宮城県東部・太平洋沿岸に位置する石巻市は、牡鹿半島の一部や金華山を抱え、
全国屈指の水揚げ量を誇る水産都市として栄えてきたまち。
仙台に次ぐ県内第2の人口を擁するこのまちも、東日本大震災で大きな被害を受けた。
ここに、震災直後に立ち上がり、いまでは世界の家具業界から
そのデザインや機能性が注目される〈石巻工房〉がある。
昨年の秋には、新たな拠点として〈Ishinomaki Home Base〉をオープン。
どんな10年だったか、そしていま何を見据えているか、
代表取締役・工房長の千葉隆博さんに話を聞いた。
新たな拠点が誕生
石巻駅から車で約10分、国道398号線を走ると、
洗練された別荘のような建物が現れる。
2020年10月にオープンした〈石巻工房〉のカフェ兼ショールーム
〈Ishinomaki Home Base〉だ。

この建物の設計を手がけたのは、石巻工房を設立した共同代表の建築家・芦沢啓治さん。
内部の造作家具は石巻工房によるもので、石巻工房の製品も数多く並ぶ。
1階のカフェテナント〈I-HOP CAFE〉を利用すると、
知らず知らずのうちに実際に工房の家具を利用できるのが魅力だ。

I-HOP CAFEを運営するのは、農業で地域を盛り上げようと、
石巻市北上町で活動する〈イシノマキ・ファーム〉。
コーヒーのほか、自ら育てたホップを使用したクラフトビール〈巻風エール〉や、
ホップティーを販売。週末はファームで育てた野菜でつくる
プレートランチを提供している。

石巻・北上産のホップを使用した〈巻風エール〉(700円)。
2階はゲストハウスになっており、各部屋の設えは、
工房ゆかりの建築家・プロダクトデザイナーがそれぞれデザインした。
〈トラフ建築設計事務所〉による「Takibi」、
寺田尚樹さんによる「Hato」、
〈ドリルデザイン〉による「Eda」、
〈藤森泰司アトリエ〉による「Noki」の4部屋がある。

「Takibi」は、焚き火をイメージした照明が特徴的。道路に面するこの部屋の利用者はデッキを占有することができる。1泊1名利用:1室8000円、2名利用:1室14000円。

「noki」は軒下にいるような場所をイメージしてデザインされた。ベッドにもなるソファがあり、最大3人利用可。1泊1名利用:1室8000円~3名利用:1室13500円。

キッチンもある宿泊者の共用スペース。
Ishinomaki Home Baseができるまでには、
石巻工房の役員でもある若林明宏さんの存在が大きい。
不動産業を営む若林さんは、大手保険会社の海外駐在経験があり、語学が堪能。
海外取引を拡大している石巻工房が人材を探していることを知り、
以前から製品のファンであったことから手を挙げ、活動に参加し始めた。
「時折、製品を見たいとお客さんが訪ねてくるのですが、工房はいわゆる作業場。
若林さんがそれを見て、ショールームがあったほうがいいよねと提案してくれたんです。
若林さんは自転車ブランドをつくりたいという夢も持っていたので、
じゃあ一緒にやろう、カフェも始めてお客さんを呼ぼう。
せっかくだから泊まれるショールームにしよう、
それならばこれまで石巻工房に関わってくれたデザイナーさんに声をかけてみよう、と
どんどん夢が広がって、いまのかたちになりました」

工房長の千葉隆博さん。もともとは鮨職人だったが、震災後、石巻を訪れていた芦沢さんと出会った。
「テナントも若林さんが見つけてきました。
つくり手のつくりたいアイデアと、つくる人をつなぐのがうまいんです」

準備中の若林さんのブランドのほか、1階には牡鹿半島で狩猟を行い、鹿肉でソーセージを、鹿皮で小物製品をつくる島田暢さんのブランド〈のんき〉も入る。




















































































