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伊万里市でしか食べられない!?
“くずきゅうり”でつくった
つぶつぶ食感の
〈きゅうりアイス〉

コロカルニュース

posted:2020.9.9  from:佐賀県伊万里市  genre:食・グルメ

〈 コロカルニュース&この企画は… 〉  全国各地の時事ネタから面白情報まで。
コロカルならではの切り口でお届けする速報ニュースです。

writer profile

Mayo Hayashi

林 真世

はやし・まよ●福岡県出身。木工デザインや保育職、飲食関係などさまざまな職種を経験し、現在はフリーランスのライターとして活動中。東京から福岡へ帰郷し九州の魅力を発信したいとおもしろい人やモノを探しては、気づくとコーヒーブレイクばかりしている好奇心旺盛な1984年生まれ。実家で暮らす祖母との会話がなによりの栄養源。

きっかけは伊万里ならではのデザートつくり

夏野菜の代表格、みずみずしさ満点の「きゅうり」。
酢の物や糠漬けなど日本の家庭料理に欠かせない食材であるきゅうりは、
夏バテ解消に効果があるとされています。

佐賀県伊万里市にきゅうりを使った珍しいデザートがあると聞きつけました。
見た目にも涼しい、〈きゅうりアイス〉をご紹介します。

伊万里市で農業を営むフェルマ木須のみなさん。

伊万里市で農業を営む〈フェルマ木須〉のみなさん。

佐賀県伊万里市木須町にある〈株式会社 フェルマ木須〉は、
米・麦・豆・キビなどの農作物を、種まきから袋詰め、
加工販売まで一貫生産する農家さんです。
きゅうりアイスの販売元であるフェルマ木須(旬ちゃん工房)は、
木須さんご家族と従業員さんで営まれています。

100年は経っているという風情あるフェルマ木須の家屋。

100年は経っているという風情あるフェルマ木須の家屋。

伊万里焼の産地としてが有名な伊万里市ですが、
昭和後期に農協の指導者らが尽力されたこともあり、
きゅうりの生産が盛んになったのだそう。
フェルマ木須でも、33年ほどきゅうりを栽培してきたといいます。

きゅうりアイスが生まれたのは15年ほど前。
「伊万里をどうにかしたい!」という思いから立ち上がった
「伊万里食三昧実行委員会」の実行委員の1人として活動していたのが、
フェルマ木須の木須旬子さんです。
「伊万里らしいデザートを作ろう」と話が持ち上がり、
きゅうりアイスの開発に乗り出したといいます。

伊万里市内の直売所で販売されるきゅうりアイス。内容量90cc 250円(税込)※今年の生産分は直売所にある在庫のみ。

伊万里市内の直売所で販売されるきゅうりアイス。内容量90cc 250円(税込)※今年の生産分は直売所にある在庫のみ。

きゅうりアイスの販売・加工を担当する木須さん。
「きゅうりは水分が多くて加工品に向いていないので、
採れたきゅうりを砂糖漬けにして水分を抜いて、
さらに炊くことで水分を飛ばしてペースト状にしています」
と教えてくれました。

その気になる味わいはというと……?
青臭さはまったくなく、まるでメロンのような風味。
爽やかさとミルクのコクが絶妙なバランスで
野菜のアイスと思えない食べやすさです。

きゅうりのつぶつぶ食感がクセになりそう!

以前はきゅうりの皮を取り除いていたそうですが、
実行委員の仲間から「なんできゅうりの皮ば捨てると?」
とアドバイスを受けて、きゅうりの皮ごと使うようになったのだそう。
つぶつぶの食感がたのしめる、伊万里ならではのきゅうりアイスです。

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規格外のくずきゅうりが原材料に

きゅうり農家〈グリーン ベース〉のハウス。手前はフェルマ木須の畑で大豆を育てている。

きゅうり農家〈グリーン ベース〉のハウス。手前はフェルマ木須の畑で大豆を育てている。

フェルマ木須では長年きゅうり栽培を行ってきましたが、
現在はノウハウを受け継ぎ、木須さんの次男・木須友寛さんが営む
グリーン ベースできゅうりを生産しています。
きゅうりアイスの原材料はここから仕入れているのだそう。
こちらできゅうりのハウス栽培を見学させてもらいました。

グリーン ベースではきゅうりの栽培を1年を通して行っているそうで、
3月に植え付けたきゅうりがこの夏、収穫の時期を迎えていました。
いくつかのハウスで時期をずらして栽培し、1年中きゅうりを出荷できる
体制にすることで、雇用の安定にもつながり安心して働いてもらえるのだといいます。
過酷なイメージのある農業ですが、昨今は取り巻く環境が変化しているようです。

「全国的にきゅうり農家は減っていますが、
佐賀県は行政が力を入れているので就農者が増えています。
同業者と競い合ったり教え合ったりする中で、
取り入れることも多くおもしろいですね」(友寛さん)

残ったくずきゅうりを採って見せてくれた。まったく「くず」ではない、新鮮そのもののきゅうり。

残ったくずきゅうりを採って見せてくれた。まったく「くず」ではない、新鮮そのもののきゅうり。

全体の約5%ほどに当たる商品にならないきゅうり、
いわゆる“くずきゅうり”をアイスの原材料に使っているのだそう。
曲がったり折れたりしていても味は同じ。
生産者が精魂込めて作った農作物を、かたちを変えて
おいしくいただけることに感謝したいですね。

木須旬子さんと友寛さん親子。

木須旬子さんと友寛さん親子。

これまで売りものにならなかったきゅうりをおいしく蘇らせた木須さん一家。
きゅうりアイスは直売所にある在庫分で今年は終わりということですが、
多くの方に食べてもらいたいおすすめの一品です。

喫茶店で味わえる伊万里づくしのランチ

〈伊万里牛100%ハンバーグステーキ〉1,750円(税込) 伊万里牛と玉ねぎのみで作られたハンバーグに、伊万里産の梨を使った特製デミグラスソース。伊万里で採れた野菜や果物を存分に味わえる看板メニュー。

〈伊万里牛100%ハンバーグステーキ〉1,750円(税込) 伊万里牛と玉ねぎのみで作られたハンバーグに、伊万里産の梨を使った特製デミグラスソース。伊万里で採れた野菜や果物を存分に味わえる看板メニュー。

きゅうりアイスをいただけるのが、伊万里市内にある〈伊万里ロジエ〉。
こちらで一番人気のランチが伊万里牛100%のハンバーグステーキ。
このランチにきゅうりアイスがセットになっています。
県外や海外から、こだわりの伊万里牛ハンバーグを目当てに
訪れた方も多いのだとか。昭和レトロな雰囲気が漂う店内で、
伊万里の食材をふんだんに使った食事やデザートがいただけます。

きゅうりアイスと季節のフルーツ。お皿は店主が骨董市などを回って選んだものだそう。店内にも江戸や明治の古い器が並ぶ。

きゅうりアイスと季節のフルーツ。お皿は店主が骨董市などを回って選んだものだそう。店内にも江戸や明治の古い器が並ぶ。

店主の山口義方さんと妻の美津代さん。創業から57年、義方さんは19歳の頃から店に立たれているのだそう。おふたりとも気さくで、常連さんが多いのもうなずける。

店主の山口義方さんと妻の美津代さん。創業から57年、義方さんは19歳の頃から店に立たれているのだそう。おふたりとも気さくで、常連さんが多いのもうなずける。

店主の山口義方さんは、
「きゅうりのアイスは珍しいので、お客さんには
『なんだと思います?』と聞くんです。
みんな『メロンかな?』とか不思議そうにされますね。
伊万里に興味を持ってもらったり伊万里で採れたものを
食べていただけるのはうれしいですね」と話します。

現在、きゅうりアイスは通販は行っておらず、
市内の道の駅など直売所での販売や
伊万里ロジエ、ドライブイン鳥 伊万里店で提供しています。

まだまだ残暑が厳しい今年の夏。
県外の方は先々の旅行リストのひとつに加えてみてはいかがでしょう?
ぜひ、伊万里でしか味わえない隠れた名物デザートを楽しんでみてください。

information

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フェルマ木須

住所:佐賀県伊万里市木須町4938

TEL:0955-23-7618

WEB:https://peraichi.com/landing_pages/view/fermakisu

information

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伊万里ロジエ

住所:佐賀県伊万里市伊万里町甲567

TEL:0955-23-3289

営業時間:10:00〜18:00(18:00〜予約制)

定休日:不定休

駐車場:あり(無料)

WEB:http://rosier.main.jp/

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