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コーヒーカスからできた肥料で育った
麦茶の〈麦ちゃん〉と
コーヒー入り麦茶の〈麦子ちゃん〉

コロカルニュース

posted:2020.8.17  from:福岡県福岡市  genre:食・グルメ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Mayo Hayashi

林真世

はやし・まよ●福岡県出身。さまざまな職種を経験後、現在はフリーランスのライターとして活動中。デザイン・アートが好きで、作家やアーティストのインタビューを中心に執筆。2020年に地元福岡に帰郷、東京と行き来しながら九州のおもしろいヒトモノコトを掘り起こし発信している。

コーヒーから環境問題を考えるきっかけを

〈manucoffee〉は福岡市内に5店舗を構えるコーヒーショップ。
2003年からスペシャルティコーヒーの魅力を伝えはじめ、
地元の憩いの場として、カルチャー発信の場として
コーヒー好きの多い福岡で幅広い層から愛される人気店です。

日頃から排出するゴミに対して責任を持ち、カップやストロー、
牛乳パックなどのリサイクルに取り組んできたmanucoffee。

しかしどうしても解決できなかったのが
大量に廃棄されるコーヒーカスの問題でした。
「毎日出るコーヒーカスの廃棄をどうにかできないか?」
というスタッフの想いからコーヒーカスの再利用の取り組みとして
〈マヌア・プロジェクト〉がスタートしました。

マヌア・プロジェクトから完成した「マヌア肥料」。manure (肥料)の意と、manucoffeeの店名を掛け合わせて名付けられた。

マヌア・プロジェクトから完成した〈マヌア肥料〉。manure (肥料)の意と、manucoffeeの店名を掛け合わせて名付けられた。

manucoffeeでは年間約120,000杯分、4トンを超えるコーヒーカスや、
焙煎時に出るチャフ(薄皮)を排出しているといいます。
以前は、消臭効果のあるコーヒーカスを袋に詰めお客さんに持ち帰って
もらえるように無料で配布していたそうですが、
それも最終的には廃棄されてしまうため根本的には解決されないまま。

長い間、コーヒーカスのリサイクル方法を模索していたところ
大きな転機が訪れます。
福岡県・糸島の〈金澤バイオ研究所〉と偶然の出会いがきっかけで、
「コーヒーカスで土の肥料をつくってみよう」と話が進んだといいます。

金澤バイオ研究所の工場に集められたコーヒーカスと焙煎ではじかれたコーヒー豆。

金澤バイオ研究所の工場に集められたコーヒーカスと焙煎ではじかれたコーヒー豆。

金澤バイオ研究所は「すべては土から」をテーマに、
世界の土を研究しバイオ肥料の製造や販売を行う会社です。

研究所でコーヒーカスを成分解析してみると、
肥料となる成分含有量が少ない資材であり
植物の生育阻害物質である難分解性化合物を含むため、
そのまま土に還すと問題があることが判明。
つまりコーヒーカスをそのまま土に撒いても、肥料効果は得られないのです。

コーヒーカスや米ぬかなど数種類の原料が微生物の働きで発酵する過程。温度は90度まで上る。

コーヒーカスや米ぬかなど数種類の原料が微生物の働きで発酵する過程。温度は90度まで上る。

試行錯誤の末、金澤バイオ研究所が特許を取得している
「HT菌」の発酵製法を用い、高温の熱で原料を発酵させることで、
コーヒーカスを土に害のない腐植という高機能を持つ
完熟有機肥料に転換することに成功。

構想から3年、開発に1年以上をかけ
2018年に〈マヌア肥料〉が完成しました。

十分な発酵によって完熟したマヌア肥料は悪臭がしない。「完熟」させることが重要なのだそう。

十分な発酵によって完熟したマヌア肥料は悪臭がしない。「完熟」させることが重要なのだそう。

小粒状に固めたペレットは、施肥、散布するときに飛び散りが少なく室内の観葉植物などへの使用におすすめ。

小粒状に固めたペレットは、施肥、散布するときに飛び散りが少なく室内の観葉植物などへの使用におすすめ。

開発から製造、販売まで一歩ずつ。
カビや臭いの問題も抱えながら、各店舗のスタッフが
10か月をかけコーヒーカスを地道に回収していったのだそう。
マヌア肥料を仕込んだ当時の様子はぜひこちらの動画をご覧ください。

「捨てるのはもったいない」「自分たちにできることは何か」
問題意識を持ち続け、カタチに変える。
街角のコーヒーショップが届けてくれるのは、
コーヒーだけではなく、時代を捉える「思考力」や
行動を伴う「表現力」なのかもしれません。

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この夏、〈麦ちゃん〉〈麦子ちゃん〉がお披露目!

マヌア肥料で育った大麦で作られた麦茶の〈麦ちゃん〉。

マヌア肥料で育った大麦でつくられた麦茶の〈麦ちゃん〉。

マヌア肥料のリリース以降も着実に歩むマヌア・プロジェクト。
現在、農家さんでマヌア肥料を使った作物が育てられています。
唐津市のジョリファームさんで育てられた「六条大麦」もそのひとつ。
その大麦を収穫、乾燥工程を経てmanucoffee店内で焙煎した、
オリジナル麦茶の〈麦ちゃん〉とコーヒー入り麦茶〈麦子ちゃん〉が完成しました。

〈麦子ちゃん〉は大麦とカフェインレスのコーヒーを組み合わせた、あるようでなかったハイブリッド飲料。ネーミングもかわいらしい!

〈麦子ちゃん〉は大麦とカフェインレスのコーヒーを組み合わせた、あるようでなかったハイブリッド飲料。ネーミングもかわいらしい!

コーヒーショップならではの発想で、
大麦とコーヒーをブレンドした〈麦子ちゃん〉。
コーヒーの香りに爽やかな麦の味わい、後味にほろ苦さが漂います。
ミネラル豊富でカフェインを気にせずごくごく飲めるので、
夏の定番としてご家庭での常備におすすめです。

麦はコーヒー同様、温度データを取りながら少量ずつ丁寧に焙煎されている。

麦はコーヒー同様、温度データを取りながら少量ずつ丁寧に焙煎されている。

普段はコーヒー豆の焙煎を行うロースターで、
火加減を細かくチェックしながら麦の焙煎をしていた
manucoffeeのオーナーの西岡総伸さん。
なぜマヌア・プロジェクトを始めたのか伺いました。

「ゴミの問題、災害問題……多くの人が気づいているけど
何をしたらいいかわからない状況で(マヌアも麦も)
自分たちができる範囲で、できると思ってやり始めました。
コーヒー屋として、やらんといかんやろって」(西岡さん)

目の前に置かれた状況を受け入れ、やるべきことをやっていくのは
「コーヒー屋としての責任」と語る西岡さん。
黙々と、麦の焙煎と向き合う姿が印象的でした。

〈manucoffee クジラ店〉はロースターも兼ねている旗艦店。今夏から、毎週土曜日にマヌア肥料で育てられた野菜の販売を開始した。

〈manucoffee クジラ店〉はロースターも兼ねている旗艦店。今夏から、毎週土曜日にマヌア肥料で育てられた野菜の販売を開始した。

この春、コロナ禍のなか庭づくりや家庭菜園に
挑戦した人も多いのではないでしょうか?

マヌア肥料は、米ぬか、ビール麦芽粕、大豆おから、
竹パウダー、アガリクス菌床、牡蠣がら、コーヒーカスが主原料。
100%天然の有機肥料で、野菜、ハーブ、花、果物などの
作物を選ばず初心者でも安心です。
manucoffeeの店舗やオンラインショップで購入できるので、
ぜひ試してみてはいかがでしょう?

身近なところから環境問題を考えるきっかけを。
今後もmanucoffee のマヌア・プロジェクトに注目です!

information

map

manucoffee 

Web:https://www.manucoffee.com/

マヌア肥料

容量:約450g

価格:1パック 500円

肥料の種類:特殊肥料 

肥料の名称:土と植物の薬膳 × 珈琲 (第5582号)

主な成分の含有量:窒素全量 4.13 , リン酸 3.1 ,  加里全量 1.84 , 苦土全量 0.98 , カルシウム全量 5.21 , マグネシウム 0.98 , 炭素全量 38.57 , C/N比 9.34 , EC(ms/cm) 11.49 

原料の種類:米ぬか、ビール麦芽粕、大豆おから、竹パウダー、アガリクス菌床、牡蠣がら、コーヒーかす 

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