秋田県の最南に位置する湯沢市。
山形県と宮城県に接し、その県境は国内でも有数の地熱地帯です。
湯沢市の大地をつくりあげたマグマは、いまも「見えない火山」として活動を続け、
観光や産業に生かされています。
湯沢市には、「地熱」という自然エネルギーの恩恵を受けながら、
アツく、力強く、たくましく生きる「自熱」を持った地元の人々がいる――。
新しいことがモクモク起きているこのまちの、新しいワクワクを紹介する連載、
第4回目は、湯沢岩崎地区で慶應3(1867)年から続く
〈ヤマモ味噌醤油醸造元〉の7代目、髙橋泰さんを紹介します。
進化する伝統産業
雪深い湯沢市岩崎地区に、江戸末期より続く〈ヤマモ味噌醤油醸造元〉があります。

水資源豊かな土地で髙橋茂助が創業して以来150余年。
伝統を守りながらも先進的な活動を次々と行い注目されているのが、
7代目の髙橋泰さんです。
「お客様は変わらない味を求めますが、変わらないと産業は終わってしまう。
進化しなくてはいけない」と新たな発酵の世界を追究しています。

関東の大学に進学し、2007年に家業を継いだ7代目の髙橋泰さん。従来の商品に加え、新しいパッケージのデザインを自ら手がけるなど、少しずつ自分のビジョンをかたちにしてきました。以前コロカルで取材した記事はこちら。
地元で愛され続ける定番商品をつくりながら、
「世界の食文化と和の調味料が融合し、進化していくこと」を理念に、
2012年より味噌醤油製品の海外輸出を開始。
最初は蔵の軒先に小さなショップをつくり、やがて回遊式庭園を整備、
〈YAMAMO GARDEN CAFE〉とアートギャラリーをつくり、
地域の活性化にもつながるインバウンドツアーも行うようになりました。

蔵に併設する〈YAMAMO GARDEN CAFE〉。蔵元が存続した背景やその世界観を伝えたいという思いからリノベーションし、自社の味噌醤油を使用したジェラートの提供から営業がスタートしました。

カフェからは美しい庭園が臨めます。(写真提供:ヤマモ味噌醤油醸造元)

泰さんがリスペクトする、町長も務めた本家髙橋七之助や、4代目にまつわる作品を展示するギャラリー。アート作品として時代を超え100年前のメッセージを伝えること、地域の人に美意識をもってもらうことも伝統産業の役割と考えています。
蔵独自の特殊酵母を発見!

泰さんがデザインした商品の一部。中央は、火入れをしていない、肉をやわらかくするなど酵素の効能がある〈KIJOYU〉(864円・税込)。
味を守っていくというスタンスを守りながらも、泰さんは新しいことに挑戦。
試験醸造を重ね、さまざまな研究を続けるなかで、自社蔵から特殊な酵母を発見します。

酵母を培養する実験室「cultivator」は、カフェと蔵をつなぐスペースにあり、ガラス越しに見学可能です。
発見した酵母は、味噌醤油の仕込みのみならず、
肉や魚の肉質改善や、ワインの醸造もできる特性を持ったもの。
さまざまな料理に応用できる菌を発見する確率は、
新しい惑星を見つけるのに等しいほどの天文学的な数字であること、
発見した菌が魚介系の旨みをつくるコハク酸を持つことから、
惑星と鉱物(琥珀:amber)の名前を掛け合わせ
〈Viamver(ヴィアンヴァー)〉と命名しました。
「お酒の酵母は塩分があると死滅するため料理に使うことができないですし、
反対に塩分を好む酵母を塩分のない状態にしてしまうと死滅してしまいます。
ヴィアンヴァーは塩分があってもなくても働くので、
お酒も料理もつくることができる、ほかに類を見ない酵母なんです」

































































































