伝統構法を学ぶリノベーション。
大型木造建築〈旧八女郡役所〉
プロジェクト・工事編

中島宏典 vol.2

福岡県八女市〈旧八女郡役所〉の改修プロジェクトの続編です。
リノベーションの準備段階、そして歴史的木造建築のリノベーションを経験して
学んだ技術や知識について紹介していきます。

リノベ前の旧八女郡役所。

リノベ前の旧八女郡役所。

まちの核としての建物

工事の準備を進めながら、建物が持つべき「まちの核」としての役割を考えていました。
旧八女郡役所は、国の重要伝統的建造物群保存地区、八女福島にある
歴史的に非常に重要な意味を持つ建物です。

明治中期から戦前にかけて、八女地方では都市や山村の基盤が充実していきました。
その礎になったのが、当時の郡長・田中慶介が作成した
「八女郡是(ぐんぜ)」や各地域の「町村是(ちょうそんぜ)」で、
その制作の舞台となったのが八女郡役所でした。

郡是とは、今日でいう、まちづくりのマスタープランのようなものです。
足元を見つめて具に調査をし、将来を計画し実行する。
まさに私たちが現在やるべきことが記されています。

つまり、旧八女郡役所はまちづくりにおいて、
重要なメッセージを発信する場所であったということです。

昭和35年頃の旧八女郡役所の建物(当時は服部飼料店)。

昭和35年頃の旧八女郡役所の建物(当時は服部飼料店)。

鬼瓦には福岡県の「福」の文字が刻印されていた。鬼瓦は、工事中に降ろして保管中。

鬼瓦には福岡県の「福」の文字が刻印されていた。鬼瓦は、工事中に降ろして保管中。

さらに、旧八女郡役所は立地面でもまちの核になりうると考えていました。
中心街のまち並みの中央南側に位置し、少し南西には観光物産館や案内所があるので、
まちのハブになることも見据えた計画としました。

郡役所リノベの準備として、〈つどいの家〉をDIYリノベ

旧八女郡役所の改修に着手する前、2015年の春から夏にかけて、
八女市が所有する昭和初期の空き家を借りて、
移住者向けシェアハウス〈つどいの家〉に改修する計画が持ち上がりました。

床が一部腐っていることと、若干の屋根の雨漏り以外は
大きな修理が必要なさそうでした。

本来であれば、安全を考慮して耐震改修も考えたいところですが、
自分たちの手で最低限のリノベをすることにし、
次に待ち構える郡役所の改修に向けて経験を積むことも目標のひとつとしました。

つどいの家でワークショップ中。休憩中の学生と外観。

つどいの家でワークショップ中。休憩中の学生と外観。

ワークショップ形式のDIYリノベとして、
床づくり、床・壁のペンキ塗装を実施しました。
ワークショップは思った以上に準備が大変なことや、
参加者にはプロジェクトや建物に愛着を持ってもらえるなど、
ワークショップのメリット、デメリットを多く経験しました。

経験が浅い僕たちにとっては、まずは規模が小さい活動から取り組み、
そこでの学びを生かして大きいプロジェクトに挑戦していくのが良さそうだと
実感しました。

つどいの家で一部床の解体中。

つどいの家で一部床の解体中。

地元住民と一緒にもちつき。

地元住民と一緒にもちつき。

金沢で活躍する原嶋亮輔さんの作品も。 日本の現代作家3名の展覧会が 〈SOMEWHERE TOKYO〉で開催

伝統的な手法を用いた原始的でモダンな3作品

デザイナーズ家具を扱う恵比寿のギャラリー〈SOMEWHERE TOKYO〉で、
6月22日(土)より、日本の現代作家3名の展覧会
〈Changing Attitude – ARKO / 濵嶋卓也 / 原嶋亮輔〉が開催されます。

工芸都市金沢を拠点に、日本の古民芸品、骨董品などを用いながら
家具を創作しているプロダクトデザイナー・原嶋亮輔さんをはじめ、
〈ロエベクラフトプライズ2018〉のファイナリストにも輝いた藁作家のARKOさん、
鉄、木、陶といったさまざまなマテリアルを
巧みに組み合わせたプロダクトを制作しているアーティストの濵嶋卓也さんの
3名の作品が並ぶこの展覧会。

Bamboo lattice table 原嶋亮輔(H550/W650/D650)

Bamboo lattice table 原嶋亮輔(H550/W650/D650)

Alley of ripple #4 ARKO(H1150/W620/D130)

Alley of ripple #4 ARKO(H1150/W620/D130)

Twin lights 濵嶋卓也(H1260/W300/D240)

Twin lights 濵嶋卓也(H1260/W300/D240)

住民や学生とセルフビルドで。
次世代に「あぶり」文化をつなぐ
新拠点〈梶賀のあぶり場〉が完成!

多田正治アトリエ vol.2

三重県尾鷲市梶賀町で立ち上がった〈梶賀のあぶり場〉プロジェクト。
vol.1に続き、工事から完成までの様子をお届けします。

いよいよ〈梶賀のあぶり場〉の工事が開始です。

海女小屋は改装し、小屋の正面には増築をする計画で、
掃除から引き続き、学生や地域のみなさんとセルフビルドで進めました。
改装部分の工事と増築部分の工事をそれぞれご紹介していきます。

海女小屋の改装編

【解体してみる】
まずはみんなで解体作業をしました。バールで壁や床をはがします。
天井も「せーの!」で一気に落としました。

みんなで解体。(撮影:浅田克哉)

みんなで解体。(撮影:浅田克哉)

【床をつくってみる】
床の下地の一部は傷んでしまっており、別の材に取り替えました。
その上から合板を張っていきます。

床下地の合板張り。(撮影:浅田克哉)

床下地の合板張り。(撮影:浅田克哉)

根太(下地材)の入れ替えのため、仕口(部材の接続部分)の加工をする。(撮影:浅田克哉)

根太(下地材)の入れ替えのため、仕口(部材の接続部分)の加工をする。(撮影:浅田克哉)

【断熱材を入れて天井を張ってみる】
垂木と垂木(屋根の下地)の間に断熱材を入れていきます。
昔の小屋なので、粗いつくりです。垂木は直角にも平行にもなっていないので、
各部分の寸法を測り、その形に合わせて断熱材を切り出します。
断熱材の上から仕上げの板(シナベニヤ)を張りますが、
それも垂木に釘を打つ都合上、各部の寸法に合わせてカットしました。

天井に断熱材を入れる。場所によっては下地を追加する。(撮影:浅田克哉)

天井に断熱材を入れる。場所によっては下地を追加する。(撮影:浅田克哉)

【FRPで防水、塗装してみる】
床の上にFRP防水をします。
FRPとはプラスチックの一種で、ガラス繊維で補強されたプラスチックです。
身の回りだとユニットバスなどがFRPでできており、
建築でも防水工事などで用いられます。

漁船の甲板修理などでも用いられるので、漁師にコツを教わり、
ネットで使い方を予習して、いざ作業開始。
ふたつの液体(ポリベストと硬化材)を混ぜて、
ガラスマット(ガラス繊維をマット状に加工したもの)の上から垂らして、
ローラーで伸ばしていきます。

液体の混合比率で硬化する時間が変わるし、
ガラスマットから繊維が飛び散るし(肌に触れるとチクチクする!)、
うまく施工するのに悪戦苦闘しました。
壁と床の角には、曲面型の面木(面をとるために角に打つ材)を入れています。

FRPを流しこむ。

FRPを流しこむ。

FRP施工後。

FRP施工後。

硬化したら次は塗装。滑り止めの砂入を混ぜた塗料を使って、
床から少し立ち上がった位置まで青で塗装しました。
この青色は、海や船をイメージした色で、塗料屋さんに調色していただきました。
仕上がると、爽やかな青が包み込むような空間ができあがりました。

青に塗っていく。(撮影:浅田克哉)

青に塗っていく。(撮影:浅田克哉)

【シンク台をつくってみる】
シンク台は本体を耐水合板でつくり、天板にDIY用のモザイクタイルを貼り、
側面は塗装しました。シンクや水栓金物はネットで注文をし、
配管は梶賀の水道屋さんにお願いして取り付けました。
足元は床と同じように曲面型の面木をつけて途中まで青で塗装しました。
床から「生えた」ようなシンク台のできあがり。

シンク台をつくる。(撮影:浅田克哉)

シンク台をつくる。(撮影:浅田克哉)

床と連続するシンク台。

床と連続するシンク台。

【照明器具をつくってみる】
シンクの上につく照明器具は海に浮かんでいる「ブイ」を加工してつくりました。
それ以外の照明は、いわゆる裸電球(ただしLED)ですが、古い民家で使われていた、
電線を支持・絶縁する「碍子(がいし)」を再利用して吊るしています。

照明器具を取り付けてみたところ。

照明器具を取り付けてみたところ。

〈札幌蚤の市&札幌もみじ市〉へ! 〈手紙社〉の人気イベントが 北海道に初進出

東京で人気のイベントが、札幌で初開催

初夏の札幌に、人気の2大イベント〈東京蚤の市&もみじ市〉がやってくる!
6月15(土)・16(日)の2日間、JRA札幌競馬場を会場に、
全国から100を超える雑貨・作家・カフェ・フードなどのショップが集結する、
スペシャルなマーケットが開かれます。

東京ではおなじみの〈東京蚤の市〉は編集チーム〈手紙社〉が主催するイベントで、
今回は〈札幌蚤の市〉と題して北海道初開催。
「古いものと新しい持ち主との出会いが生まれる」というコンセプトのもと、
道内はもちろん全国から個性豊かなアンティークショップが集まります。

奈良から出店の〈グリーンベアーズカンパニー〉。蚤の市では和・洋問わず、古きよきモノが集結。お宝に出会えるかも!?

奈良から出店の〈グリーンベアーズカンパニー〉。蚤の市では和・洋問わず、古きよきモノが集結。お宝に出会えるかも!?

蚤の市会場では、北欧のデザイン豊かな雑貨ショップが並ぶ「北欧市」や、
作家の個性が光る「豆皿市&箸置き市」のほか
「リュックサック・バザール」も同時開催。
2012年のスタートから人気を集め、開催ごとにますます盛り上がりを見せる
充実のマーケットを札幌で体感できます。

〈東京蚤の市〉での北欧市風景。今回は9つのショップが参加します。

〈東京蚤の市〉での北欧市風景。今回は9つのショップが参加します。

手のひらサイズのアート。大人気の豆皿&箸置き市。

手のひらサイズのアート。大人気の豆皿&箸置き市。

そして同会場で開催されるもうひとつのイベント〈札幌もみじ市〉は、
手紙社の敬愛する陶芸家、木工家、金工家、イラストレーターといった
全国各地のつくり手たちが一堂に会する場。
普段なかなかお目にかかれない、繊細な手仕事が光るモノと
そのつくり手たちとの出会いが待っています。

光の当たり方で表情を変える、長野〈Mellow Glass〉のガラス作品。

光の当たり方で表情を変える、長野〈Mellow Glass〉のガラス作品。

柔らかなインド綿と木版プリントのオリジナル布製品〈admi〉は札幌初出店。

柔らかなインド綿と木版プリントのオリジナル布製品〈admi〉は札幌初出店。

「10年後も履きたい靴」をテーマにしたセミオーダーの靴〈coupé〉は東京から。

「10年後も履きたい靴」をテーマにしたセミオーダーの靴〈coupé〉は東京から。

雑司が谷を舞台に繰り広げられる
アートプロジェクト
〈Oeshiki Project〉とは?

〈Oeshiki Project〉から見る東京のローカルの未来 vol.1

東京に住むつもりなんか、なかった。

東京の北の玄関口・池袋。駅前を行き交う人波を抜け、ほんの10分ほど歩くと、
緑と静けさに包まれた「雑司が谷」というまちが現れる。

自転車が追いつけそうな速さでコトコト走る路面電車。
肩を寄せ合う木造の家々と、昔ながらの商店街。
猫たちが昼寝する曲がりくねった路地。
このまちを訪れる人はしばしば「東京じゃないみたい」とつぶやく。

雑司が谷のシンボル・鬼子母神の参道。樹齢400年の欅並木に沿ってカフェや雑貨店、住宅が並ぶ。

雑司が谷のシンボル・鬼子母神の参道。樹齢400年の欅並木に沿ってカフェや雑貨店、住宅が並ぶ。

私も以前だったら、同じことをつぶやいていたかもしれない。
東京生まれだが、物心つく前に首都圏の郊外に引っ越し、
通勤・通学は満員電車に揺られて都内に通うのが当たり前。地元らしい地元はない。
東京には遊びや用事でしょっちゅう来るけれど、わざわざ住もうとは思わなかった。
仕事で地方や海外に滞在することが増えてからは旅暮らしで、
ますます東京に住む理由がなくなった。

「七曲り」と呼ばれる迷路のような路地。隅々まで暮らしが息づいているが、空き家もちらほら。

「七曲り」と呼ばれる迷路のような路地。隅々まで暮らしが息づいているが、空き家もちらほら。

だがふとしたきっかけで9か月前、雑司が谷の近所に引っ越してきた。
この地域に根ざしたアートプロジェクトを手がけることになり、
「一度、ちゃんと東京に住んでみよう」と思ったのだ。

東京に住む意味を探して

私はここ8年間ほど、いろいろな土地に滞在して、
その都市やコミュニティを素材に演劇をつくっている。肩書は「劇作家」。
プロジェクトでは、その土地のローカルな人たちと出会う。
そんなとき、いつも後ろめたいような、気後れするような思いがあった。

彼らのまちに「よそ者」として関わる自分は、
いったいどこからやってきた、何者なのだろうか。
私には、自分の生まれたまちの記憶がない。
そこは、家族にとって悲しい出来事があって、二度と訪れられない場所になっていた。

だから私にとって自分の生まれた場所は、「東京」という大きな、
漠然としたイメージでしかない。顔も覚えていない生き別れの父親、みたいな感じ。

自分にとって「東京」って何なんだろう。
好きなのか嫌いなのか、住みたいのか住みたくないのか? 
東京という都市やコミュニティとも、演劇をつくれるのだろうか。

そんなもやもやした問いから立ち上げたのが〈Oeshiki Project〉だ。
これは、雑司が谷に江戸時代から伝わる伝統行事
「御会式(おえしき)」を軸に展開するアートプロジェクトである。

〈真鶴出版2号店〉にとって
『美の基準』とは。
トミトアーキテクチャ&
建築家・池上修一さん対談

撮影:小川重雄

トミトアーキテクチャ vol.5

1993年、真鶴町のまちづくり条例として『美の基準』が制定されました。
建築家のクリストファー・アレグザンダーの理論『パタン・ランゲージ』を応用して、
法律家の五十嵐敬喜さん、都市プランナーの野口和雄さん、
建築家の池上修一さんと真鶴町が協働してつくりあげたものです。
その後、池上さんは、美の基準を体現する建築物として、
真鶴のコミュニティセンター〈コミュニティ真鶴〉の設計を手がけました。

それから25年、空き家をリノベーションした〈真鶴出版2号店〉が完成したいま、
その建築を手がけた〈トミトアーキテクチャ〉が池上さんをお招きし、
夢の対談が実現しました。
25年前といまとを行き来しながら進んだ本対談からは、
世代を超えた建築家の喜びや苦悩、そして真鶴へのまなざしが浮かび上がってきました。

建築家の顔が見えない建築

伊藤: 雑誌『ポパイ』に〈真鶴出版2号店〉を載せてもらったんです。

池上: それはすごい! やっぱりこういうものは、ポップじゃないとダメなのよね。
建築誌の中だけにいてもダメなのよ。すばらしいなぁ。

建築家の池上修一さん。真鶴出版2号店にて。

建築家の池上修一さん。真鶴出版2号店にて。

伊藤: 今晩はここ、真鶴出版2号店に宿泊されるんですよね。
先ほど内覧していただきましたが、
ざっくばらんに感想をいただけたらうれしいなと思います。

池上: なぜ宿泊するかというと、ここはパッと観てコメントするものではなくて、
ひと晩泊ってどんな感じがするか見たかったんだよね。
ただ、いま各部を見ていると、光が回るし、
まちのおばあさんが通る風景がおもしろいし、非常に良くできている。
やっぱり『美の基準』のポイントをついているのはよくわかるし、
高さを上げたり、下げたり、削ったり、愛情を湧かせるように
建築主も建築家もみんなでやったというのがよくわかる、というのが総括的な感想かな。

冨永: ありがとうございます。みんなで議論しながらつくったんですけど、
最初の提案ではエントランス側の背戸道から空間を通って
反対側までスパッと抜けるような提案をしていたんです。

トミトアーキテクチャの冨永美保さん。

トミトアーキテクチャの冨永美保さん。

冨永: だけど、〈真鶴出版〉のおふたりと話していくうちに、
真鶴のおもしろさは「ここが主役です」と一点を引き立てる感じではなく、
いろんな場所にいろんな特徴がちょこちょこあって、
見どころが各自に設定できるようなおもしろさがあるから、
それを建築の内側にも入れたいと思いました。
『美の基準』を見ていても、いろんな言い方でそれを表現しているように感じたし、
そういうおもしろさを、徐々に意識するようになってこの空間ができあがりました。

伊藤: ありがたいことに、いろんなメディアに取り上げていただきました。
でも建築的にはいろんな批評があり、褒めてくださる方もいれば、
「地味だね。何をしたの?」という意見もあります。

池上: 建築の価値のひとつとして、
「デザインが気持ちいい」ってことがあるんだよね。
それは“清涼感”と言ってもいいのだけど。
でも『美の基準』で言っているのは、清涼感ではなくて、
いわゆる無名の質、“cannot be named”の質を目指そう、ということなんだよね。

それがどうやったらできるのか、答えは決まっていない。
みなさんもそうだったと思うけど、議論を重ねながらつくっていくと、
清涼感とは違う価値を生んでくる。
ここの視線をドヤッと抜いたら気持ちいいし、例えば三角の家みたいな、
見慣れてない非日常の空間はとっても気持ちいいよね。
だけど、「深い思い」(*) には引っかかってくる。

*深い思い(Deep Feeling):クリストファー・アレグザンダーの理論によく出てくる言葉であり、個の快楽/欲望を超える普遍的な「美」と解釈できる。『美の基準』の指針ともなっている考え方。

〈石本藤雄展
-マリメッコの花から陶の実へ-〉
マリメッコ・デザインを手がけた
石本藤雄さんの陶の世界

フィンランドから故郷・愛媛へ思いを馳せて

2019年6月19日(水)〜30 日(日)、
東京・青山のスパイラルガーデンにて
陶芸家/テキスタイルデザイナーの石本藤雄さんによる
〈石本藤雄展 -マリメッコの花から陶の実へ-〉が開催されます。

1974年から2006年にかけて、フィンランドのライフスタイルブランド
〈マリメッコ〉のテキスタイルデザイナーとして活躍し、
400点を超えるデザインを生み出した石本さん。
そんな石本さんが陶器の作品を手がけていることをご存知ですか?

『オオイヌノフグリ』(2018)(C) Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

『オオイヌノフグリ』(2018)(C) Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

じつは石本さんは、陶芸の里がある愛媛県砥部町出身。
若い頃は一切焼きものに興味がなかったといいますが、
フィンランドで暮らすうち、陶の世界に惹かれるように。
1989年にフィンランドを代表する陶器メーカー〈アラビア〉の
アート・デパートメント部門にアトリエを構えて以来、
陶作品をつくり続けています。

こちらは、近年精力的に制作している 『冬瓜』のシリーズ。

『冬瓜』(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

『冬瓜』(C)Chikako Harada/Fujiwo Ishimoto

今回は、自然光が降り注ぐアトリウムに、
この『冬瓜』を配したインスタレーションが登場。
草をモチーフに四季を描いたマリメッコ製のテキスタイル
「kesästä kesään(ケサスタ・ケサアン/夏から夏へ)」を背景に
「侘び寂び」の世界観を表現します。

そのほかには、色鮮やかな絵皿や、
春の花「オオイヌノフグリ」をモチーフとしたレリーフの大作も。

ぱっと開いた花の美しさ。碧い葉の瑞々しさ。
ごろんと横たわる果物の愛らしさ。
自然の造形物をまるごと表現した
石本さんの作品は、細部にわたるまで魅力的。
見れば見るほど惹き込まれてしまいます。

展覧会グッズ「トートバック」販売期間:2019年6月19日(水)〜7月7日(日)会場:MINA-TO(スパイラル1F)

展覧会グッズ「トートバック」販売期間:2019年6月19日(水)〜7月7日(日)会場:MINA-TO(スパイラル1F)

明治から残る木造建築
〈旧八女郡役所〉の再生プロジェクト

中島宏典 vol.1

みなさん、はじめまして。中島宏典です。

私は福岡県八女(やめ)市を拠点に、まち並み保存によるまちづくりの活動や
林業の取り組みに関わっています。
建築や林業を中心に、さまざまなジャンルをまたいで事業を調整する、
いわばキュレーターに近い役割を担っています。

また、一棟まるまる貸切の町家宿〈泊まれる町家 川のじ〉の運営もしており、
八女を訪れていただく方に、宿泊体験を通じて、
リアルな地域の情報や人の魅力をご紹介しています。

本連載では、林業、官民連携、伝統工芸、移住など、
さまざまな切り口を織り交ぜながら、
これまで八女で関わってきたまちづくりの活動についてお伝えしたいと思います。

昔ながらのまち並みと手工業が息づく「八女福島」

まずは、八女についてご紹介します。

八女市は、福岡市から南へ約50キロ、福岡県南部に位置する、
人口6万2千人ほどの農林業が盛んな地域です。

八女というと、茶どころのイメージをお持ちではないでしょうか。
八女は、霧が発生しやすい気候条件から、古くから天然の玉露茶の栽培が盛んで、
伝統本玉露の生産量が日本一(国内生産量の約45%)であり、
お茶の平均単価も日本一高い、日本有数の高級茶産地です。

八女茶は、審査においてコク、甘みを強く感じるものが多いといわれています。

八女茶は、審査においてコク、甘みを強く感じるものが多いといわれています。

八女中央大茶園。全面パノラマの茶畑から、八女の地形や景色をご覧ください。

八女中央大茶園。全面パノラマの茶畑から、八女の地形や景色をご覧ください。

八女は、九州における伝統工芸産業の集積地でもあり、
伝統工芸品の総生産額は、九州で最大規模となります。

江戸時代以降、正倉院に納められた筑後紙に起源を持つ手すき和紙をはじめ、
石灯籠、提灯、仏壇、線香、窯元、久留米絣(*くるめがすり)などといった
多様な手工業が産業として整い、まちには職人が多く暮らし、
伝統産業がいまでも受け継がれています。
八女にお越しの際は、凛としつつも穏やかな職人さんたちが営む、
素朴で昔ながらの工房を訪れるのもオススメです。

*久留米絣:福岡県久留米市および周辺の旧久留米藩地域で製造されている絣(かすり)。綿織物で、藍染めが主体。

歴史的なまち並みが残る「八女福島地区」。普段は観光客をほとんど見かけず、時間がゆっくりと流れています。

歴史的なまち並みが残る「八女福島地区」。普段は観光客をほとんど見かけず、時間がゆっくりと流れています。

私が活動している「八女福島地区」は、
八女市の中心市街地域であり、旧街道沿いに土蔵造りの町家が連なり、
国の重要伝統的建造物群保存地区(以下、伝建地区)に選定されています。

江戸から昭和初期の町家が多く残っており、
その時代によってさまざまな建築デザインが見られます。
建物の住人が、職人か商人かによって、
建物の間取りや開口部に違いがあるのも見どころです。

お茶や和紙などが市(いち)で取り引きされ、提灯や仏壇の工房がいまでも残る、
下町の風情が漂うエリアです。普段の静かなまち並みでは、
職人さんたちの手仕事の息吹が感じられ、清々しい気持ちになります。

八女福島地区では、空き家になった建物をどうにか残していきたいと、
2000年頃からまち並み保存とまちづくりが盛んに行われてきました。

私が八女で活動を始めたのは、八女福島のまち並み保存に、
建築設計事務所の学生インターンとして関わったことがきっかけでした。

それ以降は、八女福島のプロジェクトとつながりを持ちながら、
関東から関西と渡り歩き、2014年に八女に戻ってきました。
八女市は私の地元の隣町であり、Jターンというかたちの移住です。
八女福島に関わり始めてから、約15年の月日が経とうとしています。

自分がワクワクすることと同時に、子どもたちの世代まで
残したいもの・ことを考えることが活動の原動力になっています。
その結果、八女や日本の本当の魅力を磨くことにつなげていきたいと思っています。

イベント時の八女福島のまち並みには、たくさんの人が訪れる。

イベント時の八女福島のまち並みには、たくさんの人が訪れる。

隠れた絶品郷土料理を全国へ発信。
〈梶賀のあぶり場〉ができるまで

多田正治アトリエ vol.1

はじめまして。〈多田正治アトリエ〉の多田正治です。
京都の西大路七条の町家をリノベーションしたアトリエで設計事務所を営んでいます。

関西を中心に建築設計の仕事をしていますが、
4年ほど前から「熊野」と呼ばれる地域でも建築に携わっています。

紀伊半島の南部のエリアは、昔から「熊野」と呼ばれています。
世界遺産にも登録された「熊野古道」や「熊野大社」が有名で、
和歌山県と奈良県と三重県にまたがって「熊野」はあります。

熊野古道の馬越峠。

熊野古道の馬越峠。

熊野本宮大社。

熊野本宮大社。

日本書紀や古事記に記されるほどに歴史は古く、自然崇拝の独自の宗教観を持ち、
寺社が多数ある文化的特異点でもある熊野。修験者が修行するほどに山深く、
黒潮の恵みからマグロをはじめとする魚介類を享受できるほどに海が近い、
自然に恵まれた熊野。

そして、雄大な自然に囲まれているがゆえに、
関西と隣接しているのに近くて遠い「熊野」!(そんな遠さも熊野の魅力です)

そんな熊野の東端にある三重県尾鷲市梶賀町で、
〈梶賀のあぶり場〉プロジェクトはスタートしました。
今回はそのお話の前編をお送りします。

梶賀港を見る。

梶賀港を見る。

梶賀町の郷土料理「あぶり」

三重県尾鷲市梶賀町は人口180人ほどの漁村です。
リアス式海岸の一部で、入江の奥まった部分に漁港を中心とした集落が広がり、
漁港の背後には急峻な山地が迫っている、そんな地形です。

三重県尾鷲市梶賀町周辺の地形図。

三重県尾鷲市梶賀町周辺の地形図。

急峻な斜面に建ち並ぶ梶賀の民家。

急峻な斜面に建ち並ぶ梶賀の民家。

梶賀町には、水揚げされた魚の中で売り物にならない小魚やアシの早い魚などを加工し、
自分たちのお弁当とした郷土料理「あぶり」が、古くから伝わっています。
桜や樫(カシ)などを燃やした炎と煙で、
焼きながら燻すという独自の製法でつくられる保存食です。

竹を削ってつくった串に、一匹一匹、丁寧にワタをとった小サバなどを刺していきます。
そのまま食べてもよし、ご飯のお供にもよし、
日本酒やビールにも合う絶品郷土料理です。

あぶりをつくる。(撮影:浅田克哉)

あぶりをつくる。(撮影:浅田克哉)

撮影:浅田克哉

近年では梶賀の特産品「梶賀のあぶり」として販売しており、
その認知度の向上と販路拡大を目指して、さらなる生産力アップや
品質向上のために加工場の建設が求められていました。

撮影:浅田克哉

撮影:浅田克哉

「あぶり」による地域おこしを目指す

漁師さんの朝は早く、朝の3時や4時に起きて明るくなる前に出航、
そして夕方に帰ってくる、というサイクルで生活されています。

なので、家やまちを守るのは主に女性。
梶賀にも女性たちで結成された「婦人会」があり、
その後「梶賀まちおこしの会」として引き継がれていきました。

そして2016年、梶賀に地域おこし協力隊の2名
(中川美佳子さんと浅田克哉くん)が派遣されました。

中川さんは中小企業診断士の資格を持つ経営コンサルタント。
いつも冷静沈着で的確な状況判断をしてくれる、
それでいてみんなを温かく見守ってくれる女性です。

浅田くんはグラフィックデザイナー。
PCに向かってクールなデザインをつくるときもあれば、
ペンキやノコギリを手に自分でモノをつくってしまうマルチなクリエイター。
彼らは2019年にその任期を終えましたが、いまでも梶賀に住んで仕事をしています。

そんな異色のふたりに課せられたミッションが、
梶賀に伝わる「あぶり」による地域おこし。
そこでさまざまな試行錯誤が始まりました。

あぶりを効率良く製造するための試作。

あぶりを効率良く製造するための試作。

より効率よく加工する工夫をしてみたり。
売り場に並ぶパッケージデザインや容量や価格を変えてみたり。
伝統的なあぶりでは用いなかった魚介類で商品開発をしてみたり。

小分けにした分量、新しくデザインしたパッケージのタグ。

小分けにした分量、新しくデザインしたパッケージのタグ。

養殖のブリを使った新商品の開発。

養殖のブリを使った新商品の開発。(撮影:浅田克哉)

そんななか、前述の通り加工場を建設することが必要になりました。
そして2016年12月、ひょんなことからぼくと浅田くんが出会って、意気投合!
次の日にはどこに加工場をつくるか、ぼくは彼と梶賀を歩き回っていました。

プロの大工直伝!
初心者でもつくれる
簡単DIY術、教えます

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

いきなりですが皆さん、ホームセンターには
DIY初心者にうれしい便利なサービスがあるって知っていますか? 
例えば、

・購入した木材を希望の大きさにカットしてもらえる:

1カット10円~50円程度(無料のところもあり)

・インパクトドライバーや丸ノコなど、工具の貸し出しをしてくれる:

2泊3日200円~500円程度

どちらも有料ではありますが、
工具を持っていないけれどDIYを楽しみたい! という方や、
初心者でカットが苦手、という方には魅力的なサービスではないでしょうか。
そのときのためだけに工具を揃えなくていいのも、経済的でうれしいところ。

今回はこのサービスを活用しながら、手軽にできるDIYを紹介します。

セカンドシーズン!大工インレジデンス

DIYを教えてくれるのは、いとしまシェアハウスで行う
大工技術と暮らしの物々交換プロジェクト〈大工インレジデンス〉に参加する
ユニークな大工たち。
大工インレジデンスについてはこちらの記事をどうぞ! 

初心者編、中級者編とあるので、お楽しみに! 

講師プロフィール

プロの大工、ふみよ。

【ふみよ】
リフォーム大工を5年経験したプロの大工。
足場づくり、屋根の葺き替え、雨漏り修理、ウッドデッキづくり、なんでも来い。
とにかく施工のスピードが速く、みんなから頼りにされている実力者。
ただし普段はゆるキャラ。

KiKi 千住東の家を運営する、ちーぼー。

【ちーぼー】
美大で4年間みっちりとプロダクトデザインを学び、
今は仕事でDIYなどのワークショップに携わる。
パートナーと東京の築90年の平屋を7か月かけて改修。
自宅兼イベントスペース〈KiKi 千住東の家〉を運営。
写真撮影&廃材でかっこいいものをつくるのが得意。

働き方、カルチャー、移住。
〈真鶴出版2号店〉から見えたこと。
トミトアーキテクチャ&真鶴出版 対談

左から真鶴出版の川口瞬さんと來住(きし)友美さん、トミトアーキテクチャの冨永美保さん、伊藤孝仁さん。2年前の記念撮影と同じ場所で。

トミトアーキテクチャ vol.4

約2年前、〈トミトアーキテクチャ〉と〈真鶴出版〉が出会い、
ともに歩んできたゲストハウス〈真鶴出版2号店〉のプロジェクト。
オープンして半年ほどが経ったいま、あらためてプロジェクトを振り返るべく、
4人が集まり対談を行いました。
設計や施工中のこと、完成後に思うこと、そんな2号店の話題を起点に、
真鶴のカルチャーや働き方にまで話は及びました。

いくつもの要素が共存する建築

伊藤: オープンから半年が経ちましたね。
今日は真鶴出版のおふたりから見た2号店プロジェクトの振り返りや、
完成後の日常についてもお話をうかがいたいと思います。

來住: 伊藤さんの声が懐かしすぎて、なんか泣きそうなんですけど……。
最初からやばい……。

全員: (笑)

冨永: 初めてここを見学したとき、背戸道に入ったところからの風景の展開が
すごくおもしろいなと思いました。
独特な地形に沿って曲がった細い道に、この変わった形の敷地があって、
建物にも増築された形跡があり、くびれをいっぱい持っていて。

トミトアーキテクチャの伊藤孝仁さん。

トミトアーキテクチャの伊藤孝仁さん。

伊藤: 僕も特徴的な物件ですごくポテンシャルを感じました。
おふたりはプロジェクトに着手した頃、なにか印象に残ることはありますか?

川口: 早い段階で何パターンか設計プランを出してくれたことに驚きました。

來住: 模型がすごかったよね。

冨永: 普通は100分の1など、もっと小さいサイズから始まり、
どんどん大きくしていくんですけど、最初から30分の1のサイズでつくりました。
今回は改修なので構造から考える必要がなかったし、
最初から大きくつくって空間イメージをお互い共有しながら進めたいと思ったからです。

伊藤: 2号店で一番検討した箇所として、玄関の横に設置した窓がありますが、
実際にいまここで時間を過ごしてみてどうですか?

來住: すごくおもしろいですよ。背戸道が完全に借景になっています。
室内から犬の散歩が見えたり、雨の日だと傘をさす人が行き交っていたり、
真鶴の日常風景がここで一枚の絵になっているみたいです。

川口: 目線が少し下がる位置になっているし、
気候がいい日はちょっと腰掛けられるし、またげる高さになっているのがいいですね。

來住: 最初は入り口付近に番台を置きたいとリクエストしたのですが、
そうしなくてよかった。私たちがいることで
通る人にとっては圧迫感になっていたんじゃないかなと思います。

冨永: 番台があると、サービスする側とされる側が明確に分かれてしまう。
あの人に話かければいいと安心はできるけど、
でも絶対この人が“主”と判別される強制力もあると議論していましたね。

來住: いま私たちがオフィス部分としている作業テーブルには
自然とお客さんが座っていたりするんですよ。

伊藤: へぇ。それはおもしろい。

川口: もし入り口に番台を置いていたら、
空間の使い方が限られていたかもしれませんね。
いまのかたちだとシンプルで余白があるので、
使い方をいろいろ考えやすいし、レイアウトを変えることができます。

冨永: なるほど。確かにオープンハウスのとき、
複数の人の集まりがいろんな場所にあって、入ってくる人がいても
出ていく人がいても、そんなに気になりませんでした。
もし入り口に番台があったら、あんな集まり方にはならなかったかもしれませんね。

來住: 余白があるおかげで、来てくれた人が、朝ごはんの会ができるねと
話を持ってきてくれたりして、やりたいことがすごく増えました。

春目前の2月のある日、真鶴で行われた本対談。梅の花がほころぶ。

春目前の2月のある日、真鶴で行われた本対談。梅の花がほころぶ。

伊藤: いままでの建築ってもう少し余裕があって、いろんな要素を混ぜなくても、
部屋の単位で用途を分けやすかったと思うんです。
だけど今回のような改修では、真鶴出版のやりたいことを全部詰め込んだら
オーバーしてしまうから、どうしたら実現できるかと工夫が必要になるし、
いろいろと共存させることがより建築のテーマになっていく。
それがいままでの建築の考えと大きく違う部分で、そこに僕らも可能性を感じています。

冨永: もともとの相談内容もキオスクと宿と出版社という
3つの違う要素を合わせた、複合建築みたいなものをつくりたいという話でした。
でも建物は小さいわけで、最初からいろいろ重なった状態でスタートしていましたよね。

伊藤: オフィスの机にお客さんが座っちゃうっていうのは象徴的な話ですよね。

淡路島〈Awabi ware〉の 食器展が開催中! 現代の暮らしと ともにある民藝を知ろう。

「真の民藝とは何か」

民藝とは、1926年(大正15年)に柳宗悦らによって名付けられた言葉で、
職人の手から生み出された日常の生活道具のことであり、
それらは美術品に負けない美しさがあると提唱しました。

飾って大事に眺めるものではなく、毎日の生活に用いられる道具であり、
今を生きる人々の暮らしの中で使われ続けている
道具にこそ用の美が宿る、その有り様も民藝と呼ばれます。

〈Awabi ware〉プレート

〈Awabi ware展〉は4月7日(日)まで開催。

そんな民藝の姿を理解できる展覧会〈Awabi ware(あわびウェア)展〉が、
岡山県瀬戸内市のギャラリー〈御茶屋跡〉で開催中です。

壺 パープル

〈Awabi ware〉壺 パープル

会期中は、江戸後期から明治期に栄えた〈珉平焼〉などの器や、
〈Awabi ware〉の食器(購入可)を常設展示。また〈Awabi ware〉の
岡本純一氏が主催する民藝入門書『ミンゲイサイコウ』も展示されます! 
その活動内容や民藝のすばらしさにふれることができます。

〈ミンゲイサイコウ〉ののれん

〈ミンゲイサイコウ〉ののれん。

〈ミンゲイサイコウ〉信楽青竹土瓶

〈ミンゲイサイコウ〉信楽青竹土瓶。

淡路島〈CHiQ〉のパン

3月30日(土)は淡路島のパン屋さん〈CHiQ〉も登場。天然酵母パンとビーツのスープセットを〈Awabi ware〉の器で楽しめます(売切次第終了)。

地域のネットワークが生み出す
「偶然」の積み重ね。
〈真鶴出版2号店〉ついに完成

トミトアーキテクチャ vol.3

神奈川県の真鶴半島にある空き家を、ゲストと住民をつなげる
ゲストハウス〈真鶴出版2号店〉に改修したプロジェクト。
施工の過程と建築の全貌をお伝えします。

真鶴郵便局のアルミサッシ

真鶴駅から〈真鶴出版〉に向かう徒歩7分ほどの道中に、真鶴郵便局があります。
車が通れる、つまり真鶴の中では比較的大きな道に面しており、
木造2階建ての端正な建築だったのですが、
老朽化を理由に解体されるという噂がささやかれるようになりました。
真鶴出版2号店の設計が中盤に差しかかっていた頃です。

敷地内奥に新築の建物をつくるため、既存郵便局は解体されることに。2階には大きめのアルミサッシが整然と並んでいる。

敷地内奥に新築の建物をつくるため、既存郵便局は解体されることに。2階には大きめのアルミサッシが整然と並んでいる。

廃棄する予定の家具類の一部を見せていただく機会があり、
味のあるデスクや椅子、何に使うのかよくわからない
魅力的なオブジェクトを物色するなか、
解体を待つばかりの2階のアルミサッシが、
突如わたしたちの目には魅力的な資源に映るようになってきました。

長く使われてきたことを感じさせる木の机。郵便局らしい重厚なスチールの棚や、かつて使われていたであろう、はかりなどをいただいた。

長く使われてきたことを感じさせる木の机。郵便局らしい重厚なスチールの棚や、かつて使われていたであろう、はかりなどをいただいた。

というのも、設計中の真鶴出版の改修デザインにおいて、
背戸道との間にどんな「窓」をつくるかが、設計のポイントであり、
同時に悩みの種だったからです。当時は道に平行するような、
低い位置で水平に連続する窓(水平連続窓)をデザインしたいと考えていました。
生まれ変わる建築の最大の「見せ場」であったのですが、
予算との折り合いのなかで、どうやってつくるかが宙づり状態だったのです。

「この窓があの細い背戸道に移設されたら、どんなことが起こるだろうか?」
そんなワクワクに後押しされる熱意でもって、郵便局長に何度も頼み込んだところ、
「建物解体直前の2時間以内に取り外せるなら」という条件つきで、
許可をいただけました。

室内から外がどう感じられるかを検討して作成した「室内展開図」。低い水平連続窓がつくる浮遊感が、建築デザインの見せ場と考えていた。

室内から外がどう感じられるかを検討して作成した「室内展開図」。低い水平連続窓がつくる浮遊感が、建築デザインの見せ場と考えていた。

ジャズセッションのような救出劇?

2号店の施工をお願いしている地元真鶴の大工
〈原田建築〉の原田登さんにアルミサッシの採取について相談したところ、
こんな回答が。

「そんなことやったことない(笑)」

しかし原田さんは建具屋〈橘田建具店〉の橘田孝之さん、
左官屋〈柏木左官店〉の柏木健一さんを巻き込み、即席でチームを編成し、
郵便局2階のアルミサッシの窓を制限時間内で取り外すという
前代未聞の救出劇について、さっそく作戦会議が始まりました。
どこから屋根に乗り込むか、どうしたらきれいに外せるか、どう搬出するか、
2時間で本当にできるのかという検証を重ね、いざ本番当日。

3人の息の合ったチームワークによって、
2時間でふた組のアルミサッシを救出することができました。
搬出用の脚立の長さが足りない! というハプニングも、
実は郵便局の隣にある橘田建具店から長い脚立を持ってきて無事解決。

という具合に、物理的な近さによる瞬発力や、
電話1本ですぐ集まって会議できる緩やかな信頼関係があったからこそ、
まるでジャズのセッションのような即興性をもって、アルミサッシは救出されました。
使い方の決まっていないふた組のアルミサッシは、
ひとまず真鶴出版の裏庭にストックされました。

アルミサッシの救出劇。3人の息の合ったチームワークで、きれいな状態のままアルミサッシを採取することができた。(撮影:真鶴出版)

アルミサッシの救出劇。3人の息の合ったチームワークで、きれいな状態のままアルミサッシを採取することができた。(撮影:真鶴出版)

ミュージシャン・イン・ レジデンス豊岡、 bonobosの蔡忠浩さん。 約1週間の滞在でどんな楽曲ができた?

bonobos・蔡忠浩さん、豊岡市で楽曲制作をする

柔軟でおもしろいチャレンジで注目を集める兵庫県豊岡市で、
また新たな試みが生まれました。
ミュージシャン・イン・レジデンス豊岡は、ミュージシャンが豊岡に滞在し、
豊岡での経験をもとに音楽を創作するプロジェクト。
豊岡市は、城崎国際アートセンターで、
アーティスト・イン・レジデンスを実施してきました。
そんな、アーティストの作品制作に協力してきたノウハウがある豊岡市だからこそできた、
一歩進んだシティープロモーションです。

ミュージシャン・イン・レジデンス豊岡の目的は、
人口減少や都市部から地方への移住などが進むなか、
豊岡の魅力を日本で最もポピュラーな文化である「音楽」を通じて市内外に発信し、
都市部で暮らす若者や若年層家庭に、豊岡の認知を高めること。
今回滞在したのが、蔡忠浩(さいちゅんほ)さんです。
人気バンド〈bonobos(ボノボ)〉でボーカル・ギターと作詞作曲を担当し、
豊岡市のプロモーションムービー「飛んでるローカル豊岡」では
ナレーションを担当。プライベートでも豊岡を訪れています。

ミュージシャン・イン・レジデンス豊岡を経てできた新曲「アルペジオ」

蔡さんは、2018年10月に1週間ほど豊岡に滞在。その間、竹野浜、出石永楽館、
城崎の秋祭り、城崎国際アートセンター、兵庫県立コウノトリの郷公園、
Toyooka KABAN Artisan Avenue、農家民宿などを訪れて楽曲を制作しました。
こうして誕生したのが、3月8日にリリースされるbonobosの新曲「アルペジオ」です。

〈Bridge Bar〉
アメリカ人移住者が町家をリノベして
オープンした新湊内川沿いのバー

マチザイノオト vol.8

こんにちは。グリーンノートレーベル(株)の明石博之です。
富山県の場づくりプロジェクト〈マチザイノオト〉の連載は、これで最終回となります。

今回は射水市新湊地区を流れる内川に遊びに来たアメリカ人が、
このまちを気に入って移住し、長年の夢だった“BAR”をオープンした話です。

「内川の風景が忘れられない」アメリカ人のスティーブンさんが移住

そのアメリカ人とは、ハワイ州出身のスティーブン・ナイト(Stephen Knight)さん。
もともと日本の伝統芸能に興味を持って来日し、
一度帰国して再び来日してから翻訳の仕事を始めました。

スティーブンさんとの出会いは、いまから10年以上前のこと、
私がまだ東京に住んでいた頃です。
それから富山へ移住した約1年後の2011年4月に、
東京の八丁堀にある居酒屋でスティーブンさんと再会しました。

それがキッカケとなって、Facebookでの交流が始まり、
お互いに「いいね」をする仲が長い間続きました。

八丁堀の居酒屋で再会したときの記念写真。

八丁堀の居酒屋で再会したときの記念写真。

時は過ぎて2016年のこと。突然スティーブンさんから
「10年ぶりに、4泊くらいで全国の知人に会いに行くツアーをしたい。
ついては内川にも行きたい」というメッセージが来ました。

そして、同年10月にスティーブンさんと再会し、内川周辺を案内後、
〈カフェuchikawa六角堂〉で夕食をとりました。
わざわざ来たのには何か理由があるはずだと思い、いろいろなことを語り合いました。

そのとき聞いたスティーブンさんの夢は、バーをオープンすること。
昼間は、地域の人たちの営みを感じながら2階で翻訳の仕事をして、
夜になったら1階のバーカウンターに、というお話でした。

例として見せてもらったシンガポールの〈ショップハウス〉は、
まさにこの辺りにある町家スタイルの建物でした。
この瞬間、「内川沿いのバー」というイメージが膨らんで、
「その夢をここで実現できるし、空き家はたくさんある」と、
スティーブンさんに猛烈アピールしました。

田舎の漁師町にぽつんと1軒あるカフェでも、
なんとか商売が成り立っている事実もあります。

いままでは、近いようで遠い、Facebook友だちという存在でしたが、
この日を境に、隣人になるかもしれない存在へと変わりました。

〈カフェuchikawa六角堂〉で再会、妻あおいも合流して、楽しい時間を過ごす。

〈カフェuchikawa六角堂〉で再会、妻あおいも合流して、楽しい時間を過ごす。

それから3か月後、東京でスティーブンさんと再会して、
本気で移住を検討していることを知りました。
「内川のすてきな風景が忘れられないし、
すでに事業をしている先駆者がいることが心強い」と語ってくれました。

外国人であるスティーブンさんが、内川にひと目惚れしてくれたことを
本当にうれしく思いました。私はこのとき、これからどんな問題があろうと、
スティーブンさんが移住してバーをオープンするまで、
とことんつき合おうと決意しました。

観光ガイドブック 『d design travel 高知』が発売! 〈D&DEPARTMENT〉から 初の四国号

これまで発刊された『d design travel』一覧。

『d design travel』25冊目は、高知です!

最高すぎるガイドブック『d design travel 高知』が
3月19日に全国で発売されます!

〈d design travel 高知〉表紙「食パンを持ったバタコさん」(c) やなせたかし

『d design travel 高知』表紙「食パンを持ったバタコさん」(c) やなせたかし

47都道府県の観光情報を、1県につき1冊ずつ
特集を組んで取り上げる『d design travel』シリーズ。
その土地に長く続く個性を大事にする「ロングライフデザイン」を
編集テーマに据え、今までに北海道、岩手、京都など24冊を刊行。
待望の25冊目にはシリーズ四国初となる、高知が選ばれました。

地元の人なら「あたりまえ」、知らない人なら「そうだったのか」とうなる、
リアリティ&地域愛がバシバシ伝わってくる『d design travel 高知』。
その濃い〜誌面の秘密は、独自の編集スタイルにあります。

ディスカッション内容はSNSで共有

参加者からいろいろな取材候補地が挙がった、ディスカッションの様子をSNSで内外に共有。

まず、公募で集まった地元住民や、旅・デザイン好きの方々など
約60名で「高知らしさ」をディスカッション。
公開編集会議で取材候補地を検討していきました。

編集会議を経て、編集部は2ヶ月間(!)現地に住み込み、
200カ所以上のスポットを訪問。その中でも「これぞ高知!」と
感動したものだけをピックアップし、初めて取材申込を行うという徹底ぶりです。

尾道にオープンした〈LOG〉は 世界的建築集団、スタジオ・ムンバイが 手がけた尾道の新スポット

〈スタジオ・ムンバイ〉プロデュースの宿泊施設〈LOG〉

映画で有名な千光寺新道の階段をのぼると現れる、淡いピンクベージュの外観。

広島県尾道市に国内外で注目を集める〈スタジオ・ムンバイ〉
プロデュースの宿泊施設〈LOG(ログ)〉がオープンしました!

昭和38年、山の手の中腹に建てられた〈新道アパート〉
という名の鉄筋モダン住宅を〈ONOMICHI U2〉などを
運営する地元企業〈せとうちホールディングス〉がリノベーション。
周りの環境にすっと溶け込む、優しい風合いにホッとします。

〈LOG〉の308号室

308号室には手漉き和紙が「ちぎり貼り」であしらわれている。

客室

光の差し込み具合もちょうどよく、すばらしい。

気になる客室をのぞいてみると、その上質な空間に驚きます。
天井、壁、床の全面に手漉き和紙が貼りめぐらされ、
今までに体験したことのない設えが目の前に。
部屋全体が繭の中のようにふんわりとして、
裸足で歩くとなおその心地よさが楽しめます。

〈Library〉

〈スタジオ・ムンバイ〉ビジョイ氏の書斎をイメージして作られた〈Library〉。

朝食の一例

朝食の一例。

宿泊者限定で利用できる〈Library〉は、
淡い緑を基調とした落ち着けるスペース。その窓からは、
軒を連ねる家屋、長く続く階段、美しい尾道水道を一望できます。
また、食事については地産地消をベースに、
料理家の細川亜衣さん監修のもと、素材のよさを引き出すメニューを開発。

〈LOG〉のカフェ&バー

〈カフェ&バー〉は宿泊をされない方でも利用が可能。

山に囲まれた北茨城の廃校で、 アートフェス 『桃源郷芸術祭』が開催

「芸術によるまちづくり」を掲げる北茨城市で、
2019年3月2日(土)〜3月10日(日)の9日間、
「北茨城」の魅力がつまったアートフェス、
『桃源郷芸術祭(とうげんきょうげいじゅつさい)』が開催されます。

〈期待場〉外観

会場となる〈期待場〉

今年で2回目となる桃源郷芸術祭は、
“アートと共に生きるまち”をコンセプトに、
北茨城市地域おこし協力隊がプロデュースするイベント。

海をテーマに掲げた2018年は、海沿いの会場を中心に開催しましたが、
今年、2019年の会場となるのは緑豊かな里山にある、
廃校を活用した地域の芸術活動拠点〈期待場(きたいば)〉。

会場〈期待場〉内観

会場〈期待場〉内観

この、なんとも素朴で懐かしい空間に、この地域を象徴する3つのキーワード
「木々や山々」「風」「小学校」をテーマとした作品のほか、
この地域で活動するアーティストの作品、北茨城の産業や技術を活かした作品など、
北茨城の魅力がぎゅっとつまった50点以上のアート作品が、展示・販売されます。

さまざまな作品を展示予定

北茨城市在住の彫刻家によるガラス細工(左)や、北茨城から着想を得た街の模型(右)など、さまざまな作品を展示予定。※画像は出展作家の過去作品です。

〈Ka na ta〉加藤哲朗さんの
五感がつくる長野市信級のアトリエ、
服を売らないお店、そして旅館

PEOPLE GET READY TO NAGANO vol.3

本州のほぼ中央に位置する長野市は、東京から電車で約1.5時間。
車窓の風景は、木々の彩りへと移り変わる。
このまちの魅力は、そんな自然と隣り合わせの風土や食と美。
だけど、そればかりじゃない。

善光寺の門前町として、四方から訪れる旅人を迎え入れ、
疲れを癒してきた歴史がある。

いつの時代も、旅立つ人、旅の途中にいる人、
そして、彼らを受け入れる人たちが交差する長野市は、
次なる旅路をつなぐプラットホームだ。

そんな長野市で、自分の想いを込めた「場」を営み、
この土地ならではのカルチャーを培う人たちがいる。
彼らと交わす言葉から、これからの「ACT LOCAL」を考える。

体をめぐる「服と場」を見つめてきた〈Ka na ta〉

ひらがなの一文字が古来からもつ意味、
「か|あなた」
「な|眼、見ること」
「た|時間的・空間的方向性」
をコンセプトとするブランド〈Ka na ta〉。

2005年のスタート以来、大量生産・大量消費の「ファッション産業」とは距離をとり、
独自の世界観を築きながら、東京のアトリエと直営店、
吉祥寺の「服を売らない」直営店、長野市信級(のぶしな)のアトリエと、
年を重ねるごとに創作の場を広げてきた。

その軌跡は、「ファッション=流行」とは一線を画し、
彼らの表現そのものに魅了されたアーティストやミュージシャンにはじまり、
草の根的に多方面からの支持を受けるようになっていった。

メディアに露出することで他者に編集される、つくられた〈Ka na ta〉像よりも、
単純明快なオンラインショップよりも、お店という現実の場で、
「人と服が出会う過程に、自ら立ち会うこと」に重きを置いてきた彼ら。

その根底にあるのは、体にとって重要な「服と場」を
自分たちの目で見つめることだった……。

連載の第3弾となる今回は、
「あんまり慣れてないんだよね(笑)」と朗らかな笑顔でインタビューに応えてくれた
〈Ka na ta〉デザイナー・加藤哲朗さんを紹介。
長野市信級にアトリエを持ったことで生まれた創作の源泉や五感、
〈Ka na ta〉の現在点をここに記録する。

「道を通る経験」をデザインする。
〈真鶴出版2号店〉思考のプロセス

トミトアーキテクチャ vol.2

神奈川県の真鶴半島にある空き家を、
ゲストと住民をつなげるゲストハウス〈真鶴出版2号店〉に改修したプロジェクト。
今回は改修に着手するまでの思考のプロセスについてご紹介していきます。

25年前の熱量

真鶴町への若い移住者の多くが、移住を決心した理由のひとつに、
真鶴町独自のまちづくりのガイドライン『美の基準』の存在を挙げます。
「静かな背戸」「小さなひとだまり」といった69のキーワードを通して、
一見ありふれた、だけど生活や産業や歴史に深く根ざした風景を、
町が独自の条例を制定し大切に守り育てようとしている。
その美意識にただならぬものを感じるのでしょう。

『美の基準』の冊子。(撮影:MOTOKO)

『美の基準』の冊子。(撮影:MOTOKO)

真鶴の環境から見出された69のキーワードを紹介している。(撮影:MOTOKO)

真鶴の環境から見出された69のキーワードを紹介している。(撮影:MOTOKO)

真鶴に関わり、町の歴史や美の基準ができるまでの過程を知るなかで、
一番興味深く不思議な存在だったのが、美の基準の制定に関わり、
公共施設〈コミュニティ真鶴〉を設計した建築家、池上修一さんでした。
〈真鶴出版2号店〉の設計を進める過程で幾度となく、
約25年前の池上さんの底知れぬ熱量とその痕跡に出会うのです。

コミュニティ真鶴の正面外観。左側1階の外壁は、小松石の加工の過程で発生する破片である「木端石」を利用しています。さまざまな人が施工に参加した手づくり感は、既製品にはないおおらかな質感。

コミュニティ真鶴の正面外観。左側1階の外壁は、小松石の加工の過程で発生する破片である「木端石」を利用しています。さまざまな人が施工に参加した手づくり感は、既製品にはないおおらかな質感。

真鶴の各地でとれた石や竹といった地域素材や、漁網を編む技術などが寄せ集まってできている。また、既存樹木を生かした中庭型の配置計画が、建築によって裏表が生じないような工夫につながっている。

真鶴の各地でとれた石や竹といった地域素材や、漁網を編む技術などが寄せ集まってできている。また、既存樹木を生かした中庭型の配置計画が、建築によって裏表が生じないような工夫につながっている。

例えばそれは、美の基準がつくられるまでの紆余曲折を
書籍を通して知ることであったり、
コミュニティ真鶴の空間の質や創意工夫に満ちた建築のディテールを
肌で体験することであったり、
役場に眠っていた「植物秘伝帳」や「石材秘伝書」といった資料との出会いであったり。

私たちが関心を持ちリサーチや検討を始めようとすると、
すでに四半世紀前の池上さんの足跡がありました。
その事実に感動したり驚いたり悔しがったりしている私たちを、
微笑ましく眺めてくれているような、そんな温かい感覚がありました。

真鶴出版のふたりが役場の本棚に埋もれているのを見つけた「植物秘伝帳」と「石材秘伝書」。コミュニティ真鶴の設計時に調査した石の加工方法や相場、真鶴に自生する植物のリストなどをまとめ、その後に町や設計者に活用されることを目指した資料。

真鶴出版のふたりが役場の本棚に埋もれているのを見つけた「植物秘伝帳」と「石材秘伝書」。コミュニティ真鶴の設計時に調査した石の加工方法や相場、真鶴に自生する植物のリストなどをまとめ、その後に町や設計者に活用されることを目指した資料。

幸運なことに、その池上さんのご自宅にお邪魔をする機会を得ました(vol.1)。
真鶴の話、クリストファー・アレグザンダーという建築家の話、
建築家の働き方や役割と工務店の話、石材秘伝書や植物秘伝帳の話。
美の基準に込めた思いや、理想と現実の話、真鶴出版2号店の話。

おいしいごはんをご馳走になりながら、
このプロジェクトは決して自分たちだけのものではなく、
いろんなたくさんの取り組みに連なる一手であって、
その期待や責任の大きさをあらためて感じました。

池上修一さんのご自宅で会食。ご自身で設計された家は、親密なサイズ感の中に、立体的な遊び心のある空間が広がっていた。

池上修一さんのご自宅で会食。ご自身で設計された家は、親密なサイズ感の中に、立体的な遊び心のある空間が広がっていた。

ご自宅もすてきで、黒いテーブルの天板は、ホームセンターで買ったベニヤを、
お酒を飲みながら時間をかけて少しずつ削ったと聞き、
流通製品に固有の質感を(楽しみながら)与えていく作業に感銘を受けました。
このアイデアは2号店のとある部分で真似をしています。

本棚のクリストファー・アレグザンダーによる著作が集まる一角。

本棚のクリストファー・アレグザンダーによる著作が集まる一角。

ホームセンターで購入した合板を、ご自宅でお酒を飲みながら彫刻刀で少しずつ削ってできたテーブル。

ホームセンターで購入した合板を、ご自宅でお酒を飲みながら彫刻刀で少しずつ削ってできたテーブル。

池上さんとのお話を通して最も強く感じたこと。
それは美の基準やコミュニティ真鶴という建築の、
一見した素朴さの影に、強烈な個性が見え隠れするということです。

多数決的な決め方や人々の意見の間をとり、結果として凡庸になるのではなく、
数人の核となる個性と信念が、ある頑固さをもって突き進んでいき
初めて創造されるもの。そんなイメージを美の基準に重ねて抱くようになりました。
やさしい雰囲気の奥にある強烈な頑固さは、私の大学時代の同級生である
池上さんの息子さんにもしっかり受け継がれていて、妙に安心したものです。

古材・廃材を使って
築80年の納屋が
“劇的”ビフォー&アフター!
〈大工インレジデンス〉

こんにちは。
「食べもの・お金・エネルギー」を自分たちでつくる
〈いとしまシェアハウス〉のちはるです。

以前この連載で紹介した、
〈大工インレジデンス〉という取り組み、覚えていますか?

このプロジェクトは、大工は家賃&食費が“無料”になり、
我が家の暮らしを体験しながら、一緒に納屋をリノベーションして、
新しいコミュニティの場をつくろうというもの。
大工さんの技術と、我が家の暮らしの、物々交換のような取り組みです。

今回のプロジェクト第1期では、物置きとして使っていたボロボロの納屋を改修。
大工インレジデンスによる、その大変身ぶりを紹介していけたらと思います! 

大工インレジデンスのメンバーや、シェアハウスメンバーと集合写真!

さて。先に結論から言ってしまうと…… 
予想していた100倍、いいものができちゃいました!!!

納屋のBEFORE

納屋のAFTER

どうですか、この変身ぶり。
ビフォーの写真をたくさん撮っておかなかったことを後悔……。
だって暗くて、狭くて、撮ろうにも難しかったんです。

今回の大工インレジデンスのリノベーションで
こだわったポイント&目的はこの3つ。

(1)廃材・古材を活用する

(2)空間を明るくする

(3)狭い納屋を広く活用する

みんなの知恵や技術、ネットワークを駆使して、
木材はほとんど、廃材・古材のいただきものでまかなうことができました。
(木材を提供してくださったみなさま、本当にありがとうございました!)

氷見市〈Brewmin〉
海沿いの空き家をリノベした
クラフトビールカフェが誕生!

マチザイノオトvol.7

こんにちは。グリーンノートレーベル(株)の明石博之です。

気がつけば、本連載はもう7回目を迎えます。
毎回、当時のことを懐かしく思いながら、
自分の決意と向き合ういい時間となっています。

vol.1〜vol.6では、射水市の新湊地区を流れる内川周辺の活動をご紹介してきました。
そして次第に、その活動範囲は周辺のまちへと広がっていったのです。

風情あふれる漁師町・氷見市

今回の舞台は、寒ブリで有名な氷見市です。
新湊と同じく、富山湾に面した北陸有数の漁業のまち。
漁師町の風情あふれる黒瓦の町家群は、私の大好きなまち並みです。

富山湾越しに見える立山連峰の景色はすばらしい。

富山湾越しに見える立山連峰の景色はすばらしい。

市民の暮らしのすぐ近くにある氷見漁港、魚屋さんもたくさん。

市民の暮らしのすぐ近くにある氷見漁港、魚屋さんもたくさん。

漁港だけじゃなく、古い味噌蔵も酒蔵もある。

漁港だけじゃなく、古い味噌蔵も酒蔵もある。

古い建物好きが高じて、2014年頃から、
氷見市の歴史的建物の保存活用事業に関わるようになりました。
それからのご縁で、このまちに移住したい人たちを増やして、
移住するまでの支援をするというお仕事を、市役所の委託事業としてやっています。

この事業の運営組織として〈IJU応援センター・みらいエンジン〉を立ち上げ、
お借りした氷見市内の町家を拠点に、活動を展開しました。

移住したい人を応援する町家の拠点〈まちのタマル場〉。

移住したい人を応援する町家の拠点〈まちのタマル場〉。

昭和レトロな空間、まちのタマル場で働くスタッフたち。

昭和レトロな空間、まちのタマル場で働くスタッフたち。

札幌に〈CONTACT〉オープン! TSUTAYAがおくる ドミトリーホステル&シェアオフィス

ゲストハウスとシェアオフィスが融合!
TSUTAYA(ツタヤ)が手がける新施設

北海道・札幌市に、TSUTAYAがおくる新施設
CONTACT コンタクト〉がオープン! 
シェアオフィスとドミトリーホステルが融合した、
「働く」と「旅する」が交わる場所になります。

〈CONTACT〉の狙いは、
「札幌で働くオフィスワーカー」と「札幌に訪れる旅行者」
との出会い。多くの観光客が訪れる札幌ならではの、新しいスタイルです。

ラウンジ・ワークスペース

LOUNGE・WORK SPACE/ラウンジ・ワークスペース)

1Fにはラウンジがあり、日中はビジネスユースのカフェや
コワーキングスペースとして宿泊者以外も利用可能です。
利用料金は、お一人1,500円/2時間(ドリンク付き)。

〈Café MORIHICO.〉のコーヒー、〈USAGIYA〉のお茶、
〈BEER SELLER SAPPORO〉がセレクトしたアルコールなどのメニューが。
夕方には、ビアパーティーやさまざまなイベントが開催される予定です。

〈ブーランジェリーポーム〉の食パン

宿泊者には、朝食に〈ブーランジェリーポーム〉の
食パンを無料で提供します。

〈CONTACT〉のシェアオフィス

ミーティングスペース

WORK(シェアオフィス)

2Fシェアオフィスは、月額会員のみが利用可能。
料金はお一人で月額25,000円から。
定額制で24時間使用でき、集中できるワークスペースや会議室、
フォンブース等も完備しています。

ドミトリーホステル

ドミトリーホステル

ドミトリーホステルには、女性専用フロアもあります。
料金はお一人3,000円から。
24時間利用可能な共用シャワールームや、
宿泊者が利用できるキッチンやダイニングスペースも!

KITCHEN/キッチン

KITCHEN/キッチン