〈石徹白洋品店〉 岐阜県・石徹白発、 農作業着から生まれた日常着
伝統衣と出会って始まったものづくり
岐阜県郡上市の山の奥に、縄文時代から続く、
石徹白(いとしろ)という集落があります。
今回ご紹介するのは、その小さな集落にある〈石徹白洋品店(いとしろようひんてん)〉。
この地に受け継がれてきた伝統衣をベースに、
染め材などの原料を育てるところから洋服づくりに取り組んでいます。


岐阜県と福井県との県境に位置する石徹白。昭和30年頃までは、険しい峠道を歩いて越え、ようやくたどり着ける“秘境”のような場所だったのだそう。

〈石徹白洋品店〉
店主の平野馨生里(かおり)さんがお店を開いたのは、2012年のこと。
きっかけは、石徹白に伝わる農作業着「たつけ」との出会いでした。

石徹白で作られてきた、昔ながらの「たつけ」
平野さんは地元のおばあちゃんたちから「たつけ」のつくり方を教わり、
すべて直線裁断で一切布が無駄にならないことに驚いたといいます。
さらに履いてみると、足もとはスリムで、
ウエスト周りがたっぷりとしているため、とても動きやすい。
また、伝統衣が生まれた背景や、
受け継がれてきた知恵に感銘を受けた平野さん。
石徹白に伝わる民衣を学び、現代的な創造性を加えて
次の世代に伝えていきたいと、洋品店を始めました。
こちらは、初期の頃からの定番商品〈[たつけ]コットン/藍染ダーク〉。
![「[たつけ]コットン/藍染ダーク」](https://libs.colocal.jp/wp-content/uploads/2020/08/news-itoshiro-5.jpg)
〈[たつけ]コットン/藍染ダーク〉
石徹白でよくつくられていた藍染のたつけに近づけつつ、
使いやすさを追求した一枚です。
濃紺のたつけは合わせやすく、男女ともに人気があるのだとか。
石徹白に伝わる衣は「たつけ」だけではありません。
ワイドパンツのような「はかま」、
たつけより少しゆとりがある「かるさん」、
「越前シャツ」「さっくり」などがあり、
それぞれ復刻し、現代的にアレンジしたデザインを手がけています。

子ども用のたつけ
春や秋におすすめなのは、長袖の越前シャツや、越前ワンピース。
かつて福井県だった石徹白には「越前の国」の名残が見られます。

「越前シャツ」
こちらは新作の〈越前チュニック〉。
みかんの皮で染め上げた淡いイエローが何とも優しい印象です。

〈越前チュニック〉
土からはじまるものづくり

石徹白洋品店では、服を染めるための原料も、
できる限り自分たちの手でつくっています。
また、絹糸をつくるための蚕と、ウールをつくるための羊を育て、
服づくりの背景を学び続けています。

4つの藍がめで夏場は毎日染め上げています。
藍染は、できる限り藍の葉を自給できるよう、毎年畑作業を行っています。
そうして、長い時間をかけて染め上げた布から服をつくります。
草木染めの原料は、春は桜、夏はくるみ、秋はマリーゴールド、
冬はビワなど、季節によって変わるそう。
季節の移り変わりを肌で感じ、自然の恵みに感謝しながら
染め上げていく作業は、とても豊かな時間だといいます。

「この石徹白で、先人に学びながらも現代に合わせた創造性を加え、
新たな“伝統”を生み出していきたいと思っています」と、平野さん。
衣・食・住を自分たちの手でつくっていた昔の人のように、
石徹白に暮らす人がつくる、石徹白洋品店の服。
平野さんはその服を仕事着やリラックスウェア、おしゃれ着として、
あらゆる機会に着ているのだそう。
最近は新型コロナウイルスの影響から日常着を見直す機会も増えましたが、
もしかしたら、いつでもすっと背筋が伸びるような
石徹白洋品店の服がフィットする方もいるかもしれません。
なお石徹白洋品店では、遠方の方向けに「試着サービス」を行っています。
これは、片道の送料のみで定番アイテムを試着できるというもの。
気になった方は、ぜひその着心地を試してみてください。
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石徹白洋品店(いとしろようひんてん)
