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writer profile
Haruna Sato
佐藤春菜
さとう・はるな●北海道出身。国内外の旅行ガイドブックを編集する都内出版社での勤務を経て、2017年より夫の仕事で拠点を東北に移し、フリーランスに。編集・執筆・アテンドなどを行なう。暮らしを豊かにしてくれる、旅やものづくりについて勉強の日々です。
秋田県横手市のゲストハウス&発酵バル〈Hostel&Bar CAMOSIBA〉が
プロデュースするハードサイダー(シードル)ブランド〈OK, ADAM〉から、
〈D.A.V.(ダヴ)〉が発売になりました!
青森・秋田・岩手の北東北3県の醸造家が、
それぞれの知恵を持ち寄り共同でつくりあげた新商品です。
〈CAMOSIBA〉とタッグを組んだのは、
「ホップの里からビールの里へ」という理想を掲げ、
行政・民間・生産者が連携したまちづくりを実践する
岩手県遠野市のマイクロブリュワリー〈遠野醸造〉と、
青森県弘前市の〈もりやま園〉で
サイダーの醸造研修を行うサイダーメーカー及川貴史さん。
〈もりやま園〉は、青森県弘前市で100年以上続くりんご園で、
摘果作業で間引かれ廃棄されていた果実をつかった
〈テキカカシードル〉を開発し、話題となっています。
岩手県大船渡市出身の及川さんは、
盛岡でクラフトビール専門店HOPPERSを経営した後、
ハードサイダーに出会い〈もりやま園で〉修行を開始。
2021年春には岩手県紫波町でサイダリーのオープンも予定しています。
〈CAMOSIBA〉を秋田県横手市で運営するのは、地元出身の阿部円香さん。
円香さんは、東京の大学に在学中、休学して半年間海外に滞在。
ゲストハウスのおもしろさを味わい、
いずれ地元でゲストハウスを開きたいという思いをもって帰国します。
大学時代の恩師からもらった「いずれ帰るなら今帰ればいいじゃない」
という言葉をきっかけに、東京での就職活動をいっさいやめてUターン。
実家が創業100年を超える麹屋であるというルーツから、
2017年、発酵バルを併設したゲストハウスをオープンしました。
発酵バルでは、実家である〈阿部こうじ屋〉の糀や味噌を使用した料理や、
オリジナルのハードサイダーをいただけます。
ハードサイダーづくりに欠かせないのは、
地域の人たちをはじめとした周りの人たちとのつながり。
ビールが好きで、横手はホップの産地でもあるため、
クラフトビールもつくりたいと思っていた円香さんでしたが、
〈CAMOSIBA〉を始めると、近所の果樹農家さんが発酵バルに来てくれるようになります。
「横手市の十文字地区はさくらんぼの産地ということはわかっていたんですが、
桃やリンゴなどいろんな果物が採れるんです。
お店に来てくれる果樹農家さんと仲良くなって話を聞いていると、
リンゴにも種類があって味も食感も全然違うことや、
そのおいしさをあらためて知ることができました。
そんなときにリンゴを原料としてつくる発泡酒・ハードサイダーの存在を知って……。
横手にはホップもリンゴもある、
ハードサイダーなら全部横手のものでつくることができるって思ったんです」
円香さんは真美さんとともに
アメリカ・オレゴン州のサイダリーで1か月醸造技術を学び、
ハードサイダーブランド〈OK, ADAM〉を設立。
秋田県内のマイクロブッリュワリーに委託醸造し、
2020年2月から横手産のりんご〈ふじ〉や〈紅の夢〉を使用した
ハードサイダーの販売をスタートしました。
「いろんな人に手伝ってもらって、
ゲストハウスも発酵バルもつくってくることができたから、
これからは地域の人たちと同じラインに立って、
周りの人たちと一緒にものをつくることで
(周囲に)還元できたらいいなと思っています」と話す円香さん。
ハードサイダーづくりはそのひとつの活動です。
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〈D.A.V.〉は、そんな〈CAMOSIBA〉が、
いつか委託醸造をお願いしていたいと思っていた〈遠野醸造〉のタンクに
新型コロナウィルス感染症の影響で空きが出てしまったことを知った及川さんが
両者を結びつけたことにより誕生した商品。
コロナ禍でなければ生まれなかったかもしれない〈D.A.V.〉には、
原料に〈もりやま園〉の〈りんごの摘果ジュース〉、
横手市産のホップ〈IBUKI〉、横手市十文字地区のさくらんぼを使用。
3社のコラボレーション無くしては生まれなかった味わいです。
澱が多いので、ひと晩冷やして落ち着かせてから飲むのがおすすめ。
「いろんな要素が混ざり合って新たな関係性が湧き上がってくるような場」
=醸し場を目指し名付けられた〈CAMOSIBA〉。
「ありがたいことに思い描いていた景色を開業1年目から見ることができました。
お客さんからの目線で外の人にも需要がある土地だと
再認識できたこともそうですし、
思ったよりも地元の人がオープンなことも発見でした。
外国人が歩いていると英語が話せなくてもうちのお客さんだと思って
お店まで案内してくれたり、
営業時間前に着いてしまったお客さんを見つけたら、
自宅に招き入れてお茶を出してくれたりとか(笑)」
〈CAMOSIBA〉をきっかけに湧き上がってくる地元の魅力や新しいつながり。
発酵バルに飲みに来ていた果樹農家さんから
「人手が足りていないんだよね」という声を聞けば、一緒に秋田市内の大学生に声をかけ、
1泊2日の週末農業体験合宿〈apple camp〉を開催。
大学がない横手市と学生の交流のきっかけや食育にもつながり、
今では授業の一環になっている大学もあるそう。
地域に助けられ見られた景色があるから、
地域へ恩返しするような活動が自然と醸し出されています。
〈D.A.V.〉もまた、思いがつながって生まれた商品。
オンライン(こめたび)で購入できるほか、
秋田や東京の一部店舗で販売(在庫限り)。〈CAMOSIBA〉と遠野醸造では樽生で飲むこともできます!
8月末には、横手産のラズベリーとルバーブを入れたハードサイダーも販売予定。
さらには「場所はもう決まっているんです」と、自社醸造も計画中です。
「好き」をどんどんかたちにしていく〈CAMOSIBA〉。
今後の活動にご注目ください!
information
Hostel&Bar CAMOSIBA
住所:秋田県横手市十文字町曙町7-3
TEL:0182-23-5336
宿泊:チェックイン16:00~21:00 / チェックアウト10:30
発酵バル営業時間:19:00~24:00(22:30 foodラストオーダー / 23:30 drinkラストオーダー)
Web:camosiba.com
●OK, ADAM
●〈D.A.V.〉取り扱い店
〈秋田県〉Hostel&Bar CAMOSIBA、民芸佐とう道の駅十文字店、高留酒店/うまざけ屋ドットコム、アキモト酒店、BEER FLIGHT、酒場 カメバル、上之三つや
〈岩手県〉遠野醸造
〈東京都〉ANDON シモキタ、Pigalle Tokyo
〈その他〉こめたび
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