小豆島日記
vol.240

posted:2020.1.27   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住 / 食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/

小豆島の食卓に並ぶ、おいしいもの

小豆島って本当に食材豊かな島だなぁと常々思います。
あらためてその小豆島の食材について「おいしい小豆島」シリーズとして、
今年は何回か書いていこうと思います。

瀬戸内海育ちのハモを使った「鱧天丼」。

瀬戸内海育ちのハモを使った「鱧天丼」。

〈瀬戸内国際芸術祭2019〉の期間中営業されていた〈瀬戸一食堂〉さんでは、鱧定食や鱧天丼など、浜の母ちゃんたちがつくってくれるごはんを食べられました。

〈瀬戸内国際芸術祭2019〉の期間中営業されていた〈瀬戸一食堂〉さんでは、鱧定食や鱧天丼など、浜の母ちゃんたちがつくってくれるごはんを食べられました。

小豆島に引っ越してくる前のうちの食卓には、
近所の大きなスーパーで買ったお肉や野菜、調味料などが並んでいました。
どこで誰がどうやって育てたのか、つくったのかわからない食材たち。
パッケージをみてなんとなくおいしそうだなとか、
こっちのほうが安くてお得だなとか、そんなふうに食材を選んでいました。
それが普通だったし、そこに対して不満を感じていただわけでもありませんでした。

子どもが生まれてからは少し「食」への意識が高まり、
なるべく体にいいものを食べようと、
オーガニックスーパーで買い物することも増えました。
でも、誰がどんなふうにつくったのか深く知ろうとすることもなく、
なんとなく良さそうなものを選んでいたような気がします。

小豆島に引っ越してきてからは、食材の選び方、調達の仕方が大きく変わりました。
野菜は自分たちが育てているし、お米は近所の方から分けていただき、
お味噌や梅干しもつくるようになりました。
醤油は醤油屋さんの工場へ直接買いに、魚は瀬戸内産の新鮮な魚が並ぶ近所の商店へ。
スーパーで購入するものもありますが、以前に比べて、地元でつくられたもの、
採れたもの、知ってる人がつくったものを食べることがとても増えました。

ある冬の日のうちの食卓。〈HOMEMAKERS〉の野菜を中心に、パンはサツマイモと交換で送っていただいたもの、調味料は友人がつくったもの。

ある冬の日のうちの食卓。〈HOMEMAKERS〉の野菜を中心に、パンはサツマイモと交換で送っていただいたもの、調味料は友人がつくったもの。

「地元のものをなるべく食べるようにしよう」という
自分たちの考え方がそうさせたのもあるのですが、
小豆島の食は魅力的で、おいしいものがあふれていて、
自然と小豆島のものを多く食べるようになっていったような気がします。
いまでは食卓に並ぶ食材の多くが、小豆島産のもの、
知っている人がつくったものになりました。

畑作業を手伝ってくれているオリーブ農家〈tematoca〉さんのエキストラヴァージンオリーブオイルも食卓に並びます。

畑作業を手伝ってくれているオリーブ農家〈tematoca〉さんのエキストラヴァージンオリーブオイルも食卓に並びます。

さて、前置きが長くなりましたが、そんな「おいしい小豆島」のひとつとして、
今回は〈小豆島島鱧(しまはも)〉(以下、島鱧)のことを書きます。

四海(しかい)漁港から漁に出ていく漁船。

四海(しかい)漁港から漁に出ていく漁船。

この日は偶然、四海漁協の田中くんがいて、ハモのことを話してくれました。

この日は偶然、四海漁協の田中くんがいて、ハモのことを話してくれました。

水槽で畜養管理中のハモ。

水槽で畜養管理中のハモ。

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「島鱧」の基準とは…?

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瀬戸内海は一見穏やかに見えても、とても潮流が速い海域です。
この海域には多くのエビが生息していて、
エビの多い海域の魚は甘くなると言われているそうです。

そんな環境で育った小豆島近海で漁獲されるハモは筋肉質で身が甘い! 
漁師さんたちが水揚げしてきたハモを、
四海漁協さんが温度管理された水槽で畜養管理し、出荷されています。
大きさや網にかかっている時間、漁獲後の管理などいくつかの条件が決められていて、
その条件を守った鮮度、品質のいいハモが島鱧です。

〈小豆島島鱧〉の基準

1.小豆島近海で漁獲されたハモであること。

2.資源管理の側面から、重量が「300グラム以上、2キロ以下」であること。

3.曳網(えいもう)時間が1時間程度の短時間であること。

4.漁獲から1日以上畜養したもの(ハモのストレスを抑えて、鮮度を保つため)。

「小豆島島鱧試食・提案会」にて、島鱧の条件などを詳しく説明してくれました。すごいこだわっているんですね。

「小豆島島鱧試食・提案会」にて、島鱧の条件などを詳しく説明してくれました。すごいこだわっているんですね。

島のホテルや飲食店の人たち。おいしいハモ料理が食べられるレストランやホテルが増えるといいな。

島のホテルや飲食店の人たち。おいしいハモ料理が食べられるレストランやホテルが増えるといいな。

先日、その島鱧のことを島内のホテルや飲食店の人たちに
もっと知ってもらおうということで、「小豆島島鱧試食・提案会」が開かれ、
私たちも参加させていただきました。

島鱧の加工施設。ここで漁獲したハモをおろす、骨切りする、急速冷凍するなどの加工をします。

島鱧の加工施設。ここで漁獲したハモをおろす、骨切りする、急速冷凍するなどの加工をします。

数秒で魚を3枚におろすことができる機械。

数秒で魚を3枚におろすことができる機械。

厳しい条件をクリアした島鱧の品質がいいのはもちろん、
四海漁協のお母さんたちがつくってくれるハモ料理が絶品なんです。
毎年9月頃に「四海地区あげ地フェスティバル」というイベントが開催されるのですが、
そこで販売されるハモカツをバンズではさんだバーガー「沖之島バーガー」が最高〜! 

そのほかにもハモ天やハモフライなどあるのですが、
すっかり四海のお母さんたちの料理のファンになってしまって、
〈小豆島カメラ〉が案内する「小豆島撮影ツアー」のときには
ハモづくしのお弁当をつくってもらったりしました。おいしかったなぁ。

四海漁協のお母さんたちによる「島鱧弁当」。

四海漁協のお母さんたちによる「島鱧弁当」。

公民館を借りて、みんなで島鱧弁当を食べました。

公民館を借りて、みんなで島鱧弁当を食べました。

今回の試食会でも、島鱧のしゃぶしゃぶ、つみれ鍋から始まり、
島鱧の天ぷら、島鱧の南蛮漬け、島鱧餃子、地中海風島鱧スープ、島鱧おにぎり! 
これでもかっていうくらいハモハモハモを食べつくしました(笑)。
ハモっておいしいです。

「小豆島島鱧試食・提案会」にて、たくさんのハモ料理を用意してくださったお母さんたち。

「小豆島島鱧試食・提案会」にて、たくさんのハモ料理を用意してくださったお母さんたち。

料理上手な四海のお母さんたちのハモ料理はどれもおいしかった。

料理上手な四海のお母さんたちのハモ料理はどれもおいしかった。

ハモは小骨が多くて骨切り処理が大変! というイメージがあると思いますが、
四海漁協では「骨切りハモ」や「ハモミンチ」を販売されています。
それなら家庭でも気軽にハモカツやハモコロッケをつくれそうですよね。
気になる方はぜひ四海漁協さんに問い合わせてみてください。

あ〜、食べたくなってきた。
近いうちにハモカツバーガーの会でも開催しましょうか(笑)。

information

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四海漁業協同組合

住所:香川県小豆郡土庄町伊喜末1-4

TEL:087-964-6001

Mail:shikai@grace.ocn.jp

Web:Facebook Instagram

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HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:金曜、土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)*冬季休業

http://homemakers.jp/

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