〈 この連載・企画は… 〉
海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。
writer profile
Hikari Mimura
三村ひかり
みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
https://homemakers.jp/
いつまで続くのこの暑さ! と思っていただけど、気づけば「秋」がやってきていた。
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉どおり、朝晩はすっかり涼しくなったここ最近。
季節はちゃんと変わっていきますね。ほっ。
私たち〈HOMEMAKERS〉の畑では、ようやく秋の葉物野菜の収穫が始まりました。
毎年9月、10月は夏野菜から冬野菜への切り替え時期で、
端境期(はざかいき)とよく言うのですが、収穫できる野菜がほとんどなくなります。
今年は梅雨の長雨、梅雨が明けてからの酷暑で、
人間だけじゃなくて野菜たちもだいぶダメージを受けていて、
ピーマンなんかはいつもなら11月くらいまで収穫できていたりしますが、
8月終わり頃にほとんど枯れてしまいました。
私たちは、収穫した旬の野菜を組み合わせて〈HOMEMAKERSの旬野菜セット〉として
オンラインストアなどで販売しているのですが、
最近は毎日「あー、野菜がない〜。セットがつくれない〜」という状態。
暑さが落ち着いて、なすなど復活した夏野菜たち、
夏の終わりに収穫し保管しておいたかぼちゃやさつまいも、
採れ始めた葉物野菜を組み合わせて、なんとか旬野菜セットをつくってます。
という感じで、いま収穫できる野菜は少ないのですが、
キャベツやブロッコリー、にんじん、大根など冬野菜たちは着実に育っていて、
これから1か月後くらいの畑がとても楽しみ。
冬野菜フィーバー、早くこないかな。
Page 2
畑の状況と連動して、HOMEMAKERSの食卓も少しずつ夏から秋へ。
畑作業しているみんなと一緒に食べるHOMEMAKERSのまかないごはんは、
そのとき採れる野菜が主役!
たくさん採れすぎた野菜を使うことが多いですが、
季節の初もの野菜の味をみんなで確認することもよくあります。
8月末から9月頭に収穫した安納芋を、さつまいもご飯に!
「あー、いい甘さだね。これくらいの追熟具合がいいね」
みんなであーだこーだいいながら、自分たちで育てた野菜を食べてます。
食卓って、見て、食べて、ダイレクトに季節を感じられる場だと思うんです。
さつまいもにかぼちゃ、イチジク、栗!
あー、1年ぶりの栗ご飯。毎年この時期にしか出会えない栗ご飯。
そんなふうに季節の食材を楽しめることって、とても幸せだなと。
気を抜くと日々はあっという間に過ぎていってしまいますが、
季節の食材が並ぶ食卓に座って、
「あー、秋だね」とその時期をしっかり味わえる。そういうのがいいなと。
今年は新型コロナウイルスの影響で、
ことごとく季節のイベントが中止になってしまいました。
小豆島でも、5月の「肥土山(ひとやま)農村歌舞伎」、
7月の「虫送り」、10月の「太鼓まつり」など、今年は全部中止です。
「あー、歌舞伎の季節だな、忙しいなぁ」なんてぶつぶつ言いながらも、
そういう季節ごとのめりはりを通して、私たちは季節を感じてたんだなぁと
あらためて思いました。
そういう行事が少ないなかでも、「食卓」という場で味わえる季節の移り変わり。
次に登場するのは、キャベツかな、カブかな。
冬に向かっていく食卓が楽しみです。
information
HOMEMAKERS
Feature 特集記事&おすすめ記事