静岡県袋井市に、住宅メーカー〈BESS〉の「G-LOG」というモデルのログハウスが
2軒並んでいる。それはまったくの偶然だという。
G-LOGは三角屋根で、広いベランダ「NIDO(ニド)」が特徴的。
1階にもウッドデッキがあり、
外と内がゆるやかにつながっているような感覚で暮らすことができる。
道路に面した玄関側から脇を抜けて、庭側に回ってみると、
茶畑が目の前に広がる庭があった。そして後ろを振り返ると、
まるで双子のように同じ家がかわいく並んでいるのがわかった。
先に家を建てたのは萩田秀樹さん、美紀さん、瑚菜ちゃん、登羽くん一家。
2019年8月に完成した。
茶畑が見えるNIDOからの眺望。
「この土地にBESSのG-LOGを建てようと決めたときは、
当然、となりは何も建っていない更地でしたので、どんな家が建つかわかりませんでした。
妻とは、「BESSユーザーが来たらおもしろいね、なんて冗談は言っていたんですけどね」
と言う萩田さん。
萩田秀樹さん、美紀さん、瑚菜ちゃん、登羽くんの4人家族。
一方で、となりに家を建てたのは竹本忠弘さん、真奈美さん、灯里ちゃん一家。
候補の土地を見て回るうちにこの場所を見つけて気に入った。
そのときはまだ萩田邸は建っておらず、
となりに自分が建てようと思っていた同じG-LOGが建つことを知ることになる。
その情報はすぐにとなりの萩田さんに伝わり、
浜松のLOGWAY(BESSの単独展示場)で初対面。
即座に意気投合、交流が始まった。
竹本忠弘さん、真奈美さん、灯里ちゃん。
「同じ土地で同じ家なんて、
絶対に感覚が近い人が来るはずなので楽しみしかありませんでしたね」と笑う萩田さん。
竹本さんは建築中に何度も現場に足を運んでいるが、
すでにとなりに住んでいた萩田さんは、頻繁に建築中の家の写真を竹本さんに送り、
現状報告などをしていた。ときには現場監督からの報告よりも早いくらい。
SNSを通じたやりとりや、竹本さんが見学に来た際に情報交換するなど、
暮らす前から交流を深めていった。
こうして2020年3月に竹本邸も完成。
かつてはひとつの建物を壁で仕切って複数の家族が生活する、
長屋というスタイルがあった。
あくまで個別でありながらも、ゆるいつながりを持つ暮らし方だ。
この2家族はまったく同じ建物に住み、暮らし始めた時期も7か月しか変わらない。
悩みやライフステージも近しいものがある。
いろいろなものがつながりながら、
不思議な「となり暮らし」のコミュニティが育まれていった。
同じG-LOGだが、竹本家(奥)は壁をオレンジにした。
石川県を拠点に、住宅・オフィス・店舗のリノベーション、
不動産の有効活用を提案する不動産事業などを展開する、
〈SWAY DESIGN〉永井菜緒さんの連載です。
今回は元住宅会社のショールームをリノベーションして生まれた、
加賀市小菅町にある和食店の事例です。
目指す事業と物件とのミスマッチへの挑戦、そしてマイナス条件を逆手にとったプラン。
そのプロセスをご紹介します。
夜になると行燈看板に光が灯る。建物正面は真っ白な壁にシンプルなこの看板がひとつだけ。
JR北陸本線、加賀温泉駅から徒歩10分ほど。
周囲には飲食チェーン店や大型ショッピングモールなどがある、
加賀市の中心部に位置する和食店〈さえ季〉。
2017年8月のオープンから3年が過ぎ、
市内だけでなく県内各地から人が訪れる地元の人気店です。
既製品の椅子と壁紙、造作の障子とテーブル。コストと設えのバランスを意識して特注すべきものの選定を行った内装。
このさえ季を営む佐伯真さんは、京都の老舗料亭を経て
石川県内の和食店に料理人として勤めたあと、独立し開業されました。
当初ご相談をいただいた際から、つくりたい店舗のイメージが明確で、
「和食居酒屋ほどカジュアルではない、でも割烹ほど敷居の高いものにはしたくない」
というご依頼。
店舗設計の依頼を受ける際、物件を見立て一緒に選ぶパターンが多いなか、
今回は物件がすでに賃貸契約済という段階でした。
そこで、まずは建物の現場調査にうかがいます。
計画地は片側2車線、加賀市の主要道路に面する木造平屋の賃貸物件です。
もとは住宅会社のショールーム兼営業所として使われていた建物。
入り口は洋風の両開きドア、庇(ひさし)には洋瓦。
建物内部がよく見える大きなはめ殺しのガラスが入った外観。
フランス瓦の乗った玄関ポーチ、両開きの洋風扉、奥へ行くにつれ天井高が低くなっているのが特徴の物件。
洋風であり、いま風な建物で、立地も良く、
事務所としての使い勝手は良さそうですが、
意図する“ちょっと粋な料理屋さん”をつくるには
方向性が大きくズレるな、というのが初見の感想でした。
2020年、11回目を迎えた鹿児島県・川辺で行われている
フェスティバル〈グッドネイバーズ・ジャンボリー (以下、GNJ)〉は、
これまでの夏開催から初めて時期を秋に移して無事終了しました。
新しいディケイドの始まりでもあり、
ひとめぐりして10+1回目のGNJはまさかのコロナ禍。
さまざまな葛藤はありましたが、
実行委員のみんなと10回目のGNJが終わった去年の秋から話し会いを続け、
新しいかたちを模索することとなりました。
夜な夜な議論する実行委員のメンバー。
コロナ禍でも実行委員のみんなが前提として話し合っていたのは、
どんなかたちになったとしても集いの灯を絶やさないようにしようということでした。
僕個人的にはたとえ実行委員の数人しか集まれなかったとしても、
「これがGNJだ」と言い切って場を開こうと考えていました。
一度中断してしまった流れを再起動させるのはなかなかパワーを要します。
バトンを渡し続けていくことが、僕らの活動にとっては重要だと思っていました。
これまでの歴史で感染症の脅威は何度もあったけれど、
人が集まること=祭りがなくなったことはなかったし、
どれだけオンラインが発達したとしても
僕らは鹿児島の「森の学校」という場所の力とともに10年やってきたので、
簡単にデジタルには頼らないという心づもりもありました。
フェスティバルの中で密を避けるさまざまな工夫。
職人の技が光る伝統工芸品。
アート作品のようにインテリアのひとつとして
飾っているという人は少なくないのでは?
そんなちょっぴり敷居の高さを感じる伝統工芸品を
現代のライフスタイルに合った日用品として展開しているのが
〈TOUCH CLASSIC〉シリーズです。
宮城県仙台市で創業し約90年の老舗ものづくり工房
〈東北工芸製作所〉が手がけています。
日々の暮らしに馴染む「黒」をベースの色に使用し、
東北・宮城に伝わるうるし塗りの技法である
「玉虫塗」を用いた器やグラスを展開しています。
愛知県蒲郡市の市街地から山へ向かって車を走らせていくと、
次第に周囲はみかん畑ばかりになる。
秋冬のシーズンにもなると、どの木にもたわわに実ったみかんを見ることができる。
そうした周辺の景観に馴染みながらも、
カフェと間違えてしまいそうな存在感がある〈BESS〉の「カントリーログ」が姿を現す。
この家に住むのは榊原裕之さん、幸枝さん、丸留(まる)くんの一家だ。
庭のベンチでくつろぐ家族3人。丸留くんはちょっと“おねむ”。
「子どもの頃、ログハウスに泊まる体験学習に行きました。
キャンプファイアをして、ダンスをして、おいしい料理を食べて。
その体験がとても楽しかったんですよね。
そのときから将来は絶対、木の家がいいなと決めていました」という裕之さん。
よほど強く印象に残ったのだろう。
鉄筋コンクリートマンションで暮らしていたときも、
自分の部屋の中に木を貼って暮らしていたという。
そして子どもの頃の思い出を強く持ったまま初志貫徹、
大人になってとうとう木の家を手に入れた。
シマトネリコの木がシンボルになっている庭。
木の家を建てるなら、場所選びも重要だ。
「せっかく建てるなら、自然があふれる場所がいい」というのは、
榊原さんに限らず木の家を望む人なら当然の気持ちかもしれない。
土地探しの当初は、まちなかも探していたというが、現在の里山の立地を見て
「理想的な“梺(ふもと)ぐらし”が想像できました」と即決だったという。
決めたときには近所に住む人たちが
「こんな何にもないところ、本当に大丈夫?」と声をかけてくれたとか。
「でも住んでみたら、田舎特有の人づきあいがあって。
歩いていたら声をかけてくれるし、お野菜も分けてくれたり、とても快適です」
と幸枝さんは笑う。
窓からはみかん畑が見渡せる。
榊原夫妻の気持ちを動かしたものに、三角州のようなユニークな土地の形状もある。
建物以外の三角エリアは庭になっていて、シマトネリコがシンボルツリーとなり、
まるで公園のような佇まい。
植物を密集させることなく、ほどよいスペースを保っているので、
丸留くんがいくらでも走り回れるし、
裕之さんもテントを張ってキャンプを楽しんでいるそうだ。
広い庭は公園のよう。
石川県を拠点に、住宅・オフィス・店舗のリノベーション、
不動産の有効活用を提案する不動産事業などを展開する、
〈SWAY DESIGN〉永井菜緒さんの連載です。
今回の舞台は、加賀市大聖寺。
長い間空き物件だった古い医院を改修して生まれた、
高校生のための学習塾〈タビト學舎〉をご紹介します。
〈タビト學舎〉の「タビト」とは、旅(タビ)と人(ヒト)を掛け合わせた造語です。
〈タビト學舎〉を運営する飯貝誠さんと真美子さんご夫婦とは、
工事現場に掲げられた足場幕をきっかけに接点が生まれました。
現在は、新規のご相談はWebのお問い合わせフォームからいただいているのですが、
2016年の当時はまだ〈SWAY DESIGN〉の実績は数件しかなく、
WebやSNSなどで存在をアピールすることも難しい段階。
昼も夜も休みも関係なく、図面を書いては、あちこち声をかけて職人さんを探し、
設計から施工まで一貫して請け負うという日々。
着工までは事務所で図面作成、着工後は現場で手書き図面を起こし、その場で墨出し(現場に実寸の設計図を書くこと)をしながら管理するという態勢でした。
鳥獣戯画のように、メンバーが増えるごとに足場幕がつながっていきます。
そんななかでのPR戦略として、当時一緒に活動していた
同世代でフリーランスの大工さんや板金屋さんと、
「チームが増えるにつれて連続していくような、絵巻物のような足場幕をつくろう!」
と、ひとり1枚ずつ900ミリ角の幕をつくり、掲げることに。
すると
「道路を走っていて、足場幕を見かけたんですけど……」
という飯貝さんからお声がけがあり、
「ではとりあえずお会いしましょう!」
と行き当たりばったりのかたちでスタートしたのでした。
さまざまなクリエイターによる旅のリレーコラム連載。
第14回は、Swimsuit Department 代表の郷古隆洋さんが
山陰・山陽を巡る買い付け旅のなかで出会った
岡山県のある作品とお寺のお話。
日本や世界中で蒐集活動をしている郷古さんでも強い衝撃を受けたお寺とは
はたしてどんなお寺だったのだろうか。
僕はとにかく車の運転が好きで、
年に一度、秋になると福岡から山陰と山陽を回る旅を必ず計画しています。
それは僕のなかで旅でもあり仕入れでもある。
「旅=仕入れ」「移動=仕入れ」といった図式は、
もう完全にセットになっている人生なのです。
この旅では行程を重ねるたびに荷物が積まれていき、
後半ともなると荷台ではテトリスのようなことが繰り広げられていきます。
まあそれが楽しくて仕方がないのですが。
そして山陰と山陽をどちらから先に回ろうとも、
〈さんはうす〉というカレー屋には必ず寄ることにしています。
そこは岡山県の内陸、真庭市にある、ちょっと変わったカレー屋なのです。
キッチンにいる名物マスターは、実は民芸の目利きであり、
店舗裏手に〈長屋〉という骨董品を並べたギャラリーを併設していて、
古物を扱う人はだれもが知る場所。
そこはもう行けば必ずほしいものがあって、
先に長屋に行ってしまうとカレーそっちのけで時間を使ってしまいます。
もちろんカレーだっておいしく、初めての人ならエビカツカレーがオススメ。
腹持ちもよくロングドライブにもちょうどいい食事がいただけます。
ちなみに僕はクリームコロッケカレーが好きです。
住んでいるからこそ気付く風景があれば、住んでいると気付かない風景もある。
地元の方々にとって「当たり前」だと思っていた風景が、
観光で訪れた人の心を打つということは、往々にしてあるものです。
そんな新潟の「当たり前」の魅力を集めた企画が、
「新潟※(コメジルシ)プロジェクト」。
ガイドブックには載ってない、地元の人にとって「当たり前」だけど、
旅する人にとっては新鮮な感動を覚える「新潟の魅力」が詰まっています。
この秋、新潟県の地元の魅力を募集した
第3回フォトコンテスト「#連れていきたい新潟」にて、
ガイドブックにも紹介されないような、「お気に入りの新潟」をテーマに募ったところ、
多数の応募がありました。
日本初の“循環型”オフグリット住宅、
〈アースシップ〉の完成を紹介 してからおよそ1年。
2020年7月1日、1日1組限定のプライベートゲストハウス
〈アースシップ ミマ〉としてオープンした。
香川県との県境に近い山あい、徳島県美馬市にあり、
公共インフラに頼らずに水や電気を自給するオフグリット。
そんな住宅がどのようなかたちでゲストを受け入れているのだろう?
アースシップ、第2章の幕開け。
施主兼コンシェルジュの倉科智子さん、そしてアースシップに再び会いに行った。
当初の計画では5月1日よりゲストハウスをオープンさせる予定だった
〈アースシップ ミマ〉。2月に予約受付を開始したと同時に
予約はかなり埋まったものの、3月そして4月になるにつれてコロナ禍は拡大、
徳島県内でも緊張感が漂い始めた。
4月半ば、全国を対象とする緊急事態宣言の発令を受けて
近隣の宿泊施設に行政からの休業要請もあり、
地域の人たちと相談をしてここもオープン延期を決めた。
予約をしてくれている方たちにすぐに連絡を入れると、
開業がいつになるかもわからないことを承知のうえで、
「キャンセルではなく延期の扱いにしてください」と答えてくれる声も多く、
その気持ちが本当にありがたかったと言う。
庭には近所の人がくれたテーブルやイスにもなる大きな丸太が。倉科さんが押してもビクともしないのに、イノシシが動かすことがあるとか。
それから数か月。緊急事態宣言が解除となり、
休業していた近隣の宿泊施設も6月末から再開することが決まり、
アースシップ ミマもキリのいい7月1日をオープンとした。
待ってもらっていた方たちに連絡を入れ、ホームページでも再び予約を受け付けた。
最初は1週間に1組だけ。様子を見ながら徐々に受け入れる日を増やし、
10月頭の時点で全国から合計40組程度のゲストを迎え入れている。
「『こんな時期によくぞ来てくださいました!』という感謝の気持ちしかありません。
ご夫婦やカップルが多いですね。それからファミリーや友だち同士。
もちろん、ひとりの方も。
ネットやテレビ、ラジオで見たり聞いたりして
実際にアースシップに泊まってみたかったとおっしゃる方、
いつかアースシップのような家を建ててみたい、
今、家を建築中でアイデアを取り入れたいという方など、モチベーションはいろいろです」
こうしてアースシップに興味を持ち、実際に訪れる人たちは個性豊か。
ユニークな職種や背景を持つ人たちも多いようだ。
「みなさんそれぞれのバックグラウンドが興味深くて、逆にアドバイスをいただいたり、
発見があったり。ゲストを迎えるたび、私自身が相当刺激を受けているんですよ」
室内菜園には昨年まで苗木だったアボカドといちじくが生い茂る。植物に詳しいゲストからこの菜園や手つかずの庭についてアドバイスをもらったことも。
©Yasuhiro Suzuki
このコロナ禍のなかでも、地域の人々が助け合い工夫しながら、
生活圏規模で継続しているアートプロジェクトがある。
「すみゆめ」こと〈隅田川 森羅万象 墨に夢〉。
2016年の〈すみだ北斎美術館〉オープンを機に、
墨田区を中心とした隅田川流域を舞台としてスタートした。
隅田川をファスナーの形をした船が航行する鈴木康広さんの作品
『ファスナーの船』を目にしたことがある人もいると思うが、
これもすみゆめで行われたプロジェクトのひとつなのだ。
世界的に知られる葛飾北斎は、93回も転居しながら
90年の生涯をずっと墨田で過ごした破天荒な絵師。
すみゆめでは、この地域の文化資源ともいえる「北斎」と「隅田川」をテーマに、
毎年数々のアートプロジェクトを開催してきた。
森羅万象を追い求めた北斎にならい、
墨で描いた小さな夢をみんなの手で色づけしていくように、
あらゆる表現を行っている人たちが集い、つながりながら、
この地を賑やかに彩っていくことを目指している。
今年は北斎生誕260年にあたり、
東京オリンピック・パラリンピックに合わせて賑やかに開催する予定だったが、
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、実施方法や会期が変更に。
検討の末に7月から徐々にワークショップやリサーチが始まり、
来年の2月まで、まちなかやオンライン上で多彩な企画が続いていく。
〈隅田川 森羅万象 墨に夢〉統括ディレクターを務める荻原康子さんと、
墨田区文化振興財団で地域文化支援を担当する岡田千絵さんに、
2020年度の不測の事態をどのように乗り越え、
これからどのような新しい企画が待っているのかをお聞きした。
気仙沼漁師カレンダー2021 「6月」
毎年気鋭な写真家による臨場感漂うビジュアルで、
注目を集める〈気仙沼漁師カレンダー〉。
全国カレンダー展では、
経済産業大臣賞や審査員特別賞松永真賞といった
さまざまな賞を何度も受賞しています。
藤井保氏をはじめ、浅田政志氏、川島小鳥氏、
竹沢うるま氏、奥山由之氏、前康輔氏と錚々たる写真家に続き、
2021年版の〈気仙沼漁師カレンダー〉の撮影を担当したのは、
写真家の幡野広志氏。
気仙沼漁師カレンダー2021 「3月」 気仙沼漁師カレンダー2021 「12月」 気仙沼漁師カレンダー2021 「5月」 気仙沼漁師カレンダー2021 「4月」
幡野氏は、2019年の1年間で4回にわたり撮影に訪れ、
漁師の生き様から彼らを支える人々、そして気仙沼を写真に収めました。
こんにちは。石川県金沢市で〈SWAY DESIGN〉という
設計事務所を運営している永井菜緒と申します。
SWAY DESIGNがこれまで手がけてきた物件は、
住宅、店舗、オフィス、クリニックと多岐にわたり、構造による選別もしていません。
共通する特徴を挙げるならば、8割以上が既存の建物を改修していること。
でも新築をしない、ということでもありません。
この雑食にも見える守備範囲について、全8回となるコラムを通じ、
どこを目指しているのか、何を考え、どんな経緯をたどっているのか、
すべての物件に共通する思想をさまざまな事例と共にお話したいと思います。
初回となる今回は、創業の経緯とその起点となった事務所づくりについてご紹介します。
築40年の実家を改修した店舗併用住宅。2階は〈SWAY DESIGN〉の事務所、1階は両親が運営するそば屋です。そば屋はSWAY DESIGNのフロントデスクを兼ねています。
SWAY DESIGNは2014年に永井の個人事業として設立したのが始まりです。
大学卒業後、首都圏の大手チェーン店の設計施工を行う会社、
遊休不動産の利活用を行う会社に勤め、地元石川県へUターン。
4年間の個人事務所期間を経て、2018年に株式会社SWAY DESIGNを設立しました。
独立初年度は、石川県で縦横のつながりもなく
存在すら知られていない状態からのスタート。
日々の仕事は、地元建築会社から請け負った確認申請業務や
家具・建具の施工図を描くことで、月収は会社員時代の半分ほど。
同世代の活躍を見て、焦りと自分への苛立ちが募りながらも、
「見た目も重要だけど、事業性を無視した作品づくりは建築家の自己満足だ」
と斜に構え、コンペには参加せず。
そんな模索期を過ごしながら、2年目に突入。
一日中こもる事務所での図面描きがしんどくなり、
環境を変えたい欲求から、事務所移転に向けて動き出します。
当時は、市のインキュベート施設内の5坪ほどのスペースを事務所として賃貸していました。
横山大観『雨霽る』(昭和15年)足立美術館蔵
2020年11月に開館50周年を迎え、
日本庭園ランキングで日本一に選ばれた庭園とコレクションで知られる島根県の足立美術館。
この記念イヤーに、同館の顔ともいえる
近代日本画の第一人者・横山大観の所蔵作品が一挙に会する
『横山大観の全貌』展が、2020年10月25日(金)まで開催されます。
当館の創設者・足立全康がもっとも惚れ込んだ画家、横山大観。
「大観は永遠の恋人」と公言したというエピソードも残っているほどで、
約2000点の所蔵作品中、大観の作品は120余点にものぼるといいます。
ここまでの点数と質を兼ね備えた美術館は、他に類がなく、
「日本一の大観コレクション」とも評されているんだとか。
尾形光琳『紅白梅図屏風』や野々村仁清『色絵藤花文茶壺』をはじめとする
国宝3点、重要文化財67点、約3,500点と、
一級品の日本美術作品を多く所蔵する静岡県熱海市の〈MOA美術館 〉。
そんな同館が、今年オンラインショップ〈The Kogei Shop 〉を
オープンさせました。
販売されているのは、人間国宝を中心とした
陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、ガラスなどの伝統工芸作家の
日常でも使えるプロダクト。
どれも美しく丹精込めてつくられた作品ばかりです。
宮島達男『Counter Skin on Faces』2019/2020年
Courtesy of Akio Nagasawa Gallery Photo by Siliang Ma
現在森美術館で開催中の
『STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ』で
6人のスターのうちのひとりに選ばれ、
日本が誇る世界的現代美術作家と評される宮島達男。
そんな宮島の首都圏の美術館では12年ぶりとなる大規模個展
『宮島達男 クロニクル 1995-2020』が千葉市美術館で始まっています。
宮島達男『地の天』1996年 千葉市美術館蔵 Photo by Nobutada Omote 宮島達男『Innumerable Life/Buddha MMD-03』2019年 Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE Photo by Nobutada Omote 宮島達男『Innumerable Life/Buddha MMD-03』(部分)2019年 Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE Photo by Nobutada Omote
LED(発光ダイオード)のデジタル・カウンターをさまざまに用い、
生と死の循環を表現した宮島の象徴的な作品たち。
それらは「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」
「それは永遠に続く」という3つのコンセプトを基に、
1980年代より30か国250か所以上の場所で発表されています。
特に同館所蔵作品の〈地の天〉をはじめ、パフォーマンスの再開、
世界各国の参加者との協業で生まれる〈時の蘇生・柿の木プロジェクト〉など、
宮島にとって転機となったプロジェクトが多く生み出されたのが1995年。
本展ではそんな1995年を起点とし、時間と空間に深く関わる作品表現の本質に、
「クロニクル(年代記)」というテーマから迫ります。
LED作品、パフォーマンス映像、プロジェクトを軸に、四半世紀にも渡り、
複層的な広がりを見せるその潮流を知ることができるでしょう。
2000年代に入り、宮島氏が提唱している言葉「Art in You(アートインユー)」。
日本語訳は「アートはあなたの中にある」。
これは、生きることの意味、そして平和と共生の意義を、
他者との開かれた対話を通して問い続けてきた芸術思想です。
その言葉に導かれるように、ぜひ宮島氏の作品から、
社会と自分をつなぐアートな思想を見出してみてはいかがでしょう。
「日本近代化の躍動を体感できるまち」として、
横須賀・舞鶴・呉とともに日本遺産に認定されている佐世保鎮守府。
鎮守府とは、日本海軍の本拠地のことで明治期に築かれました。
そのひとつである佐世保には、
今でも数多くの近代化遺産や海軍由来の食文化が残っています。
そんな佐世保鎮守府を中心に、
2018年に世界文化遺産に登録された黒島の集落にある〈黒島天主堂〉とあわせ、
ガイドブックには載っていない、
よりディープな佐世保の歴史を辿る旅をご案内します。
佐世保には明治22(1889)年に鎮守府が開庁。
大小の島々が複雑に浮かぶ海、小高い山々に囲まれた湾口など、変化に富んだ地形は、
天然の要塞として理想的な条件を満たしていました。
明治から大正期にかけて、最先端の技術と優秀な人材が投入され、
艦艇をつくる海軍工廠(軍需工場)など、さまざまな施設がつくられ、
水道や鉄道などインフラも続々と整備されたといいます。
現在、佐世保市では27項目、503の構成文化財(平成29年4月現在)が
日本遺産として認定されています。
切妻屋根を正面に見せた左右対称の外観。
はじめに訪れるのは、大正12(1923)年に
第1次世界大戦の凱旋記念館として建てられた
〈旧佐世保鎮守府凱旋記念館(佐世保市民文化ホール)〉。
ここでは、旧海軍の催事が行われ、戦後は米軍のダンスホールや映画館として
利用されていました。
建物は、レンガと鉄筋コンクリート造りの2階建。
外観は、古典的なデザインで、随所に細かい装飾が施されています。
敗戦後は、米軍に接収され、白く塗りつぶされてしまいましたが、
平成28年(2016)年に建設時の姿に改修されました。
現在は、市民の演劇や音楽の発表の場として利用されるほか、
鎮守府に関する写真やパネルが展示されています。
information
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佐世保市民文化ホール(旧佐世保鎮守府凱旋記念館)
住所: 長崎県佐世保市平瀬町2
料金: 無料
TEL: 0956–25–8192
アクセス: 佐世保駅から車で6分
時間: 9:00〜22:00
定休日: 火曜及び、年末年始(12月29日〜1月3日)
渋谷と青森。
行き交う人波や漂う空気、土地勘などがまったく異なる両都市の
“環境音・生活音”に着目した、オルタナティブな企画展が行われます。
その名も〈THIS SOUNDS GOOD?展 #渋谷x都市 #青森x農林水産業〉。
渋谷のCAELUM GALERIAにて、10月22日(木)から10月28日(水)まで。
企業や団体を“象徴する音”を“音の資産”とし、
アーティストとさまざまなコラボレーションをすることで、
新たな価値を生み出してきた〈SOUNDS GOOD®〉。
展示予定の作品。
同プロジェクトの新たな取り組みとなる〈THIS SOUNDS GOOD?〉は、
ある地域に流れるノイズから、アーティストの視点で“音の資産”を見出し、
作品へと昇華することで、その空間・場所の魅力を伝え、
新たなカルチャーを生み出すことが狙いとなっています。
第一弾となる同展は、青森県庁を交え、
渋谷と青森のコントラストが興味深い、実験的な内容に。
タオルの名産地・今治で創業100年を迎える老舗メーカー〈藤高タオル〉。
国内生産売上ナンバー1を誇り、現在も製品開発を重ね、
素材からデザインまで、モダンに進化を続けている同社。
西川©友美 1987年青森県八戸市生まれ。2009年日本女子体育大学健康スポーツ学科中退。2011年バンタンデザイン研究所グラフィックデザイン学科卒業。同年8月デザイン事務所10inc.入社。2018年第19回グラフィック「1_WALL」グランプリ受賞。2020年 JAGDA新人賞受賞。
そんな〈藤高タオル〉より、
日本グラフィックデザイナー協会による2020年の〈JAGDA 新人賞〉に輝いた
グラフィックデザイナー西川©友美さんとのコラボレーション商品が誕生。
西川さんの愛称「ちょも」を冠した〈ちょも祭〉と題し、
〈藤高タオル〉の直営店〈藤高タオル 銀座〉とオンラインストアで、
2020年10月15日(木)まで開催しています。
2020年夏、渋谷の宮下公園が、公園・商業・ホテルが一体になった複合施設
〈MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)〉として生まれ変わりました。
その屋上にあるのは、新しくなった宮下公園。
そこに、アーティストの鈴木康広さんによるパブリックアート
『渋谷の方位磁針|ハチの宇宙』が設置されました。
鈴木康広『渋谷の方位磁針|ハチの宇宙』Keiko Chiba @ Nacasa & Partners
瀬戸内国際芸術祭や箱根 彫刻の森美術館など、
国内外で作品を発表してきた鈴木さん。
剣玉の玉をリンゴに見立てた『りんごのけん玉』、
船が航走する洋上をファスナーに見立てた『ファスナーの船』など、
いつもの風景を不思議な光景に変えてしまうような
作品を手がけるアーティストです。
今回の作品には、どんな思いが込められているのでしょうか?
公式サイトには、次のような言葉が寄せられています。
鈴木康広さん
「空が見渡せるミヤシタパークに、渋谷区の方位を
身体で感じられるベンチをデザインしました。
そこにいち早くやってきたのは忠犬ハチ公像。
星になった上野教授を見上げています。
今やハチは世界中の人々に語り継がれる果てしない“宇宙”のような存在。
動物と人間との間に芽生えた他者への想像力が、
国境を越えて人々の心に何かを呼びかけているのではないでしょうか。
明治通りに沿って南北に広がるミヤシタパークは、
道行く人たちにさりげなく方角を知らせるコンパスの“針”のような場所。
近所から地球まで、さまざまな場所から
やってきた人たちとの出会いによって、
ミヤシタパークが未来に向かう
“渋谷の方位磁針”となることを願っています」
空の上の教授を見上げているなんてかわいらしいですね。
こんなベンチに座っていたら、つい長々とおしゃべりしたり、
空を眺めたりしたくなってしまいそうです。
この作品は、パブリックアートの普及を推進する〈DESIGNART〉(株式会社デザイナート)が、
一般財団法人渋谷区観光協会、一般社団法人渋谷未来デザインと協業し、
プロデュースを手掛けたものです。
〈STUDIO PEPE(ストゥディオ・ペペ)〉
2020年10月23日(金) 〜11月3日(火・祝)は、
DESIGNARTが主催するデザイン&アートフェスティバル
〈DESIGNART TOKTO 2020〉が開催されます。
2020年のテーマは“Power to the Creatives”。
会場は、東京のまち全体。
表参道や渋谷をはじめとするまちの商業施設、
ギャラリー、貸しスペースを舞台に、
デザインとアートを横断するもの・ことが提示されます。
また、新型コロナウイルスの影響を考慮し、
オンラインプログラムも行われます。
見どころのひとつは、港区南青山にある〈ジャスマック青山〉で開催される
合同展示会〈REBOOT(リブート)〉。
〈denis guidone x ARITA(デニス・グイドーネ x アリタ)〉(左)と〈YOY(ヨイ)〉(右)
今年は世界最大の家具見本市〈ミラノ・サローネ(ミラノデザインウィーク)〉が
中止となってしまいました。
本展では「REBOOT(再起動)」をテーマに、
発表する機会を失ってしまった企業やクリエイターに発表の機会を創出。
日本では初紹介となる〈ストゥディオ・ペペ〉や
〈デニス・グイドーネ x アリタ〉、
〈YOY(ヨイ)〉などの作品が見られます。
トップイメージ:Keiko Chiba @ Nacasa & Partners
撮影:甲田和久
静岡・東京の2拠点で、建築設計、自治体との取り組み、
都内のシェアハウスの運営などの活動をする
〈勝亦丸山建築計画〉の勝亦優祐さんの連載です。
最終回は、築70年以上の廃業した旅館をゲストハウスとして再生した、
富士宮市の〈富士山ゲストハウス掬水〉をテーマにお届けします。
僕は静岡県富士市で育った。
幼少期は近くの山や沢に秘密基地をつくり、友だちとキャンプをした。
自転車に安い釣竿と道具一式をくくりつけて真夜中に海まで走った。
遊びは無限だった。
大人になって設計事務所を始めてから、
仕事と遊び、生活が密接に関わり合うようになった。
家から徒歩30分圏内について、僕はどれほど知っているのか?
Uターンして数年間は車を持たず、自転車、徒歩、スケボーで移動してみたところ、
そこは未知の可能性にあふれていた。まるで冒険のような毎日。
そのなかで見つけた「場所」と「誰と」「何をするか」を組み合わせると、
さらに未知の世界が広がっていく。それらを実験していくことが、僕の趣味となった。
富士には多くの友人が訪ねて来てくれるので、季節ごとに遊びを考え、
自分が設計として関わった建築にも立ち寄りながら一緒にエリアを巡る。
〈富士山ゲストハウス掬水(きくすい)〉(以降、掬水)は
僕の遊びの主要拠点になっている。2019年3月、富士宮にオープンした宿だ。
撮影:甲田和久
富士市から車で30分ほど北上した富士宮市に位置する、
僕らが初めて手がけた宿泊施設。
富士市と富士宮市は同じ経済圏で、日常的に行き来がある。
掬水には遠方からの友人とだけでなく、地元の友人と宿泊して
お酒を呑むこともしばしば。
僕の日常圏内にありながら、“非日常”を感じる場所である。
富士宮の富士山本宮浅間大社には、特別天然記念物に指定される
「湧玉池(わくたまいけ)」があり、
富士山の湧き水が滾々(こんこん)と流れ込んでいる。
昔から富士登山者は、この湧玉池で身を清めてから霊峰に挑んだ。
湧玉池に浮かぶように見える建物は、かつて割烹旅館〈掬水〉として営業していた。
1952年時点で旅館であったことは確認できたが、創業時期はわかっていない。
40年ほど前に旅館の営業は終了し、その後、個人宅として使われたあと、
空き家となっていた。
そんな歴史を継承し、ゲストハウスとして再生させたのが、
静岡県三島市に本社を置く〈加和太建設株式会社〉だ。
国指定特別天然記念物の湧玉池を〈掬水〉から望む。水面に触れるくらい、近い。(撮影:甲田和久)
大社の境内、湧玉池から掬水を見る。写真中央の池に突き出している部屋が「水の間」だ。(撮影:甲田和久)
アートとサイエンスとテクノロジーを柔軟に連携させ、
これまでになかった研究と教育を行う大阪芸術大学アートサイエンス学科。
2018年11月に誕生したこの学科の新校舎は、
建築界のノーベル賞と称されるプリツカー賞を日本人女性で初めて受賞した、
日本が誇る世界的建築家の妹島和世さんが手掛けました。
妹島和世(せじまかずよ) 建築家。1956年茨城県生まれ。1981年日本女子大学大学院家政学研究科を修了。1987年妹島和世建築設計事務所設立。1995年西沢立衛とともにSANAAを設立。2010年第12回ベネチアビエンナーレ国際建築展の総合ディレクターを務める。日本建築学会賞*、ベネチアビエンナ ーレ国際建築展金獅子賞*、プリツカー賞*、芸術文化勲章オフィシエ、紫綬褒章などを受賞。現在、ミラノ工科大学教授、横浜国立大学大学院建築都市 スクール(Y-GSA)教授、日本女子大学客員教授、大阪芸術大学客員教授。*はSANAAとして。
10月3日(土)より渋谷のユーロスペースより順次全国で公開される
映画『建築と時間と妹島和世』は、
そんな新校舎が完成するまでを記録したドキュメンタリー。
監督・撮影はホンマタカシさんが担当しています。
「国立競技場の時も、競技するけど、それで閉じるんじゃなく、もうちょっとまちに繋がっていく競技場がないかっていうのをやっていました。ここも高橋先生の立派なキャンパスがあって、でもそのキャンパスを見るとすごく、コンクリートの建物と、その間の庭や何かが色んな断面計画をされているので、その延長に、だんだん少しづつつながっていけるようになったらいいな、と思っていたんですけどね。形はぜんぜん違うけど。だからランドスケープ的なモノができたら良いなと思って」(妹島さん)
奈良県吉野町(会場風景)
コロナ禍で多くの芸術祭が中止になっていますが、
そんな中でも開催されるユニークな芸術祭があるのをご存知ですか?
その名も『MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館』。
会期は2020年10月3日(土)から11月15日(日)まで。
会場は世界遺産を含む奈良県の吉野町、天川村、曽爾村の3か所の町村。
この3つの地域をそれぞれ3〜5時間かけて歩きながら、
自然に囲まれたアート作品を鑑賞・体験します。
プロデューサーはライゾマティクス・アーキテクチャーの齋藤精一氏、
キュレーターは特定非営利活動法人インビジブルの林曉甫氏。
参加アーティストは、井口皓太、上野千蔵、
oblaat(覚和歌子、カニエ・ナハ、谷川俊太郎、永方佑樹、則武弥、松田朋春)、
菊池宏子+林敬庸、木村充伯、毛原大樹、齋藤精一、佐野文彦、力石咲、
中﨑透、ニシジマ・アツシ、細井美裕 他、
奈良在住の北浦和也、小松原智史、坂本和之、武田晋一、西岡潔、
飯田華那、逢香、タカ ホリイ、松田大児。
彼らがどのように自然と調和するアートを生み出すのか、期待に胸が膨らみますね。
ちなみに観賞にはかなりの時間を要するため、複数泊することをおすすめします。
京提灯、西陣織、漆精製……。
今なお職人による、日本古来の豊かな伝統工芸が息づくまち・京都。
現在京都伝統産業ミュージアムでは、そんな京都の伝統工芸を受け継ぐ
6つの工房を記録した写真展『継ぐもの -In between crafts-』が開催されています。
9月から開催される『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭』の関連プログラムである本展。
町田 益宏 群馬県生まれ。大学時代よりカメラに触れる。当時写真部の壁に掲げられた、「芸術は夜生まれる」という言葉を信じ、夜な夜な暗室に引きこもる。同時にオフロードバイクにて海外レースなどに参戦。写真の師である土井浩一郎氏に師事。独立後に京都に移住。最近は写真の刹那的で記録としての要素に強く惹かれる。
「これからも長く続くであろう時間の一点に立ち会い、そこにあるものをそのまま記録した」
そう話すのは、今回すべての工房の撮影を担当した、写真家の町田益宏氏。
町田氏は、以前より多くの工房を取材してきた写真家です。
今回写真に収められたのは、約200年以上をも続く京提灯の老舗〈小嶋商店〉、
西陣織の伝統的な手法と志を受け継ぐ〈紫紘株式会社〉、
明治42年から京都で漆の精製・販売を行ってきた〈堤淺吉漆店〉、
祇園祭の鉦も制作する、鳴物神仏具店〈南條工房〉、
京都はもちろん、全国の神社・祭りの祭具を手掛ける〈牧神祭具店〉、
京都で唯一、和鏡制作を行う〈山本合金製作所〉。
いずれも京都を京都たらしめる、日本が誇る技術と哲学、美意識を持つ工房ばかり。
町田氏は、そんな工房の作業風景とその家族の姿を、刻々とカメラで捉えました。
展示風景。木材を大胆に使ったものも。 エントランスでは、被写体となった道具も展示されます。
長野県安曇野市といえば、常念岳をはじめとする北アルプスの山々が注目されがちだが
その裾野には、南北に延びるローカル線、大糸線を走らせ、
広大な田園地帯に美しい里山が広がっている。
自然と人々の暮らしが調和する日本の原風景もまた、安曇野の魅力のひとつだ。
その土地の景観に溶け込んだ暮らし、という点において
すっかりと自然を我がものとしているのが、
〈BESS〉のログハウス「カントリーログ」に住む五郎丸良輔さん一家だ。
家、庭、そして安曇野の里山が、
まるで融合してしまっているかのような家が出迎えてくれた。
〈ガーデンホリック〉という名で造園業を営みながら、
自身のお家も抜かりなく、こだわりぬいた庭が自慢だ。
造園というと、日本庭園のような整えられた庭を想像するかもしれないが、
四角四面に整えられた生垣や
縁取りされたように美しく剪定された木々があるわけではない。
五郎丸さんが手がけるのは、
「雑木の庭」と呼ばれる、自然に近いありのままの姿。
雑木の庭の歴史は戦後くらいから始まっていて、庭の歴史のなかでは新しい。
里山の風景を切り取ったような雑木の庭。多種多様な草木が植栽されている。
それまでの日本庭園では「マツやスギ、ヒバなど針葉樹をメインに荒々しい山や、
神々がすむ世界、“あの世”的な精神的な世界観」で庭がつくられていたという。
「しかし人々が都市部へ移動すると、自然との距離感も変わり、
今まで薪などにしか使われていなかった里山のいろいろな木々、
つまり雑木が庭に使われるようになります。
身近な自然の縮景として、雑木の庭がつくられるようになってきました」
五郎丸さんが惹かれたのは、
きれいな日本庭園より、懐かしさや身近な感覚を持つことができる雑木の庭だった。
ありのままの里山。そのほうが五郎丸さんの自然観に近かった。
しかし現代の都市的な生活においては、里山すらも身近ではない。
だから雑木の庭にも「わざわざ」つくるだけの価値があるのだ。
草木の生育過程や、完成形のイメージなど実際に庭を歩きながら説明をしてくれる。