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posted:2021.2.26 from:茨城県水戸市 genre:アート・デザイン・建築
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writer profile
Kanae Yamada
山田佳苗
やまだ・かなえ●島根県松江市出身。青山ブックセンターやギャラリースペース、ファッション・カルチャー系媒体などを経て、現在フリーのライター、編集者として活動中。まだまだ育ち盛り、伸び盛り。ファッションと写真とごはんが大好きです。
東日本大震災から10年を迎える今年。
当時、震災の被害に遭い、臨時の避難所にもなった水戸芸術館で、
現在『3.11とアーティスト:10年目の想像』が開催されています。
『3.11とアーティスト:進行形の記録』と題して、
2012年に行われた展覧会の続展となる今回。
前回は、震災に遭ったアーティストによるさまざまな活動を、
作品であるか否かを問わず、時間軸に沿って紹介。
大規模な震災直後でアートの意味や役割が問われるなか、
それらのほとんどが、支援と記録を主眼にしたものでした。
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それから10年。
本展は「想像力の喚起」という芸術の本質をテーマに、
加茂昂、小森はるか+瀬尾夏美、佐竹真紀子、
高嶺格、ニシコ、藤井光、Don’ t Follow the Windの
7組のアーティストによる東日本大震災にまつわる作品を展示。
10年もの歳月の中での変化と不変を見つめます。
なかでも、美術家・映画監督の藤井光は、
原発事故に関わるいじめや差別と、
2020年より世界を震わせているコロナウイルスに対する不安からの差別を、
昨年世界各地の人々が反対の声を挙げた黒人差別とを重ね、
キング牧師の暗殺事件を受けて、白人の差別意識を嘆いた
アメリカ人教師・ジェーン・エリオットの伝説の授業を3.11後版に書き換え、
日本の小学生とともに再演し、新作として発表。
またアーツカウンシル東京との連携事業として、
一般の人から東日本大震災にまつわる記憶をしたためた手記を募集、公開している
『10年目の手記』では、新たに手記を募り会場で公開する予定。
関連プログラムには、鑑賞者が思ったこと、感じたことを
CACギャラリートーカーと電話ごしに対話する『対話の電話』や、
2019年水戸市での水害支援にあたった方をファシリテーターに招いて行う、
小学生対象のワークショップ『きけんはっけん! ぼうさいワークショップ』といった、
「想像力の喚起」を促すワークショップ型防災イベントも。
現代日本に生きる私たちにとって、
東日本大震災を心に留め、次の世代へ伝えて行くことはひとつの使命。
アートが持つ「ものごとを想像する/させること」の力を借り、
各々のかたちで記憶をつないでいくことは、どんなに小さくても意味のあることです。
information
3.11とアーティスト:10年目の想像
会期:開催中〜2021年5月9日(日)
※感染症対策の注意事項はサイトをご確認ください。
会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
時間:10:00〜18:00(最終入場時間17:30)
休館日:月曜日 ※5月3日(月・祝)は開館
観覧料:一般 900円(700円)、高校生以下・70歳以上 無料
※( )内は団体(20名以上)料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、指定難病特定医療費受給者証をお持ちの方は無料(付き添いの方1名)。
※3月11日は入場無料。
TEL:029-227-8111
Web:現代美術ギャラリー 水戸芸術館
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