旭川市〈HOKUO LAB〉
築64年の醸造倉庫を
複合型シェアオフィスへリノベーション
野村パターソンかずたか vol.6
北海道旭川市で、リノベーションや不動産事業を営みながら、
アーティストインレジデンスなど地域の文化事業を企画・運営する、
野村パターソンかずたかさんの連載です。
元ミュージシャンで世界の都市を巡った経験から、
地元・旭川市にて多様なコンテンツをしかけています。
今回も前回に引き続き旭川市大町地区で、
先祖代々受け継がれてきた大型の倉庫が
複合型シェアオフィスにリノベーションされた事例をご紹介します。
管理が難しい寒冷地の物件
マイナス1度なのに陽気すら感じてしまうこの頃。
最高気温がプラスになる日も増え「もう春だねえ」なんて声も聞こえてくる。
道民ならではの感覚だろうか。
今年の元旦はいつになく冷え込みが激しかった。
年始休みで人が家やオフィスをあけることが多い数日間、
北海道中で給水管の凍結事故があったと聞いた。
当社も例に漏れず複数の物件で水回りの事故に見舞われた。
給水管の凍結は経験済みだったが、排水管の凍結は今年初めて経験した。
しかも2か所、ほぼ同時に。
寒冷地では、夜間の水道の凍結を避けるために、蛇口を軽く開けておき、
水を滴らせる方法をとることがよくある。給水管の凍結防止には有効な手段だ。
問題は、この水は排水管を流れきる前に管内で氷となってしまうこと。
ひと晩かけて徐々に盛り上がっていく“ちょろぽた水”。
今年はマイナス20度にもなった旭川の冬、
当社の物件ではメートル単位で排水管が凍りついていた。
管内凍結に気がつかずトイレやシャワーを流してしまうと最悪で、
排水が流れず逆流してしまう。

このように、北国での不動産管理は、温暖な地域とは異なる注意を払う必要がある。
以前書いたとおり、空き家のオーナーが、
秋の終盤から雪の季節になるとそわそわし始めるのはこのためだ。
どのような物件であれ、活用できないなら負担にしかならないのが
空き家・空き店舗を受け継いだ者の実状だ。
毎秋不安に駆られるくらいなら、いっそ物件を売却して楽になったほうがいいだろう。
しかしそんな「先祖代々受け継いだ物件」をなんとか活用しようと考え、
複合型シェアオフィスに仕立て上げたのが、
今回ご紹介する〈HOKUO LAB〉のオーナーである川島千幸さんだ。

工事中の様子。敷地面積は900坪にも及ぶ倉庫。
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